アフターピルは排卵後に服用しても効果はある?仕組みや服用後の排卵・薬の種類・注意点も徹底解説
アフターピルは、服用することで妊娠を阻止する効果が期待できる薬です。排卵の抑制や着床を阻害する働きをすることから、避妊に効果があるといわれています。
そのような効果をもつアフターピルですが、排卵後に服用しても避妊の効果は望めるのでしょうか。
本記事では、アフターピルを排卵後に服用したときの効果について紹介しています。その他にも、薬の仕組みや種類なども解説をしています。
アフターピルを服用する前にはぜひこの記事をチェックして、効果的な避妊に役立ててください。
監修医師:
浅野 仁覚(医師)
目次 -INDEX-
アフターピルは排卵後に服用しても効果はある?
アフターピルは、緊急避妊薬とも呼ばれる薬です。性交渉の後に服用することで、望まない妊娠を防ぐ効果が期待できます。
それは、アフターピルに排卵を抑制、もしくは遅延させる働きがあるためです。これによって受精卵の着床が妨げられるため、妊娠をする可能性が低くなります。
それでは、アフターピルを排卵後に服用しても効果は見込めないのでしょうか。
排卵後であっても、服用するタイミングによってはアフターピルの効果は発揮されます。以下で、アフターピルの効果が発揮されやすくなるタイミングについて紹介していきます。
着床前なら効果あり
排卵後であっても、着床前であればアフターピルの効果が出やすくなります。アフターピルには排卵の抑制や遅延の他に、頸管粘液の増加作用による受精・着床の阻害の効果があるためです。
妊娠は、排卵後の卵子が受精し、受精卵となって着床することで生じます。つまり、排卵後であっても受精や着床が阻止できれば、妊娠することはありません。
これらのことから、排卵後であっても着床が起きる前であれば、アフターピルによって妊娠が阻止できる可能性があるといえます。
排卵後であっても、避妊を行いたいのであればアフターピルを服用することがおすすめです。
72時間以内の服用が効果的
アフターピルの用法として、性交渉から72時間(3日)以内に服用することが定められています。また、できるだけ早く服用した方が効果が高いともいわれます。
ノルレボというアフターピルを服用した場合、24時間以内に服用した場合の避妊成功率はおよそ95%です。72時間以内の服用では、およそ85%になると考えられています。
さらに、受精から着床までにかかる時間は、およそ96〜120時間です。この時間を過ぎてからアフターピルを服用しても、妊娠を阻止できる可能性は低くなります。
そのため、アフターピルの服用は用法で定められた72時間以内に行うようにしましょう。妊娠する確率を低くするためには、可能な限り早く服用することが大切です。
ただし、72時間以内に服用したとしても、必ず妊娠が阻止できるわけではありません。避妊の確率を高めるためには、他の避妊に取り組むことが大切です。
アフターピルの仕組み
アフターピルには、着床後と同じ体内環境をつくりだす効果があります。
妊娠には女性ホルモンが重要な役割を果たしています。受精卵が着床しやすくなるような働きをもつのが、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンです。
アフターピルには、このプロゲステロンが含まれています。つまり、アフターピルを服用することで、プロゲステロンが体内に入ります。
これにより体内のプロゲステロンの分泌が抑制されるため、受精や着床を防止できるという仕組みです。
なお、アフターピルの服用をすると副作用が出るケースがあります。例えば、吐き気・嘔吐・頭痛・不正出血などです。
副作用が出るのは、アフターピルの服用によって一時的にホルモンバランスが崩れるためだといわれます。
アフターピルの種類にもよりますが、基本的に副作用がみられることは少ないです。副作用が出た場合も、1〜2日経てば治まる場合がほとんどです。
また、アフターピルを服用することによって必ず妊娠が防げるとはいえません。ピルの服用前からすでに妊娠をしている可能性もあります。
そのことを理解したうえで、アフターピルを服用するようにしてください。
アフターピル服用後の排卵はいつ?
アフターピルには、排卵を抑制したり遅延させたりする効果があります。そのため、アフターピルを服用すると排卵が遅れます。
排卵が抑制されるのは、およそ5日間です。最長で7日間排卵が遅れるとも考えられています。
それに伴って、生理の周期がズレてしまうケースがあります。
アフターピルを服用した時期によっても異なりますが、長くても服用後3週間ほど経てば生理は来ると考えておきましょう。
生理が来ない場合は、妊娠をしてしまっている可能性があります。その場合は妊娠反応を行い、陽性であれば医療機関を受診して診察を受けるようにしましょう。
アフターピルの種類
アフターピルには2つの種類があります。それぞれ効果や用法が異なるため、事前にどのような薬であるかの知識を身につけておくことが大切です。
ここからは、アフターピルのそれぞれの種類について詳しく解説していきます。ぜひアフターピルを選ぶ際の参考にしてください。
ノルレボ
ノルレボは、もっとも一般的に取り扱われているアフターピルです。国内でも承認を得ている薬になります。
ノルレボには、レボノルゲストレルというプロゲステロンと同じ働きをもつ成分が含まれています。これを服用することで、排卵や着床を防止する効果が見込めるでしょう。
用法として、性交渉から72時間以内に1錠服用することが定められています。なお、早めに服用するほど高い効果が望めやすいです。
24時間以内に服用すれば95%の確率で避妊できるため、避妊が失敗したことに気づいたらできるだけ早めに服用するようにしましょう。
ヤッぺ法
ヤッペ法は、ノルレボの服用が主流になる前に一般的に使用されていたアフターピルです。現在はほとんど使用されていません。
ヤッペ法の場合、中用量ピルを服用を服用して避妊を行います。中容量ピルに含まれているのは、妊娠に関係があるとされる卵胞ホルモンと黄体ホルモンです。
この中容量ピルを、性交渉後72時間以内に2錠服用し、その12時間後に追加して2錠服用します。2回服用する手間があることが難点です。
また、ノルレボと比較すると妊娠阻止率が低いです。24時間以内に服用した場合でも、その阻止できる確率は77%といわれます。
ノルレボに比べると副作用も出やすいです。吐き気や嘔吐などの症状が強く出るケースがあります。
アフターピルの注意点
アフターピルは、妊娠を阻止する効果が期待される薬です。ただし、服用すれば必ず阻止できるわけではありませんし、副作用が出る可能性もあります。
また、その他にも服用の際にはいくつかの注意点があります。それらのポイントを意識していなければ、望まない妊娠をしてしまう可能性が高まるでしょう。
以下で、アフターピルを服用する際の注意点について紹介します。
種類によって妊娠阻止率が変わる
アフターピルには種類があり、その種類によって妊娠阻止率が異なります。妊娠阻止率が高いアフターピルを服用するほど、妊娠を防げる可能性が高くなるでしょう。
以前一般的に使用されていたヤッペ法は、妊娠阻止率が比較的低いといわれます。24時間以内の服用で77%ですが、25〜48時間以内の服用では36%にまで落ち込みます。
49〜72時間以内の場合、妊娠阻止率は31%です。
現在主流となっているノルレボは、ヤッペ法よりも妊娠阻止率が高いです。性交渉後24時間以内の服用では、95%の確率で妊娠が防げます。
時間が経過するごとに妊娠阻止率は下がりますが、25〜48時間以内では85%、49〜72時間以内では58%です。72時間以内であれば、およそ半分の確率で阻止できるといえます。
そのため、アフターピルを服用するのであれば、ヤッペ法よりもノルレボの方がおすすめです。
服用後は他の避妊が必要
アフターピルを服用したからといって、その後は妊娠をしなくなるわけではありません。妊娠を阻止したいのであれば、他の避妊方法を行うことが必要です。
普段の性交渉では、コンドームを使用するようにしましょう。日常的に低用量ピルを服用することも有効です。
アフターピルを服用した後、避妊が成功したかどうかの確認はすぐにはできません。服用から3週間ほど経ち、生理が来るか否かで判断できます。
それまでの間はアフターピルを服用したからと安心せず、性交渉を行うのであれば他の避妊方法にも取り組みましょう。
また、アフターピルの服用で性感染症は防止できません。コンドームを着用していなかったなど、性感染症の不安がある場合は病院で検査を受けると良いでしょう。
編集部まとめ
アフターピルは、服用することで望まない妊娠を阻止できる可能性のある薬です。排卵後に服用した場合でも、妊娠を阻止する効果は見込めます。
ただし、服用するタイミングには注意が必要です。すでに着床してしまった後や、性交渉後72時間が経過してしまった場合は、服用しても妊娠してしまう可能性が高くなります。
アフターピルには2種類あります。それぞれ用法や効果が異なるため、服用の前には種類について確認しておくようにしましょう。
さらに、種類によって妊娠阻止率も異なりますが、早く服用するほど高い効果が望めるところは同じです。つまり、アフターピルはできるだけ早く服用することが大切になります。
アフターピルは妊娠阻止に効果的ですが、必ず阻止できるわけではありません。また、性感染症を防ぐことも不可能です。
避妊に関して不安に感じることがあれば、専門の医師に相談しましょう。医師のアドバイスを受けて正しくアフターピルを服用し、今後の避妊に取り組むことが大切です。