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「低用量ピルは保険適用」される?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「低用量ピルは保険適用」される?医師が監修!

低用量ピルと聞くと、避妊目的で使用することをイメージし、多くの方が保険適用されないと思うでしょう。

しかし、保険適用される場合もあります。では、どのような低用量ピルが保険適用されるのでしょうか。

そこで本記事では、低用量ピルは保険適用されるかについて解説します。保険適用になる条件や薬の種類・副作用などもご紹介するので、参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

低用量ピルは保険適用される?

医療費
全く同じ薬であっても、保険が適用される場合と適用されない場合があります。これは低用量ピルも同様で、保険が適用されない場合は、全額自己負担となります。費用の面で、保険適用される低用量ピルを探している方も多いのではないでしょうか。
低用量ピルが保険適用されることはあります。しかし、保険適用のためには、その使用目的が大変重要です。使用目的が保険適用に該当しない場合は、自己負担となるのです。通常、避妊目的で低用量ピルを使用する場合は、保険適用外となります。
しかし、病気の治療のために低用量ピルを服用するのであれば、保険適用となります。低用量ピルの服用を必要とする病気としては、月経困難症・月経前症候群・子宮内膜症といったものが代表的です。

低用量ピルが保険適用になる条件や処方の流れ

診察をする男性医師
低用量ピルが保険適用になる場合があることをご紹介しました。しかし、先述したように、病気の治療のために使用しなければ、保険適用とはなりません。また、病気の治療のため以外にも、保険適用のための条件があります。
ここでは、どのような条件が必要となるのかをご紹介します。また、処方の流れも解説するので参考にしてください。

保険適用になる条件

低用量ピルが保険適用となる条件としては、次のようなものが挙げられます。

  • 病気の治療が目的であること
  • 保険適用となる種類の低用量ピルであること
  • 病院から処方されること

まず、先述もご紹介したように、使用目的が病気の治療目的でなければなりません。主な病気としては、月経困難症・月経前症候群・子宮内膜症などが代表的です。
月経困難症とは、生理中に腹痛・腰痛・頭痛・吐き気などが複合的に起こる不快な症状です。月経前症候群とは、生理の3日~10日前に、心身共に不調をきたす症状をいいます。腹痛やイライラなどの精神的な症状も現れ、生理が始まると次第に症状がなくなっていく傾向です。子宮内膜症は、子宮内にあるはずの子宮内膜が、子宮外で増えたりはがれたりといった症状を引き起こすものをいいます。
こういった病気の治療が目的であることが、1つ目の条件です。
次に、保険適用となる種類の低用量ピルであることも条件となります。
処方される低用量ピルには、2種類あります。経口避妊薬であるOCと呼ばれるものと、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬であるLEPと呼ばれるものです。
その中でも、保険適用となる薬はLEPとなります。これは、治療目的に使うのがLEPになるためです。
そして、医師から処方されていることが、最後の条件です。
日本において、処方箋なしでは薬局で購入することはできません。そのため、手に入れるためには医師からの処方やオンライン購入となります。しかし、オンライン購入は、仮に保険適用となる症状でも適用外となる可能性があります。そのため、保険適用で薬を手に入れるためには、病院で診察を受けて処方してもらう方がより確実でしょう。
また、病院から処方される形であっても、OCの場合は病気の治療目的ではないため、保険適用外となり注意が必要です。

処方の流れ

処方してもらう流れとしては、まず月経困難症や月経前症候群などの症状で悩んでいる方が、専門の医療機関で受診しなければなりません。産婦人科クリニックなどでも受診を受け付けているので、診察をしてもらいましょう。
そして、問診や検査の結果、先述したような病気であると医師が診断します。この時の診断結果として、今後の治療に低用量ピルの投薬が適切だと判断した場合に、保険適用として処方される形となります。症状によっては、他の薬が処方される可能性があることは、覚えておきましょう。
オンライン購入の場合であっても、基本的な流れは同じです。診断もない状態で、低用量ピルが処方されるわけではありません。また、診断結果次第では他の薬を処方される可能性もあるでしょう。

保険適用のピルと保険適応外のピルの種類

数種類の錠剤
医師から処方される低用量ピルの中には、保険適用のものと適用外のものがあることをご紹介しました。
しかし、保険適用・保険適用外のそれぞれの中でも、さらにいくつか種類があります。今後、これらの薬を処方してもらいたいと考えている方の中には、しっかりと薬の種類を把握しておきたいと思っている方もいるのではないでしょうか。
ここでは、保険適用と適用外の低用量ピルの種類をご紹介します。

保険適用のピルの種類

保険適用となる場合には、次のような種類が代表的です。

  • ルナベル配合錠LD・ルナベル配合錠ULD
  • フリウェル配合錠LD・フリウェル配合錠ULD
  • ヤーズ配合錠

薬には第一世代~第四世代まで分類があり、含まれる黄体ホルモンの種類や開発順によって分類されています。
第一世代であるルナベル配合錠LDは、出血量が減りやすい特徴を持ち、月経困難症の治療薬として使われる薬です。子宮内膜症などで強い痛みを伴っている方にも、有効といわれています。
ルナベル配合錠ULDは、LDよりもさらに安全性を高めた薬です。これは、薬に含まれるエストロゲンの成分であるエチニルエストラジオールが、LDよりも少ないためです。これらの成分によって引き起こされる、血栓症や頭痛などの副作用を抑えられます。
フリウェル配合錠LDは、ルナベル配合錠LDのジェネリック医薬品で、第一世代の薬です。ルナベル配合錠と同様に、月経困難症に効果を持つ薬です。また、その他の特徴も同じながら、薬剤費の負担を抑えられる点がメリットとなります。
フリウェル配合錠ULDについても、ルナベル配合錠ULDのジェネリック医薬品であり、特徴や効果は同様の薬です。
第四世代であるヤーズ配合錠は、上記2つの薬と比較して、最もエストロゲンが少ない薬です。そのため、副作用なども心配も少ない点が特徴となります。また、薬に含まれる黄体ホルモンは、ドロスピレノンと呼ばれる日本で初めての合成ホルモンを含みます。これは、体内の黄体ホルモンに非常に近い働きをするため、副作用が起きにくい点が特徴です。

保険適用外のピルの種類

保険適用外の薬の種類としては、次のようなものがあります。

  • シンフェーズ
  • トリキュラー
  • マーベロン
  • ファボワール

シンフェーズは第一世代の薬であり、ノルエチステロンという黄体ホルモンが含まれていることで、出血量軽減・生理痛軽減の効果がある薬です。他世代の薬と比較すると、副作用が出やすいことと、特に不正性器出血が生じやすいことが特徴です。
トリキュラーは第二世代の薬であり、レボノルゲストレルという黄体ホルモンを含みます。第一世代と比較すると、エストロゲンの量が少なく、不正性器出血が起こりにくいです。また、生理周期のコントロールにも適しています。
マーベロンは、第三世代の低用量ピルであり、黄体ホルモンの働きを強めて男性ホルモンを抑制する効果がある点が特徴です。男性ホルモンの作用を抑制することから、男性ホルモン由来のニキビや肌荒れなどが改善する副効用も期待できます。
ファボワールはマーベロンのジェネリック医薬品となります。

低用量ピルの副作用

頭を押さえる女性
第一世代~第四世代まで、主な薬をご紹介しましたが、これらの薬には多少なりとも副作用があるため注意が必要です。できる限り副作用が起きないように考えられている薬であっても、副作用が発生する可能性はあります。例えば主な副作用としては、次のようなものが挙げられます。

  • 吐き気
  • 頭痛
  • 不正出血

これらの症状は、服用開始後に現れる可能性があるものです。軽度なものを含めると、服用した方の半数が、飲み始め1ヶ月~2ヶ月の間に経験します。
しかし、次第に身体が薬に慣れてくることから、症状が落ち着いてくる傾向です。3ヶ月程度経てば、ほとんどの方が不快感を感じなくなるでしょう。しかし、3ヶ月以降も症状が落ち着かない場合は、専門の医療機関に相談しましょう。
また、重篤な副作用としては、血栓症があり、血栓症とは血管内部に凝固した血液塊が形成されて、血流を途絶してしまう病気です。健康な方であれば心配は少ないですが、肥満の方や喫煙している方、もともと血液凝固機能異常を呈する方、下肢静脈瘤をお持ちの方などは、深部静脈血栓症などを含む血栓症の発症リスクがあるため注意が必要です。

低用量ピルの保険適用に関するよくあるQ&A

本を読みひらめく女性
低用量ピルが保険適用かどうかは、ご自身の費用に大きく関わります。効果や副作用はもちろんですが、保険適用となるためにはどういった薬・条件であれば良いのかを把握したうえで利用しましょう。
ここでは、薬の保険適用に関する良くあるQ&Aをご紹介します。

保険適用の低用量ピルの価格はいくらですか?

保険適用の場合、低用量ピルの価格は、28日分の1シートあたり約1,600円程度です。全額自己負担の場合、2,500円~3,000円が相場となります。
これに加えて、診察代や検査代などがかかるため、目安として価格を把握しておきましょう。

どうしたら保険適用の低用量ピルを処方してもらえますか?

保険適用の低用量ピルを処方してもらうためには、医師の診断が必要です。月経困難症などの病気の治療目的で、低用量ピルが効果的だと判断されることで処方してもらえます。
病気などの心配がない場合や、他の薬の方が効果が大きいと判断される場合には、低用量ピルが処方されるとは限りません。
オンラインで購入する方法はありますが、治療目的に低用量ピルを処方される場合でも、必ず保険適用されるとは限らないようです。確実に保険適用の薬を処方してもらうには、専門の医療機関で受診することが必要となります。
また、処方される薬の種類は、治療目的であるLEPであることも必要な条件であるため、起きましょう押さえておきましょう。

保険適用の低用量ピルには避妊効果はありますか?

保険が適用される低用量ピルの場合でも、避妊効果はあります。これは、経口避妊薬であるOCと同様の成分が使われているためです。
排卵を抑制し、受精卵が着床しにくい状態にするなどの効果があるため、保険適用される薬であっても避妊効果は期待できるでしょう。
しかし、日本においては、保険適用されるLEPとOCは明確に区別されています。そのため、月経困難症などの治療目的以外で、LEPが処方されることはないのです。避妊目的で処方してもらうように医師へ伝えても、決して処方されることは無く、OCが処方されることとなるでしょう。

編集部まとめ

地球儀と医療イメージ
低用量ピルには、いくつもの種類があります。その中でも、保険適用されるものと適用外のものがあり、どのような条件で適用となるのかは事前に知ってておくと安心です。

治療目的のためであれば保険適用となりますが、オンライン購入の場合、必ずしも保険適用となるとは限りません。

より確実に保険適用の薬を処方してもらいたいと考えるのであれば、専門の医療機関に相談の上で、処方をしてもらいましょう。

この記事の監修医師