「笑う門には福来る」に医学的な根拠はあるの?医師が徹底解説!

笑う門には福来るって言うけど本当なの?メディカルドック監修医が笑うことによる健康効果や予防する可能性の高い病気などを解説します。

監修医師:
上田 雄大(医師)
2019年 東邦大学医学部卒業。
同年より湘南藤沢徳洲会病院にて初期研修・後期研修を修了し、総合診療科のチーフドクターとして幅広い内科診療に従事。急性期から慢性期、在宅復帰支援に至るまで包括的な診療を経験する。
2025年よりふたば在宅クリニックにて訪問診療を担当。地域に根ざした家庭医療・終末期ケアに注力している。
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「笑う門には福来る」って言うけど本当なの?

「笑う門には福来る」とは、明るく笑顔でいる人のもとには自然と幸運が訪れる、という意味のことわざです。
近年ではこの考え方に、医学的・科学的にも一定の根拠があることが分かってきました。笑うという行為は、脳・自律神経・免疫系・ホルモン分泌などに影響を与え、気分を明るくするだけでなく、体の内側から健康を支える働きを持っています。
人が笑うとどんな健康効果があるの?

ストレスの軽減
笑うと、脳の緊張がほぐれ、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が低下するとされています。
強いストレス状態が続くと、自律神経が乱れ、心身の不調につながりますが、笑うことで副交感神経が優位になり、心身がリラックス状態に入ります。
免疫力の向上
笑うことで、免疫細胞のひとつであるナチュラルキラー(NK)細胞の働きが活性化するとされています。
NK細胞はウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃する役割を持っており、免疫機能の中心的な存在です。
血行促進・血圧安定
笑うと表情筋や腹筋が動き、呼吸が深くなり、全身に酸素が行き渡ります。これにより血管が拡張し、血流が改善されることで血圧が安定しやすくなります。
脳の活性化・認知機能の維持
笑うことで脳が刺激され、前頭葉を中心に脳の活動が活発になります。
前頭葉は思考力・判断力・感情コントロールに関わる部位で、加齢とともに衰えやすい部分です。
痛みの緩和
笑うと脳内で鎮痛作用を持つ物質が分泌されます。慢性的な肩こりや腰痛、頭痛などの自覚症状が和らぐケースもあり、補助的な効果が期待されることもあります。
人が笑うとどんなホルモンが分泌される?

エンドルフィン
エンドルフィンは「脳内麻薬」とも呼ばれるホルモンで、幸福感や鎮痛作用をもたらします。笑うことで分泌が促進され、気分が前向きになり、痛みや不快感が軽減されます。
ドーパミン
ドーパミンは意欲や達成感に深く関わる神経伝達物質です。 笑いや楽しい体験によってドーパミンが分泌されると、やる気が高まり、前向きな行動を起こしやすく、日常生活の質(QOL)を高める要因のひとつと考えられています。
セロトニン
セロトニンは、精神の安定や安心感を保つために重要なホルモンです。 分泌量が低下すると、不安感や気分の落ち込み、イライラなどが起こりやすくなるとされています。 自然な笑顔や楽しい会話は、セロトニンの分泌を促す要因のひとつであり、心のバランスを整えることにつながる可能性があります。
人が笑わなくなると人体にどんな影響がある?

ストレス耐性の低下
笑う機会が減ると、ストレスをうまく発散できず、自律神経のバランスが乱れやすくなります。その結果、疲れやすさやイライラ、不眠といった症状が現れることがあります。
免疫機能の低下
笑いが少ない生活では、免疫細胞の働きが低下し、風邪や感染症にかかりやすくなる可能性があります。
メンタル不調のリスク増加
笑わない状態が続くと、セロトニンやドーパミンの分泌も減少し、抑うつ気分や不安感が強まり、うつ病などの精神的な不調につながることもあります。
作り笑顔でも健康効果はあるの?

「無理に笑っても意味がないのでは?」と思う方も多いでしょう。しかし、作り笑顔でも一定の健康効果があることが示唆されています。
口角を上げて笑顔の形を作るだけでも、脳は「楽しい状態」と錯覚し、セロトニン分泌が促されるとされています。気分が落ち込んでいるときほど、意識的に口角を上げることは、心身の回復のきっかけになります。
笑うことでどんな病気を予防する可能性が高まる?

高血圧·動脈硬化
高血圧とは、血管にかかる圧力が慢性的に高い状態です。動脈硬化は、血管の内側に脂質などがたまり、血管が硬く・狭くなる状態で、心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。
主な原因として、慢性的なストレス、塩分の多い食生活、運動不足、喫煙などが挙げられます。特にストレスは自律神経を乱し、血管を収縮させることで血圧上昇につながります
笑うことで副交感神経が優位になり、血管が拡張しやすくなります。その結果、血圧の安定や血流改善が期待できます。
もちろん治療や生活習慣の改善が基本ですが、高血圧や動脈硬化の予防を後押しする要素のひとつと考えられています。
うつ病・不安障害
うつ病は、気分の落ち込みや意欲低下、不眠、食欲不振などが長期間続く精神疾患です。
不安障害は、強い不安や恐怖が日常生活に支障をきたす状態です。
原因として、強い心理的ストレス、長期間の疲労、環境の変化、脳内ホルモン(セロトニンなど)のバランスの乱れが関与します。
笑うことで分泌されるセロトニンやドーパミンは、心の安定や幸福感に深く関係しています。
笑いは治療の代わりになるものではありませんが、ストレス緩和や気分転換として、発症や再発を予防する補助的な役割が期待されます。医療機関での治療と並行して、笑える時間を意識的に作ることが大切です。
認知症
認知症とは、記憶力や判断力、理解力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態です。
加齢、脳の血流低下、慢性的なストレス、社会的な孤立 などが複合的に関与すると考えられています。特に人との交流が少なく、刺激の少ない生活は、認知機能低下のリスクを高める要因とされています。
笑うことで脳が刺激され、前頭前野や記憶に関わる部位が活性化するとされています。 また、笑いを伴う会話や人との交流は、社会的孤立を防ぎ、認知機能低下の予防につながる可能性があります。人と話し、一緒に笑う時間を増やす習慣は、認知症予防を支える重要な生活習慣のひとつと考えられています。
「笑う門には福来る」についてよくある質問

ここまで笑う門には福来るについて紹介しました。ここでは「笑う門には福来る」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
よく笑う人は免疫力が高いのでしょうか?
上田 雄大
よく笑う人はストレスが軽減され、免疫細胞の働きが活性化しやすいとされています。ただし、笑うだけで病気を完全に防げるわけではありません。十分な睡眠や栄養、運動と組み合わせることが大切です。
まとめ
笑うことは、単なる感情表現ではなく、心と体の健康を支える大切な行動です。ストレス軽減、血流改善、免疫力向上、心の安定など、多くの健康効果が期待できます。忙しい毎日の中でも、好きな人と話す、面白い動画を見る、意識して口角を上げる、日常の小さな「笑い」を大切にしてみてください。
「笑う門には福来る」と関連する病気
「笑う門には福来る」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
精神科・心療内科
- うつ病
- 不安障害
笑うという行為は、脳・自律神経・免疫系・ホルモン分泌などに影響を与え、精神面・身体面の健康を支える働きを持っています。
「笑う門には福来る」と関連する症状
「笑う門には福来る」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 慢性的なストレス
- 肩こり
- 不眠
- 慢性的な疲労感
これらの症状は笑うことを減らす可能性があり、また笑うことが減ることでこれらの症状の悪化が見られる可能性もあります。
参考文献
- Stress relief from laughter? - Mayo Clinic
- The health benefits of humor - Mayo Clinic Press
- The Healing Benefits of Humor and Laughter - U.S. Department of Veterans Affairs
- Laugh it up! Benefits of laughter for older adults - UCLA Health
- The effect of laughter on the immune function of female university students - 山口県立大学看護学部紀要
- 笑って元気に、笑いの力でストレス解消〜生活習慣病・認知症予防〜 - 福島県立医科大学




