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デュファストンの副作用とは?知られざるリスクを徹底解説

 更新日:2024/07/11
デュファストン 副作用

デュファストンは、ジドロゲステロンと呼ばれる黄体ホルモン補充薬です。

黄体ホルモンは子宮内膜を整えて、受精卵が着床しやすい環境を作ります。そのため、無月経や生理不順などにも効果が期待できる薬ですが、不妊症の治療にも広く処方されているのです。

使用の際には、起きる可能性のある副作用のことも知っておいた方がよいでしょう。安心してこの薬を使用するために、効能・効果などの基本情報と併せて解説していきます。

佐孝 尚

監修薬剤師
佐孝 尚(薬剤師)

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経歴
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。

保有免許・資格
薬剤師免許

デュファストン5mgの副作用

悩む女性
この薬を飲んだ後に、人によっては蕁麻疹や悪心・嘔吐・肝機能異常・頭痛・発疹・食欲不振といった副作用が現れることがあります。その症状に気付いたら、直ぐに使用を中止して、医師や薬剤師に相談しましょう。
副作用というリスクを回避するためには、事前にその特徴について知っておくことが大切です。ここからはデュファストン5mgの使用によって、起こりえる可能性がある副作用について説明していきます。

蕁麻疹

デュファストンの投与によって、ごくまれではありますが、蕁麻疹を発症してしまう人もいます。
一般的なアレルギー性の薬疹とは異なり、服用して数分~数十分で現れるアナフィラキシーと呼ばれる急性のアレルギー反応には注意が必要です。
さまざまな症状がある中で、蕁麻疹もそのひとつです。投薬後に激しい皮膚のかゆみや、赤く腫れあがるなどの症状が出た場合は、ただちに医療機関で受診してください。

悪心・嘔吐

デュファストンの服用後、特に胃腸の調子が悪いわけでもないのに悪心や嘔吐といった症状が現れた時は、薬の副作用を疑ってください。
それは薬剤性の消化管疾患かもしれません。
悪心とは、嘔吐の前に起きる「吐きたい」という感覚です。そのような吐き気を感じたら冷水でうがいをして、脱水症状にならないよう、スポーツドリンクなどで水分補給しましょう。食事は薄味のものを、無理せずに食べられる量だけを摂るようにしてください。
デュファストンを投与した後に悪心・嘔吐が現れた場合は、直ぐに担当の医師か薬剤師に相談しましょう。
 

肝機能異常

デュファストンの服用によって、肝臓の機能が障害される薬物性肝障害が起きてしまう場合があります。それは、薬の代謝が肝臓で行われることが多いためです。
薬の服用で、さまざまな代謝産物が肝臓に現れるために、副作用として肝機能障害が出てしまうのです。
その場合は、安静にして脂肪分の少ない食事を摂るなどの対処をしてください。また、 肝機能を改善させるための薬も必要です。デュファストンの服用後に以下のような症状がみられたら、直ぐに医師や薬剤師に相談しましょう。

  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 発熱、黄疸
  • 発疹
  • 吐き気・嘔吐
  • かゆみ

頭痛

まれではありますが、デュファストンの副作用で頭痛が起きてしまうことがあります。
痛みの現れ方は人それぞれで、服用して直ぐに起こる場合もあれば、薬を何回か使用してから起こる頭痛もあります。頭痛は軽いものであっても、日常生活に支障をきたすものです。
デュファストンの服用によって頭痛が起きた時には、医師か薬剤師に相談しましょう。

発疹

デュファストンの使用で、人によってはアレルギー性薬疹が出てしまうことがあります。
薬に対して反応するような細胞や抗体を持っている人にだけ現れる症状です。この場合、服用してから1~2週間後に発症すると考えられています。服用してから時間が経ってしまうと、つい見落としがちですが、デュファストン服用中に発疹が現れた場合は担当の医師か薬剤師に相談しましょう。

食欲不振

特に体調が悪いわけでもないのに食欲が出ないような場合は、薬による副作用で食欲不振になっているのかもしれません。
食欲不振は、脳が食欲を感じない状態になっているだけで、栄養を摂取する必要はあります。食事を摂らずにいれば、心身ともに悪影響を及ぼしてしまいます。
デュファストンの服用後にこのような症状が出た場合は、担当の医師か薬剤師に相談しましょう。

デュファストン5mgの基本情報

薬 
デュファストン5mgは、ヴィアトリス製薬株式会社から販売されている医療薬です。一般名をジドロゲステロンといい、黄体ホルモン剤とも呼ばれます。
黄体ホルモンは本来、体内で作られるものですが、不足してしまうとホルモンのバランスを崩してしまいます。
それによって起きる無月経・生理不順、また黄体ホルモンの不足による不妊症・流産の防止黄体補充をするのが目的です。
また、黄体機能不全により、黄体期に体温上昇がみられない場合・黄体期が短い場合に使われることもあります。
ここからは、この薬を安全に使用していただくために、効能や使用上の注意点を解説していきましょう。

効能・効果

黄体ホルモンの不足によって、子宮内膜は妊娠しにくい状態になってしまいますが、デュファストンは黄体ホルモン補充薬として子宮の内膜を整えてくれます。また排卵を誘発させる作用もあるのです。
無月経・生理不順のほか、以下の場合にも処方されます。

  • 月経困難症
  • 生殖補助医療(体外受精などの不妊症治療法)における調節卵巣刺激の開始時期の調整
  • 機能性子宮出血(子宮筋腫などの器質的疾患が認められない、月経・妊娠以外のホルモンバランスの異常が原因となる出血)

また、黄体機能不全による不妊症・子宮内膜症・切迫流早産のほか、以下の場合にも効果を現します。

  • 習慣性流早産
  • 調節卵巣刺激下における早発排卵の防止
  • 生殖補助医療における黄体補充

投与期間制限

状況により、投与期間に制限があるので注意が必要です。
調節卵巣刺激下における早発排卵の防止の場合は、月経周期2~5日目より卵胞成熟の誘発当日までと決められています。また、生殖補助医療で黄体補充として投与する場合は、以下のように服用する期間が決められています。

  • 新鮮胚移植の場合:採卵日から妊娠成立(妊娠4~7週)まで
  • 自然周期での凍結融解胚移植の場合:排卵日から妊娠成立(妊娠4~7週)まで
  • ホルモン補充周期での凍結融解胚移植の場合:卵胞ホルモン剤の投与により子宮内膜が十分な厚さになった時点から最長妊娠12週まで

用法・用量

使用量や回数は症状・治療方法によって異なるため、医師の指示に従いましょう。
一般的な用法・用量は以下のとおりです。

  • 無月経・月経周期異常・生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整・月経困難症・機能性子宮出血・黄体機能不全による不 妊症・切迫流早産・習慣性流早産の場合:1日量が5~15mg・回数が1日1~3回に分けて服用
  • 子宮内膜症の場合:1日量が5~20mg・回数が1日1~3回に分けて服用
  • 調節卵巣刺激下における早発排卵の防止の場合:1日量が20mg・回数が1日1~2回に分けて服用
  • 生殖補助医療における黄体補充の場合:1日量が10mg・回数が1日3回服用

使用上の注意・併用禁忌

この薬は肝臓で代謝されるので、投与によって肝機能障害が悪化するおそれがあります。よって、肝臓に重篤な障害がある方はこの薬を使用できません。
また、この薬を使用するにあたり、気をつけなければいけないのは以下のとおりです。
該当する場合は、使用前に必ず医師に申し出てください。

  • 心臓に障害がある、または過去に心臓に障害があった方
  • ポルフィリン症の方
  • 腎臓に障害がある、または過去に腎臓に障害があった方
  • 肝臓に障害がある方
  • 妊婦または妊娠の可能性がある方
  • 授乳中の方

併用禁忌の薬剤は、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル錠・ヒスロン錠・プロベラ錠などです。
デュファストンを服用する際には注意が必要ですが、日頃からお薬手帳を活用していれば安心でしょう。

無月経・月経周期異常に関連したデュファストン以外の薬剤について

薬 服用
デュファストン以外で、無月経・月経周期異常に効果をもたらす薬剤には以下のようなものがあります。

  • 経口黄体ホルモン製剤 メドロキシプロゲステロン酢酸エステル錠 ヒスロン錠5
  • 黄体ホルモン製剤 プロゲステロン注射液 プロゲホルモン筋注用10mg
  • 黄体・卵胞ホルモン配合剤 プラノバール配合錠

編集部まとめ

笑顔 女性
黄体ホルモンの不足によって起きるさまざまな症状や、不妊治療に効果が期待できるデュファストンは、女性にとって心強い味方といえるでしょう。

しかし個人差はあるものの、副作用が起きてしまう場合もあります。また生殖補助医療で服用する場合には、使用期間が定められているため、慎重にならなくてはいけません。

さらに体調によっては使用できない場合もあります。これらの注意点をしっかり守りながら服用すれば、つらい症状にも穏やかに作用してくれることでしょう。

この記事を通してデュファストンの特徴を知っていただき、治療に取り入れていただけたら幸いです。

この記事の監修薬剤師