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「食道がん」手術後の「食事メニュー」は何を食べたらいいの?医師が徹底解説!

 公開日:2025/03/20
「食道がん」手術後の「食事メニュー」は何を食べたらいいの?医師が徹底解説!

食道がん手術後の食事メニューとは?Medical DOC監修医が食道がん手術後の注意点・食事メニュー・控えた方がいい食事・予防法などを解説します。

齋藤 雄佑

監修医師
齋藤 雄佑(医師)

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日本大学医学部を卒業。消化器外科を専門とし、現在は一般外科、消化管内視鏡検査、生活習慣病を中心に診療を行っている。現在は岩切病院、高砂内科・消化器科クリニックに勤務。
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。

「食道がん」とは?

食道がんは、食道に発生するがんの一種です。初期段階では自覚症状が少ないため、早期発見が難しいがんとしても知られています。主な症状としては、食べ物がつかえる感じや胸の痛みなどがあります。進行すると、体重減少や声のかすれなどが現れることもあります。食道がんの治療法は、がんの進行度や患者さんの状態によって異なりますが、手術療法、放射線療法、化学療法などが行われます。

食道がん手術後の注意点

創部のケア

通常、個人で手術の創部消毒など処置は不要です。入浴時にしっかり洗うなどして清潔に保ち、医師の指示に従って適切なケアを行いましょう。発赤が出たり、創部の痛みがつよくなってくるような場合には医師に相談しましょう。

安静とリハビリ

手術後は体力を消耗しているため、十分な休息をとりましょう。一方で全身麻酔後に身体機能を落とさないために歩行などの運動をすることが非常に重要です。痛みの許す範囲で、できるだけベッド上で過ごす時間を減らすように意識しましょう。座位や立位、歩行まで回復に合わせて体を動かしましょう。術後の影響でめまいなどの出やすいため、歩行時には転倒に注意をしましょう。

食事

食道がんの手術後は、食道の機能が低下しているため、食事には特に注意が必要です。まず、食べ物をよく噛んで、ゆっくりと飲み込むようにしましょう。また、一度に多くの量を食べると食道に負担がかかるため、少量ずつ、回数を分けて食べるようにしてください。水分補給も大切です。脱水を防ぐために、水やお茶などをこまめに摂取しましょう。食事の姿勢にも気を配り、食事中は背筋を伸ばし、前かがみにならないようにしてください。食後もしばらくは背筋を伸ばした姿勢を保つことが大切です。体力の回復のためには、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。

食道がん手術後(1~2週間)の食事メニュー

手術直後(1~2週間)は、食道がまだ十分に回復していないため、消化の良い、刺激の少ない食事を心がけましょう。ここでは、手術直後に適したメニュー・食材についてご紹介いたします。

うどん・おかゆ

炭水化物はうどんやおかゆは消化がよく、胃に負担をかけにくいのでおすすめです。うどんは柔らかく煮て、食べやすいように短く切ってから食べると消化がさらによくなります。

豆腐・卵・白身魚

タンパク質は豆腐・卵・白身魚などで摂取するようにしましょう。豆腐は高タンパク質で消化も良い食品です。卵はアミノ酸・タンパク質だけでなく適度な脂質やビタミン、ミネラルも多く含むバランス食品です。スクランブルエッグや茶碗蒸しなどで柔らかく調理して食べましょう。白身魚は脂肪分が少なく、消化しやすい魚を選ぶと良いと思います。煮魚などがおすすめです。

食物繊維

食物繊維は野菜や果物から摂りましょう。野菜はスープなどにして繊維を柔らかく煮込むのがおすすめです。煮込み料理は栄養補給で体を温める効果もあり、嬉しいポイントですね。果物を摂取する時には、ヨーグルトなどを追加すると、腸内環境を整え、消化や便秘解消にも効果的です。

食道がん手術後(1~2週間)は控えた方がよい食事メニュー

手術直後では以下のようなものは控えた方が良いでしょう。食事制限を守り、術後の回復が遅れないようにしましょう。

消化が悪いもの

術後間もない期間では消化の悪いものは避けましょう。炭水化物では硬いせんべいやパンなど、脂質の多い食品などは胃の負担になるため、他の食品を検討しましょう。

刺激物

術後1-2週間での刺激物の摂取は避けましょう。例えば、極端に熱いものや冷たいもの、香辛料、コーヒーや炭酸飲料などが該当します。食道がん術後では消化管の動きが完全に回復していない可能性があるので、これらの食品は避けましょう。

アルコール

アルコールは、食道の粘膜を刺激したり、浮腫みの原因になったりするため摂取しないようにしましょう。

食道がん手術後(1ヶ月)の食事メニュー

手術後1ヶ月ほど経つと、通常退院して自宅療養期間に入ります。まだ完全に食道の機能が回復しているとは言えませんが、少しずつ通常の食事に近づけてレシピを考えましょう。ただし、まだ消化の良いものを中心に、よく噛んで食べるように心がけると良いでしょう。

ごはん

なるべく柔らかく炊いたご飯をよく噛んで食べましょう。よく噛むことで消化が良くなりますし、手術のつなぎ目への負担も軽減されます。

肉・魚

少しずつ肉や魚の摂取量も通常のものに近づけて行きましょう。肉は鶏肉や豚肉など、脂肪分の少ない肉を選び、柔らかく調理しましょう。魚は煮魚や焼き魚など、消化しやすい調理法で食べましょう。

野菜・果物

野菜は柔らかく煮たり、細かく刻んだりして食べましょう。果物はみかんやりんごなど、皮をむいて食べやすいものを選ぶとよいでしょう。

食道がん手術後(1ヶ月)は控えた方がよい食事メニュー

餅は粘り気が強く、食道に詰まりやすいので注意が必要です。食べるのは避けていただく事がおすすめです。

高脂肪食

胃腸に負担になる高脂肪食は控えましょう。例えば、揚げ物やドーナッツなどのお菓子も控えるようにしましょう。

生野菜・海藻類・きのこ類

生の野菜や海藻類・きのこ類は消化が悪い場合があるため、加熱して食べましょう。

食道がん手術後(1ヶ月以降)の食事メニュー

手術後1ヶ月以降は、さらに食道が回復してきます。通常の食事に戻しても構いませんが、個人の状態に合わせて、無理のない範囲で食事内容を調整しましょう。

和食中心のバランスの取れた食事

主食、主菜、副菜を揃え、栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。和食は、脂質が少なく、栄養バランスにも優れているためおすすめです。

旬の食材を使った料理

旬の食材は栄養価が高く、美味しく食べられるので積極的に摂りましょう。

食道がん手術後(1ヶ月以降)控えた方がよい食事メニュー

過食・早食い

一度にたくさん食べると、食道に負担がかかります。腹八分目を心がけましょう。またよく噛まずに早食いすると、消化不良を起こしやすくなります。

アルコール

アルコールは手術部位の炎症だけでなく、胃酸の逆流に影響があるので、控えることをおすすめします。

食道がん予防に効果の高い食事メニュー・食品

野菜

日本人を対象とした研究で野菜・果実の摂取の合計量が多いグループで食道がんリスクが低減することがわかっています。特にキャベツや大根、小松菜などのアブラナ科の野菜には実験研究などで発がんを抑制するとされるイソチオシアネートが多く含まれているため高い予防効果が期待できます。また野菜に含まれるビタミンやミネラルが予防に作用していると考えられています。

果物

前述のように野菜・果実の摂取の合計量が多いグループでは食道がんリスクが低減することがわかっています。果物に含まれるビタミンCや食物繊維などが食道がんの予防にいい作用があると言われています。

「食道がんの食事」についてよくある質問

ここまで食道がんの食事などを紹介しました。ここでは「食道がんの食事」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

コーヒーは食道がんを予防するのでしょうか?

齋藤 雄佑齋藤 雄佑 医師

コーヒーと食道がんの関係については、様々な研究が行われていますが、まだ明確な結論は出ていません。一部の研究では、コーヒーに含まれる抗酸化物質が、食道がんのリスクを下げる可能性が示唆されています。しかし、他の研究では、熱いコーヒーを飲む習慣が食道がんのリスクを高める可能性も指摘されています。現時点では、コーヒーが食道がんを予防するとは断言できません。コーヒーを飲む場合は、熱い飲み物は避け、適量を楽しむようにしましょう。

編集部まとめ 食道がんの術後は食事内容に気をつけよう

食道がん手術後の食事は、回復を促すために非常に重要な役割を担います。手術直後は消化の良いものを中心に、徐々に通常の食事に近づけていきましょう。また、食道がんの予防には、バランスの取れた食事、禁煙、節酒、適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。この記事が、食道がん手術後の食事や食道がん予防について理解を深めるためのお役に立てれば幸いです。

「食道がん」と関連する病気

「食道がん」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

食道がんと似た症状や食道がんの発生に関連する病気は上記の様なものが挙げられます。気になる症状がある場合には早めに消化器内科で相談しましょう。

「食道がん」と関連する症状

「食道がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸やけ
  • 呑酸
  • 食道異物感
  • 嚥下困難
  • 嗄声(声のかすれ)
  • 体重減少

気になる症状があるときは消化器科で胃カメラを受けましょう。40歳以上の方は胃がん検診もおすすめです。

この記事の監修医師

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