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「乳がん健診で精密検査」になったら何をするかご存じですか?流れを医師が解説!

 公開日:2025/10/13
「乳がん健診で精密検査」になったら何をするかご存じですか?流れを医師が解説!

乳がんの集団健診や人間ドックの結果で要精密検査と通知されると、不安になりますよね。精密検査が必要と言われても、必ずしも乳がんが見つかるわけではありません。それでも、万一乳がんが隠れていても早期発見できるよう、精密検査は必ず受けることが大切です。この記事では、要精密検査と言われた場合にどうすればよいか、精密検査の内容や流れについて解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

乳がん検診で要精密検査になるのはどういう状態?

乳がん検診では乳がんの所見をカテゴリに分けて記載します。そのなかで要精密検査になる状態について解説します。

乳がん検診のカテゴリ

乳がん検診では、画像所見に応じていくつかのカテゴリに判定が分けられます。一般的に以下のような分類です。

  • カテゴリ1:異常なし
  • カテゴリ2:良性
  • カテゴリ3:良性の可能性が高いが悪性(乳がん)を否定できない
  • カテゴリ4:悪性の疑い
  • カテゴリ5:悪性(乳がん)の所見がある

カテゴリ3以上が要精密検査になる

健診結果でカテゴリ3以上となった場合は、市区町村の検診であれば後日郵送などで要精密検査の通知が届きます。要精密検査は「疑わしいところがあるので、もう一度詳しく検査してください」という意味です。要精密検査=乳がん確定ではありませんが、少しでもがんの疑いがあれば精密検査を行うのが乳がん検診の方針です。とはいえ、症状がないからと先延ばしにせず、次回の検診を待たずに受診することが大切です。

乳がんの精密検査とは

乳がんの精密検査とは、乳房の詳しい画像検査や細胞・組織を調べる検査のことです。具体的には以下のような検査が組み合わされます。段階的にまず画像検査で詳しく調べ、それでも判断がつかない場合に細胞や組織を採取する検査へと進むのが一般的です。

画像検査

精密検査で行われる画像検査には、マンモグラフィの追加撮影と乳房超音波検査があります。マンモグラフィは乳房のレントゲン検査ですが、検診時の画像ではわかりにくかった部分を詳しく写すために、追加で特殊な角度や圧迫を変えた撮影を行うことがあります。
一方、乳房超音波検査は、乳腺に超音波を当てて内部の状態を調べる検査です。しこりの有無や性状を詳細に観察するのに適しています。特に、乳房が高濃度でマンモグラフィでは写りにくい若い年代の方や、指摘された異常が嚢胞か腫瘍かを区別したい場合などに有用です。

穿刺吸引細胞診

穿刺吸引細胞診とは、しこりなど病変部分に細い注射針を刺して細胞を吸い出し、顕微鏡で調べる検査です。痛みも注射とほぼ同じくらいの軽いもので、通常は局所麻酔はせずに実施できます。
細胞診で採れた細胞を染色し、病理医が顕微鏡で観察して乳がんの細胞があるかどうかを判断します。細胞診は身体の負担が少ない検査ですが、採取できるのは細胞だけなので診断精度は組織検査よりやや劣ります。

針生検

針生検は、組織の一部を採取する生検です。採取した組織を顕微鏡で詳しく調べ、がんの有無やホルモン受容体の有無などの性質を診断します。針生検を行う際は、局所麻酔を用いて針を刺す部位の痛みを感じにくくしてから行います。

外科的生検

外科的生検は、手術によって病変の一部または全部を切除して病理検査を行う方法です。針生検よりも広範囲で組織を取る方法で、部分麻酔または短時間の全身麻酔下で乳房を切開し、疑わしいしこりをまるごと摘出したり一部を切り取ったりします。
針生検で診断が確定できない場合や、しこりの場所が針では届きにくい場合、細胞診や針生検の結果と画像所見が異なる場合などに行われます。外科的生検では病変をしっかり摘出して調べるため、しっかりと診断を確定できます。

乳がんの精密検査の受け方

乳がん検診で要精密検査の結果を受け取ったら、どのような行動に移ればよいのでしょうか。本章では、乳がんの精密検査の進み方と気を付けることについて解説します。

乳がんの精密検査の進み方

要精密検査の結果を受け取ったら、できるだけ早めに乳腺科・乳腺外科のある病院やクリニックで精密検査を受けることができます。

市区町村の検診の場合、精密検査の案内に医療機関の一覧や紹介状が同封されていることもあります。職場の検診などの場合は、産業医や検診機関からの指示に従い、自分で乳腺外科を探して受診することになります。不安なときは、かかりつけ医に相談すれば適切な専門医療機関を紹介してもらえます。

受診の際は、検診結果の書類があれば持参しましょう。検診での所見を踏まえて問診・視触診を行い、あらためて画像検査で詳細を確認します。

乳がんの精密検査で気を付けること

要精密検査となった場合に気を付けるポイントは以下のとおりです。

  • できるだけ早く受診する
  • 1人で抱え込まない
  • 検査当日は着脱しやすい服装で受診する

以上の点に気を付け、落ち着いて検査に臨んでください。不安かとは思いますが、異常があっても良性のケースも多い、早期の乳がんなら治療で治る可能性が高いことを念頭に、精密検査を受けるようにしましょう。

乳がん精密検査の結果が出るまでの期間

結果がわかるまでの期間は、受けた検査の種類によって異なります
まず、画像検査については、その場で画像を確認できますので、多くの場合当日中に医師から所見の説明があります。次に細胞診の結果ですが、採取した細胞を検査機関で特殊な染色をして調べる必要があるため、おおむね1週間前後かかります。病院によっては数日で出ることもありますが、検体を外部の専門機関に出す場合は1週間ほど見ておいた方がよいでしょう。

針生検の結果は、細胞診よりもさらに時間がかかります。組織を薄切りにして詳しく調べるうえ、がんであった場合はホルモン受容体やHER2など治療方針に関わる検査も追加で行われます。そのためおおむね10日~2週間程度はかかります。外科的生検の場合も、摘出した組織の病理結果が出るまで通常1~2週間程度要します。

乳がんの精密検査についてよくある質問

ここまで乳がんの精密検査について紹介しました。ここでは「乳がんの精密検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がんの精密検査は痛みを伴いますか?

検査の種類によりますが、大きな痛みを感じることは少ないです。 マンモグラフィは乳房を圧迫して撮影するため、一時的に強い圧迫感や痛みを感じることがあります。しかし、圧迫している時間は数十秒程度と短いです。超音波検査は痛みはまったくありませんが、細胞診や針生検は針を刺す際の痛みがあります。その痛みは一時的なもので、その後も続くことはありません。

乳がんの精密検査の所要時間を教えてください。

精密検査はその内容にもよりますが、数分程度で終わるものもあれば1~2時間程度かかるものもあります。いずれの場合も、初診日は問診や基本的な診察もありますので、余裕をもって半日程度みておくと安心です。特に針生検まで当日に実施する場合は、トータルで数時間かかることもあります。時間に余裕をもって受診しましょう。

乳がんの精密検査で乳がんと診断された後の流れを教えてください。

精密検査の結果、残念ながら乳がんと診断された場合は、まず結果説明と紹介先が検討されます。そして、乳がんと確定したら、治療方針を決めるためにがんの広がりを調べる検査を行います。具体的には、乳房や腋のリンパ節の詳細を調べる乳房MRI検査、肺や肝臓など遠隔転移がないか調べる胸部X線や腹部エコー、CT検査、骨への転移確認のための骨シンチグラフィやPET検査などです。これらの画像検査により、がんが乳房の中にとどまっているか、リンパ節や他臓器に広がっていないかを確認します。こうした病期診断の結果に基づいて適切な治療法を決定します。

そして、検査結果を踏まえ、乳腺外科医や腫瘍内科医、放射線治療医などからなる医療チームと相談しながら治療方針を決めます。乳がん治療の基本は手術です。しこりが小さければ乳房を部分切除する乳房温存手術、広範囲に及ぶ場合は乳房全切除術が選択されます。それに加えて、がんの性質に応じて術後の追加治療(補助療法)を行います。例えばホルモン受容体陽性ならホルモン療法、HER2陽性なら抗HER2療法、再発リスクが高ければ化学療法、乳房温存した場合は放射線治療などを組み合わせます。


まとめ


乳がん検診で要精密検査と判定されても、放置せず医療機関を受診することが重要です。実際には精密検査の結果、乳がんではなかったとわかる方も少なくありません。もし乳がんが見つかっても、早期であれば治療により完治も十分可能です。本記事の内容を読むことで、精密検査の流れがわかり、行動につながれば幸いです。

関連する病気

  • 乳腺線維腺腫
  • 乳腺症
  • 乳腺炎
  • 乳腺嚢胞
  • 脂肪腫

関連する症状

  • 乳房のしこり
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  • 乳房の形状や大きさの変化
  • 乳房の痛みや違和感
  • 腋窩や鎖骨上のリンパ節の腫脹

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