「甘いものは別腹」って言うけど本当なの?別腹で避けた方がいい食べ物も医師が解説!

甘いものは別腹って言うけど本当なの?メディカルドック監修医が別腹が起きる仕組み・食べ続けると現れる症状や病気・対策などを解説します。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。
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甘いものは別腹って言うけど本当なの?

お腹がいっぱいでこれ以上食べられないと感じていても、好物のデザートを見ると不思議と食欲が湧いてくる経験は誰にでもあるものです。「別腹」は単なる気持ちの問題や甘えだと思われがちですが、実は医学的にもそのメカニズムが解明されつつある体の生理現象です。脳と胃の連携によって起こるこの現象について、正しい知識を持つことが健康管理の第一歩となります。
別腹が起きる仕組み

脳内ホルモン「オレキシン」の働き
満腹状態でも好物を見たり香りを嗅いだりすると、脳の視床下部から「オレキシン」というホルモンが分泌されます。このオレキシンが働くと、消化管の運動が活発になり、食欲中枢が再び刺激されてしまいます。つまり、脳が食べ物を認識することで、体に対して「まだ食べられる」という指令を出してしまうのです。
胃の適応性弛緩(胃が広がる現象)
オレキシンの分泌や「食べたい」という脳からの指令は、迷走神経を通じて胃に伝わります。すると、胃の上部(胃底部)の筋肉が緩んで広がり、物理的に食べ物が入るスペースが新たに作られます。これを医学的に「適応性弛緩」と呼び、実際に胃の容量が増えることで、満腹感が一時的にリセットされる現象が起こるのです。
特異的感覚満腹感(味への飽き)
食事で同じ味(例えば塩味や旨味)を食べ続けると、脳はその味に対して「飽き」を感じ、満腹のサインを出します。しかし、全く異なる味(甘味など)が提示されると、その新しい刺激に対してはまだ満腹中枢が反応していないため、食欲が復活することが少なくありません。これは栄養のバランスをとろうとする生物としての本能的な機能の一部でもあります。
ドーパミンによる快楽報酬系
甘いものを食べると脳内で快楽物質であるドーパミンが分泌され、幸福感を感じます。過去に甘いものを食べて幸せを感じた記憶があると、デザートを見た瞬間に脳がその快楽を予期してドーパミンを放出させようとします。この報酬系の働きが、身体的な満腹感を超えて「食べたい」という強い衝動を引き起こす要因となるのです。
インスリン分泌の予期反応
甘いものを見ると、体はこれから糖分が入ってくることを予期して、すい臓からインスリンをわずかに分泌させることがあります。インスリンには血糖値を下げる働きがあるため、血中の糖分が細胞に取り込まれ、一時的に血糖値が下がりやすいです。この血糖値の低下が空腹感のシグナルとなり、再び食欲を感じさせる原因の一つとなります。
別腹で甘いものを食べ続けると現れる症状

反応性低血糖(食後の強い眠気・だるさ)
空腹ではない状態で糖分をさらに摂取すると、血糖値が急激に上昇し、それを下げるためにインスリンが過剰に分泌されます。その結果、今度は血糖値が急降下し、食後に強い眠気、だるさ、冷や汗、動悸などが生じることがあります。これを防ぐには糖質の過剰摂取を控えること、血糖の急上昇を抑える低GI食品を摂取すること、食物繊維をよく摂ることなどの対策が必要です。症状が頻繁に起きる場合は糖尿病の前段階の可能性があるため、内科や糖尿病内科への相談が推奨されます。
別腹で甘いものを食べ続けると発症しやすい病気

肥満症・メタボリックシンドローム
摂取カロリーが消費カロリーを恒常的に上回ることで、内臓脂肪が蓄積します。これは単に体重が増えるだけでなく、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病の温床となります。まずは食事療法と運動療法が必要ですが、BMIが高度に高い場合や合併症がある場合は、内科や肥満外来での専門的な治療が必要です。
2型糖尿病
慢性的に糖質を過剰摂取し続けると、インスリンの効きが悪くなったり、分泌量が低下したりして血糖値のコントロールができなくなり、2型糖尿病を発症します。喉の渇きや多尿が初期症状として現れることがありますが、無症状で進行することも多いです。健康診断で血糖値の異常を指摘されたら、放置せずに必ず内科や糖尿病内科を受診し、食事指導や薬物療法を受ける必要があります。
脂肪肝
アルコールを飲まなくても、糖質の摂りすぎによって肝臓に中性脂肪が溜まる病気です。自覚症状はほとんどありませんが、放置すると肝炎や肝硬変、さらには肝がんへと進行するリスクがあります。定期的な血液検査や腹部エコー検査が重要であり、消化器内科や肝臓専門医のもとで、減量や食事内容の改善を行うことが治療の基本となります。
別腹で甘いものが食べたくなった時に避けた方がいい食べ物

液体状の糖分(清涼飲料水・甘いコーヒー)
噛まずに飲み込める液体状の糖分は、消化吸収のスピードが非常に速く、血糖値を急激に上昇させます。満腹感も得られにくいため、さらに固形物を食べたくなり、カロリーオーバーの原因となります。別腹を満たしたい時でも、砂糖たっぷりのジュースやシロップ入りのカフェラテなどは避けるべきです。
揚げた菓子類(ドーナツ・スナック菓子)
糖質と脂質の組み合わせは、脳の報酬系を最も強く刺激し、依存性を高める性質があります。特に油で揚げたお菓子は高カロリーであるだけでなく、酸化した油が胃腸の粘膜に負担をかけ、消化不良や胸焼けを引き起こしやすくなります。食後の満たされた胃には負担が大きすぎるため控えるのが賢明です。
クリームを多用した洋菓子・菓子パン
生クリームやバターを大量に使ったケーキ・菓子パンなどは、脂肪分が非常に多く含まれています。脂肪は胃内での滞留時間が長く、消化に時間がかかるため、すでに食事をしている胃にさらに詰め込むと、翌朝まで胃もたれが続く原因となります。
果糖ブドウ糖液糖含むアイスやゼリー
成分表示に「果糖ブドウ糖液糖」と書かれた食品は注意が必要です。これは通常の砂糖よりも体内で中性脂肪に変わりやすく、脂肪肝のリスクを高めると言われています。アイスクリームやゼリーなどの加工品に多く含まれているため、購入時に確認することをお勧めします。
別腹で甘いものが食べたくなった時の対策

食べ物を見えない場所に置く
前述の通り、新しい食べ物が目に付くと、ドーパミンによる報酬系が回ってしまい「食べたい」という衝動がでてしまいます。そのトリガーになるのは、まずは食べ物を見つけるという視覚的な情報です。食後は次の食べ物を見えないところに置くことが第一の対策です。
温かいお茶やブラックコーヒーを飲む
温かい飲み物は胃を落ち着かせ、満足感を高める効果があります。特に香りの良いハーブティーやコーヒーは、味覚をリフレッシュさせ、甘いものへの執着を断ち切るのに役立ちます。砂糖やミルクを入れずに香りを楽しみながらゆっくり飲むことがポイントです。
すぐに歯磨きをする
食後すぐに歯磨きをして口内をすっきりさせることで、脳に「食事終了」の合図を送ることができます。また心理的にも糖分の多いものは取りにくくなるので、間食が取りにくい状況を作ることが可能です。また、ミント系の歯磨き粉を使うと、その後に甘いものを食べても味が変わってしまい、美味しく感じにくいため、間食の抑止効果が高まります。
高カカオチョコレートを少量食べる
どうしても甘いものが我慢できない場合は、カカオ分70%以上のチョコレートをひとかけらだけ食べるのが有効です。高カカオチョコレートにはポリフェノールが含まれ、少量でも満足感が得られやすく、血糖値の上昇も比較的緩やかです。
フルーツを代用する
ケーキやクッキーの代わりに、季節の果物を少量食べるようにします。果物にも果糖は含まれますが、ビタミン、ミネラル、食物繊維も同時に摂取できるため、精製された砂糖を使ったお菓子よりは健康的です。ただし食べ過ぎには注意しましょう。
「別腹」についてよくある質問

ここまで別腹について紹介しました。ここでは「別腹」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
甘いものの摂取を止めるとどんな健康効果が期待できますか?
齋藤 雄佑 医師
甘いものへの依存から抜け出すと、血糖値の乱高下がなくなるため、日中の眠気や集中力の低下が改善され、精神的にも安定しやすくなります。また、余分な糖質による肌の糖化(老化)が防げるため、老化予防になったり、肌荒れやくすみが改善したり美容効果も期待できます。長期的には糖尿病や肥満のリスクが下がり、内臓の負担が減ることで、より活動的で健康的な生活を送ることができるでしょう。
まとめ:別腹とは適切な距離感で楽しむことが大事
「別腹」は決して気のせいではなく、脳と胃のメカニズムによって引き起こされる生理現象です。
しかし、体の反応に任せて食べ続けてしまえば、肥満や糖尿病、胃腸障害といった深刻な健康被害を招くリスクがあります。別腹の仕組みを理解した上で、質や量をコントロールし、適度に楽しむことが大切です。自身の食生活を振り返り、甘いものとの付き合い方を見直してみてください。
「別腹」と関連する病気
「別腹」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内分泌・代謝内科の病気
- 2型糖尿病
- 脂質異常症(高脂血症)
消化器科の病気
- 胃食道逆流症(GERD)
- 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
過度な糖質摂取は全身の臓器に影響を与えます。定期的な健診が重要です。
「別腹」と関連する症状
「別腹」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 食後の胸焼け
- 呑酸(酸っぱいものが上がる)
- 慢性的な疲労感
- 食後の強い眠気
- みぞおちの痛み
- 胃もたれ
これらの症状が続く場合は、単なる食べ過ぎと放置せず受診を検討してください。




