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「食後に薬を飲む理由」はご存知ですか?空腹時に薬を飲んではいけない理由も解説!

 公開日:2026/02/27
「食後に薬を飲む理由」はご存知ですか?空腹時に薬を飲んではいけない理由も解説!

食後に薬を飲む理由とは?メディカルドック監修医が食後の薬を処方される症状や病気などを解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

食後って食事が終わってから何時間以内?

食後って食事が終わってから何時間以内?

薬の服用における「食後」とは、一般的に食事が終わってからおよそ30分以内を指します。そのタイミングであれば、胃の中に食べ物が残っている状態で薬を服用できるためです。
食べ物が胃にとどまる時間は平均2〜3時間といわれていますが、食事内容や量、その時の体調によって幅があります。水っぽくて柔らかいものは早く胃の中から無くなり、タンパク質や脂肪が多いものは時間がかかります。
厳密には幅があるものの、胃に食べ物が入っている可能性が高いということで食後30分以内とされるのです。
なお、「食直後」と指示された場合は、食べ終わったらすぐに服用してください。

食後に薬を飲む理由とは?

食後に薬を飲む理由とは?

食後に薬を飲む代表的な理由を3つ解説します。

胃の負担をやわらげるため

痛み止めや一部の風邪薬は、副作用で胃の粘膜が荒れる可能性があります。空腹時で胃の中に何も入っていないと、薬が直接粘膜に触れて胃を荒らし、胸やけや食欲の低下などが起こりやすくなります。
食後であれば、食べ物がクッションとなって薬が胃の粘膜に直接触れにくくなるため、胃が荒れにくくなるのです。

食後の方が吸収がよいため

薬の成分が水よりも油に溶けやすい性質を持つ(脂溶性:しようせい)場合、食後に飲んだ方が体への吸収が高まりやすくなります。食事に含まれる脂質や食事によって分泌される消化液によって吸収が高まるためです。
具体的には、一部のビタミン剤や抗真菌剤(カビによる感染症を治療する薬)などが該当します。
なお、食事に含まれる脂質の量によって吸収量が変わるケースはありますが、脂質の摂りすぎも良くありません。基本的には、バランスのよい食生活を心がけましょう。

飲み忘れを防ぐため

「食後」というタイミングは、薬の飲み忘れ予防にも効果があります。具体的には、以下のような理由が挙げられます。

 ・食事とセットにすることで、薬を飲む習慣をつけやすい
 ・食事の間隔は4~5時間ほど空くケースが多いため、1日3回の薬の服用間隔と一致しやすい
 ・食後なら薬を飲むための水を用意しやすい

薬を飲む習慣がついていない場合、たとえば「6時間おきに飲んでください」と言われても、飲み忘れてしまうことがほとんどです。そこで薬を食後に服用すれば、飲み忘れを防げます。
ただし、夜勤がある、1日2食しか摂らないなどで食生活が不規則な方は「食後」が医師の想定する薬の服用間隔とズレる可能性があります。当てはまる方は、医師や薬剤師へご相談ください。

どんな症状が現れると食後の薬を処方される?

どんな症状が現れると食後の薬を処方される?

食後の薬は、どのような症状のときに処方されるのでしょうか。ここからは、食後の薬が処方されやすい症状を2つ紹介します。

足や腰などの痛み

筋肉の緊張や骨の変形が原因で腰や足、肩などに痛みがある場合、痛み止めが処方されるケースがよくあります。痛み止めは胃を荒らしやすいため、食後の指示になるケースがほとんどです。
「痛いときだけ飲んでください」という頓服で出ることもありますが、胃が荒れる可能性を考えると、軽くでも何か胃に入れてから服用するほうが望ましいでしょう。
なお、ズキズキするような鋭い痛み、ジンジンしたしびれるような痛み、重くてだるい感じなど、痛みの感じ方はそれぞれです。
我慢して生活すると、痛みをかばった影響で別の部分の痛みが出たり、より悪化したりする可能性も考えられます。痛みがつらい場合、しびれがある場合などは整形外科を受診しましょう。

熱やのど・頭の痛み

発熱やのどの腫れ、頭痛などがある場合、ウイルスや細菌に感染している可能性があります。のどや頭の痛みがつらい、熱が高いなどの場合、解熱鎮痛剤(痛み止め)で症状が楽になるでしょう。
解熱鎮痛剤のなかには、足や肩の痛みを抑える薬と同様に胃の粘膜を荒らすものがあります。そのため、「食事に関係なく飲んで大丈夫です」と言われたとき以外は、食後に飲むのが基本です。ただし、体調が悪くて食事が摂れない場合は、食後でなくても飲めるかを確認すると安心です。
頭痛や熱などが出始めたら十分な水分補給を行い、部屋の湿度を保ちながら安静に過ごして免疫力による回復を待ちます。高熱が続く、痛みが強い、水分も摂れないなどの場合は、無理をせずに内科を受診しましょう。

どんな病気を発症すると食後の薬を処方される?

どんな病気を発症すると食後の薬を処方される?

食後の薬が処方されるケースの多い病気について、3つ例を挙げて紹介します。

高血圧

高血圧とは、血管に過度な圧力がかかり続ける状態です。診察室での血圧が140/90mmHg以上であると、高血圧と診断されます。
治療の基本は減塩や運動などの生活習慣の改善ですが、基準値を超え続ける場合は血圧を下げる降圧薬の服用を検討します。
血圧を一定に保つために、降圧薬は毎日同じ時間に飲むことが大切です。食事の影響を大きく受けない薬もあるため、飲み忘れた際の対応は医師や薬剤師に確認しておきましょう。
高血圧は自覚症状がないケースが多いのですが、放置すると血管や心臓に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中などの重い病気になる確率が高まります。
健康診断で高血圧を指摘された、家庭で測定した血圧が高い日が続くなどの場合は、内科や循環器内科を受診しましょう。受診の際は、家庭で測った血圧の記録があれば持参するとスムーズです。

細菌やウイルスによる感染症

細菌やウイルスによる感染症は、体外から病原体が侵入して炎症が起こり、発熱やだるさなどがあらわれる病気です。
どちらが原因でも安静と水分補給が基本ですが、細菌感染と診断された場合は原因菌を叩く抗菌薬が処方されます。また、つらい症状をやわらげる解熱鎮痛剤や咳止め、鼻水や痰の流れをよくする薬なども処方されます。
これらの薬は基本的に食後に飲むように処方されます。とくに解熱鎮痛剤は胃を荒らしやすいため、空腹時は避けて食後の服用が望ましいです。ただし、咳止めや鼻水の薬は食事の影響を受けにくいものも多いため、食事が摂れないほど体調が悪い場合は、時間で服用してもよいか医師や薬剤師に相談しましょう。
数日経っても熱が下がらない、咳が止まらず呼吸が苦しいなどの場合は早急に内科を受診してください。

関節痛や腰痛

関節痛や腰痛は、加齢に伴う骨の変形(変形性関節症)や成長期のスポーツ障害、圧迫骨折や脱臼などの外傷など、さまざまな原因によって起こります。炎症が起きている場合、治療には痛みや炎症を抑える消炎鎮痛剤(痛み止め)がよく処方されます。
痛み止めは空腹時に飲むと胃を荒らす可能性があります。そのため、食べ物がクッションとなって胃の負担がやわらぐ食後に服用するケースが多いのです。
安静にしていても痛みがある、痛みが徐々に強くなる、しびれがあるなどの場合は整形外科を受診しましょう。

食後から時間が経った後に薬を飲むと薬の効果は薄くなるの?

食後から時間が経った後に薬を飲むと薬の効果は薄くなるの?

食べ物が胃に入っている状態の方が吸収がよい薬は、効果が薄くなる可能性があります。食後と指示されているのなら、基本的には食後30分以内の服用が望ましいでしょう。
なお、飲み忘れて食後から時間が経った場合、以下のような対応法があります。
・軽く食べ物を胃に入れてから飲み忘れた分を服用する
・思い出した時に服用する
・飲み忘れた分は飛ばして次の服用時を待つ
どの方法が適するかは、処方された薬の成分や次の服用までどの程度の時間が空いているかによって異なります。
次の服用と一定の時間を空ければ食事から時間がずれても問題ない薬もあるため、医師や薬剤師に対処法を確認しておくとよいでしょう。

食前に薬を飲む理由とは?

食前に薬を飲む理由とは?

薬の服用における「食前」とは、基本的に食事の20〜30分前を指します。ここからは、食前に服用指示が出る理由を2つ紹介します。

食事による血糖値の変化に対応する薬のため

食事をすると、食事に含まれる糖分によって血糖値(血液中の糖分量)が上昇します。通常は血糖値が上がると体内で「インスリン」というホルモンが分泌されて血糖値を下げますが、そのはたらきが不十分だと高い血糖値が続いて体にさまざまな悪影響を及ぼします。
血糖値を下げる薬は食後の服用指示であるケースも多いのですが、血糖値による変化を抑える以下のような薬には、食前または食直前に服用するものもあります。

薬の種類 服用地点
血糖によって細胞が傷つくこと(合併症)を防ぐ薬 食前
食事中の糖分の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を抑える薬 食直前

これらの薬は服用タイミングがずれると十分な効果を発揮できないため、正しく服用することが大切です。食事の前に箸やお皿の横に薬もセッティングする、アラームを設定するなどの対処法も検討してみてください。

食前の方が吸収がよいため

食事による吸収低下を防ぐために「食前」に飲む薬もあります。食事を摂ると、胃内の酸性度が変化したり、食べ物が物理的な壁となったりして、薬の吸収が妨げられる可能性があるためです。代表的な薬は、漢方薬です。
漢方薬の成分の多くは、腸に届いたあと、腸内細菌のはたらきによって体に吸収されやすい形に変えられます。食事の邪魔が入らない食前に服用することで、腸内細菌が効率よく成分に反応し、より高い効果が期待できるのです。
もし飲み忘れた際も、漢方薬の場合は食後に飲めるケースが少なくありません。効果がやや落ちる可能性はあるため、飲み忘れた際の対処法は医師・薬剤師へ確認しておくようにしましょう。

食欲を増して食事を摂りやすくするため

吐き気止めや食欲を増す薬のなかには、服用から効果があらわれるまで30分ほどかかるものがあります。あらかじめ食事の30分前(食前)に服用して薬を効かせておくことで、吐き気や食欲不振が収まり、食事が摂りやすくなります。
胃腸炎などで食事が難しい際は、薬が効いてきた頃に水分だけでも摂れるかを試すのもよいでしょう。

食間に薬を飲む理由とは?

食間に薬を飲む理由とは?

「食間」とは食事と食事の間、つまり胃の中に食べ物が入っていない空腹の状態を指します。食後2時間ほど経ってからとも言います。なお、「食事をしている途中に飲む」という意味ではないことに注意が必要です。
食間の薬について、ここからは説明します。

胃粘膜に直接作用させたいため

胃の粘膜に結合し、胃酸によって傷んだ部分の修復を助ける一部の胃薬は、食間で服用するケースがあります。
食間は飲み忘れやすいため、1回分を持ち歩いたり服用時間にスマートフォンのアラームをかけたりするのも良い方法です。

胃が空の状態の方が吸収がよいため

食後2時間ほど経過すると消化がだいぶ進んで胃の中身は少なくなり、空腹状態に近くなります。そのため、胃の中で食べ物と混ざらないでほしい薬は、食間の服用です。
空腹状態という意味では「食前」も似ていますが、食前の場合、結果的には薬と食べ物が胃の中で同時に存在することになります。食間であれば、薬の服用から次の食事までも時間が空くため、薬が胃の中で食べ物に触れる可能性をより下げられるのです。
漢方薬は食前で処方されるケースが多いのですが、食間の処方例もあります。また、カビによる感染症を治療する抗真菌薬のなかにも、食間で処方されるものがあります。

「食後に薬を飲む理由」についてよくある質問

「食後に薬を飲む理由」についてよくある質問

ここまで食後に薬を飲む理由について紹介しました。ここでは「食後に薬を飲む理由」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

空腹時に薬を飲んではいけない理由を教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

主な理由は、「胃へのダメージを抑えるため」と「成分の吸収を助けるため」の2点です。
以下に、空腹時に飲むべきでない薬の例とその理由をまとめました。

薬の種類 理由
胃を荒らしやすい薬 空腹時は、胃粘膜に薬が直接触れる時間が長くなり、胃炎や胃潰瘍のリスクが高まるから
食事で吸収が高まる薬 食事に含まれる油分によって吸収が高まり、より高い効果を期待できるから

ただし、「空腹時は、どんな薬も飲んではいけない」というわけではありません。空腹時に飲むべき薬(食前・食間)も存在するため、指示されたタイミングを守ることが大切です。
飲み忘れた際は、薬によって最適な対処法が異なるため、対応をあらかじめ医師や薬剤師に確認しておきましょう。

まとめ:食後の指示が出ている薬は正しく服用しよう

食後に薬を飲む指示には、薬の効果を高めるため、飲み忘れを防ぐためなどのさまざまな理由があります。薬の性質や診察時の体調などを考慮して医師は服用方法や回数を決めています。
食前・食間・食後などの指示を守り、正しく服用するようにしましょう。
自己判断で薬の飲み方を変えると、狙った効果が得られなかったり思わぬ副作用が出たりする可能性も考えられます。生活リズムをはじめとする何らかの事情により服用が難しい場合は、遠慮せずに医師へご相談ください。

「食後の薬」と関連する病気

「食後の薬」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

呼吸器系の病気

整形外科の病気

食後の薬が処方される病気は非常に多いです。薬について気になる点があれば、処方医へ確認してみてください。

「食後の薬」と関連する症状

「食後の薬」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • めまいがする
  • のどが痛い
  • 熱がある
  • 胃もたれがする
  • 腹痛がある

「食後に出ている薬」というだけでは、どのような症状かを特定することは困難です。薬について気になる点は、処方医や調剤した薬局へ相談してみてください。

この記事の監修医師