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フィナステリドが効かない原因は?治療薬以外の脱毛症への対処法も解説

 公開日:2024/09/02
フィナステリドが効かない原因は?治療薬以外の脱毛症への対処法も解説

フィナステリドは男性型脱毛症(AGA)に対する治療薬として承認された医薬品です。世界で60ヵ国以上で承認され、広く使われています。

AGAの進行を抑え発毛を促す効果が認められたフィナステリドですが、使っても効かない場合があるのも事実です。

この記事では、フィナステリドが効かない原因を解説します。そして、AGA対策とは別の薄毛対応として、治療薬以外の薄毛対処法も紹介するので参考にしてください。

監修

フィナステリドの効果とは?

AGA 薬
フィナステリドは男性型脱毛症の原因になるジヒドロテストステロン(DHT)の産生を阻害して、AGAの進行を抑え発毛を促します。AGAはDHTによって髪を作る毛母細胞の働きが抑制され、髪の成長が途中で止められて早期に抜けるためにおこる薄毛です。
通常2~6年続く成長期が数ヵ月~1年に短縮されることで、ヘアサイクルが早くなり髪が抜けやすくなります。このような短い成長期の髪(細く短い)が増えることで、頭皮が徐々に透けるようになるのがAGAです。
原因となるDHTは男性ホルモン(テストステロン)が酵素の5αリダクターゼにより変換されたもので、フィナステリドは5αリダクターゼの作用を阻害してDHTの産生を阻害します。

フィナステリドが効かない原因

白い錠剤
フィナステリドの効果には十分なエビデンスがあり、日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインでもAGA治療への使用を強く勧められている医薬品です。
そのようなフィナステリドでも効かない場合があります。その原因を6つ紹介しましょう。

治療を開始して間もない

フィナステリドの効果は1ヵ月程度の使用期間では実感できず、6ヵ月はかかります。
フィナステリドの作用は成長期→退行期→休止期→成長期~と続く毛の成長サイクルを正常化するため、効果を実感するには長い時間が必要です。治療を始めて間もない1~2ヵ月で「効かない」と判断するのは早すぎます。
少なくとも半年間服用を継続してから効果の有無を判断しましょう。
フィナステリドに限らずミノキシジルなどでも同様で、AGAの治療薬には即効性はありません。フィナステリドを主成分とする治療薬・プロペシアの添付文書でも、効果を実感するには半年間毎日連続して服用することが推奨されています。

初期脱毛で一時的に毛が抜け落ちている

フィナステリドでAGAの治療を始めて1~2ヵ月経過した時期に、抜け毛が増え始める場合があります。初期脱毛と呼ばれ、一見して薄毛が悪化したように見える現象です。これはフィナステリドによって毛根が活性化し、次の新しい毛を伸ばす準備を始めたためにおこります。
成長が止まっていた古い毛が押し出されるように抜けていき、その後からは新しい毛が生えてきます。つまり、いずれ抜ける毛がフィナステリドにより早めに抜けているだけです。
古い毛が抜けてしまえば自然に止まる現象なので、驚いて治療を止めてはいけません。初期脱毛は悪化ではなく、フィナステリドの効果が出始めたサインと受け取りましょう。

正しく服用していない

フィナステリドの正しい服用方法は、0.2ミリグラムを1日1回毎日連続して6ヵ月以上継続して飲むことです。必要に応じて1ミリグラムまで増量が可能です。これ以外の方法で服用しても、所定の効果は得にくくなります。
フィナステリドの血中濃度は服用後1時間余りでピークになり、その後は徐々に低下して24時間で消失します。また、AGAは治療を止めるとすぐ進行する病気です。
例えば2日に1回の服用では、フィナステリドが体内に存在しない状態が1日おきに発生し、その間効果は望めず薄毛が進行します。また、多く服用すると副作用が出る可能性があり、そうなると治療を中断せざるを得ません。AGAの治療では、正しい服用方法を毎日続けることが何より大切です。

治療の開始が遅い

細胞分裂で毛を作る毛母細胞には寿命があり、成長期から休止期に至る成長サイクルを約20~40回繰り返すと寿命を迎えるとされます。通常では老年期まで維持できますが、AGAでは成長サイクルが数ヵ月~1年に短縮されるため、治療開始が遅れると早いうちに細胞分裂ができなくなる段階に到達してしまいます。
そうなると、フィナステリドで毛根を活性化しようとしても効果はありません。薄毛の兆候に気付いたら、まだ毛母細胞が分裂できるうちに早目に対策を始めることが治療のうえで重要になります。

効果を感じず自己判断で治療を中断した

フィナステリドを服用していて、6ヵ月経たないのに自分の判断でやめてしまう例があります。効果が出ないから効かないと判断して中断すると、その時点で服用前の状態に戻り、すぐに抜け毛が再開します。
フィナステリドにはAGAを根治させる効果はなく、進行を抑えるだけの薬だからです。フィナステリドを飲み始め、効果を実感するためには6ヵ月間は続ける必要があります。効果がなく不安を感じる場合は、効かないと自己判断する前に処方した医師に相談しましょう。

そもそもAGAではない

フィナステリドをきちんと服用していても効果がない場合は、AGA以外の原因による脱毛症の可能性があります。フィナステリドの作用は、酵素の5αリダクターゼに働きかけてDHTを作らせないことです。
それで効果がないのであれば、5αリダクターゼが関係しない脱毛症の疑いが強くなります。例えば免疫系の異常で抜け毛がおこる円形脱毛症・頭皮の過剰な皮脂分泌が原因の粃糠性(ひこうせい)脱毛症・膠原病の一種のエリテマトーデスなどです。
こういった脱毛症はそれぞれに別の原因があるので、5αリダクターゼを阻害するフィナステリドでは効果が望めません。

治療薬以外の脱毛症への対処法

お弁当とおにぎり
薄毛への対応は治療薬がすべてではなく、髪の成長を妨げるようなことはできるだけ避けるべきです。例えば栄養バランスや飲酒など、生活習慣のなかにも抜け毛に関連する要素が多く存在するので、いくつかのポイントを挙げて対処法を解説します。

バランスのとれた食事を心がける

栄養バランスは髪の成長に大きく影響する要素です。髪の毛はほとんどがケラチンというタンパク質でできています。ケラチンは肉や魚に多く含まれるアミノ酸から合成されますが、それには亜鉛やビタミンB群のサポートが必須です。
一方で、髪が生える基盤である頭皮環境も重要で、脂質が過剰な食事では、頭皮の皮脂が増えて頭皮環境が悪化します。抗酸化作用を持つビタミンCや、血流を促して栄養を確保するビタミンEも頭皮には不可欠な栄養です。
こういった必要な栄養が適切に確保できるよう、バランスの取れた食事を心がけてください。

過度の飲酒や喫煙を控える

アルコールの分解過程では一時的にアセトアルデヒドができます。過度の飲酒で多くのアセトアルデヒドができると、DHTの産生を促し薄毛を助長する悪影響を及ぼします。
また、アルコールの分解時に多量のアミノ酸やビタミンを消費する点も、髪の成長を阻害する要因です。喫煙では、ニコチンの影響で血管が収縮し、毛根への栄養供給を阻害します。
さらに、喫煙で生じる活性酸素は、毛母細胞を老化させて髪の成長力を落とす原因です。飲酒・喫煙は控えめにしておきましょう。

睡眠時間を確保する

睡眠は髪の成長に深く関わり、髪を成長させるホルモンは眠りに入って3時間までに多く分泌されるといわれます。眠りには波があり、深い睡眠と浅い睡眠が90分間隔で繰り返されるパターンです。
成長ホルモンはこの波の1~2回目に分泌され、さらに毛母細胞の細胞分裂も同じ頃にピークを迎えます。寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見つめていると、眠りの波が不規則で質の低い眠りになりがちです。
こうならないように、寝る前は読書などで静かに過ごして質のよい睡眠時間を確保しましょう。

頻回のカラーリングを避ける

カラーリングが薄毛に直接結びつくわけではありません。ただ、過度に行うことで髪や頭皮にダメージを受け、それが原因になる可能性はあります。
ヘアカラーの成分が髪にダメージを与え、細くなったりコシがなくなったりします。その結果、ボリュームがなく薄毛のような印象になるのです。
また、薬剤の影響が頭皮にもおよび、赤み・腫れ・かぶれを伴う接触皮膚炎がおこります。頭皮の環境が悪化して、抜け毛の増加から薄毛に至る症状です。これを防ぐため、頻回の使用はできるだけ避けてください。

編集部まとめ

髪を気にする男性
AGAの治療薬として広く使われているフィナステリドでは、DHTの生成を抑えることでAGAの進行を抑え、6ヵ月以上の継続治療によって高い確率で改善が見られます。

それでもときとして効かない事例が見られますが、そのほとんどが適切ではない判断・服用方法によるものです。正しく使うことで、AGAによる薄毛の多くは改善できます。

また、生活習慣に起因する薄毛も存在しますが、これは治療薬でなくても生活習慣の改善で対応可能です。わずかな改善で薄毛は改善できるので、実行してみましょう。