何を摂り過ぎると「慢性心不全」になりやすい?「原因」と症状も医師が解説!

慢性心不全の原因とは?メディカルドック監修医が慢性心不全の原因・発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物・症状・治療法などを解説します。

監修医師:
小鷹 悠二(おだかクリニック)
目次 -INDEX-
「慢性心不全」とは?
心臓は、体に血液を送るポンプの働きをしている臓器です。
血液は臓器や筋肉などの体中の組織を維持するうえで必要不可欠なものであり、血液を通して酸素や栄養分が供給されています。
心臓の仕事量はとても多く、一回の拍動で血液を約60ml送り出しており、1日に約10万回拍動を繰り返しています。
この心臓の機能が何らかの原因で低下してしまう状態を「心不全」とよび、突然出現した場合を「急性」心不全、徐々に進行して症状が慢性的に持続する状態を「慢性」心不全と呼びます。
慢性心不全の主な原因
慢性心不全の原因としては以下のようなものがあります。
高血圧
血圧が高い状態となると心臓にも過剰な圧力がかかる状態となるため、心臓に負担がかかりやすくなります。
それだけでなく、高血圧によって動脈硬化が進行してしまうと、後述するような狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(心臓の血流が悪くなった病気)や心臓弁膜症(心臓的部屋をしきっているフタの異常)など様々な心疾患を引き起こし、それによって心機能が低下し、心不全状態となりやすくなってしまいます。
心臓への過度な負担により、息切れやむくみといった症状が出現しやすくなるため、定期的な血圧管理が非常に重要です。
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患
心臓は血液を送るポンプとして働いていますが、心臓を動かすためにも心臓の筋肉に血液を送る必要があります。その役割を担う血管は心臓の表面を走っており、冠のような形をしているため冠動脈と呼ばれます。
この冠動脈の血流が悪くなってしまう病気が狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患と呼ばれる病気です。
血管が動脈硬化によって固くなり、血管内に脂分がたまってプラークができ、狭くなって流れが悪くなります。流れが悪くなった状態では、体を動かしたとき(運動や階段、坂道など)に心臓の筋肉が必要とする血液量が増えると、十分な血流が維持できず、胸痛を生じてしまいます。この状態を狭心症と呼びます。
狭心症がさらに進行し、冠動脈の血流が途絶し、より広い範囲の心臓の筋肉が障害を受けた状態を心筋梗塞と呼びます。
このような狭心症や心筋梗塞を発症すると、心臓の筋肉に障害が残ってしまうことも多く、それによって心臓の機能が低下し、心不全を引き起こすことがあります。
心臓弁膜症
心臓内部は4つの部屋に分かれており、上の部屋は右心房と左心房、下の部屋は右心室と左心室と呼ばれます。それぞれの部屋は弁と呼ばれるフタで仕切られていますが、高血圧などの生活習慣病の進行に伴う動脈硬化の増悪、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患により心臓にダメージが加わることで、弁の機能に障害を受けることがあります。逆流する状態になったものを閉鎖不全症とよび、固くなりうまく開かない状態となったものを狭窄症と呼びます。
これらの心臓の弁の異常を生じる病気を心臓弁膜症と呼びます。
弁の機能が著しく低下すると、全身に十分な血液を送れなくなるため、強い倦怠感や呼吸困難などの症状が現れます。これらの病気が疑われる際は、循環器内科を受診し、心エコー検査などで詳しく精査を行う必要があります。
慢性心不全発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物
慢性心不全発症のリスクを上げる食べ物としては、以下のようなものがあります。
塩分の高い食製品
塩分の摂取量が多いと、血圧を上昇させ、高血圧の原因となります。
また、塩分の主成分であるナトリウムが体内で高くなると、浸透圧によって水分も体に取り込まれてしまい、心臓に負担がかかりやすくなります。
以下のような食品は塩分量が多いため、食べる頻度には注意する必要があります。
- ラーメンのスープ
- みそ汁
- 梅干しや漬物
- ハムなどの加工食品
- カップラーメンや冷凍食品
- コンビニなどで市販の弁当
糖分・脂質の多い食べ物
過度のカロリーや糖分、脂質の摂取は肥満を引き起こし、糖尿病や脂質異常症、高血圧といった生活習慣病の原因となって、動脈硬化を悪化させます。
以下のような食品・食事には注意が必要です。
- 揚物や炒め物:天ぷら、フライドチキン、焼肉など
- 菓子類:ケーキやドーナッツ、ポテトチップス、饅頭など
- ファストフード:ハンバーガーやポテトなど
お酒
過度の飲酒はカロリーの過剰な摂取にもなりますし、つまみなども食べることでカロリーや塩分の摂取も増加します。
高血圧を引き起こしやすくなったり、不整脈の発生を増やす、心疾患の原因となるといったことも知られています。
適量であれば害は少ないため、節度を持って楽しむことが大切です。
適量の飲酒量は純アルコールで20g程度とされており、これはビールなら500ml、日本酒1合、ワイングラス2杯程度とされています。
慢性心不全の代表的な症状
息切れ、呼吸の苦しさ
心不全状態では、心臓の機能が低下することでうまく血液が全身に送れなくなり、階段の上り下りや坂道、軽い動作でも息切れが出現しやすくなります。
特にそれまでできていた動作で、息が上がる、一休みしないとできないようになるといった場合には注意が必要です。
心不全が進行すると、肺に水が溜まってしまう胸水が生じることで、うまく呼吸ができなくなり、安静時でも息苦しさなどの症状が出現しやすくなります。典型的な症状としては、仰向けでは苦しくて寝れなくなるが、上半身を起こすと楽になる起坐呼吸という症状があります。
息切れなどの症状は年のせいと思って見逃されることも多いため、注意が必要です。
むくみ
心不全状態となると、血液を送るポンプの働きをしている心臓の機能が低下するため、全身の血液がうまく循環しなくなります。
血液を送り出す働きが低下すると、心臓に血流が戻れなくなり、戻れなくなった血液が重力の関係もあり足に溜まりやすくなります。そうしてたまった血液が皮下に漏れ出してしまい、むくみが生じやすくなります。
足がむくむ、足の甲やすねが押すと凹む、体重が急に増えるといった症状には注意が必要です。
動悸
心不全となり心臓の血液を送り出す力が低下すると一回の拍動で送り出せる血液が低下するため、心臓はそれを補うために心拍数を増やすことで対応しようとします。そうすると頻脈となり、動悸を自覚しやすくなります。軽い動作ですぐにドキドキする、安静にしていても頻脈となりやすくなります。
さらに、心不全状態では心臓に負荷がかかるため、不整脈も出現しやすくなり、それによって動悸症状が悪化することもあります。
慢性心不全の治療法
心不全の治療は、生活習慣の改善と薬剤を用いた治療が中心となりますが、原因となる疾患によっては手術など原因疾患の治療が優先して行われることもあります。
薬物療法
下記のような薬剤を、症状や体の状態に応じて、複数を組み合わせて使います。
- 利尿薬:体にたまった余分な水分を尿として出します(むくみや息切れを軽くする)
- ACE阻害薬/ARB:血圧を下げたり、心臓の負担を減らす、心臓を保護する作用があります。
- β遮断薬:心臓の脈を落ち着かせて、心臓の仕事量を調整し、心臓の回復を助ける薬剤です。
- SGLT2阻害薬:最近使用されるようになってきた薬剤。機序はまだはっきりわかっていませんが、心不全の状態を改善させる、予後を改善させる効果がある薬剤です。
薬物療法は基本的に循環器内科で行われます。入院期間は病状により異なりますが、重症の場合は2週間から1ヶ月程度必要になることがあります。退院後は生涯にわたる内服継続と通院が必要です。
生活習慣の改善
下記のような生活習慣の改善を行います。
- 塩分を減らす:1日6g未満を目安
- 体重を毎日チェックする:心不全が悪化しむくみが出現すると体重が増加します。
- 適度な運動:無理のない範囲での運動が推奨されます。
- 禁煙・節酒:喫煙や過度の飲酒は避けることが重要です。
- 十分な睡眠とストレス管理
リハビリテーション科がある病院では、医師や理学療法士の指導のもと「心臓リハビリテーション」が実施されることがあります。これにより再入院の予防や生活の質の向上が期待できます。
手術
下記のような手術を行うこともあります。
- ペースメーカーの植え込み:脈がゆっくりになりすぎる不整脈がある場合に実施されます。
- 心臓再同期療法(CRT):心臓の動きが高度に障害を受けている場合に行われることがあります。
- 手術:心臓の弁の逆流に対する手術や、狭くなった血管を広げるカテーテル治療、冠動脈バイパス手術などを行うことで、原因となっている疾患の治療を行います。
手術の内容によって入院期間は異なりますが、カテーテル治療であれば数日から1週間程度、バイパス手術などであれば2週間以上の入院が必要となるのが一般的です。
「慢性心不全の原因」についてよくある質問
ここまで慢性心不全の原因などを紹介しました。ここでは「慢性心不全の原因」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
慢性心不全を発症したら日常生活で気をつけることについて教えてください。
小鷹 悠二(医師)
まず、普段の生活習慣に注意することが大切です。
・塩分を取り過ぎない
・食べ過ぎや飲み過ぎを避ける
・禁煙
・適度な運動
・十分な睡眠、休養
また、治療中の病気をしっかりコントロールすることも重要であるため、定期的に通院をする、内服薬を忘れないようにする、血圧などの生活習慣病をしっかりコントロールすることも心掛けてください。
まとめ
慢性心不全は、近年非常に患者数が増えている病気です。
適切な治療を行わないと、予後も悪い恐ろしい病気ですが、最近では治療方法の進歩も目覚ましく、適切に治療を行うことで症状を改善したり、寿命を延ばすことができるようになっています。
そのためには、早期発見、早期治療が非常に大切なので、何か気になる症状がある際には、一度病院を受診して相談することが大切です。
「慢性心不全」と関連する病気
「慢性心不全」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
慢性心不全と関係のある病気は様々です。いずれの病気も放置すると慢性心不全を発症するリスクが高まるため、かかりつけ医、循環器内科を受診するようにしましょう。
「慢性心不全」と関連する症状
「慢性心不全」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
慢性心不全は息切れ、呼吸困難の他に、胸痛、動悸、浮腫などを引き起こします。疑わしい症状がある場合には、早めに医療機関を受診して検査を受けることをお勧めします。




