「AGAは発症したら終わり？」AGA治療薬や副作用についても解説！【医師監修】

AGAは発症したら終わりといわれる理由

AGAを発症したら終わりで、毛髪が生えなくなってしまうと考えている方が結構多いとされています。しかし、AGAは本当に治療できないのでしょうか。
実際、AGAに罹患してから進行を止めて頭髪を増やせた方はいます。あきらめずに早期治療に臨めば、決して治療ができないわけではありません。それでもAGAが発症したら終わりと考えられるのには、いくつかの原因があります。
以下で、代表的な理由について解説をします。

進行性の脱毛症であるため

AGAは、進行性の脱毛症であるため、一度発症すると止められないと考える方が多いです。確かに、AGAは一度発症すると、自然に治癒することはほとんどありません。放置していれば、症状が進行していき髪の毛の量はみるみる減っていきます。いずれ頭皮に毛髪が生えなくなる場合も多いのが特徴です。
頭皮に毛根が全く無くなってしまうと、治療が非常に難しくなってしまいます。毛根が残っている段階で治療を開始できれば、薄毛の進行を止められる可能性は十分にあります。

セルフケアでは治らないため

一般的に、AGAはセルフケアではなかなか治りません。現在は、薄毛対策アイテムとして、以下のような商品が市販されています。

• 育毛剤
• 育毛シャンプー
• 頭皮マッサージ

これらのグッズを普段から利用していれば、AGAは治療できるのではないかと考える方もいるかもしれません。しかし、実はこれらのグッズは頭髪を増やす効果はあまりなく、あくまで頭髪を現状のまま維持する効力しか持っていないといわれています。まずは市販されているグッズでセルフケアをしながら、様子をみている方もいるかもしれません。
しかし、AGAに罹患していると抜けた毛は元に戻ることはまずありません。抜け毛や薄毛が進行してきた場合は、AGAに罹患している可能性を考慮し、早めに専門医に相談に行くのが良いでしょう。

治療期間が長期にわたるため

AGAは、治療期間が長期にわたるケースが多いです。一旦AGAになると、相当長い期間を治療に費やさないといけない場合が多いため、なかなか治らないという印象を持たれやすいのでしょう。
AGAの治療は、最低でも1年は継続しないと効果が得られないと考えられています。しかし、1年間継続して治療を受け、薬品を継続したとしてもそこで治療が終わらないケースも多いです。
AGA治療は、根本的な治療をするというよりは、薄毛や抜け毛の進行を止めるのが主な目的です。人によっては、薬品の利用を止めると再発してしまう場合もあるでしょう。

治療をやめると薄毛に戻るため

AGAは、治療をやめると再び薄毛・抜け毛が進行してしまう可能性が高い点が特徴として挙げられます。AGA治療は、主に専用の薬品を服用して行います。投薬を継続していれば、多くの方で抜け毛が減り、髪の毛が増えたという印象を得られるでしょう。
しかし、そこで投薬をストップすれば、再度症状が進行してしまうケースが多いです。投薬治療は、主に症状の進行を抑制するのが主な目的です。投薬をやめると、症状進行の抑制効果が無くなり、症状が再発してしまうと考えられています。このため、一度AGAに罹患してしまうと一生治らないという印象を持っている方が多いのでしょう。

効果が実感できない場合もあるため

AGA治療は効果が実感できない場合が多いのも、発症したら終わりと考えられる要因の1つです。AGA治療で用いられる薬品は、症状の進行度によって使い分ける必要があります。
適切な薬品の選択は難しく、1人1人それぞれの状態によって判断しないといけません。誤った選択をした場合は、いくら投薬を継続しても効果が得られない可能性が高くなってしまいます。
また、治療の効果には個人差があります。本来効果が得られるであろう期間で治療を継続しても、全く変化がない場合もあるでしょう。治療効果が得られないとあきらめてしまう方も少なくありません。

AGA発症後は早期治療が重要

AGA治療は、発症してからできるだけ早く対策を講じた方が高い効果が得られると考えられています。AGAは、前述のように進行性の脱毛症であるため、症状が進行すればするほど薄毛が進んでしまっていることになります。毛根が数多く残っている段階で治療を開始したほうが、高い効果が得られるでしょう。
AGAを発症する時期は、人によってまちまちです。中高年男性に多いと考えられていますが、場合によっては20歳代から症状がみられる場合もあります。
まだ若いから大丈夫だろうと考えるのではなく、抜け毛が多くなったと感じた場合は、できるだけ早めに専門医に相談することをおすすめします。

代表的なAGAの治療薬

AGA治療は、投薬治療を実施するケースが多いです。他に植毛・増毛などの処置を講じる場合もありますが、まずは投薬でAGAの症状を抑制する対応が多くみられます。
AGA治療に用いられる薬品は、症状の進行度によって様々に使い分けられています。その中でも特に利用されることが多いのは、以下の3種類の成分を含んだ薬品です。

• テミノキシジル
• フィナステリド
• デュタステリド

利用する薬品は、専門医との相談により決めましょう。症状の進行度に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。

ミノキシジル

ミノキシジルは、ヘアサイクルを平常に戻す効果が期待される成分です。もともとは高血圧症治療の内服薬として利用された成分ですが、研究によって頭髪に効果があることがわかりました。
毛包に直接作用し、細胞の増殖・タンパク質の合成を促進して発毛・育毛・抜け毛予防の効果を発揮します。直接頭皮に塗布する外用薬と、服用する内用薬の両方が用意されています。

フィナステリド

フィナステリドも、ミノキシジルと同様にヘアサイクルを平常に戻す効果があるとされている成分です。フィナステリドは、AGAを発症する原因と考えられている5αリダクターゼⅡ型の働きを抑制する働きがあります。
5αリダクターゼⅡ型は男性ホルモンの一種であるテストステロンと結合し、ヘアサイクルを乱すジヒドロテストステロン（DHT）に変化します。DHTが生成される前に、フィナステリドが作用して5αリダクターゼⅡ型を抑え込んでくれると考えられています。

デュタステリド

デュタステリドは、薄毛の進行を抑制するだけでなく、発毛・育毛効果も期待できる成分です。フィナステリドと似た働きをしますが、デュタステリドの場合は5αリダクターゼⅡ型だけでなく5αリダクターゼⅠ型にも作用することがわかっています。
これまでは、DHTの生成には5αリダクターゼⅡ型が強く作用していると考えられてきました。しかし、実際には5αリダクターゼⅠ型も関係していることがわかったため、両方に作用できるデュタステリドの有効性に注目が集まっています。

AGAの治療薬の副作用

AGA治療に用いられる治療薬は、病状の進行を抑制する効果が期待されています。AGA治療には欠かせないものですが、副作用の恐れがある点は理解しておかないといけません。副作用発生のリスクは人それぞれで、体質や持病によって違いがあります。
AGA治療薬を用いる場合は、専門医にご自身の体質や持病について正確に伝え、副作用の発生リスクを抑えましょう。主なAGA治療薬の副作用について、以下に4種類紹介します。

• 性欲減退
• 吐き気
• 食欲不振
• 肝機能障害

副作用の発生状況によっては、AGA治療を中断しないといけない場合もあるでしょう。

性欲減退

AGA治療薬を用いることで、性欲減退の副作用がみられるケースがあります。勃起不全や精液量減少も起こるケースがあることもわかっています。AGA治療薬の多くは男性ホルモンに作用するため、性欲減退などにつながってしまうと考えるのが一般的です。
子作りをしている段階では、一時的に投薬をストップする事例もあります。その間、症状が進んでしまう恐れがあることは理解しておきましょう。

吐き気

AGA治療薬の服用により、吐き気を感じるケースがあることがわかっています。AGA治療薬は肝臓で代謝されるため、服用により肝臓に負担がかかってしまいます。
肝臓に異常が起こった場合の初期症状として、吐き気が起こりやすいです。単なる体調不良や風邪と勘違いしてしまうケースが多いですが、実際にはAGA治療薬の副作用である場合もあるため、注意しましょう。

食欲不振

食欲不振も、AGA治療薬の副作用として起こることがわかっている症状の1つです。AGA治療薬は肝臓で代謝されるために、肝臓が異常をきたして食欲不振を引き起こすと考えられています。
吐き気同様、AGA治療薬の副作用として気付きづらい面があるため、注意を要します。

肝機能障害

場合によっては、AGA治療薬の投与により肝機能障害に陥ってしまう恐れがあります。前述のように、AGA治療薬は肝臓で代謝されるため、肝臓に大きな負担がかかってしまいます。肝臓は、「沈黙の内臓」と呼ばれており、自覚症状がなくても肝機能障害が進行してしまっている場合が多いのが特徴です。
AGA治療薬を用いる場合は、定期的に血液検査を行い、肝臓が正常に働いているか、確認することが大切です。

AGA治療は信頼できるクリニックで受けよう

AGAの治療は、正しい医薬品の選択や副作用のリスクとの兼ね合いなど判断が難しい面が多いです。このため、治療を受ける際には信頼できるクリニックなどに相談することが大切になります。
AGA治療を実施したことがきっかけで、場合によっては健康に支障をきたしてしまう可能性もあります。過去の実績や専門医との相性などから、ご自身に合った信頼できるクリニックを選びましょう。