「一日に必要なカルシウム」摂取量は牛乳何ml？効率良く摂取できる方法も解説！

「カルシウム」とは？

カルシウムと聞くと骨や歯を作るものだと考えがちですが、カルシウムの役割はそれだけではありません。 たしかにカルシウムの99%は骨や歯を作る働きがありますが、残りの1%は生命維持のための大切な役割があります。 血液凝固や筋肉の収縮・心臓の拍動を調整したり、情緒を安定させたり、人間が生きていくうえで欠かせない大切な働きをしています。 しかし、カルシウムは体内で生成できません。 そのため、体外から食べ物やサプリなどで摂取する必要がありますが、一日に必要なカルシウムの量はご存知でしょうか。 今回は、カルシウムの一日摂取量や過剰摂取もしくは不足するとどのような症状が現れるのか、カルシウムの多い食品と併せてご紹介します。

【男性】カルシウムの一日の摂取量

男性の一日のカルシウム摂取量は以下のとおりです。

• 18～29歳:800mg
• 30～64歳:800mg
• 65～74歳:750mg
• 75歳以上:750mg

年齢によってカルシウムの推奨摂取量が変わってきます。過去に行った栄養調査でのカルシウム平均摂取量は20歳以上で503mg、65〜74歳で558mg、75歳以上で561mgと推奨されている摂取量よりも下回っていることがわかっています。

【女性】カルシウムの一日の摂取量

女性の一日のカルシウム摂取量は以下のとおりです。

• 18～29歳:650mg
• 30～64歳:650mg
• 65～74歳:650mg
• 75歳以上:600mg
• 妊娠中・授乳中の方:650mg

過度なダイエットや妊娠・出産でカルシウム不足になる場合もあるので注意が必要です。妊娠後期から胎盤を通して、赤ちゃんにカルシウムが供給されます。授乳中もカルシウムを供給するため、妊娠中や授乳中は特に多くのカルシウムが必要です。

【乳児】カルシウムの一日の摂取量

乳児の一日のカルシウム摂取量は以下のとおりです。

• 0～5ヵ月:200mg（推奨量）
• 6～11ヵ月:250mg（推奨量）
• 1～2歳:400mg

乳児の一日のカルシウム摂取量は250mgだといわれています。カルシウムをはじめとするさまざまな栄養を母乳や粉ミルクから摂取できるので、あまり意識しなくても心配ありません。過去に行った栄養調査での平均カルシウム摂取量は497mgなので充分な量のカルシウムを摂取しているといえるでしょう。

カルシウムを過剰摂取すると現れる症状

高カルシウム血症

血液中のカルシウム濃度が高くなる状態を高カルシウム血症といいます。食欲不振・便秘・吐き気などがあり、ほかの病気との判別がしにくいです。重症化すると錯乱や幻覚など、脳の異常を引き起こす可能性もあります。高カルシウム血症と思われる症状が現れた場合は、カルシウム量の制限・尿からカルシウムを排出・透析治療などを行うので、血液内科を受診してください。

高カルシウム尿症

高カルシウム尿症とは、尿のなかに過剰なカルシウムが排出される代謝異常です。一日の尿中カルシウム排出量が200mgを超えたときに診断されます。放置すると尿路結石や腎障害の原因となる場合があるので注意が必要です。偏りのないバランスのとれた食事を心がけ、泌尿器科を受診しましょう。

前立腺がん

過去の実験結果で、カルシウムの摂取量が多いグループは摂取量が少ないグループと比べて約1.5倍前立腺がんのリスクがあがるという結果があります。カルシウムの過剰摂取により、前立腺がんリスクに関係のある血中のビタミンD濃度が上がったり下がったりするのが原因といわれています。尿が出にくい・排尿の回数が増えるなどの症状がある場合は泌尿器科を受診しましょう。

カルシウムが不足すると現れる症状

低カルシウム血症

血液中に含まれるカルシウムの量が低下することを低カルシウム血症といいます。発症すると筋肉の痙攣や筋肉痛・手足のしびれ・食欲減退・心拍数の異常などが現れます。そのまま放置してしまうと認知機能の低下や抑うつ状態など精神的な異常が現れる場合もあるので、早急な対処が必要です。カルシウム摂取のほかにも、カルシウムの吸収率をアップさせるビタミンDの摂取も効果的です。低カルシウム血症の疑いがある場合は内分泌科を受診してください。

筋細胞全体の機能低下・発育抑制

カルシウムは骨や歯を強くする働きがあるので、成長期のお子さんにカルシウムが不足してしまうと骨の重量が減り、発達を抑制する可能性があります。そのうえ骨と筋肉の収縮速度やミトコンドリア内の酸化系酵素活性が低下し、筋細胞全体の機能にも影響を及ぼします。骨と筋肉の正常な発達のためにも、幼児期からの適切な量のカルシウム摂取が大切です。お子さんの発育で気になることがあれば小児科を受診しましょう。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は骨量が減り、骨の質も劣化し、骨の構造や強度がもろくなって骨折しやすい状態をいいます。閉経後の女性や高齢者に多いといわれており、骨折を予防するために早期の検査と治療が必要です。骨粗鬆症の治療には、カルシウム摂取と運動療法が一般的とされています。悪化する前に一般内科と整形外科を受診しましょう。

カルシウムの多い食品

魚介類

可食部100gあたり干しエビには7100mg、かたくちいわしには2500mg、しらす干しには520mgのカルシウムが含まれています。加工品は塩分が多く使われている場合もあるので、少しずつ定期的に摂取するのがおすすめです。骨があるものは気をつけて食べるようにしましょう。

乳製品

可食部100gあたりナチュラルチーズパルメザンには1300mg、プロセスチーズには630mg、牛乳には110mgのカルシウムが含まれています。いろいろな料理に使いやすいチーズですが、カロリーや脂肪分が多いため食べ過ぎには注意しましょう。

豆類

可食部100gあたり乾燥おからには310mg、きな粉には190mg、焼き豆腐には150mg、納豆には90mgのカルシウムが含まれています。豆類にはたんぱく質も多く含まれているものが多いため、積極的に摂取するとよいでしょう。

野菜類

可食部100gあたり切り干し大根には500mg、パセリには290mg、しそには230mgのカルシウムが含まれています。野菜には食物繊維やビタミン類などカルシウムのほかにも体によい栄養素が多く含まれているので毎回の食事に取り入れたい食品です。

カルシウムの効率的な摂取方法

カルシウムと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、ビタミンKにはカルシウムが溶けだすのを防いでくれる働きがあります。ビタミンDは干しいわし・カレイ・ブリなどの魚介類や卵、干ししいたけなどに多く含まれており、ビタミンKは納豆・小松菜・ブロッコリーなどに含まれます。和食として組み合わせると食べやすいでしょう。

カルシウムと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

カルシウムと一緒に摂取すると効果を下げる栄養素と食品は以下のとおりです。

• リン（インスタント食品・加工肉・スナック菓子）
• カフェイン（コーヒー・紅茶・コーラ）
• シュウ酸（ほうれん草・キャベツ・さつまいも）
• フィチン酸（小麦・インゲン豆・トウモロコシ）

これらの食品は適度ならば問題ありませんが、過剰摂取でカルシウムの吸収を阻害してしまう可能性があります。食べ過ぎには注意しましょう。

カルシウムの効果を高める摂取タイミング

カルシウムを手軽に摂取できる牛乳を毎朝飲む方が多いと思いますが、カルシウムは夜に摂取した方が効果的だといわれています。骨を作るのに大切な成長ホルモンは夜に分泌されるからです。サプリの場合は食前でも効果的です。