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「乳酸菌をとりすぎる」とどうなる?一日の摂取量も解説!【管理栄養士監修】

 公開日:2024/12/03
「乳酸菌をとりすぎる」とどうなる?一日の摂取量も解説!【管理栄養士監修】

乳酸菌をとりすぎるとどうなる?Medical DOC監修医が乳酸菌の種類・効果・とりすぎると起こる副作用・不足するとどうなるか・一日の摂取量・効率的な摂取方法などを解説します。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

「乳酸菌」とは?

「乳酸菌」とは?

乳酸菌は特定の菌を指す名称ではなく、糖から乳酸を作り出す嫌気性の微生物の総称です。

また、体内に取り込んだり食品の製造に利用することで人によい影響をもたらすため、善玉菌と呼ばれることもあります。

乳酸菌には糖類を分解して乳酸を生成する乳酸発酵という働きがあります。この働きは、発酵食品の製造過程にも活用される乳酸菌の大きな特徴です。

乳酸菌は幅広い環境で生育できるため、土壌や海洋などの自然環境内や動物の腸内などさまざまな場所に存在しており、とても身近な菌といえるでしょう。

「乳酸菌」の種類

「乳酸菌」の種類

乳酸菌の種類は数百種類にもおよび、形状・育成場所による分類のほか、発酵で生成する物質による分類も可能です。しかし、同じ分類とされる乳酸菌のなかにもさまざまな作用を持つものがあります。そのため、実際に摂取する場合は分類よりも個別の菌の名称や株の名称が注目されることが少なくないでしょう。主な乳酸菌の種類と期待できる効果には下記のようなものがあります。

  • LG21乳酸菌:胃腸機能改善
  • Lカゼイ・シロタ株:整腸作用
  • ガセリ菌SP株:内臓脂肪減少
  • ラブレ菌:免疫力強化、コレステロール値の正常化
  • 乳酸菌シロタ株:腸内環境の改善
  • KW乳酸菌:免疫力強化、アレルギー症状の緩和

なお、ビフィズス菌は乳酸菌と同じく健康効果が期待できる菌であり、乳酸菌の一種とされることもあります。しかし、糖の代謝経路や形状が乳酸菌とは異なるため厳密には乳酸菌とはいえません。

乳酸菌の効果

乳酸菌の効果

免疫力の向上をサポートする

乳酸菌のなかには、腸内でビタミンB群を合成する働きを持つものがあります。ビタミンB群は細胞を活性化する作用があるとされ、免疫細胞の数を維持し活性化することで免疫機能の向上をサポートする栄養素です。腸管には全身の免疫細胞の約7割が存在するともいわれており、腸内の免疫細胞を活性化することは免疫力を高めるうえで効率的な方法といえるでしょう。

アレルギー症状を軽減する

乳酸菌には、免疫細胞のバランスを整えることにより過剰な免疫反応を抑制する働きを持つものもあります。こうした働きは、アレルギーだけでなく、炎症性腸疾患・多発性硬化症など自己免疫性疾患の症状改善にもつながる可能性があるでしょう。

血糖値・中性脂肪の上昇を抑制する

生活習慣病予防という視点から注目されているのが、食前に摂ることで食後の血糖値や中性脂肪の上昇を緩やかにする乳酸菌です。こうした効果は単回の摂取でも確認できますが、継続して摂取することで空腹時の数値にも改善がみられたという研究があります。

腸内細菌のバランスを整える

腸内には約100兆個の腸内細菌が存在するといわれています。このなかで健康に有益な菌が善玉菌、健康に悪影響を及ぼす菌を悪玉菌、どちらにも分類されないものが日和見菌です。乳酸菌は善玉菌の一種で、発酵の過程で産生した乳酸により腸内を酸性にすることで、悪玉菌の増殖を抑える働きを持っています。

毛細血管の血流促進

乳酸菌といえば腸内環境を整えたり免疫機能をサポートしたりというイメージが強いかもしれませんが、一部の乳酸菌には毛細血管の血流促進作用があることがわかってきました。この作用は、乳酸菌により交感神経が刺激されることによるものです。毛細血管の血流が促進されると、冷え性の改善のほか、身体活動量が低下した方の筋萎縮抑制などが期待できます。

乳酸菌をとりすぎると起こる副作用

乳酸菌をとりすぎると起こる副作用

腹部膨満感

前述のとおり、乳酸菌には悪玉菌の増殖を抑え腸内環境を整える働きがあります。しかし、乳酸菌はエサとなる糖や食物繊維などを分解する際にメタンや水素などのガスを発生させる点には注意が必要です。このガスにより「お腹が張って苦しい」と感じる方もいるでしょう。こうした腹部膨満感を解消したいときは、仰向けで腹式呼吸をしたり、おへそから下を右回りにさするようにマッサージしたりするとガスの排出を促せます。

乳酸菌が不足するとどうなる?

乳酸菌が不足するとどうなる?

腸内環境の悪化

乳酸菌が不足すると、腸内は悪玉菌が生育しやすい環境になります。その結果、腸内細菌のバランスが崩れ、腸内環境が悪化するでしょう。腸内環境が悪化すると、下痢や便秘など便通が乱れやすくなるほか、おならのにおいが強くなったり肌が荒れたりといった変化がみられることがあります。また、乳酸菌の働きにより悪玉菌の増殖を抑制しているのは腸だけではありません。実は、女性生殖器においても乳酸菌が不足すると、悪玉菌が増殖して真菌を原因とするカンジダ症の発症率が高まるといわれています。

免疫力の低下

前述のとおり、乳酸菌には免疫細胞の活性化をサポートする作用があります。そのため、乳酸菌が不足すると免疫細胞の活動が低下して、免疫力の低下を招くでしょう。さらに、腸管内には多くの免疫細胞が存在するため、乳酸菌の不足により腸内環境が悪化することも免疫機能に悪影響を及ぼす可能性があります。

乳酸菌の一日の摂取量

乳酸菌の一日の摂取量

乳酸菌を多量に摂っても健康に影響する可能性は低く、明確な摂取許容量は定められていません。また、期待する効果や体質・もともとの腸内環境によっても、効果が期待できる摂取量は異なるでしょう。参考として、整腸を目的としてプロバイオティクスを摂取する場合、乳酸菌の個数にして100億個程を摂取する必要があると考えられます。ただし、サプリメントや特定保健用食品で乳酸菌を摂取する場合には、各商品に表示された1日の摂取目安量に沿ってください。また食品から摂る場合には乳酸菌を摂りすぎる心配はありませんが、食品により脂肪分や糖分・塩分などを摂りすぎないよう、摂取量を調整することをおすすめします。

乳酸菌を効率よく摂取する方法

乳酸菌を効率よく摂取する方法

乳酸菌を多く含む食品の摂取

乳酸菌を多く含む食品として代表的なものが発酵食品です。具体的には、ヨーグルトやチーズ、発酵漬物などが挙げられます。ただし、チーズのなかでもプロセスチーズのように加熱処理されたものは乳酸菌が死んでいることと、発酵していない漬物には乳酸菌は存在しないことには注意が必要です。なお、腸まで生きて届くプロバイオティクスが注目されがちですが、死んだ状態の乳酸菌にも血圧やコレステロール値を抑える効果が期待できます。

乳酸菌と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

乳酸菌を摂取する場合は、乳酸菌の生育を助けるオリゴ糖や食物繊維を含む食品を一緒に摂取することで乳酸菌の健康効果を高められる可能性があります。オリゴ糖・食物繊維を多く含む代表的な食品は下記のとおりです。

オリゴ糖

  • ネギ類
  • 大豆
  • バナナ

食物繊維

  • 全粒穀物
  • 海藻類
  • 豆類
  • きのこ類
  • 根菜類

これらの食材と乳酸菌を一つの料理にする必要はなく、主菜とデザートなどに分けて一度の食事で摂ることでも乳酸菌の活性化につながるでしょう。

乳酸菌の効果を高める摂取タイミング

乳酸菌を効果的に摂取するためには、時間帯よりも頻度がポイントとなります。前述のとおり、腸管に定着できる乳酸菌の割合は少ないので、一度大量に摂取するより少量でも毎日摂ることが腸内環境や免疫機能などを安定させることにつながるでしょう。なお、整腸を主な目的として生きた乳酸菌を摂りたい場合には、胃酸による乳酸菌へのダメージを減らすために食後の摂取が望ましいとされています。

「乳酸菌のとりすぎ」についてよくある質問

「乳酸菌のとりすぎ」についてよくある質問

ここまで乳酸菌のとりすぎについて紹介しました。ここでは「乳酸菌のとりすぎ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

自分に合った乳酸菌を見つける方法を教えてください。

武井 香七武井 香七 医師

整腸や血圧・血糖値の安定など期待する効果が決まっている場合は、サプリメントや特定保健用食品などのなかから期待する効果をうたったものを調べて摂取するのも一つの方法です。体質や年齢などにより身体に適した乳酸菌は異なるため、特定の食品や商品に偏らず、摂取するものを変えると自分に合った乳酸菌がわかる場合もあります。このような場合、乳酸菌を摂取してから実際に体調や数値に変化が現れるまでには、数週間程かかる場合がほとんどです。そのため、複数の商品や飲食物を比較したい場合には、それぞれの商品を2週間程継続して使用してから次の商品を試すと商品ごとの変化がわかりやすいでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

乳酸菌は発酵食品のほか腸管内や自然環境下などに生育する細菌で、摂取することで整腸作用や免疫力向上など人体によい影響をもたらします。
明確な摂取目安はなく、1日に100億個程の乳酸菌を摂ることで健康状態の改善が期待できるとされますが、この量を超えても悪影響はないでしょう。
ただし、食品から乳酸菌を摂取する場合は、乳酸菌以外の塩分・糖分・脂質などの摂りすぎに注意が必要です。
一度に多量の乳酸菌を摂取するよりも、少量でも頻繁に摂ることを心がけるといいでしょう。

「乳酸菌のとりすぎ」と関連する病気

「乳酸菌のとりすぎ」と関連する病気は1個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

アレルギー系の病気

乳酸菌自体へのアレルギーは稀だといわれていますが、乳酸菌を摂るために食べた食品や飲料によりアレルギーが起こる場合があります。特に乳アレルギーがある方は、乳酸菌を含む食品に乳製品が含まれることや、乳酸菌飲料のなかには原材料に乳を含む商品もある点に注意してください。

「乳酸菌のとりすぎ」と関連する症状

「乳酸菌のとりすぎ」と関連している、似ている症状は1個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 腹部膨満感

今回の記事で紹介したとおり、乳酸菌は栄養源となる糖類や食物繊維を分解する過程でガスを発生させます。そのため、乳酸菌と糖類・食物繊維を多量に取ることで腹部膨満感をおぼえる方もいるでしょう。

この記事の監修管理栄養士

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