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「βカロテンを過剰摂取」すると現れる症状はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!

 公開日:2025/01/07
「βカロテンを過剰摂取」すると現れる症状はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!

βカロテンを過剰摂取するとどうなる?Medical DOC監修医がβカロテンを過剰摂取すると現れる症状にお答えします。併せて、不足すると現れる症状・不足する原因・多く含む食品・効率的な摂取方法などを解説します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

「βカロテン」とは?

「βカロテン」とは?

βカロテンは、摂取後に必要に応じビタミンAに変換されるためプロビタミンAとも呼ばれ、脂溶性ビタミンに分類されます。そのため、ビタミンAとしての働きとβカロテンとしての働きの両方を兼ね備えているといえるでしょう。ビタミンAはレチノール・レチナール・レチノイン酸の総称です。βカロテンはレチノールの前駆体に分類され、にんじんなどの緑黄色野菜に多く含まれています。βカロテンは、抗酸化作用および免疫効果などに優れ、私たちの目・皮膚・粘膜の健康に役立つ栄養素として欠かせません。

βカロテンの一日の摂取量

βカロテンの一日の摂取量

推奨量のRAEとはレチノール活性当量のことで、レチノールとβカロテン転換分を合わせた数値となります。レチノール活性当量(μgRAE)=レチノール+βカロテン+αカロテン+βクリプトキサンチン+その他のプロビタミンAカロテノイドの総和で換算します。一日の推奨量は、成人男性850μgRAE・成人女性650μgRAEで、上限は2700μgなので、一日の摂取量に注意してください。ビタミンAの推定平均必要量は、50~64歳の男性で650μgRAE、女性で500μgRAEが目安です。にんじんを例にとると、男性は約3分の2、女性は約半本くらいの量なので参考にするとよいでしょう。

βカロテンの効果

βカロテンの効果

抗酸化力が強い

カロテノイドの一種であるβカロテンは、視力の維持と皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあります。強い抗酸化作用が特徴で、体内の活性酸素の活動の抑制や除去から、生活習慣病や老化の防止まで役立ちます。

必要に応じてビタミンAに変換される

ビタミンAは脂溶性のビタミンなので、摂りすぎると体内に蓄積されて健康に悪影響を及ぼします。しかし、小腸から吸収されたβカロテンは必要に応じてビタミンAに変換されるので、過剰摂取を防ぐことができます。

アレルギーの軽減

ビタミンAには、皮膚の粘膜を健康に保つ効果があります。さらに、花粉症やアレルギー性疾患を改善する役割もあります。ビタミンAが不足すると粘液が十分に作られず、粘膜が角質化して乾いてしまうため、皮膚のバリア機能が低下するので注意してください、逆にビタミンAが体内に十分足りていると、花粉症やアトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー疾患の軽減に役立ちます。

βカロテンを過剰摂取すると現れる症状

βカロテンを過剰摂取すると現れる症状

頭痛

頭痛の症状が現れたら、ビタミンAを含むサプリメントの服用を一時中止してください。βカロテンはその多くが体内でビタミンAに変換されることから、βカロテンの過剰摂取は、ビタミンAの過剰摂取につながるためです。またβカロテンの過剰摂取による頭痛は、発熱を併発することがあります。鎮痛剤を飲んでも症状が落ち着かない場合には、内科を受診し、医師の診断を仰ぎましょう。

皮膚のかゆみ

βカロテンやビタミンAの過剰摂取が長期化すると皮膚が乾燥してバリア機能が低下し、かゆみの症状が現れることがあります。サプリメントを中止しても症状がよくならない場合は、皮膚科を受診してください。症状が悪化すると、四肢の腫れや痛みにつながる恐れがあります。

めまい

めまいの症状が出たら、まず安静にしてください。すぐにできる処置としてサプリメントを中止します。下痢・嘔吐・食欲不振が伴う場合は、水分を補給しながら内科を受診しましょう。ほとんどのケースではビタミンAのサプリメントの摂取を止めると回復します。

目のかすみ

βカロテンやビタミンAの過剰摂取により、眼精疲労やドライアイ・目のかすみといった目の異常が現れることがあります。すぐにできる処置として、ビタミンAのサプリメントを中止してください。症状が悪化した場合は眼科を受診しますが、ほとんどのケースではビタミンAのサプリメントの摂取を止めると回復します。

βカロテンが不足すると現れる症状

βカロテンが不足すると現れる症状

暗順応障害

βカロテンやビタミンAが長期的に不足すると、暗順応障害が起こり薄暗いところでものが見にくくなるといった症状が現れます。すぐにできる対策として、レチノールと呼ばれる動物性のビタミンAを多く含む鶏レバーやうなぎを食べてみてはいかがでしょうか。ルテインなど目の細胞に効果があるブルーベリー、βカロテンを豊富に含む緑黄色野菜の摂取も推奨されます。

夜盲症

ビタミンAは夜間視力を助ける栄養素なので、不足すると視力が落ちて視覚障害を引き起こします。なかでも夜盲症は、夜間や暗いところで周りが見えなくなる視覚障害の1つです。暗順応は網膜細胞の異常によって障害される視神経の病気で、最終的に失明に至ることもあるので注意してください。視力が下がったり夜間見えづらいと感じたりしたら、症状が悪化する前に眼科を受診しましょう。

肝臓機能の低下

既成ビタミンAを長期間に成人が過剰摂取し続けた場合、肝臓の異常や肝機能の低下といった症状が現れることがあります。肝臓にたまった脂肪に活性酸素が結びつくと、酸化・炎症を起こしやすくなり、さらに肝機能が低下するので注意しましょう。また、暴飲暴食や運動不足によって中性脂肪が増えるなど肥満が原因となることもあるので、生活習慣を見直してみてください。深刻な症状が現れた場合は医療機関を受診しますが、普段から活性酸化を抑えるため、ビタミンA・C・Eなどの抗酸化ビタミンをバランスよく摂取することが推奨されます。

βカロテンが不足する原因

βカロテンが不足する原因

ビタミンAの少ない食事

βカロテンが不足するのは緑黄色野菜の不足が原因と考えられます。ビタミンAはレバーや卵など動物性食品にも多く含まれますが、体内に蓄積されやすいため、摂りすぎると健康に悪影響を及ぼします。ところが、βカロテンは必要な分しかビタミンAにならないため、摂りすぎにはなりません。

肝疾患

ビタミンAは夜間の視力維持を助けたり、皮膚や粘膜の健康維持に役立つ栄養素です。レチノールと呼ばれる動物性のビタミンAは、鶏レバー40gで5600μg摂取できます。ただし、サプリメントや動物性ビタミンAは、過剰摂取することで肝疾患に繋がるので一日の摂取量を守ってください。肝疾患のある方は、なるべく肝臓に負担をかけない緑黄色野菜からβカロテンを補うことが推奨されます。

βカロテンを多く含む食品

βカロテンを多く含む食品

にんじん

にんじんはβカロテンがとても豊富です。にんじんの重量には個体差がありますが、1本(243g)あたりβカロテン量は20898μgで、レチノール換算量は1750μgも摂取できます。βカロテンは、小腸で油と一緒に吸収されるため、にんじんを油で炒めたり、オリーブオイルやドレッシングをかけたりするなど工夫して摂取してみてはいかがでしょうか。

海苔

焼きのり2枚で3gしか重さはありませんが、βカロテンの量は810μg、レチノール換算量にして69gμgも摂取できます。βカロテンは、岩のり・焼きのり・青のりなど海苔やひじきなどの海藻類に多く含まれているので、バランスよく摂取しましょう。また、抹茶にもβカロテンは多く含まれるため、一緒にお茶を飲みながら食べるのもおすすめです。

小松菜

βカロテンが豊富で、一年中流通している野菜に小松菜があります。2株80gだとβカロテンの量は2480μgとなり、レチノール換算量にして208μg摂取できます。茹でてお浸しや味噌汁の具として食べることが多いですが、βカロテンは脂肪に溶けやすいので油炒めもおすすめです。火を通すと嵩が減り、甘みも出るので食べやすいでしょう。

βカロテンを効率よく摂取する方法

βカロテンを効率よく摂取する方法

βカロテンを多く含む食品の摂取

ひじき・海苔などの海藻類には、皮膚や粘膜を健康に保つβカロテンが多く含まれています。にんじんは皮に近い部分にβカロテンが豊富に含まれているため、皮をむかず調理しましょう。また、オリーブオイルはβカロテンを180μgと植物油のなかでも多く含む油です。βカロテンの吸収を高めるには加熱料理が適しているため、にんじんをひじきとオリーブオイルで炒めてみてはいかがでしょうか。

βカロテンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

βカロテンと同様に抗酸化作用を持つビタミンC・Eを組み合わせて摂取することで、さらに抗酸化作用が高まります。このビタミンACEは抗酸化3大ビタミンとも呼ばれます。これらはウイルスや細菌の体内侵入を妨げ、活性酸素に対して強い抗酸化作用を発揮するため、バランスよく一緒に摂ることで老化防止や美肌作りに役立つでしょう。

βカロテンの効果を高める摂取タイミング

βカロテンを摂取すべき時間帯や効果を高めるタイミングは特にはありませんが、脂溶性ビタミンであるため食事中に摂取するのが適しています。また、高用量のβカロテンの服用が喫煙者の肺がんリスクを高めるという結果報告もあるため、喫煙者の方は時間帯に限らず摂取を控えてください。

「βカロテンの過剰摂取」についてよくある質問

「βカロテンの過剰摂取」についてよくある質問

ここまでβカロテンの過剰摂取を紹介しました。ここでは「βカロテンの過剰摂取」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

過剰摂取すると身体に影響を及ぼすビタミンについて教えてください。

武井 香七武井 香七 医師

過剰摂取すると悪影響を及ぼすビタミンには、ビタミンA・D・Kがあります。ビタミンAの過剰症としては、食欲不振・悪心・嘔吐・脱毛・発疹などが代表的です。ビタミンDでは食欲不振・頭痛・口渇・血液中のカルシウム濃度が高くなり、腎臓や血管などにカルシウムが沈着することもあります。ビタミンKでは下痢・悪心・嘔吐などの症状が現れるでしょう。これらビタミンのサプリメントは、特に妊婦さんは注意が必要です。許容範囲を超えた過剰摂取を続けると、過剰症や副作用のほかにも胎児に奇形が現れることもあるので、服用の際は産婦人科の医師に相談してください。

編集部まとめ

緑黄色野菜などに多く含まれるβカロテンは、皮膚や目など私たちの健康に有益な栄養素です。ただし、脂溶性なので体内に蓄積しやすく、不足しても過剰摂取しても健康を維持することはできません。
βカロテンなど植物性のビタミンAは必要なければ排泄されますが、サプリメントで大量に摂取するのは注意してください。特に妊婦さんの場合、βカロテン含むビタミンAサプリメントの過剰摂取は、胎児の奇形などのリスクがあるため注意が必要です。
過剰症を防ぎつつも必要量を摂取するためには、サプリメントや動物性のビタミンAを過剰摂取しないで、植物性のβカロテンをバランスよく摂取しましょう。

「βカロテン」と関連する病気

「βカロテン」と関連する病気は8個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

眼科の病気

婦人科の病気

妊娠初期に大量にビタミンAのサプリメントを摂取すると、胎児に奇形が発生する危険性があるとの報告があります。食品由来のβカロテンは必要以上にビタミンAに変換されないため比較的安全とされていますが、妊婦の方は摂取量に注意してください。

「βカロテン」と関連する症状

「βカロテン」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

眼球乾燥症は、特にビタミンAの摂取不足の小児や、重度のカロリー・たんぱく質不足の小児によく現れる症状です。また、若い女性に多い鉄欠乏症貧血でもβカロテン不足のときのような倦怠感やめまいの症状が現れます。

この記事の監修管理栄養士