”骨周辺に発生するがん”「ユーイング肉腫の末期症状」とは?余命・生存率も解説!

ユーイング肉腫の末期症状とは?Medical DOC監修医がユーイング肉腫の末期症状・余命・生存率・原因・検査・治療法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
岩佐 沙弥(医師)
山口大学医学部卒業。初期研修医終了後、整形外科医として勤務。現在はリハビリテーション医学を専門とし、幅広い疾患による障害の治療を行っている。地域の医療に携わってきた経験が長く、現在も地域のクリニックに勤務。一人一人の生活に合った運動や食事の提案を行えるよう心がけている。
【資格】
医学博士、整形外科専門医、リハビリテーション科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、障害者スポーツ医
目次 -INDEX-
「ユーイング肉腫」とは?
ユーイング肉腫は、骨やその周囲に発生する悪性腫瘍(がん)の一種です。皆さんが耳にしたことがあるかもしれない骨肉腫とは異なる病気ですが、小児においては骨肉腫の次に多く見られます。
日本国内で年間約50人が発症すると言われており、特に10代の若者に多く、全体の3分の2を占めます。よくできる部位は、太ももの骨(大腿骨)や二の腕の骨(上腕骨)、すねの骨(腓骨、脛骨)といった手足の骨のほか、骨盤、肋骨などの、骨の幹の部分にできることが多いです。
最近では、骨以外の場所にできるものも合わせて「ユーイング肉腫ファミリー」と呼ばれています。初期症状としては、痛みや腫れ、熱を持つことがありますが、10代の手足の痛みは「成長痛」と間違われやすく、診断が遅れてしまうこともあるため注意が必要です。
ユーイング肉腫の末期症状
ユーイング肉腫は、進行してから発見されるケースも少なくありません。ここでは、病気が進行した場合、特に「末期」と呼ばれる段階でどのような症状が現れるのか、そしてその対処法について説明します。
腫瘍がある部位の症状
ユーイング肉腫が進行すると、様々な症状が現れるようになります。最も特徴的なのは、腫瘍がある部位の痛みです。最初は軽い痛みでも、徐々に強くなり、特に夜間や安静時に痛みがひどくなる傾向があります。痛みに加えて、腫瘍がある部分が腫れてくることもあります。触るとしこりのように感じたり、皮膚の上からでも明らかに盛り上がって見えたりすることがあります。骨以外の場所にでき進行した場合は、神経や血管、筋肉へ腫瘍が進むことにより運動障害を起こすこともあります。さらに、骨が弱くなることで、軽い衝撃でも骨折しやすくなる(病的骨折)ことがあります。
症状に対する対応
自宅でできる対症療法としては、痛みが強い場合には痛み止めを使用することで、一時的に痛みを和らげることができます。腫れに対しては、冷やすことで炎症を抑え、痛みを和らげることができる場合があります。また、患部を安静にすることも重要です。無理に動かすと、痛みが増したり、病的骨折のリスクが高まったりすることがあります。ただし、これらの対処法はあくまで症状を一時的に和らげるものであり、末期にはこれらの対応では症状が緩和しないこともあります。放射線治療なども選択肢となる可能性があるため、主治医とよく相談しましょう。
全身の症状
ユーイング肉腫が進行すると、体全体の症状が現れることがあります。これは、がん細胞が体内で活発に活動し、様々な物質を放出したり、体の免疫システムに影響を与えたりするためと考えられています。
具体的な全身症状としては、持続的な発熱が挙げられます。これは感染症による発熱とは異なり、抗生物質を飲んでもなかなか下がらない、原因不明の発熱として現れることが多いです。また、体重の減少もよく見られます。食欲不振や栄養状態の悪化に加え、がん細胞が活発にエネルギーを消費するためと考えられています。
さらに、全身倦怠感や疲労感が非常に強くなることもあります。これは、貧血や栄養不足、炎症反応、そして精神的なストレスなど、複数の要因が絡み合って起こると考えられています。
症状に対する対応
これらの全身症状は、病気そのものの進行によって引き起こされます。すでに診断がついている場合も、自己判断せずにすぐに担当医に相談しましょう。また他にも看護師、栄養士などの医療者とどのように過ごしたいか相談し、穏やかに過ごせる工夫をするのも良いでしょう。
ユーイング肉腫の余命・生存率
ユーイング肉腫の「余命」や「生存率」は、病気が発見された時の進行度合い(がんの大きさ、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無など)によって大きく異なります。ユーイング肉腫は進行が早く、再発や転移を起こしやすいがんですが、医学の進歩により、治療成績は年々向上しています。
一般的に、腫瘍が局所にとどまっており、遠隔転移がない場合の5年生存率は、70%前後と報告されています。一方、診断時に既に遠隔転移がある場合は、5年生存率は20~30%程度に低下すると言われています。そのため、転移がない早期の段階で発見されることが重要です。
しかし、治療が成功しても再発する可能性はゼロではありません。そのため、治療後も定期的な経過観察が必要になります。
ユーイング肉腫を発症する主な原因
ユーイング肉腫のはっきりした原因はまだわかっていませんが、ユーイング肉腫に認められる遺伝子異常の研究は進んできています。特に、EWSR1遺伝子と他の遺伝子との間で起こる融合遺伝子が明らかになってきており、これを調べることでより診断の精度が向上します。
ただし、この遺伝子異常がなぜ起こるのか、具体的なメカニズムはまだ分かっていません。
ユーイング肉腫の検査法
ユーイング肉腫が疑われた場合、まず整形外科(特に骨軟部腫瘍専門医)を受診します。診断確定のためには、以下のような様々な検査が必要です。
画像検査
o X線(レントゲン)検査: 骨の異常を確認します。
o MRI(磁気共鳴画像)検査: 腫瘍の広がりや周囲の組織との関係を詳しく評価します。
o CT(コンピュータ断層撮影)検査: 骨の詳細な構造や肺への転移の有無を評価します。
o PET-CT(ポジトロン放出断層撮影-コンピュータ断層撮影)検査: 全身への転移の有無を調べます。
o 骨シンチグラフィー: 骨全体を画像化し、転移性骨病変の有無を調べます。
血液検査
o 一般的な血液検査が行われます。ユーイング肉腫の診断に特異的に有効な腫瘍マーカーはありません。
骨髄検査
o 骨髄への転移がないかを確認するために行われます。
病理組織検査
o 診断確定のために最も重要な検査です。腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べることで、ユーイング肉腫であるか否かを確定診断します。最終的な方法には、針生検や切開生検があります。
これらの検査は、がん診療連携拠点病院や大学病院など、専門的な設備と医師が揃っている医療機関で行われることが一般的です。
検査の内容によっては、入院が必要となる場合があります。 画像検査は外来で受けられますが、生検や骨髄検査は麻酔を必要とすることが多く、数日間の入院が必要となることがあります。診断が確定し、治療方針が決定するまでには、複数の検査結果を待つ期間があるため、数週間かかることもあります。
ユーイング肉腫の主な治療法
ユーイング肉腫の治療は、一つの方法だけでなく、複数の治療法を組み合わせる「集学的治療」が基本となります。
ユーイング肉腫の治療は、整形外科医(骨軟部腫瘍専門医)が中心ですが、小児科(小児がん専門医)、腫瘍内科医、放射線治療医、病理医など、多岐にわたる専門家からなる「チーム医療」で行われます。治療は長期にわたり、様々な副作用や精神的な負担を伴いますが、医療チームとの信頼関係を築き、疑問や不安を共有しながら、治療に取り組むことが重要です。
主な治療法は以下の通りです。
化学療法(抗がん剤治療)
一見遠隔転移がない場合も、診断時に小さな転移を起こしていることが多いため、全身に効果のある化学療法を行います。一般的には4〜6剤を組み合わせた多剤併用化学療法です。また、手術前に腫瘍を小さくするためや、手術時の検査の結果によっては術後に行われる場合もあります。
手術
可能な限り手術で腫瘍を切除します。ただし、部位によっては手術が行えないこともあります。
放射線治療
ユーイング肉腫は放射線治療の効果が高いと言われています。手術で完全に切除できなかった場合や、手術時の検査の結果追加されることがあります。また、手術が難しい部位に行ったり、疼痛の緩和目的などで行う場合もあります。
ただし、遠隔転移があるユーイング肉腫に対する治療成績は依然としてあまり良くない状態であり、いまだに有効な治療法は確立されていません。
「ユーイング肉腫の末期症状」についてよくある質問
ここまでユーイング肉腫の末期症状などを紹介しました。ここでは「ユーイング肉腫の末期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ユーイング肉腫を発症すると痛みは感じますか?
岩佐 沙弥 医師
はい、ユーイング肉腫を発症すると、多くの場合、痛みを感じます。 特に10代に発症することが多いため、初期には「成長痛」や「打撲」と間違われることが珍しくありません。しかし、病気が進行するにつれて、痛みは徐々に強くなり、特に夜間や安静時に痛みがひどくなる傾向があります。
まとめ
ユーイング肉腫は、特に10代に多く見られる、骨やその周りの組織に発生する悪性腫瘍です。珍しい病気であり、その原因は特定の遺伝子異常と考えられていますが、なぜその異常が起こるのかはまだ解明されていません。
ユーイング肉腫は、若い世代に多く発症するまれな骨のがんです。早期発見が重要になります。進行すると痛みや骨折、呼吸苦などのつらい症状が現れますが、医療の進歩により、今では多くの方が治療を乗り越え、日常生活に復帰されています。
大切なのは、「いつもと違う痛み」や「原因のわからない腫れ」を放置しないこと。特にお子さんや若者が「夜に強く痛む」「安静にしていても痛む」と訴えるような場合は、念のため整形外科専門医に相談してください。
不安なときは一人で悩まず、専門医のもとで適切な情報を得ることが、前向きな一歩になります。
もしこの記事に書かれているような症状が見られた場合、もしまだ診断がついていないようであれば、すぐに整形外科を受診してください。特に、骨軟部腫瘍を専門とする医師がいる病院や、がん診療連携拠点病院のような総合病院を受診することをお勧めします。
受診時には、いつから、どのような症状が、どの程度続いているのかを具体的に医師に伝えることが重要です。痛みの強さや、どのような時に痛みが増すのか、腫れの大きさや変化、全身のだるさや体重の変化など、些細なことでも構いませんので、詳しく話してください。
「ユーイング肉腫」と関連する病気
「ユーイング肉腫」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
ユーイング肉腫は比較的珍しい悪性腫瘍ですが、若年者(特に10代)に多いという特徴があります。
「ユーイング肉腫」と関連する症状
「ユーイング肉腫」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 手足の痛み
- 夜間に強くなる痛み
- しこりが触れる
- 原因不明の発熱、倦怠感
「いつもと違う痛み」や「原因のわからない腫れ」の症状をきっかけに見つかることもあります。お子さんや若年者が「夜に強く痛む」「安静にしていても痛む」と訴えるような場合は、念のため整形外科を受診するようにしてください。




