「膵臓がん」は「MRI検査」で発見できるの?初期症状や早期発見のポイントも解説!

膵臓がんはMRI検査で発見できる?Medical DOC監修医がCT検査・MRCP検査・早期発見方法・初期症状・予防法などを解説します。

監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)
目次 -INDEX-
「膵臓がん」とは?
膵臓がんとは、お腹の中にある「膵臓」という臓器にできるがんです。膵臓は胃や腸の背中側(裏)にある臓器でエコーなどでも見えにくい場所にあるため、がんなどがあってもなかなか見つかりにくいと言われます。また、膵臓自体も厚さ1〜3cm程度の薄く横に長い臓器のため、がんが大きくなると周囲の臓器や神経などに及びやすく、進行が早いのも特徴とされます。
「MRI検査」とは?
MRI検査とは、磁力を利用して体内の臓器や血管を映し出す検査です。この検査では軟部組織の性状などもある程度わかります。
磁力を利用するのでCT検査と異なり被曝はしません。しかしながら、強力な磁力を使用しているため、体の中に金属、ペースメーカーなどを入れている人や、刺青のある人は行うことができません。また、CT検査とは異なり撮影に時間がかかります。狭い場所に30分程度入って身動きせずに行う検査のため、閉所恐怖症の人は耐えられないことも多い検査です。
膵臓で主に行うのは後述するMRCPという撮影方法で行うことが多いでしょう。
「CT検査」とは?
CT検査とは放射線を使って体の中の臓器や骨などを映し出す検査です。輪切りの画像を作り、それをコンピュータによって再構築することによって3方向の角度などから画像を作り出します。
CT検査は筒状の機械に入って5-15分程度で終わる検査です。しかしながら放射線を使用するため、少ないとはいえ被爆してしまうというデメリットがあります。
また、CT検査の中でもがんの検査として「造影CT」を行うことが多いでしょう。この検査では点滴から血管の中に造影剤を投与してCTを撮影することにより、血流のある部位や血管等が鮮明に映し出されます。ただし、この造影剤は腎臓に負担をかけるため、腎臓の機能が悪い人に使用すると、これがとどめになってしまい透析になってしまうこともあります。また、アレルギーが出やすい薬でもあるため、喘息やアレルギーのある人には使用しにくい、ある種の糖尿病薬を飲んでいる人には使用できないなどの制限がかかってきます。
「MRCP検査」とは?
MRCPとは、MRIの検査装置を使用して胆管、胆嚢、膵管などを映し出す検査です。
この検査では胆管、膵管等の形が白く映し出すことにより、そこに腫瘍や胆石など異常がないかを診る検査になります。CTではないため被爆のリスクはありませんが、MRIを使用するため、体内に金属類やペースメーカーが入っている人、刺青のある人、閉所恐怖症の人などは受けることができません。
膵臓がんはMRI検査で発見できる?
MRIは膵癌を見つけるのに有用です(MRCPについては後述)。MRIでは腹部の臓器などを磁力を使って映し出しますが、その時に膵臓に腫瘍が見つかるときがあります。その他、拡散強調像で密度や浮腫などを見ることで診断能力が上がります。この方法では水分子の動きを画像化して見る検査ですが、膵臓がんではこの拡散が低下します。そのため、腫瘍かわかりにくい場合でもこの撮像方法で悪性のものかある程度判断することができます。
膵臓がんはCT検査で発見できる?
CT検査である程度の膵臓がんは発見できます。ある程度大きくなった膵臓がんはCTを撮ると膵臓の一部が大きくなっていたり、周囲にがんが広がっているのが見えたりします。小さなものはなかなか見にくいですが、膵臓自体が委縮(しぼむ、小さくなる)していたり、膵管が膨らんでいたりと言ったがんそのものではなくその周囲の変化として見えることがあります。早期がんの場合はその場所に限局して膵臓が萎縮しているため、それを手がかりに他の検査を行うこともあります。また、膵臓がんは血流の乏しい腫瘍です。そのため造影剤を使用した造影CTでは他の部分に比べて造影剤をあまり取り込まずに黒く見え、コントラストがつくため、より鮮明にわかります。
膵臓がんはMRCP検査で発見できる?
MRCPは膵臓がんの早期発見にも有用な検査です。膵臓がんは一般的に膵管(膵臓で作られた消化液を腸に流す管)を裏打ちする粘膜(膵管上皮)からできますが、膵臓がんが出来始めた膵管はその部分が狭くなったり、がんができた部分より末梢が狭くなった部分より末梢部分が流れにくくなった膵液によって膨らんだりします。そのため、このような膵管の変化が出てきた場合は膵臓がんを疑い、超音波内視鏡検査(EUS)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などの精密検査を行います。
また、膵臓がんができる可能性のある良性腫瘍の定期検査でも利用されます。この場合、がん発生の可能性があるかなどを確認することで、がんの早期発見につなげます。
膵臓がんを早期発見するために大切なこと
早めの病院受診
膵臓がんは症状に乏しく、症状が出て見つかったときには既に進行している、末期であったとしても何らおかしくない病気です。そのため、何らかの異常を感じた場合には早めに病院を受診することが重要です。
例えば、黄疸が出た、糖尿病が突然悪化した、突然糖尿病を発症した、原因不明の膵炎になった等があった場合はその原因として膵臓がんが隠れている可能性があります。
定期検査
膵臓がんのリスクとして喫煙、過度な飲酒以外にも膵臓の嚢胞や良性腫瘍(膵管内乳頭粘液性腫瘍:IPMNを含む嚢胞性疾患など)、慢性膵炎、遺伝などが挙げられます。これらに当てはまる人は数%とはいえ膵臓がんの発生リスクが上がるため、定期検査を行い今までと変わりがないかを確認していくことが重要です。もし何か変化があった場合は膵臓がんができている可能性があるため、精密検査を行うこととなります。
膵臓がんを疑う初期症状
膵臓がんはなかなか症状が出ないことが多く、症状が出たときには既に進行していることがほとんどである病気です。ただし、症状が出て進行癌となっていたとしても手術できる状態で見つかることもあります。
黄疸、肝機能障害
膵臓の十二指腸に近い部分(膵頭部)には胆管という肝臓からの消化液(胆汁)を腸に流す管が通っています。この周囲に膵臓がんができてしまった場合、この胆管を塞いでしまうことがあります。胆管が塞がれると胆汁が腸に流れず、胆管が広がったり肝臓の機能が悪くなったり、黄疸が出たりします。これらの症状があった場合は早急に病院を受診しましょう。
黄疸は皮膚や白目の部分が黄色くなっていく症状ですが、徐々に変化するため毎日見ていると気づかないことも多いでしょう。久々にあった人に「黄色くなっていない?」など指摘された場合は黄疸が出ていることがあります。また、変化は皮膚よりも目の部分から出始めます。黄疸に気づいた、人から指摘された等があれば病院受診をするようにしましょう。
高血糖・糖尿病
膵臓は身体の中で唯一血糖を下げる「インスリン」というホルモンを分泌します。そのため、膵臓にがんができ、膵臓の機能が落ちた場合は突然糖尿病を発症する、もしくは糖尿病のコントロールが突然悪くなる等の症状が出てくることがあります。このような状況になった場合は一度膵臓を調べるようにしましょう。
腹痛、背部痛
膵臓は胃や十二指腸の裏側、背中側にある臓器です。そのため、膵臓にがんができた場合はがんによってみぞおちなどに鈍い痛みが出てくることがあります。
体重減少
膵臓に限らず、ではありますが、膵臓がんができ進行癌となった場合はがんにより体重が減ってきます。ダイエットなどをしていないにもかかわらず、短期間に5kg以上などの体重減少があった場合は一度病院を受診するようにしましょう。
膵臓がんの予防法
禁煙
膵臓がんのリスクとして、関係性の大小さまざまなものがいくつかありますが、喫煙は膵臓がんの明確なリスクとなります。喫煙者は喫煙していない人に比べて膵臓がんの発生リスクが1.6-1.7倍にもなると言われているため、タバコを吸っている人は禁煙することが重要です。ただし、禁煙したからと言ってすぐにリスクが下がるのではなく、膵臓がん発生のリスクが下がるまでは10年ほどかかります。しかしながら禁煙しないよりはしたほうが良いのは確実です。
禁酒
膵臓がん発生のリスク要因の一つとして過度な飲酒が挙げられます。適度な飲酒は大きな問題にはなりませんが、大量飲酒を続けると膵がんの発生リスクが1.2-1.3倍になるという報告もあります。また、大量飲酒を続けることで膵炎が炎症を繰り返し、膵臓の機能が低下する慢性膵炎という状態にもなります。慢性膵炎になった場合は腹痛などの症状を起こすこともありますが、症状がない場合もあります。慢性膵炎となった場合は膵臓がんの発生リスクが4.8-14.6倍となるという報告もあります。
生活環境の改善
膵臓がんのリスクとなるものは様々ですが、その中にも肉などに偏った食事や肥満なども発生リスクをあげるという報告があります。そのため、バランスの取れた食事をとること、適度な運動も重要です。
「膵臓がんとMRI」についてよくある質問
ここまで膵臓がんとMRIについて紹介しました。ここでは「膵臓がんとMRI」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
膵臓がんはCT検査とMRI検査どちらがいいのでしょうか?
岡本 彩那 医師
膵臓がんの検査としてはどちらも重要な検査となります。ただし、CT検査では造影剤を使わない単純CT検査となると少しわかりにくいこともあります。早期の膵臓がんはMRI検査(MRCP)の方がわかりやすいことが多いでしょう。どちらの検査も膵臓がんの検査として重要ではありますが、健診等でCT検査やMRI検査を行うことは少ないです。たまたま他の理由で検査を行って膵臓がんが見つかった、もしくは病院を受診して膵臓がんを疑ったので検査を行ったなどの状況がほとんどになるでしょう。
まとめ
膵臓がんは一般的に「見つかったときは手遅れであることも多い」と言われる病気です。膵臓の位置として腹部超音波検査等で調べにくい場所にあること、進行も早いことが一因ともなっています。今回解説したMRI検査やCT検査は膵臓がんを見つけるのに有用な検査となりますが、検査時間や放射線被ばくなどもあり手軽に行う検査ではありません。たまたま別の理由で行った検査に写りこんだため発覚したというケースもあるでしょう。
膵臓がんは発見しにくい病気とはいえ、有用な検査もあり早期発見早期治療に結びついているケースもあります。膵臓がんのリスクがある人は定期的に検査を受ける、何らかの症状がある人は早めに病院を受診するなどして早期発見につなげることが大事です。
「膵臓がん」と関連する病気
「膵臓がん」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOC deの解説記事をご覧ください。
内分泌、代謝系
消化器系
- 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
- 慢性膵炎
膵臓がんは糖尿病や膵炎などの原因となることがあり、これらの病気に対する詳しい検査で見つかることがあります。
「膵臓がん」と関連する症状
「膵臓がん」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
膵臓がんは初期に症状が現れにくく、症状が現れたときには進行癌であることも多い病気です。ただし、進行癌の状態で見つかっても手術できる状態であることもあります。
参考文献
- Takakura, et al. The Diverse Involvement of Cigarette Smoking in Pancreatic Cancer Development and Prognosis. Pancreas 2020
- 膵がん診療ガイドライン2022年版



