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「EDの症状」はご存知ですか?原因や併発する病気も解説!

 更新日:2023/03/27
「EDの症状」はご存知ですか?原因や併発する病気も解説!

男性の性機能障害のひとつ、ED(Erectile Dysfunction=勃起不全)には様々な原因があります。

しかし、ED=勃起できない状態だと思いこみ、EDじゃないのにうまく勃起できないと悩む方は多いです。

実はその定義が「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、または維持できない」状態だということはあまり知られていません。

そこで今回は、EDの症状や定義、考えられる原因と治療薬について解説します。

平澤 陽介

監修医師
平澤 陽介(東京医科大学病院)

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2008年3月 北海道大学医学部医学科卒業
2010年3月 横浜労災病院 初期研修修了
2011年4月 慶應大学病院 泌尿器科 助教
2014年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教
2018年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教・医長 医学博士取得
2019年5月 Cedars Sinai (アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス)にResearch fellowとして留学
2021年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 講師

EDの症状(初期症状)

もめる男女
ED(勃起不全)は、陰茎が全く勃起しない「完全ED」だけがEDだと捉えられがちです。しかし、EDの診断基準は「十分な勃起が得られないもしくは維持できない」状態が持続することとあります。
したがって、満足に性行為ができないなどの症状もEDと診断される場合があるのです。初期症状としては以下の症状がみられます。

  • 勃起時に十分な硬さにならない
  • 性行為の満足度が低い
  • 勃起しても射精ができない

これらはすべてEDの初期症状にあたり、診療基準範囲内です。ほとんどが無自覚に発症し、性行為が満足にできなくなり悩む方が多いです。性行為に満足できなくなった、うまく自慰ができなくなったなどの症状が起きたら、医師の診察を検討してください。完全EDだけがEDではありません。

EDを発症する原因

考え込む男性
では、EDはなぜ発症してしまうのでしょうか?考えられる原因には4種類あります。心が原因の心因性・身体が原因の器質性に加え、心と身体両方が原因となる混合型・薬剤の副作用による薬剤性の4つです。

心因性

まずは心が原因の心因性EDです。心因性EDは主に精神的なストレスやプレッシャーによって引き起こされます。常時発症するわけではないのが特徴です。自慰はできるが性行為だけがうまくできないなど、EDが発症する状況が限定されることもあります。
この場合はほとんどの方で心因性EDが疑われます。心因性EDは他の原因に比べ、若年層の患者さんが多い傾向です。また、心因性EDはED以外の性機能障害や精神疾患と併発している場合があるため、すでに精神疾患を発症している場合は心因性EDも発症している場合も多いです。
治療することは可能ですが、根治には心理療法が必要になります。確実な心因を突き止めなければ改善はできません。そのため、セックスカウンセラーなどの心理療法を併用して治療されることが多い原因です。

器質性

器質性EDは身体の障害により起こるEDです。勃起は陰茎海綿体への血流が十分でないとできません。加齢などにより動脈硬化が起きると血流が滞るため、陰茎に十分な血液が行き渡らなくなり勃起不全となります。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病を患っている場合は、血流が滞りやすくなるため器質性EDも併発する可能性が高くなります。そのため、器質性EDの患者さんは40代以上の方が多いです。
また、脳出血などの外傷で神経を損傷した場合にも血液が行き渡らなくなり勃起不全に陥ることがあります。この場合も器質性EDという診断になります。
また、前立腺癌に対する前立腺全摘除術や、骨盤内腫瘍に対する骨盤内臓器全摘除術など、骨盤内の手術をすることによって勃起神経が損傷し、器質性EDを引き起こすこともあります。神経を温存した手術をすることが可能な場合もあるので、主治医の先生と相談してみましょう。

混合型

混合型は心因性・器質性両方が合わさりEDとなってしまうケースです。つまり心因性も器質性も考えられる、治療が難しい例となります。以下のケースはよくある混合型のケースです。

  • 加齢に伴い血流が滞る(高血圧・動脈硬化など)
  • 加齢に伴いストレスに弱くなり不安になりやすい

この2つのケースは、それぞれ器質性ED・心因性EDの原因となります。しかし、これらは1人の患者さんが同時に発症しうる症状です。
そのため混合型は治療が難しいEDとされています。心と身体ふたつの原因を改善させなければED自体を改善させるのが難しいからです。

薬剤性

薬剤性EDはある一定の薬剤を服用していた場合に起こりうるEDです。降圧剤や抗うつ薬、ステロイド剤などが副作用としてEDとなる可能性があります。
これらの薬剤を服用している方が必ず薬剤性EDになるというわけではありません。ただし、人によっては副作用を起こす可能性があります。
器質性EDになっていなくとも、これらの治療薬を服用することによって薬剤性EDとなっている場合があるのです。その場合は、投薬をやめると症状が改善する可能性があります。

EDの症状がみられる疾患

血圧測定
精神疾患や生活習慣病にはEDの症状を併発する可能性のある疾患がいくつか存在します。前もってEDになる可能性がある疾患を知っておくことで、自分のEDの原因が特定しやすくなる可能性があります。EDを併発する可能性のある代表的な疾患は6種類です。

精神疾患

EDを併発しやすい精神疾患は、うつ病や統合失調症・気分障害などの疾患です。これらの疾患により強いストレスがかかり、勃起不全となるケースがあります。
中でもうつ病が原因のEDはさらに自信をなくしてしまい、症状を悪化させる場合があります。そのため、心理療法も兼用した治療が必要不可欠です。

高血圧

高血圧は器質性EDを併発する可能性が非常に高い疾患です。高血圧は血圧の恒常性を欠いてしまう疾患です。
これにより血流がコントロールできなくなり、陰茎海綿体に十分な血液が行き届かなくなり、勃起不全へと繋がります。
また、高血圧治療中の方の場合、降圧剤を服用している方がいらっしゃいます。この降圧剤の副作用も勃起機能に対して悪影響を及ぼしEDになるというケースもあるのです。

糖尿病

糖尿病も器質性EDの原因として割合が多い疾患です。糖尿病になると血管障害と神経障害を併発します。これにより陰茎に血液がいかなくなり勃起不全と至るのです。
また、糖尿病由来の陰茎の疾患(亀頭包皮炎や感染症など)によってEDになる場合もあります。合併症による様々な要因が組み合わさりやすいですが、いずれにせよ根本的な原因は糖尿病になります。

動脈硬化

高血圧や糖尿病、または加齢によって引き起こされる動脈硬化によっても器質性EDが併発する可能性があります。
動脈硬化も血液の循環が悪くなり、身体の中の血流がコントロールできなくなります。これが原因となり陰茎海綿体へ血液が行き渡らなくなり、勃起不全へと至るのです。

前立腺肥大症

前立腺肥大症は、男性の膀胱の下辺りに位置する前立腺が肥大してしまう疾患です。前立腺が肥大すると尿道を圧迫し、排尿障害を引き起こします。
この症状によってもEDが引き起こされることがあります。尿道が圧迫されている状態では陰茎周辺の筋肉がうまく動かず、血管も圧迫している状態です。
やはり陰茎にうまく血液が行き渡らなくなり、結果としてEDを併発します。前立腺肥大症は元々EDを併発しやすい疾患ともいわれています。加齢に伴うEDの場合、前立腺肥大症も疑われる場合が多いです。

脳血症

勃起をするためには血液だけでなく、脳や脊髄にある中枢神経や脊髄神経などの神経の働きが必要です。脳血症などによって脳神経が傷つくと、勃起にかかわる神経が働かなくなった結果、完全EDとなる場合があります。

EDの治療で使用される薬の種類

薬
EDとなってしまった場合は、ほとんどが投薬治療によって勃起能力の改善を試みます。よく使用されるのが以下の薬剤です。

  • バイアグラ
  • シアリス
  • レビトラ
  • ステンドラ
  • ザイデナ

有名なのは「バイアグラ」です。初めて製品化されたED治療薬で、日本でも厚生労働省から一番早く承認されたED治療薬になります。
「シアリス」は服用から36時間も効果が持続するのが特徴で、飲むタイミングを調整しやすい薬です。「ステンドラ」は副作用が出にくく、早くて服用15分後から効果が出ます。
「ザイデナ」はシアリスに次いで持続時間が長いため、服用タイミングを選ばないのが特徴です。アジア人向けに作られているため、副作用も出にくくなっています。
注意したいのが、どの治療薬も他の薬と違って空腹時の服用が推奨されている点です。もし食事してしまった場合は、食事から2時間後の空腹に近い状態になってから服用してください。
また、効果が現れるまでは食事を摂らないほうがよいとされています。ED治療薬には併用不可の薬があります。
ニトログリセリンなどの硝酸剤がそのひとつです。硝酸剤は湿布などの貼り薬、吸入剤でも不可なため、服用している薬がある場合は前もって医師に申告してください

EDの症状に関するよくあるQ&A

微笑む医師
ここでは、EDの症状に関するよくある質問について答えています。ぜひ参考にしてください。

EDの症状か判断しづらい場合はどうしたら良いですか?

自分の状態がEDなのか判断しづらいということは、まだ完全EDにはなっていない(=勃起には至っている)ということです。この状態で「射精がなかなかできない」「自慰はできるが性行為に満足できない」「勃起が維持できない(中折れしてしまう)」といった症状が出た場合はEDが疑われます。
また、糖尿病などの疾患があり、かつEDか判断しづらい状況となった場合は器質性EDとなっている可能性があります。これらの場合は医師の診察を仰ぎ、EDかどうか診断してもらってください。

治療薬にはどんな副作用がありますか?

ED治療薬は陰茎に血液を行き渡らせやすくするため、血管拡張作用があります。これによって以下の副作用が現れる可能性があります。

  • 顔のほてり
  • 頭痛
  • 低血圧

これらは薬の効果時間が終わると静まるため、心配はありません。しかし効果時間中に強く出すぎてしまうとかえって行為に至れない可能性があるため、薬を変える必要もあります。

治療にはどのくらいの期間かかるのですか?

EDの治療期間は原因によって様々です。まず、器質性EDの場合は原因となっている疾患を改善しなければ治療が完了しません。
心因性EDの場合は、カウンセリングなどによって心因を取り除かなければいけません。まずはED治療薬を処方してもらい、原因を特定することから始まります。
原因によっては心療内科など他の病院と連携する必要があるため、治療期間は個人差があります。

編集部まとめ

苦しむ男性
EDには様々な原因があります。生活習慣・ストレス・加齢などあらゆる原因がありますが、いずれにせよどんな男性でもかかりうる疾患ということです。

EDかな?と思っても過度に自信を失う必要はありません。また、恥ずかしい病気ではありません。診察を受けるべき病気です。

症状の度合いも個人差があるため、勃起するからといってEDではないとは断言できません。勃起はするのに性行為に満足できなくなってしまったらEDを疑いましょう。

まずはクリニックでの治療を受け、何が原因でEDになってしまっているのかを探る必要があります。1人で悩まず、クリニックに相談するようにしましょう。

この記事の監修医師