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「亜鉛の多い食べ物」はご存知ですか?不足すると現れる症状も管理栄養士が徹底解説!

 公開日:2025/08/21
「亜鉛の多い食べ物」はご存知ですか?不足すると現れる症状も管理栄養士が徹底解説!

亜鉛の多い食べ物とは?Medical DOC監修医が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・不足する原因・不足しやすい人の特徴とその解消法などを解説します。

會田 千恵美

監修管理栄養士
會田 千恵美(管理栄養士)

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認定こども園で管理栄養士として給食管理・調理・食育を行っています。離乳食アドバイザー(一般社団法人母子栄養協会)・食育インストラクター1級(NPO日本食育インストラクター協会)・和食文化継承リーダー認定を取得し、子供たちが食に興味をもち、おいしいと笑顔で言ってもらえるように励んでいます。

「亜鉛」とは?

「亜鉛」とは?

亜鉛は、成人の体内に約2gとごくわずかしか存在しない微量ミネラルです。 骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに広く分布し、たんぱく質と結合することで生理機能を発揮します。腸で吸収される割合は一般的に約30%とされていますが、摂取量や体内環境によって変動します。また、亜鉛は酵素の構成成分として、細胞の新生や代謝を助ける重要な役割を果たし、成長に欠かせない栄養素です。

亜鉛の一日の摂取量

亜鉛の一日の摂取量

亜鉛の一日の摂取の推奨量(日本人の食事摂取基準2025年版)は下記の通りです。
男性(18歳以上):9~9.5㎎ (10~17歳):8~10㎎ (1~9歳):3.5~5.5㎎ 
女性(18歳以上):7~8㎎ (10~17歳):7.5~8.5㎎ (1~9歳):3~5.5㎎
  (妊娠中期~後期)+2㎎ (授乳期)+3㎎
過剰に摂取すると銅や鉄の吸収阻害を起こすため、耐容上限量が定められていて
男性(18~29歳と75歳以上)40㎎ (30~64歳)45㎎
女性(18歳以上)35㎎  

亜鉛の効果

亜鉛の効果

味覚の正常を保つ

味覚は、舌にある味蕾という器官で味を感じています。味蕾の新陳代謝に関与しているため、味覚機能の維持をしています。不足すると味が正常に感じられなくなる味覚障害が起こります。

成長の促進

亜鉛は300種類以上の酵素の活性化に必要であり、細胞分裂や核酸代謝などにも重要な役割を果たすため、子どもの発育を促してくれます。

皮膚の健康を保つ

亜鉛は、皮膚や髪などの元となるたんぱく質の代謝を促し、肌荒れや髪のパサつきなどを改善します。

免疫力を高める

亜鉛は、細胞が新しく作り替えられる時に、不可欠です。血糖値を下げるインスリンや、免疫細胞の材料になるので、免疫力が高められ、傷の治りを早めたり、風邪などの予防効果も高められます。

貧血の防止

貧血というと鉄を思い浮かべると思いますが、鉄を運ぶ赤血球の増殖やヘモグロビンというたんぱく質の合成に亜鉛が必要になります。

亜鉛の多い食品

亜鉛の多い食品

牡蠣

牡蠣(養殖・生)14㎎。旨味が濃く多種類のビタミン、ミネラルが豊富で、「海のミルク」と言われています。旬の時期は10月〜12月。100g中に含まれる亜鉛の量のランキング1位は牡蠣の燻製缶詰で25.0㎎

牛肉

牛肩赤身肉5.5㎎ 牛もも赤身肉4.5㎎。9種類のアミノ酸をバランスよく含んでいるので、エネルギーの代謝を高め、鉄が多く含まれているので、貧血防止効果もあります。

大豆製品

ゆで大豆1.9㎎ 煎り大豆4.2㎎ 納豆1.9㎎ きな粉4.0㎎ 生湯葉2.2㎎。大豆は、「畑の肉」と言われるほど、良質なたんぱく質が豊富です。女性ホルモンに似たイソフラボンや、食物繊維もたっぷりで、更年期障害やガンの予防に効果的です。

種実類

アーモンド(乾燥)3.6㎎ カシューナッツ(味付)5.4㎎ 煎りごま5.9㎎ 落花生3.0㎎。種実類には、リノール酸やリノレン酸などの人体で合成できない必須脂肪酸が含まれ、抗酸化成分であるセサミンやビタミンEも豊富です。 また、ナッツ類には、オレイン酸が多く、ビタミンEとともに血管や肌の老化防止に役立ちます。

豚レバー

豚レバー(生)6.9㎎ 鶏レバー(生)3.3㎎ 牛レバー(生)3.8㎎。レバーは、鉄やビタミンA・B2が豊富に含まれています。レバーに含まれるヘム鉄は植物に含まれる非ヘム鉄よりも吸収率が高いのが特徴です。貧血に効果があり、肝機能を高める働きもあります。 ※食材の数値は、100g中の亜鉛含有量を示しています。

亜鉛が不足すると現れる症状

亜鉛が不足すると現れる症状

味覚障害

味を感じにくかったり、苦味を感じたり、味がわかりにくいなどの症状があります。亜鉛を多く含む食べ物や、亜鉛の欠乏を補うサプリメントで亜鉛の補充をします。耳鼻咽喉科か、口腔外科・内科を受診してください。

成長遅延・性腺発育障害

小児での身長・体重の増加不良になる成長遅延や、男性の性腺発育障害や機能不全、男性の不妊症などの症状がみられます。成長ホルモンや、下垂体ホルモン・男性ホルモンなどの注射するホルモンの補充療法を行います。小児科や内分泌内科を受診してください。

皮膚炎

皮膚炎の発症は、目や口の周り、耳、手足の指先に赤みやぼつぼつ、カサカサ、ただれなどの症状が生じやすいです。亜鉛華軟膏や亜鉛の欠乏を補うサプリメントで治療します。皮膚科を受診してください。

亜鉛が不足する原因

亜鉛が不足する原因

亜鉛の摂取不足

亜鉛を多く含む肉や魚などを食べず野菜中心になっていたり、食事量が少なくなっていると亜鉛の摂取不足になります。高カロリー輸液施行時の亜鉛非添加や、低亜鉛濃度の経腸栄養剤を使用した栄養管理を行ったときに、食事性亜鉛欠乏症がみられます。

吸収を阻害するものを摂取

レトルト食品や、ファーストフードなどの加工品には、亜鉛の吸収を妨げる添加物が使われていることがあります。また、病気の治療で使われる抗生物質などの薬が亜鉛と結合し、腸からの亜鉛の吸収を妨げることもあります。アルコール・コーヒーも吸収を妨げます。

亜鉛の必要量が増加

傷を治していたり、成長期など亜鉛の必要量が増えている場合や、体外へ排泄されやすい状態になっている場合は、不足する原因になります。

亜鉛が不足しやすい人の特徴

亜鉛が不足しやすい人の特徴

亜鉛が摂取不足な人

食が細くなっている高齢者や、ダイエット中で少食な人、野菜中心の菜食主義者も摂取不足になりやすいです。また、亜鉛摂取の少ない親からの母乳を飲む乳児も摂取不足になります。

亜鉛の吸収をしにくい人

レトルト食品やファーストフードの利用が多い人は、亜鉛の吸収を妨げる添加物の摂取が増えてしまい、亜鉛の吸収がしにくくなります。

亜鉛の必要量が増加する人

妊婦や授乳中の人、スポーツをしている人、慢性的に炎症のある人は、亜鉛の必要量が増加します。キレート作用のある薬剤の長期服用、糖尿病、腎疾患、溶血性貧血、血液透析患者も、排泄が増加するため、亜鉛の必要量が増え、通常よりも多く摂取しないと不足してしまいます。

亜鉛の効率的な摂取方法

亜鉛の効率的な摂取方法

亜鉛と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

たんぱく質との結合によって、亜鉛の生理機能が発揮される為、肉や魚・卵や大豆製品を一緒に摂取すると亜鉛の効果を高めてくれます。味覚や嗅覚を正常に保つ亜鉛の効果を高めるビタミンAは、ホウレン草や人参・レバーに多く含まれます。亜鉛の吸収を助けてくれるビタミンCは、果物や芋類、緑黄色野菜に多く含まれます。手軽に食べられる方法は、鍋や汁物。・亜鉛は、水溶性のミネラルなので、水に溶けだす為、鍋物や汁物にして、溶け出た汁も一緒に食べると良いでしょう。また、熱に弱いミネラルなので、生牡蠣にレモンをかけて食べるのもおすすめです。

亜鉛と一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

穀類や豆類の外皮などに含まれるフィチン酸は、亜鉛と非水溶性の複合体をつくることにより亜鉛の吸収を阻害します。カルシウム、コーヒー、オレンジジュース、アルコールなどが亜鉛の吸収を阻害します。

亜鉛の効果を高める摂取タイミング

サプリメントを使用する場合は、食後に摂取し、空腹時は避けましょう。粉末か錠剤かは、ご自身の飲みやすいものを選んでください。飲むときには亜鉛吸収を阻害する飲み物は避け、水か白湯で飲んでください。過剰摂取は、鉄や銅の吸収を阻害するため、容量を守ってお飲みください。

「亜鉛の食べ物」についてよくある質問

「亜鉛の食べ物」についてよくある質問

ここまで亜鉛の食べ物などを紹介しました。ここでは「亜鉛の食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修管理栄養士がお答えします。

亜鉛の多い野菜について教えてください。

會田 千恵美會田 千恵美

亜鉛は、たんぱく質の多い食材に含まれています。そのため、野菜の中でも、たんぱく質の多いそら豆や枝豆、筍、とうもろこし、椎茸やしめじ、ブロッコリーに亜鉛が多く含まれています。

亜鉛が不足すると体はどんなサインを発しますか?

會田 千恵美會田 千恵美

味がわかりにくい、口内炎ができやすい、口の周りや目の周り、外陰部などの皮膚トラブル、脱毛、傷が治りにくい、子どもの身長や体重の増加不良、性腺機能不全(特に男性)で性欲減退などのサインを発します。

まとめ

亜鉛は、体の機能の維持にとても必要な栄養素です。食べることは生きていく上で必要な事だけでなく、人生の楽しみの一つです。味覚や嗅覚が低下してしまうと、その楽しみが減ってしまいますので、亜鉛の多く含まれる食べ物をしっかりと摂取していきましょう。ただし、サプリメントで取り過ぎてしまうと、鉄や銅の吸収を阻害しますので、使用する場合は、容量を守って、取り過ぎに注意してください。

「亜鉛」と関連する病気

「亜鉛」と関連する病気は8個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻咽喉科の病気

  • 味覚・嗅覚障害

皮膚科の病気

小児科の病気

  • 成長障害

内科・循環器系・婦人科の病気

精神疾患の病気

「亜鉛」と関連する症状

「亜鉛」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 新型コロナウイルスの感染による味覚・嗅覚障害
  • 鉄不足の貧血と類似した症状

この記事の監修管理栄養士