「心不全」発症のリスクを上げやすい「食べ物」はご存知ですか?医師が解説!
心不全で食べてはいけないものとは?Medical DOC監修医が心不全発症のリスクを上げやすい食べ物・心不全を予防する可能性の高い食べ物・予防のために大切な生活習慣などを解説します。
監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
目次 -INDEX-
「心不全」とは?
心不全とは、心臓に何らかの異常があり、ポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態をいいます。この状態が進むと、心臓は無理して血液を送り出そうとしますので、次第に疲れて動かなくなっていきます。心不全は、病名ではなく、心臓のさまざまな病気や高血圧などにより、心臓に負担がかかった結果、最終的に至る状態です。
心不全発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物
心不全のリスクを上げやすい食べ物・飲み物には以下のようなものがあります。日常生活で目にすることが多いものばかりです。注意をしましょう。
塩分が多い食品
具体的な食品として、漬物、缶詰食品、加工肉(ハム、ソーセージ)、調味料などです。これらの食品は、塩分が多く含まれています。過剰な塩分は、血圧を上昇させ、高血圧を起こしやすいです。高血圧は心臓に大きな負担をかけ、心臓を疲れさせるため、心不全の原因となります。また、過剰な塩分摂取は、体内の水分バランスを崩し、むくみの原因となるのです。この状態は、心臓の負担を更に増やす状態に至りますので、心不全を悪化させます。
飽和脂肪酸が多い食品
具体的な食品として、 揚げ物、バター、脂身の多い肉(ステーキ、ポークチョップ)などです。これらの食品は、飽和脂肪酸の含有量が多いです。飽和脂肪酸は、LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)を増やし動脈硬化を促進させます。この状態になると、血管内の血液の流れが悪くなるため、心臓はより強く血液を送り出す必要があります。長期間続くと、心臓は疲れてしまい心不全を起こしやすくなるため、注意が必要です。
糖質が高い食品
具体的な食品として、ソフトドリンク、キャンディ、ケーキなどがあります。高糖質の食品や飲み物を摂取すると血糖値が急上昇します。血糖値を下げるためには、インスリンというホルモンが必要です。しかし、高血糖状態が長く続くと、インスリンが効きにくくなる、インスリン抵抗性という状態になります。これにより、糖尿病のリスクが高まります。糖尿病は心不全の重要なリスク要因の一つです。また、過剰な高糖質食は肥満を起こし、心臓に負担をかけ、心不全になりやすくなるため注意をしなければなりません。
過剰なアルコール
ビール、ワイン、ウイスキーなどのアルコールの過剰摂取は要注意です。アルコールの過剰摂取は、心臓の筋肉を弱らせ、心臓のポンプ機能を低下させるため、心不全になりやすくなります。また、過剰なアルコールは、血圧を上昇させ高血圧を起こしたり、不整脈を引き起こしたりします。これらの影響も心不全のリスクを高める要因となり得るのです。
加工食品
具体的な食品として、ファーストフード(ハンバーガー、フライドポテト)、加工スナック(ポテトチップス、クラッカー)などがあります。これらの食品には、高塩分、高糖質、高脂肪な物が多いです。前に説明した機序が、包括的に作用するため、心不全になりやすくなるのです。加えて、加工食品には保存料や添加物が多く含まれています。こららは、体内に炎症を起こし、心臓や血管を傷つけるため、心不全のリスクを高めます。加工食品の頻繁な摂取は要注意です。
心不全を予防する可能性の高い食べ物・飲み物
心不全を予防する可能性の高い食べ物・飲み物には以下のようなものがあります。日常生活で積極的に取り入れましょう。
野菜と果物
具体的な食品として、ほうれん草、ブロッコリー、にんじん、りんご、オレンジ、バナナなどです。これらの食品には、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質が豊富であり、心臓を保護する作用があります。その他、カリウムは血圧を正常に保ち、食物繊維はLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)を下げる効果があります。でも、注意点が1つあります。腎臓が悪く通院している方は、これらの食品を摂取して良いかを担当医と相談して下さい。
低脂肪乳製品
具体的な食品として、低脂肪ヨーグルト、低脂肪チーズ、カッテージチーズなどです。これらの食品には、カルシウム、ビタミンD、タンパク質が豊富に含まれ、血圧を正常に保たせる働きが期待できます。そのため、心不全リスクの減少を期待できます。カルシウムとビタミンDは、骨の健康にも寄与して、身体的な機能を保持する効果もあり、積極的に取り入れたい食品の一つです。
魚
具体的な食品として、 サーモン、サバ、イワシ、マグロなどです。これらの食品には、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれ、血液をサラサラにし、血の塊である血栓の形成を防ぐ効果があります。また、炎症を抑えて動脈硬化の進行を抑える作用があり、心臓を保護作用が期待できます。
全粒穀物
具体的な食品として、 オートミール、玄米、全粒パスタなどです。これらの食品には、食物繊維、ビタミンB群、鉄分、マグネシウムが豊富です。特に、食物繊維はコレステロール値を下げ、血糖をコントロールする効果があり、心不全のリスクを減少させます。その他、便秘を解消し、腸内環境を整えることで、心血管の健康に役立つことも報告されています。
ナッツと種子
具体的な食品として、アーモンド、ウォールナッツ、ピスタチオなどです。これらの食品には、健康に良い脂肪、たんぱく質、食物繊維が豊富です。特に、不飽和脂肪酸と抗酸化物質が豊富で、LDL-コレステロールを下げ、体内の炎症を減少させる効果があります。適量の摂取は心不全のリスクを低減します。
心不全予防のために大切な生活習慣
心不全は生活習慣病が原因となることが多いです。従って、自身の日常生活を振り返り、悪い生活習慣を改善することが大切です。以下の項目を参考にして下さい。
健康的な食事
心不全を発症しやすい生活習慣として、食事に関しては、高塩分、高脂肪、高糖質の食品の多量摂取があります。野菜、果物、全粒穀物、魚、ナッツ、低脂肪乳製品を中心としたバランスの取れた食事を摂りましょう。これにより、血圧とLDL-コレステロールが改善され、心不全のリスクが減少します。加工食品やアルコールの過剰摂取を控えることも重要です。
適度な運動習慣
心不全を発症しやすい生活習慣として、座りがちな生活、運動不足が挙げられます。定期的な有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング)や筋力トレーニングに心がけましょう。有酸素運動の目安として、週に3~5回、30分以上行うことを目標として下さい。筋力トレーニングの目安として、週に2~3回行うことを目標とすると良いでしょう。これらの運動習慣は、血圧を下げ、脂質を改善し、心臓の機能を強化します。こまめに体を動かすことを心がけて下さい。
禁煙
喫煙、受動喫煙は心不全のリスクを高める大きな要因です。 喫煙を避け、禁煙を実践することが重要です。タバコには多くの有害物質が含まれており、これらの物質は、動脈硬化の促進や血圧上昇により心臓に負担をかけます。また、受動喫煙も一次喫煙(喫煙者自身が吸う煙)と同様に深刻な体への影響を来しますので注意しましょう。
適切な体重管理
肥満、急激な体重増加は心不全のリスクを高めます。適正体重を維持することは、心臓への負担を軽減し、高血圧や糖尿病のリスクを減少させます。一般的にBMI(Body Mass Index)が22の体重が目標とする適正体重です。適正体重を保つことで、心不全のリスクが減少します。バランスの取れた食事と定期的な運動を通じて、健康的な体重を維持することが重要です。
ストレス管理
慢性的なストレスや高ストレスの生活環境は心不全のリスクを高めます。過剰なストレスは、交感神経を活性化させ、血圧の上昇、不整脈の誘発、心臓の筋肉への酸素不足を起こし心臓を傷めます。従って、 ストレスを適切に管理することが重要です。自分なりのリラクゼーション法(瞑想、深呼吸、ヨガなど)を取り入れ、充分な睡眠を確保しましょう。
「心不全で食べてはいけないもの」についてよくある質問
ここまで心不全で食べてはいけないものなどを紹介しました。ここでは「心不全で食べてはいけないもの」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
心不全を発症した際に、特に注意が必要な食べ物や飲み物を教えてください。
佐藤 浩樹 医師
心不全の症状悪化を招かないよう食事や飲み物に注意が大切です。特に以下の点に注意しましょう。塩分の過剰摂取、水分の過剰摂取、カフェインやアルコールの摂取制限、脂肪分の多い食事を控えるなどです。
編集部まとめ 食事・生活習慣を見直し、心不全を予防しよう!
心不全は自分の努力により発症リスクを抑えることができます。バランスの取れた食事、有酸素運動を中心とした定期的な運動、ストレス管理を中心とした健康的な生活習慣に心がけて下さい。
「心不全で食べてはいけないもの」と関連する病気
「心不全で食べてはいけないもの」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
呼吸器科の病気
- 肺塞栓症
- 慢性肺気腫
例にあげたさまざまな病気が心不全の引き金になります。医療機関を受診して、これらの病気の治療をしっかり受けることが重要です。
「心不全で食べてはいけないもの」と関連する症状
「心不全で食べてはいけないもの」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 呼吸困難
- 息切れ
- 低血圧
- 起坐呼吸
- 胸部圧迫感
- 胸痛
- むくみ
心不全とは心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。今後、更なる高齢化により心不全患者の増加が予想されています。日常生活に注意して心不全にならないように注意しましょう。