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「コーヒーを飲み過ぎると薄毛」になるの?薄毛対策についても解説!

 更新日:2024/07/10
「コーヒーを飲み過ぎると薄毛」になるの?薄毛対策についても解説!

「コーヒーを飲み過ぎると薄毛になる」と耳にしたことはありませんか?

コーヒーに含まれるカフェインやポリフェノールには様々な効果がありますが、特にカフェインについては頻繁に警鐘が鳴らされるように、メリットもデメリットもあるのが現実です。

しかし、眠気覚ましのコーヒー・一息つく際のコーヒー・やる気を出すためのコーヒーなど、今や毎日のコーヒーが欠かせない方は多くいらっしゃいます。

果たしてコーヒーには薄毛になるリスクがあるのでしょうか。今回はこのような疑問について解説します。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

コーヒーを飲み過ぎると薄毛になる理由

コーヒーを淹れる男性
「コーヒーを飲み過ぎると薄毛になる」といわれる原因には、コーヒーに含まれる成分が大きく影響しています。
薄毛のリスクがあるといわれているのは、カフェイン・タンニンの2つの成分です。これらの成分には、以下のようなリスクがあるとされています。

  • 亜鉛の吸収を妨げる
  • 睡眠の質に影響する
  • 利尿作用で水分不足になる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

亜鉛の吸収を妨げる

亜鉛は、髪の発育や健康維持に欠かせない大切な栄養素です。しかし、コーヒーに含まれるカフェインとタンニンには、亜鉛の吸収を妨げる作用があります。
タンニンとはいわゆるコーヒーの苦味の成分のことで、ポリフェノールの一種です。カフェインとタンニンは、亜鉛との相性が悪いとされる代表的な成分といわれています。
亜鉛は薄毛対策には欠かせない栄養素ですが、食物からしか摂取することができません。「食事と一緒にコーヒーを飲む機会が多い」方は、摂取量が多いと亜鉛の吸収を妨げてしまう恐れがあるため注意が必要です。

睡眠の質に影響する

コーヒーは眠気覚ましに良いとされますが、それはカフェインの効能によるものです。
カフェインは、摂取後30分で脳に到達すると交感神経を刺激します。交感神経はいわゆる原動力のようになるエンジンとも表現できるもので、交感神経が活発になると身体機能も向上するメカニズムになっています。
これは日中活動しているときには非常に効果的なのですが、睡眠時には「寝たいのに眠れない」「眠っているのに身体は起きている」という状態を引き起こしかねません。なぜなら、人が眠っているときには副交感神経が優位に働いているものであるからです。
カフェインの摂り過ぎ、もといコーヒーの飲み過ぎは、交感神経を活発化させてしまうため睡眠時6〜8時間前には適しません。
睡眠は髪の発育にとって欠かせないもののため、カフェインによる睡眠の質の悪化は決して好ましくないでしょう。

利尿作用で水分不足になる

コーヒーに含まれるカフェインには、利尿作用もあります。
尿を作る器官である腎臓において、尿の再吸収を抑えてしまうためです。カフェインを継続的に摂取することである程度の耐性ができることもありますが、カフェインへの感受性は個人差が大きいため、利尿作用が強く生じる可能性も否定はできません。
本来であれば再吸収されるはずであった尿が体外へ放出されれば、必然的に体内は水分不足になってしまいます。意識的に水分を摂取しない限り避けるのは難しいでしょう。
水分不足の状態は、髪の発育にも悪影響を及ぼします。なぜなら、血液の循環が悪くなることで、必要な栄養素を頭皮や毛髪へと運べなくなってしまうからです。
コーヒーには多くのカフェインが含まれているため、利尿作用によるリスクは十分注意しておかなければならないでしょう。

コーヒーに育毛効果はある?

飲み物を持ってこちらを見る笑顔の男性
コーヒーには薄毛のリスクがあるとされる一方で、育毛効果があるともいわれています。
頭皮や毛髪にプラスの影響を与えるコーヒーの成分は、カフェインとクロロゲン酸の2つです。これらの成分には、以下のような育毛効果が期待できるとされています。

  • 頭皮環境を健やかに保つ
  • 血行促進効果がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

頭皮環境を健やかに保つ

カフェインやクロロゲン酸には、活性酸素の働きの抑制とAGAの原因であるジヒドロテストステロンを体外へ排出する効果が期待できます。
活性酸素は過剰になると細胞に障害をもたらすことがあり、老化を早める原因といわれることもあるものです。クロロゲン酸には抗酸化作用があり、活性酵素の働きを抑制させます。
これにより、頭皮への悪影響を減らすことが期待できるのです。さらにカフェインの利尿作用には、AGAの原因であるジヒドロテストステロンを尿とともに排出することが期待できます。
これらの働きは頭皮環境を健やかに保つうえで欠かせないものであり、育毛効果とまではいかないものの、間接的にプラスの影響を与えているといえるでしょう。

血行促進効果がある

コーヒーに含まれる成分の中でも、特にクロロゲン酸には血行促進効果が期待できます。
ある研究では、冷水負荷後にクロロゲン酸飲料を摂取したことにより、皮膚温が25分後まで上昇したとの結果が出ました。皮膚温の上昇は皮膚の血流が促進されたことによるものであり、クロロゲン酸はプラセボと比べても非常に優位な結果を残しています。
プラセボとは見た目や味は同じであるものの、該当成分を含まないものを示す言葉のことです。まだ詳しいことは明らかになっていませんが、クロロゲン酸には体内の活性酸素を消去する効果があり、これにより血管拡張作用を持つ一酸化窒素の効果を最大限に引き出しているという説が有力です。
血行が促進されることは、毛髪にプラスの影響を与えます。スムーズな血流によって正常に栄養素が運ばれるようになるため、育毛効果が期待できるようになるでしょう。

薄毛の対策方法は?

生え際を気にする男
では、ここからは薄毛を対策する方法について見ていきます。今回ご紹介するのは、以下の3つの方法です。

  • 生活習慣を見直す
  • 食生活を見直す
  • 睡眠不足を解消する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

生活習慣を見直す

髪は日頃からのケアが非常に大切であり、良くも悪くも普段の生活習慣がそのまま髪に影響を与えます。人体に害を与えることで有名なタバコは、薄毛対策の観点から見ても好ましくありません。
ニコチンが血管を収縮してしまい、髪の育成に必要な栄養素を運べなくなってしまいます。
また、アルコールも過剰に摂取すれば抜け毛の原因になります。薄毛対策に本気に取り組みたいとお考えなのであれば、こうした生活習慣は見直すのがおすすめです。

食生活を見直す

髪にとって、普段の食生活で高脂肪食は避けるべきといえるでしょう。
高脂肪食は、毛髪にとって大切な幹細胞やソニックヘッジホッグと呼ばれる経路を抑制し、薄毛や脱毛を促進してしまいます。脂が分化することで幹細胞が失われ、毛が細くなってしまうことも明らかになっています。
さらに、血中の脂質が高くなると血液がドロドロな状態になり、髪の毛へ栄養が行き渡りにくくなるとも指摘されているほどです。
薄毛対策のためには、タンパク質・ミネラル・ビタミンなどの栄養素をバランス良く摂ることが求められます。食事の欧米化が加速してきていますが、薄毛対策の観点からは野菜や魚が中心の和食が好ましいでしょう。

睡眠不足を解消する

髪の修復や成長を促すのに欠かせない成長ホルモンは、睡眠時に分泌されます。慢性的な睡眠不足の方は、意識的に睡眠不足を解消するようにしましょう。
ゴールデンタイムといわれるように、成長ホルモンが活発に分泌されるのは22時〜深夜2時までの間です。夜更かしは厳禁なのに加え、この時間帯にはぐっすりと熟睡できていなければ意味がありません。
コーヒーのような交感神経を刺激する飲食物は控え、スマホなどの光を浴びるのも避けましょう。

薄毛対策ならクリニックで治療を受けよう

薄毛治療の診断をする医師と診察を受ける黒髪の男性
「最近薄毛になってきたかもしれない」「薄毛を予防したい」など、薄毛への対策をしたい場合には専門のクリニックで治療を受けましょう。今すぐに薄毛対策をしたとしても、変化を実感するまでは時間がかかります。
そのため、薄毛を予防したい場合には早めの対策が重要です。また、薄毛の原因がAGAや脱毛症によるものではなく、何かの病気によるものの可能性もあります。
クリニックを受診しなければ、薄毛の原因を調べることはできません。診断結果や医師のアドバイスをもとに、確実に薄毛対策をしましょう。

クリニックでの薄毛治療に使われる薬

処方された薬を飲む
クリニックにおける薄毛治療では、症状の進行度によって3つの治療薬が使い分けられます。一般的な治療薬は以下の3つです。

  • プロペシア
  • ザガーロ
  • ミノキシジル

それぞれ詳しく解説します。

プロペシア

プロペシアは、フィナステリドと呼ばれる有効成分が含まれる治療薬です。
AGAの原因である5α還元酵素Ⅱ型を阻害することにより、薄毛の進行を止めます。国内では最も普及している治療薬であり、薄毛が気になり始めた初期段階に有効です。
「育毛」というよりは「発毛」のために行う治療のため、プロペシアを服用すれば毛量が増えるわけではありません。薄毛の進行を止めることで狂っていたヘアサイクルを正常に戻す役割が期待できます。

ザガーロ

ザガーロは、デュタステリドと呼ばれる有効成分が含まれる治療薬です。
AGAの原因である5α還元酵素I型・Ⅱ型を阻害します。プロペシアと異なるのは、5α還元酵素I型にも効果が期待できる点です。より高い効果が期待できるため、プロペシアで満足いく効果が見られなかった際に処方されます。
プロペシアと同様に育毛効果のある治療薬ではないため、注意が必要です。

ミノキシジル

ミノキシジルは元々、高血圧の患者の治療薬として使用されていた薬剤です。
その際、本来期待していた血管を拡張する作用の他に副作用に多毛が見られ、現在ではAGAの治療薬として使用されています。これまでご紹介してきた治療薬とは異なり、育毛効果が期待できる治療薬です。
ただ薄毛の進行を抑制できるわけではないため、プロペシアやザガーロと併用して服用することがすすめられます。

編集部まとめ

処方された薬を飲む
何事にも一長一短があるように、コーヒーにもメリットとデメリットがあります。薄毛対策の観点からみれば、行き過ぎたコーヒーの飲用は避けるべきだといえるでしょう。

ただ、あまりに飲用を厳しく規制してしまうとストレスがかかり、逆効果になる恐れがあります。1日4〜5杯を上限に、適度にコーヒーを楽しむようにしてください。

薄毛予防や対策は効果が出るまで時間がかかりやすいため、早くから取り組むことが大切です。薄毛が気になり始めた方は、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師