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「低用量ピルとは」どんな薬かご存知ですか?効果や飲み方・副作用も解説!

 更新日:2024/07/11
「低用量ピルとは」どんな薬かご存知ですか?効果や飲み方・副作用も解説!

月経は、赤ちゃんを産むために欠かせないものであり、重要なメカニズムです。

とはいっても、子宮の収縮やホルモンバランスの乱れによって引き起こされる腹痛・腰痛・頭痛・倦怠感・気分の落ち込みなどには、非常に辛いものがあります。

時には起き上がれないこともあり、お仕事を休んでしまうほどの方もいらっしゃいますよね。

そのような方にぜひおすすめしたいのが、低用量ピルです。

しかしピルにあまり良いイメージがなかったり、効果や副作用が気になったりして、なかなか手を出せない方も多いかもしれません。

今回は、低用量ピルについての気になる情報を詳しく解説します。気になるけれど怖いな…という方はぜひ最後までご覧ください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

プロフィールをもっと見る
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

低用量ピルとはどんな薬?

医療スタッフイメージ_薬剤師の女性
低用量ピルとは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤です。低用量ピルというのは俗称で、その正式名称は低用量経口避妊薬といいます。なるべく少ないホルモンの量で、高い避妊効果を実現できるのが低用量ピルの特徴です。低用量ピルは、月経周期を28日間として、1日1錠を21日間服用します。残りの7日間は、休薬もしくはプラシーボ(偽薬)を服用するのが一般的です。
モーニングピル(緊急避妊薬)とは異なり、日常的に服薬します。そもそも月経というのは、排卵された卵子が受精した時のために子宮内膜を厚くすることで起こります。受精しなかった場合はこの厚くなった子宮内膜が不要になるため、月経となって排出されるというわけです。
低用量ピルを服用すると、血液中の卵胞ホルモンと黄体ホルモン(総称して女性ホルモン)が増えます。すると女性ホルモンの分泌が過剰であると脳が錯覚を起こし、卵巣の働きが抑えられ、排卵しないようにさせることが叶うのです。元々避妊薬というのは、排卵させないことで避妊効果を得ることを目的としてつくられました。
しかし低用量ピルはどちらかというと、日常的に服薬して排卵をコントロールすることで、月経によるホルモンバランスの乱れを整えることを目的としています。月経による辛い症状に悩まされているのであれば、ぜひ一度は検討するべきお薬です。

低用量ピルの効果は?

錠剤を持つ女性の手元
低用量ピルを飲み忘れることなく服用すると、様々な効果を得られます。ここでは、

  • 避妊効果
  • 月経不順の改善
  • 月経痛・PMS(月経前症候群)の緩和

の3つの効果を確認しましょう。

避妊効果

日本で一般的な避妊方法といえばコンドームですよね。しかし、コンドームは数ある避妊法の中でも特に避妊効果が低いものです。コンドームをつけていたのに妊娠してしまう確率は、およそ15%もあるといわれています。一方で、低用量ピルによる避妊効果はおよそ0.3%です。
何といっても低用量ピルには排卵を抑える効果があるため、非常に高い避妊効果を期待できます。1日1回1錠服用するだけですから、手軽に避妊できるのも魅力です。妊娠を希望したい時には、服薬を止めてください。
そうすると女性ホルモンの減少を察知し、卵巣の働きが活発になって排卵が起こるようになります。また避妊がしたくなったら、服薬を開始すれば良い(具体的な時期は医師と相談する必要があります)だけなので、自由に避妊効果を得られるのも低用量ピルならではの魅力です。

月経不順の改善

疲労・ストレス・ダイエット・肥満・環境の変化など、月経は様々な要素で周期が変わってしまいます。月経の周期が定まっていないと不安になりますし、月経に備えて準備することもできません。そのような時に低用量ピルを服用すると、休止期間に月経が来るようになります。
女性ホルモンの作用をコントロールすることで、月経のリズムを整えられるのです。月経不順が改善されれば、仕事や旅行の予定を立てやすくなるというメリットもありますね。

月経痛・PMS(月経前症候群)の緩和

低用量ピルとは、排卵を抑える働きを持つお薬です。排卵がなくなることで月経も起こらなくなるため、辛い月経痛・月経前症候群を緩和することが叶います。
冒頭にて強く推奨したのは、このような月経痛・月経前症候群に悩まされている方です。お仕事を休んでしまうほどの月経痛を抱えている場合は月経困難症の可能性がありますが、その場合でも低用量ピルは大きな効果を発揮します。

低用量ピルの飲み方は?

錠剤・サプリメントを飲む女性
低用量ピルは、毎日1錠を一定の時刻に服用してください。低用量ピルはホルモン剤ですから、できる限り同時刻に飲むことが大切です。決まった時刻に服用することで習慣化しやすくもなります。低用量ピルには21錠タイプと28錠タイプがありますが、どちらでも効果は同じです。
実薬を21日間飲み、その後7日間は休薬期間(偽薬服用期間)となります。初めて低用量ピルを飲み始める場合は、月経が来てから5日が経過するまでに服用を開始してください。低用量ピルは1日1錠飲むものですから、飲み忘れてしまう方も多くいらっしゃいます。
1日飲み忘れてしまった場合は、その日の服薬時刻を待つことなく、なるべく早く服用してください。そして服薬時刻になったら通常通り服用しましょう。2日以上飲み忘れてしまった場合は、直近1日の錠剤をすぐさま服用し、服薬時刻になったら通常通り服薬します。7日間連続して服用するまでは避妊効果が低くなるため、注意が必要です。

低用量ピルの副作用は?

吐き気のある女性
様々なメリットがある低用量ピルですが、服用によって副作用が生じてしまうことがあります。特に飲み始めてから3ヶ月間は注意が必要なため、低用量ピルの服用を考えているのであれば必ず確認しておかなければなりません。ここでは、

  • 悪心
  • 乳房の張り
  • 下腹部痛・不正出血
  • うつ症状

の4つの副作用を解説します。

悪心

悪心というのは嘔吐の前のむかつき、つまり吐き気のことです。何度も申し上げているように、低用量ピルはいわゆるホルモン剤です。そのため、ホルモン依存症が引き起こされて悪心の副作用が見られることがあります。
ただ、この悪心の副作用が見られるのは最初だけで、服薬を続けることで徐々に消えていくのが一般的です。あまりに合わない場合は、低用量ピルの種類を変えることで解決することもできます。悪心に限ったことではありませんが、副作用に悩んでいる時は遠慮せず、速やかに医師に相談することが大切です。

乳房の張り

ホルモン依存症により引き起こされる副作用のもう1つとして、乳房の張りが見られることがあります。特にエストロゲンと呼ばれるホルモンの依存症になると、水分を体内に溜め込みやすくなるため、どうしても乳房が浮腫んでしまうのです。
乳房の張りで日常生活に強い支障が出ることは少ないかもしれませんが、気になる場合は悪心の際と同様に、医師に相談して他の薬剤に変えてもらっても良いでしょう。

下腹部痛・不正出血

低用量ピルを服用していると、不正出血とともに下腹部痛が起こることがあります。低用量ピル服用者の実に20%の方が不正出血を経験するというデータもありますが、服用を続けることで次第に減少していくことが一般的です。低用量ピルを服用し始めて3ヶ月以内の不正出血であれば、そこまで心配しなくても問題はありません。
ただ、下腹部痛が辛くて鎮痛薬を飲みたい場合は、低用量ピルとの飲み合わせに注意する必要があります。鎮痛薬に含まれていることの多いアセトアミノフェンは、低用量ピルの効果を強め、アセトアミノフェンの効果を弱めてしまうとされています。鎮痛薬を飲みたい場合は、アセトアミノフェンが含まれていない鎮痛薬を服用するようにしてください。

うつ症状

低用量ピルを服用していると、倦怠感・抑うつといったうつ症状が現れることもあります。これは、悪心・乳房の張りと同様にホルモン依存症によって引き起こされる副作用です。ただ悪心・乳房の張りと違うのは、エストロゲンと呼ばれるホルモンではなくプロゲストーゲンと呼ばれるホルモンの依存症による症状であることです。
女性のホルモンというのは、主にエストロゲンとプロゲステロンの2種類によって構成されています。そのうちのプロゲステロンのホルモンが過剰になることで、抑うつ感が出てしまうことがあるのです。うつ症状の副作用は、他の低用量ピルに変えることで改善されることがあります。
ここまでご説明したように、ご自身のホルモンの状態によって現れる副作用というのは変わってきます。服用中の低用量ピルと相性が悪い場合は、低用量ピルの種類を変えてみましょう。まずは担当の医師と相談することが大切です。

低用量ピルの処方の流れ

問診①
ここまでご説明したように、低用量ピルは高い避妊効果や月経痛の緩和が期待できますが、悪心や不正出血などの副作用が見られることもあるものです。そのため、低用量ピルの処方は慎重に行われます。一般的な流れとしては、以下の6つのステップです。

  • 問診・検査

低用量ピル処方に伴い、服用者の健康状態をチェックします。問診や検査によって判断することが一般的です。場合によっては低用量ピルの服用が禁忌となることや、慎重な判断が必要なこともあります。医師の判断に従いましょう。

  • 低用量ピルの説明

低用量ピルの基礎知識が医師から説明されます。有効性・安全性・リスクなどの様々な観点からのお話があります。わからないことがあれば適宜質問し、疑問は解消しておきましょう。

  • 臨床検査

問診で問題がないと判断されても、血圧測定・身長体重測定・内診など、身体の状態をチェックする臨床検査を行うのが一般的です。問題がなければ、ピルの処方について同意を得ることになります。

  • 服薬指導

低用量ピルの飲み方・副作用が起きた時の対処法など、低用量ピルを服用する上での注意点が指導されます。

  • 処方

こうして低用量ピルが処方されることになりますが、低用量ピルは処方されて終わりではありません。

  • 定期検査

低用量ピルは、これから長期間服用していくことになる薬です。飲み始めてから3ヶ月が経過するまでは、副作用が多い時期なので毎月定期検査を受けなければなりません。3ヶ月が経過した後も、3・4ヶ月から6ヶ月に1回は定期的に検査する必要があります。医師の判断に従い、定期的に検査を行うようにしてください。

低用量ピルと超低用量ピルの違いは?

2択で迷う女性
低用量ピルとよく似たものに超低用量ピルがありますが、両者の違いはホルモンの含有量にあります。前述のように、低用量ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンが配合されています。超低用量ピルは、この卵胞ホルモンの含有量が低用量ピルよりも少なくなっているお薬です。
低用量ピルとは異なり、月経困難症や子宮内膜症など、月経による疾患の治療を目的として処方されています。まだデータはありませんが、ホルモン含有量が少ないことから避妊効果は低用量ピルよりも少ないと考えられていることに注意してください。避妊効果を期待するのであれば、低用量ピルを検討しましょう。

編集部まとめ

下腹部に手をあてる若い女性
低用量ピルは、上手に活用することで快適な生活が送れるようになるお薬です。

ただ、副作用があるのでしっかりリスクを把握しておくことが求められます。

また、飲み忘れてしまうと効果が薄まるので、リマインダーを設定したり習慣化させたりする工夫が必要な点には注意しましょう。

低用量ピルには相性があるため、お薬によっては副作用が強く出てしまう場合があります。

適宜担当の医師と相談し、ご自身に合うお薬を見つけるようにしましょう。

この記事の監修医師