FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 薬に関するコラム
  4. 「低用量ピルで不正出血」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

「低用量ピルで不正出血」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「低用量ピルで不正出血」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

低用量ピルを服用していると、不正出血することがあります。

不正出血があると心配になりますが、実は不正出血を経験する方は服用者の20%にものぼるといわれており、決して珍しいことではないものです。

多くの場合は、飲み始めの一時的な症状として受け流していただいても問題はありません。

とはいえ、その不正出血の裏に子宮体癌・子宮頸がん・子宮筋腫・子宮肉腫・子宮内膜症といった大きな病が隠れている可能性もゼロではありません。
慎重に判断しなければならない部分でもあります。

今回は、低用量ピルを服用している時の不正出血について詳しく解説します。原因や受診の目安なども取り上げますので、お悩みの方はぜひ参考にしてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

プロフィールをもっと見る
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

低用量ピルによる不正出血は心配な症状?

悩む女性
通常、低用量ピル服用中の生理(消退出血)は、お薬を飲み始めて3週間が経過した後の休薬期間もしくは偽薬期間に来るものです。しかし、低用量ピルを服用している中で、まだ休薬期間ではないのにもかかわらず出血してしまうことがあります。
通常とは異なる時期での出血となると「何かあったのか」「ピルの効果が弱まってしまっているのか」と不安になってしまいますが、安心してください。冒頭でもご説明したように、低用量ピル服用中に不正出血が起こることは決して珍しいことではありません。
特に飲み始めから3ヶ月の間はホルモン状態が不安定のため、正しく低用量ピルを服用していても副作用として不正出血してしまうことがあるものです。あまり心配せず、様子を見ていれば徐々になくなっていくと安心していただいてかまいません。
ただ不正出血の中でも危険な出血の仕方があるため、後述にてご説明する症状に当てはまっていないか確認してみてください。

低用量ピル服用時の不正出血の原因は?

ハートを持つ女性
前述にて、低用量ピルで不正出血してしまうのはよくあることだと申し上げました。それでは、なぜ不正出血してしまうのでしょうか。
ここでは低用量ピル服用時の不正出血の原因を解説します。一般的に考えられる原因は

  • 初めてピルを服用したため
  • ホルモンバランスが不安定になるため
  • 低用量ピルを飲み忘れたため

の3つです。それではそれぞれを詳しく確認してみましょう。

初めてピルを服用したため

初めてピルを服用してから3ヶ月が経過するまでは、身体がお薬にまだ慣れていません。低用量ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを少量ずつ含んでいる人工のホルモン剤です。
低用量ピル服用によって人工のホルモンが体内に入ってくる状態というのは、いうなれば知らない人が急に家に入ってきたようなシチュエーションと同様。身体が驚いてしまうのも無理ありません。
女性の身体の中にはもちろん自然のホルモンも存在しています。この自然のホルモンと人工のホルモンで折り合いがつかないと、どうしても子宮内膜が剥がれやすくなり、不正出血が起きやすくなるのです。
このような不正出血の場合、多くは3ヶ月間様子を見ている間に自然におさまってきます。あまり心配しなくても大丈夫です。

ホルモンバランスが不安定になるため

女性の身体の中にある卵胞ホルモンや黄体ホルモンは、生理の周期や妊娠などのプロセスを調節する役割を担っています。このホルモンのバランスが不安定になると、生理周期が上手に調節できなくなり、休薬期間よりも早く出血してしまうことがあるのです。
このホルモンのバランスというのは、日常生活のストレス・疲れ・プレッシャー・体重変化といった様々な要因で崩れやすくなっています。低用量ピルを服用していても、体内にある自然のホルモンのバランスが崩れてしまうと不正出血につながってしまうのです。
そのため、服薬から3ヶ月以上が経過していても、不正出血が起きてしまうことはよくあります。直近で何か負担になるようなことをしなかったかを振り返ってみてください。
ただ、激しい腹痛や異常な量を伴う不正出血の場合は、他の原因によるものかもしれません。医師に相談し、適切な検査を受けるようにしましょう。

低用量ピルを飲み忘れたため

不正出血は、低用量ピルを飲み忘れた時にも起こります。低用量ピル服用中、通常は休薬期間もしくは偽薬期間に出血があるものです。これは、ピルの服用を一時的に止めることで、体内のホルモン量が減少するために起こります。
この状態が、低用量ピルを飲み忘れた場合にも同様に起きてしまうのです。1日でも飲み忘れてしまうと、体内のホルモン量が変わって不正出血する原因になります。
毎日規則正しく服用することを心がけ、低用量ピルの服用を習慣化できるようにしましょう。

不正出血はいつまで続くの?

不満を抱える女性
不正出血が続く期間というのは、人によって様々です。2〜3日程度で止まることもあれば、2週間にわたって少量の不正出血が続くこともあります。休薬期間までに繰り返し不正出血が見られることもあるでしょう。
基本的には、低用量ピルを飲み始めてから3ヶ月以内であれば、不正出血が続いても様子見をするだけで構いません。低用量ピルの服用を中止する必要もありません。低用量ピルの周期を重ねていくことで徐々におさまっていくことが多いので、あまり心配しすぎなくても大丈夫です。
しかし、飲み始めてから3ヶ月以上経っているのに不正出血がある場合は、少し注意しなければなりません。例えば、裏に大きな病気が隠れている可能性も否定できないからです。
次項にてご説明する目安を参考に、クリニックで担当の医師に相談しましょう。

不正出血でクリニックを受診する目安は?

カウンセリングにきた女性
ここまでご紹介してきた中で、基本的には不正出血があってもそこまで心配する必要はないとお伝えしてきました。しかし、以下の2つを伴う不正出血に当てはまる場合は、注意しなければなりません。

  • ひどい腹痛を伴う場合
  • 飲み始めから3ヶ月を経過しても出血がある場合

なぜなら、その不正出血の原因が低用量ピルによるものではない可能性があるからです。
子宮体癌・子宮頸がん・子宮筋腫・子宮肉腫・子宮内膜症など、裏に病気が隠れているかもしれません。そうなると、早期発見・早期治療することが大切になってきます。

ひどい腹痛を伴う場合

不正出血の際にひどい腹痛を伴う場合、内臓や子宮内膜に異常がある可能性があります。また、腹痛以外にも以下のような症状が出ることもあるでしょう。

  • 腹部が膨れている
  • 発汗が多い
  • 吐き気がある
  • 頭痛がある

腹痛と一緒にこのような症状が見られる場合は、特に早めにクリニックを受診することをおすすめします。

飲み始めから3か月を経過しても出血がある場合

低用量ピルを飲み始めてから3ヶ月以上が経過しているのに不正出血がある場合は、

  • ホルモンバランスが崩れている
  • 病気が隠れている可能性がある

この2つが可能性として考えられます。不正出血の原因がホルモンバランスの崩れによるものなのか、病気によるものなのかをご自身で判断するのはなかなか困難です。
不正出血が長く続いたり、ひどい腹痛があったりする場合は遠慮せずクリニックを受診しましょう。何もなければそれで安心できますし、早めに受診することで病気の早期発見にもつながります。

低用量ピル服用時の消退出血とは?

内服薬を服用する女性
低用量ピルを服用していると、不正出血に加えて消退出血という言葉も耳にすることがあります。よく似ている表現のため混同してしまいそうですが、同じ出血を伴うものでも根本が全く異なります。前述のように、不正出血とは低用量ピルの休薬期間でないのにもかかわらず出血してしまうことを指します。
では、消退出血とはいったい何なのかについて確認してみましょう。

休薬期間中に起こる出血のこと

消退出血とは、休薬期間中に起こる出血のことです。通常、低用量ピルは28日間のサイクルで服用します。
その最後の7日間、つまり低用量ピルを服用し始めて21日間が経過した後の7日間は、休薬期間として低用量ピルの服用をやめます。その際、休薬から2日程度すると出血があるのです。
これは低用量ピル服用による消退出血と呼ばれるもので、生理でも不正出血でもありません。消退出血は、低用量ピルを服用している方のおよそ89%が経験するものです。もしも休薬期間に出血してしまっても、それは正常であると判断していただいて構いません。

消退出血がない場合妊娠の可能性も

前述にて、消退出血は、低用量ピルを服用しているおよそ89%の方が経験するものであると解説しました。しかし、稀に1%程度の方は消退出血が見られないことがあります。
消退出血が見られない原因は様々ですが、妊娠している可能性も否定できません。消退出血が見られなくなった場合、ひとまず服用を継続しながら妊娠の有無を確認する必要があります。確実に妊娠の可能性がない場合は、検査を受けなくても構いません。特に問題はないので、そのまま服用を続けてください。
ただし、妊娠の可能性がある場合は必ず医師に相談し、適切な検査を受ける必要があります。妊娠が確認されれば、直ちに服用を中止しましょう。妊娠期間と低用量ピルの服用期間が被っていても、胎児への影響があることは現在では認められていません。しかし、妊婦さんに対する安全性は確立されていないことに注意が必要です。
この点から、低用量ピルを服用しているからといって100%避妊ができると思い込まないことが大切であるといえます。コンドームなど、他の避妊方法と併用することを心がけましょう。
またご自身の安全を守るため、望んで妊娠をするために、パートナーとコミュニケーションを取っておくことも大切です。低用量ピルを服用していても妊娠する可能性があることを伝え、コンドームをつけてもらうようお話をしておきましょう。

編集部まとめ

スマホのアプリを使う女性
今回は、低用量ピルの不正出血について詳しく解説しました。

低用量ピルの不正出血の原因として特に多いのが、ホルモンバランスの乱れによるものです。

低用量ピルは人工のホルモン剤であり、飲み始めから3ヶ月程度は身体が慣れていません。

そのため、ホルモンバランスが崩れて不正出血してしまうことはよくあるものです。

また、女性の中にある自然のホルモンも様々な要因でバランスが崩れやすい傾向があります。

もし不正出血があってもあまり心配しすぎなくて良いでしょう。

ただ、強い腹痛の伴う不正出血であったり、特に見当たる要因がなかったりする場合には裏に病気が隠れている可能性があります。

少しでも異常を感じたら、すぐに担当の医師に相談するようにしましょう。

この記事の監修医師