「急性心不全」を予防する可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?医師が解説!


監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
目次 -INDEX-
「急性心不全」とは?
急性心不全とは、心臓のポンプ機能が突然低下し、全身に必要な血液を送り出せなくなった状態を指します。短時間のうちに息切れ、呼吸困難、むくみなどの症状が現れ、重症化すると肺に水がたまる肺水腫や血圧の急激な低下を伴い、放置すれば生命に直結する危険な状態です。急性心不全の主な原因
心筋梗塞、不整脈、弁膜症の悪化などが主な原因です。さらに、感染症、甲状腺機能異常、腎不全、過度の塩分や水分摂取、薬剤の影響などは発症を助長します。代表的な原因を3つ取り上げ、詳しく説明します。心筋梗塞
心筋梗塞は、冠動脈が詰まって心筋に血液が届かなくなることで起こり、心臓の収縮力が急速に低下して急性心不全に至ります。典型的な症状は、突然の胸痛、冷や汗、呼吸困難、意識消失などで、時間が経つほど心臓のダメージが広がります。救急対応可能な循環器科への速やかな搬送が必要です。発症直後の対応が生死を左右するため、ためらわず救急車を要請しましょう。自己判断での様子見は大変危険です。不整脈
心房細動、心室頻拍、房室ブロックなどの不整脈は、心臓の拍動リズムを乱すため、十分な血液を全身に送り出せなくなります。その結果、心不全へとつながります。特に心室頻拍や心室細動は心停止に直結するため、救急車を要請し、救急科や循環器内科の受診が必須です。症状が一時的に治まっても放置すると再発や重症化の危険が高いです。そのため、突然の意識消失や動悸が続く場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。弁膜症の悪化
心臓の弁は血液の流れを一方向に保つ役割を担っています。そのため、弁膜症が進行すると逆流や狭窄により心臓へ過度な負担がかかります。特に大動脈弁狭窄や僧帽弁閉鎖不全が急激に悪化すると、呼吸困難、動悸、全身の浮腫が急速に進行し、急性心不全を起こします。症状が急変した場合は救急科や循環器科を速やかに受診することが重要です。また、弁膜症にてすでに通院されている患者さんは、息切れや疲れやすさが強くなった時点で、早めに主治医に相談しましょう。急性心不全の代表的な症状
代表的な症状は、突然の呼吸困難や強い息切れ、動悸、全身のむくみなどで、重症化すると肺水腫や意識障害を伴い生命に直結することが多いです。代表的な症状を以下で解説します。呼吸困難
肺に血液がうっ滞することで呼吸困難が起こります。横になるとさらに悪化するため、体を起こして座位を保つことで一時的に楽になることがあります。しかしながら、根本的な改善には至りませんので、循環器科の早急な受診が不可欠です。急激に症状が進行することもあるので、自己判断での放置は危険です。早めの医療機関受診をお勧めします。動悸
急性心不全の原因として不整脈が関連することが多く、動悸は代表的な症状の一つです。脈が極端に速い、乱れている、あるいは意識が遠のくような場合は危険です。深呼吸や安静で一時的に落ち着くこともありますが、改善しない場合は、循環器科や救急科を受診してください。突然の強い動悸は、致死性不整脈で心停止に直結することもあるため、緊急性が高い症状であることに留意してください。全身のむくみ
心不全が進行すると血液の循環が滞り、足、顔、全身にむくみが起こります。特に、急激にむくみが進行する場合は急性増悪のサインです。まずは、塩分や水分を控え、下肢を高くして安静にしてください。多少症状が軽減することがありますが、根本的な対応にはならないため、速やかに循環器科を受診してください。急性心不全を予防する可能性の高い食べ物
急性心不全を予防する可能性の高い食べ物には以下のようなものがあります。日常生活での積極的な取り入れを検討しましょう。大豆製品
大豆には植物性たんぱく質やイソフラボンが含まれ、コレステロールの低下作用や血管内皮機能の改善に寄与します。結果、心不全のリスクを下げる効果が期待できます。なお、大豆製品に含まれるβ-コングリシニンはイソフラボンとは異なる大豆由来のたんぱく質です。このたんぱく質は、近年の研究では腸内環境を介して心不全の改善に寄与する可能性も報告されています。豆腐や納豆など、日本の食卓に取り入れやすい食品なので無理なく継続できることも利点です。青魚
青魚にはEPAやDHAなどのオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれており、動脈硬化や血栓形成を防ぐ効果が期待されます。これにより心筋梗塞や不整脈など急性心不全の引き金となる疾患のリスクを下げることが可能です。サバ、イワシ、サンマなどを積極的にとりましょう。緑黄色野菜
緑黄色野菜には、抗酸化作用を持つβカロテン、ビタミンC、ビタミンEが多く含まれており、血管機能の維持に関与します。また、カリウムを豊富に含むため、体内の余分なナトリウムを排出し、血圧を安定化させる作用もあります。結果、高血圧発症リスクや心不全を含む循環器疾患による死亡リスクの低下が期待できます。ほうれん草やブロッコリーなどを取り入れることをお勧めします。急性心不全発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物
急性心不全のリスクを上げやすい食べ物・飲み物には以下のようなものがあります。日常生活に馴染みがあるものです。注意しましょう。塩分の多い食品
過剰な塩分は体内に水分をため込み、血圧を上昇させます。その結果、心臓に負担がかかり、急性心不全の発症や再発リスクを高めます。漬物、みそ汁、丼物などは注意が必要です。脂肪分の多い肉や揚げ物
動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸は、血中のLDLコレステロールを増加させ、動脈硬化や冠動脈疾患を進行させます。これらは心筋梗塞を起こす要因となり、結果、急性心不全につながる危険性があります。脂身の多い肉、バター、揚げ物、クリーム系食品などは注意が必要です。過剰なアルコール
過剰なアルコールは高血圧や心筋障害を引き起こし、急性心不全のリスクを上げます。ビール、日本酒、ワインなど種類に関わらず飲み過ぎは有害です。少量でも毎日飲み続けることは心臓に負担をかけるため、すでに心疾患のある患者さんは禁酒が望ましいです。急性心不全を予防するために大切な生活習慣・運動習慣
急性心不全を予防するには、生活習慣に留意することが最も重要です。以下に代表的な項目をあげて解説いたします。バランスの良い食事
塩分摂取を控えることが予防の基本です。和食のだしや香辛料を活用し、薄味を心がけることが重要です。また、野菜や果物、魚、大豆製品を中心にバランスの良い食事を意識すると、動脈硬化や高血圧の進行を防ぎます。適度な有酸素運動
ウォーキング、軽いジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は心臓に無理なく負担をかけ、血圧や体重管理に有効です。可能であれば、毎日20〜60分継続[香木2] [33] することが望ましいです。しかしながら、急に激しい運動を始めると逆効果となるため、自身の体力に応じて強度を調整してください。持病のある患者さんは、かかりつけ医に相談しながら進めることが重要です。禁煙
喫煙は血管を収縮させて血圧を上昇させるだけでなく、血管内皮を傷つけるため、動脈硬化を進めます。その結果、心筋梗塞や不整脈を起こしやすくなり、結果、急性心不全のリスクを高めます。また、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は心筋への酸素供給を妨げ、慢性的に心臓に負担を与えます。急性心不全を予防するうえで、禁煙は最優先に取り組むべき生活習慣です。「急性心不全の予防」についてよくある質問
ここまで急性心不全の予防について紹介しました。ここでは「急性心不全の予防」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
心臓に良いトレーニングや運動はありますか?
佐藤 浩樹 医師
急性心不全を予防するためには、心臓に過度な負担をかけずに持久力を高める適度な運動が有効です。代表的なのは、**ウォーキング、軽いジョギング、水中運動、サイクリング**などの**有酸素運動**で、一定のリズムで呼吸と心拍を保ちながら行うことが大切です。毎日20〜60分を目標としましょう。ただし、急に激しい運動を始めると逆に心臓に大きな負荷をかけるため、まずは医師に相談し、自分の体力や基礎疾患に合った強度を確認することが重要です。また、運動中に胸の痛みや強い息切れ、動悸などが出た場合は直ちに中止し、医療機関を受診しましょう。
まとめ
急性心不全を予防するには、日常生活の中で心臓への負担を減らす対策が欠かせません。**減塩を基本としたバランスの良い食事、禁煙、節酒**は必須の生活習慣です。さらに、有酸素運動を継続することで、リスクを下げることができます。予防は可能ですので、一度、自身の生活習慣を見直してみてください。
「急性心不全」と関連する病気
「急性心不全」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
呼吸器系
「急性心不全」と関連する症状
「急性心不全」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
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