ビラノアの副作用とは?知っておいた方がいいポイントを解説
ビラノア は抗ヒスタミン剤という分類の薬で、アレルギー性鼻炎や蕁麻疹・皮膚の痒みがあるときに使われる薬です。
アレルギー症状を抑えて鼻水やくしゃみを止めたり、皮膚の痒みを抑えたりするので、そのような症状で処方されることが多いでしょう。
第二世代の抗ヒスタミン剤で眠気が出にくく使いやすい薬です。第一世代で多かった抗コリン作用を軽減することで、副作用も起こりにくくなっています。
この記事では、ビラノアの副作用について基本的な情報や添付文書の記載も含めて解説します。
監修薬剤師:
佐孝 尚(薬剤師)
北海道医療大学薬学部 卒業 現在はセンター薬局グループに薬剤師として勤務しながら株式会社イヤクルを創業。不動在庫医薬品取引プラットフォームアプリ【イヤクル】を運営。
保有免許・資格
薬剤師免許
目次 -INDEX-
ビラノアの副作用
アレルギー症状を抑制し、鼻水・くしゃみ・かゆみを抑えるために使用されるビラノアですが、どのような副作用が出るのか気になるのではないでしょうか。
ビラノアは第二世代の抗ヒスタミン剤に分類される薬で、効果が高い薬です。眠気の強かった第一世代の薬よりも副作用が改善されています。
また、選択性が上がり抗コリン作用も少なくなることで、口の渇きなどの副作用も減っています。しかし、中には副作用が出てしまう人もいるので、初めて飲むときは特に注意しながら始めましょう。
ここでは、ビラノアの副作用について解説します。
眠気
ビラノアは抗ヒスタミン剤ですが、脂溶性が低く脳への移行量が少ないため眠気の副作用が他の抗ヒスタミン剤に比べると少ないようです。
添付文書でも車の運転などに対する注意喚起はなく、花粉症だけど眠くなりたくない人・仕事で機械を使ったり、運転をする人にもおすすめです。
しかし臨床試験では0.6%の人に傾眠の副作用が出ているため、注意は必要です。
口渇
口渇は抗コリン作用のある第一世代抗ヒスタミン剤でよくある副作用です。
抗コリン作用は唾液腺の分泌を抑えるため、唾液量が減りその結果として口が乾いてしまいます。
第二世代の抗ヒスタミン剤であるビラノアでは少なくなった副作用ですが、臨床試験では0.3%の人が口渇の症状を訴えています。
口渇が出ても、こまめにうがいをしたり、少しずつ水分をとったりして対応できるようなら問題なく服薬を続けることができます。
頭痛
ビラノアの服用による頭痛は、臨床試験で0.3%の人で報告されている副作用です。
花粉症の症状で頭痛が出ることもあるので、頭痛が出たときには医師や薬剤師に相談するといいでしょう。
発疹
発疹はビラノアの副作用として、頻度不明で報告があります。
発疹や皮膚の痒みを抑える薬ではありますが、まれに薬に対する過敏症で発疹が出てしまうことがあります。このような症状が出た場合には、服用を中止し医師・薬剤師に相談してください。
かゆみ
ビラノアの副作用によるかゆみは、頻度不明でそう痒症として報告があります。
ビラノア はアレルギー症状を抑える薬でかゆみを抑える方向に働く薬ですが、薬に対する過敏症でかゆみが出てしまうことがあります。
このため、ビラノア服用後にかゆみが出てしまった場合には、医師・薬剤師に相談してください。
血管性浮腫
ビラノアの副作用による血管性浮腫は、頻度不明で報告があります。
血管性浮腫とは、急に皮膚が腫れる症状でまぶた・唇・頬に多く現れます。皮膚以外にも、のど・舌・消化管に症状が出ることがあり、呼吸困難になり窒息する恐れもある副作用です。
蕁麻疹とも似ていますが、血管性浮腫の場合は赤みやかゆみはないことが多く、腫れが引くまで1〜3日程度かかることが多いことが特徴です。蕁麻疹は赤みや強いかゆみが出ますが、数時間で一気に収まることが多いのでこの点が異なります。
ビラノア錠20mgの基本情報
ここではビラノア錠20mgの基本的な情報である、作用・成分・用法などについて解説します。
ビラノア錠20mgは服用タイミングに特徴がある薬ですので、そのことも含めて参考にしてみてください。
作用
ビラノアはヒスタミンH1受容体に拮抗する作用と抗アレルギー作用を示す薬です。
花粉やハウスダストなどのアレルゲンが体内に入ってきたとき、免疫細胞が活性化してヒスタミンなどの化学伝達物質が遊走します。このときにヒスタミンが結合する受容体を遮断することで、アレルギー反応が起こらないように抑えることがビラノアの役割です。
ビラノアは第二世代の抗ヒスタミン剤で、眠気が軽減されているとともに抗コリン作用を抑えることで口渇・排尿障害などの副作用も出にくくなっています。
成分
ビラノアの有効成分はビラスチンです。
ビラノア はビラノア錠20mgという普通錠の製剤と、ビラノアOD錠20mgという口腔内崩壊錠の2種類の剤型があります。どちらも有効成分の量は同じですが、OD錠は口の中でラムネのように溶けて水なしでも服用できるので、水での服薬がしにくい人でも服用しやすい薬です。
薬は有効成分と添加物によってできているので、ここではビラノアの有効成分の配合量やどのような添加物が使われているのかについて解説します。
- ビラノア錠20mg:有効成分(1錠中ビラスチン20mg)、添加物(結晶セルロース・デンプン・グリコール酸ナトリウム・軽質無水ケイ酸・ステアリン酸マグネシウム)
- ビラノアOD錠20mg:有効成分(1錠中ビラスチン20mg)、添加物(D-マンニトール・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース・ポリビニルアルコール(完全けん化物)造粒物・クロスポビドン・アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)・ステアリン酸マグネシウム・香料)
以上のように、有効成分の量はどちらも20mgと同じです。
ビラノアOD錠20mgは水なしでも飲めるようにするために、ビラノア錠20mgとは添加物は異なります。
用法・用量
ビラノアは1日1回、1回1錠を空腹時に服用する必要があります。
食後に服用すると吸収率が落ちるので、十分な効果を得るために空腹時に服用しましょう。
具体的には、食事の1時間前から食後2時間までの間は服用を避けます。朝起きてすぐに服用して1時間以上経ってから朝食をとるか、夕食後2時間経ってから就寝前に服用する方法がおすすめです。
使用上の注意
ビラノアの服用により、まれにショック・アナフィラキシーが起こることがあるので注意が必要です。症状が出た場合には、投与を中止し病院で医師に相談して適切な処置を受けてください。
また、効果が見られない場合には医師や薬剤師に相談しましょう。
花粉症など季節性のアレルギー性鼻炎で使用する場合には、症状が出る時期を把握して、花粉症シーズンの直前から服用を始めて、シーズンが終わるまで続けることが望ましいようです。途中でやめると症状をコントロールできなくなる可能性があります。
ビラノアは腎臓から排泄される薬なので、生理機能が落ちている高齢者や腎機能が低下している人は排泄が遅れて血中濃度が上がってしまう可能性があります。副作用や用量に注意して使用しましょう。
禁忌
ビラノアを服用してショックやアナフィラキシーなど、過敏症が起こったことのある人は、再び服用することで同様の症状が出てしまい、命の危険に及ぶ可能性があるためビラノアを服用することはできません。
医師・薬剤師に相談して治療方法や薬の変更を検討してもらいましょう。
ビラノア錠20mgの添付文書
添付文書とは、薬の用法・用量・使用上の注意・効果などが書かれた医師や薬剤師などの医療従事者が確認する文書です。薬を安全に使用するために必要な公的文書で、インターネット上でも確認することができます。
ビラノア錠20mgの添付文書もインターネットで確認することができます。ビラノア錠20mgの用法・用量・効果・副作用などについて記載されているので、気になることがあるときは確認してみてください。
ビラノア錠20mgの飲み合わせについて
薬を飲むときには、一緒に服用してはいけない薬があるかということが気になります。ここでは、ビラノアの飲み合わせについて解説します。
ビラノアとの併用に注意が必要な薬は以下の2種類です。
- エリスロマイシン:マクロライド系抗生物質
- ジルチアゼム:カルシウム拮抗薬(狭心症や高血圧の治療に使用)
これらの薬剤は、どちらもP糖蛋白を阻害するためビラノアの吸収率を増加させ、効果や副作用が強く出すぎてしまう可能性があります。
これらの薬剤を服用している方は、医師・薬剤師に相談しましょう。
編集部まとめ
この記事では、ビラノアの副作用についてを中心に、基本的な情報や飲み合わせなどについて解説しました。
ビラノアは、第二世代の抗ヒスタミン剤でアレルギー反応を抑えることで、鼻水・くしゃみ・痒みなどの症状を改善します。
第一世代よりも眠気が出にくくなっていて、抗コリン作用が抑えられているため、口渇・排尿障害などの副作用も少ないです。
1日1回空腹時に1錠飲むことで、症状を抑えてくれるため飲み忘れも少なく、服用タイミングにさえ慣れれば使いやすい薬です。
薬は病気の症状を抑えるためには有用なものですが、間違った使い方をするとせっかく飲んだ薬が効かないこともあります。
また、効かないだけでなく副作用が出てしまうこともあるので自己判断で使用せず、医師・薬剤師に相談して使用しましょう。