「腎臓がんで血尿がでるときのステージ」は?ステージ別の症状も医師が解説!

腎臓がんは、早期には自覚症状がほとんど現れない病気です。しかし、がんが進行すると尿に血が混じる(血尿)などの症状が出てくることがあります。では、血尿が見られる場合、腎臓がんはどの程度進んでいるのでしょうか? 本記事では、腎臓がんの基礎知識からステージ(病期)毎の症状、特に血尿との関係を解説します。また、腎臓がんの検査方法や治療法も詳しく解説します。

監修医師:
井林雄太(井林眼科・内科クリニック/福岡ハートネット病院)
目次 -INDEX-
腎臓がんとは?概要と原因

腎臓がんの血尿について触れる前に、本章では、腎臓がんの概要や種類、その原因を解説します。
腎臓がんの概要
腎臓がんは、腎臓の組織に発生する悪性腫瘍の総称です。多くの場合、腎臓がんといえば腎臓の実質部分に生じる腎細胞がんを指します。腎細胞がんは40~70歳代に多く発症し、男性は女性の約2倍と男性に多い傾向があります。腎臓がんは初期には症状が出にくく、小さながんは健康診断の超音波検査などで偶然発見されることがほとんどです。
腎臓がんの種類
腎臓がんには発生部位や組織の種類によっていくつかのタイプがあります。前述したように、腎実質から発生するがん(腎細胞がん)と尿の通り道である腎盂や尿管から発生するがん(腎盂・尿管がん)に大きく分けられます。それぞれ性質や治療法が異なるため区別されます。腎細胞がんはさらに組織学的な分類があり、淡明細胞型腎細胞がんが全体の7~8割と最も多く、その他に乳頭状腎細胞がん、嫌色素性腎細胞がんなどに分類されます。一方、腎盂・尿管がんは尿路上皮由来のがんで、膀胱がんと同じ種類の細胞から発生します。
腎臓がんの原因
腎臓がんの明確な原因は完全には解明されていませんが、いくつかの危険因子が知られています。代表的なものは喫煙と肥満で、これらは腎細胞がんの発生リスクを高めます。また、長期間の透析治療を受けている患者さんでも、腎細胞がんの発生率が高くなることが報告されています。遺伝的な要因として、フォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL病)など特定の遺伝子変異が腎細胞がんに関連することが知られています。
血尿は出る?腎臓がんのステージ別症状

腎臓がんのステージ(病期)は、がんの大きさや広がり、転移の有無によってⅠ期~Ⅳ期の4段階に分類されます。ステージが上がるほど進行した状態を示します。それぞれのステージで現れやすい症状を解説します。特に血尿は腎臓がんの典型的な症状の一つですが、必ずしも決まった病期でしか起こらないわけではありません。以下にステージ別の症状の特徴をまとめます。
ステージ1の腎臓がん
ステージ1は腎臓内にがんがとどまっており、腫瘍の大きさも小さい早期の段階です。この段階では自覚症状がほとんどありません。腫瘍が小さいため腎臓の機能を妨げず、痛みや違和感も生じにくいからです。血尿についても、ステージ1では目に見える肉眼的血尿が出ることはまれで、仮に出たとしても顕微鏡検査でわかる程度の顕微鏡的血尿にとどまる場合が多いでしょう。また、多くのステージ1腎がんは健康診断の腹部超音波検査や他疾患の検査中に偶然発見されます。
ステージ2の腎臓がん
ステージ2では腫瘍が腎臓内にとどまっているものの、大きさが7cmを超えて大きくなった状態です。腫瘍が大きくなることで、次第に症状が現れ始めることがあります。典型的な症状は血尿や腰や背中の痛みです。血尿は腫瘍からの出血により尿がピンク色~赤色になる症状で、この段階になると目で見てわかる血尿が出る場合があります。また、腫瘍の増大により腎臓周辺の組織が圧迫されることで、側腹部から背中にかけて鈍い痛みを感じることがあります。ただし、ステージ2でも症状の出方には個人差があり、腫瘍の位置や性質によっては引き続き無症状のケースもあります。
ステージ3の腎臓がん
ステージ3になると、腫瘍が腎臓の外に広がり始めた状態です。腎静脈や下大静脈など血管への浸潤、近くのリンパ節への転移が含まれます。この段階では腫瘍も大きく進展しているため、多くの場合血尿や腰背部の痛みといった症状が現れています。血尿の量が増えたり、血の塊が尿管を塞いで尿が出にくくなることもあります。また、腫瘍が腎臓周囲の脂肪組織や血管に及ぶと、炎症やうっ滞によって発熱や倦怠感が出ることもあります。ステージ3では症状がはっきり現れるため、この段階で受診して発見される患者さんも少なくありません。
ステージ4の腎臓がん
ステージ4は腎臓がんがさらに進行し、ほかの臓器への転移がある段階です。肺や骨、肝臓などさまざまな臓器へ転移する可能性があります。この段階では腎臓自体の症状(血尿や腰痛など)に加えて、転移した部位に応じた症状が現れます。例えば、肺への転移がある場合は胸の痛みや咳、血痰が見られ、骨への転移では激しい骨の痛みや病的骨折が起こることがあります。また、全身にがんが広がると、発熱や著しい倦怠感、体重減少などの全身症状も顕著になります。
腎臓がんの検査方法

腎臓がんが疑われる場合や、健康診断などで腎臓に異常が見つかった場合には、以下のような検査を行います。
超音波検査
超音波(エコー)検査は、腹部に超音波を当てて臓器の様子を見る画像検査です。超音波検査では、腎臓に腫瘤がある場所や大きさ、形状、周囲の臓器との位置関係などを確認できます。腎臓がんの多くは腹部超音波やCT検査で見つかることが多く、この検査で腎腫瘍が疑われた場合にはさらに詳しい検査へと進みます。
CT検査
CT検査は、腎臓がんの診断において重要な検査です。腎臓がんが疑われたら、通常は造影剤を用いた腹部CTを行い、腫瘍の詳細を調べます。これにより、腎臓の腫瘍か良性の嚢胞かの判別や、腫瘍の広がり具合がわかります。
MRI検査
MRI検査は、CT検査で十分な情報が得られない場合や、患者さんが造影剤を使えない場合に行われます。MRIでは腫瘍の大きさや周囲の臓器への広がりを詳しく評価できます。特に、血管への腫瘍侵入や静脈内の血栓の有無など、腎臓がんのステージ判定に重要な所見を確認するのに有用です。
腎臓がんの治療法

腎臓がんと診断された場合、病期や患者さんの全身状態に応じて適切な治療法を選択します。ここでは代表的な治療法である手術と薬物療法について解説します。
手術
腎臓がん治療の基本は手術による腫瘍の摘出です。ステージI~IIIの腎臓がんでは標準治療は手術であり、可能な限り外科的にがんを取り切ることが推奨されます。手術の内容は腫瘍の大きさや位置によって異なり、一般的には腎摘除術が行われます。しかし、近年は早期発見される例が増えたため、腫瘍が小さい場合には腎臓の一部だけを切除して残りの腎機能を温存する腎部分切除術が選択されることも多くなりました。
化学療法
ステージIVや、進行がんで手術で取り切れない場合には、薬物療法が主体となります。しかし、一般的ながん治療でいう化学療法(いわゆる抗がん剤治療)は、腎臓がんにはあまり効果がないことが知られています。そのため、腎臓がんの薬物療法では、腫瘍の増殖に関わる分子を狙い撃ちする分子標的治療薬と、がんに対する免疫反応を高める免疫チェックポイント阻害薬が主に用いられています。
まとめ

腎臓がんは腎臓に発生する悪性腫瘍で、特に腎細胞がんが大部分を占めます。早期の腎臓がんは自覚症状に乏しく、多くが健康診断や画像検査で偶然に発見されます。がんが大きくなるにつれて血尿や腰の痛みなどが現れ、遠隔転移を伴う進行例では症状も多彩になります。しかし、血尿の有無と病期が必ずしも一致するわけではなく、血尿が出ていなくても進行している場合や、その逆に早期でも血尿が見られる場合があります。大切なのは、血尿や原因不明の腰痛など少しでも気になる症状があれば早めに医療機関を受診することです。この記事が早期発見、治療のきっかけになれば幸いです。
関連する病気
腎臓がんと似た症状を示す、または同時に発生する可能性のある病気には以下のようなものがあります。
- 良性腎腫瘍
- 尿路上皮がん
- 多発性嚢胞腎
- 腎膿瘍
- 転移性腎腫瘍
関連する症状
腎臓がんに関連する症状は以下のような症状が挙げられます。これらの変化を正しく把握することが鑑別に役立ちます。
- 血尿
- 側腹部の痛み
- 腰部の痛み
- 体重減少
- 全身の倦怠感

