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「胃がん検診」は何歳から受けるべき?受診頻度も解説!【医師監修】

 公開日:2025/04/02
「胃がん検診」は何歳から受けるべき?受診頻度も解説!【医師監修】

胃がんと聞くととても怖い病気のように感じる方は多いのではないでしょうか。実際に胃がんは日本のがん死亡数の上位を占めています。

しかし、検診を受けて早期に発見し適切な治療を行えば、多くの場合で治癒が期待できるがんといわれています。では、胃がん検診は、何歳からどれぐらいの頻度で受ければよいのでしょうか。

検診を受けるべき年齢と頻度、検診を受けるメリットや検査方法について解説します。胃がん検診についての疑問や不安を解消する参考になれば幸いです。

永井 恒志

監修医師
永井 恒志(医師)

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医師、医学博士(東京大学)、東海大学大学院客員准教授。
平成15年金沢医科大学医学部卒。東京大学医学部附属病院内科研修医を経て東京大学大学院医学系研究科教官時代に大型放射光施設SPring8を利用した多施設共同研究(国立循環器病研究センター、東海大学ほか8研究機関)をリードし、多数の国際医学雑誌に論文を発表した。
特に免疫細胞であるM1マクロファージの画期的な機能の一端を解明した。現在は腫瘍免疫学の理論に基づきがんの根絶を目指してがん免疫療法の開発と臨床応用を手掛けている。

胃がんとは?

胃がんは、胃の内側にある粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞化し、無秩序に増殖することで発生します。早い段階ではほとんどの場合自覚症状はありません。進行しても症状が出ないこともあり、気付いたときにはかなり進行してしまっていることもあります。
1年間で100,000人以上が診断されている病気です。胃がんの中の10%程度は、胃の壁を固く厚くさせながら広がるスキルス胃がんと呼ばれるがんです。スキルス胃がんは進行が早く、内視鏡で見つけにくい特徴があり、治りにくいがんとされています。

胃がん検診は何歳から受けるべき?

胃がんは初期には自覚症状がないことが多く、早期発見には検診が重要です。では、胃がん検診は何歳から受ければよいのでしょうか。年齢・受診頻度・なりやすい人の特徴を解説します。

胃がん検診を受けた方がよい年齢

厚生労働省のガイドラインによると、50歳以上の方は、胃がん検診で問診に加え胃部X線検査または胃内視鏡検査を受けることが推奨されています。また、40歳以上の方は胃がん検診として胃部X線検査を受けることができます。

胃がん検診の受診頻度

胃がん検診は、50歳以上の方は2年に1回の頻度で受けるよう呼びかけられています。40歳以上の方の胃部X線検査による胃がん検診は当面の間、1年に1回受けられることになっています。

胃がんになりやすい人の特徴

胃がんになりやすいのはピロリ菌に感染している方です。ピロリ菌は井戸水を使っていた時代に感染が広がりました。近年は衛生環境の向上により感染は減ってきています。しかし、50歳以上の方の5割程度は感染しているといわれています。
ほかに、塩分の過剰摂取も胃がんの要因です。その他、喫煙・飲酒・果物や野菜の不足・ストレスなども発症のリスク要因となります。

胃がん検診のメリット・デメリット

胃がん検診を受けるとどのようなメリットがあるのでしょうか。また、受けることによるデメリットはあるのでしょうか。メリット・デメリットにわけて紹介します。

胃がん検診を受けるメリット

胃がんに限らず、がん検診を受けるメリットは早期発見早期治療ができることです。がん検診が大切だとわかっていても、がんが見つかったらどうしよう、とがん検診を避けている方がいるかもしれません。
しかし、がんが不治の病といわれていたのは昔の話です。早期発見早期治療で治るがんがたくさんあります。胃がん検診では、がんになる前のポリープなどの病変も見つけることができ、検査中に組織を採取したのち詳しく調べることも可能です。
胃がんはI期で発見し治療した場合、5年生存率は95%、II期の場合でも70%と高い水準になっています。胃がんは症状なく進行することが多い病気です。検診を受けて早期発見早期治療につなげましょう。

胃がん検診のデメリットや注意点

胃がんに限らず、がん検診では偽陰性・偽陽性・過剰診断という注意点があります。偽陰性とは検診でがんを見逃してしまうことです。がんは見つけにくい場所や形のものもあり、検診の精度は100%とはいえません。
偽陽性とは検診でがんの疑いを指摘されて精密検査を受けたものの、精密検査でがんが見つけられなかった場合です。精密検査で見つけられるがんは実は数%であり、ほとんどの方はがんではなかった、という結果になるのです。
しかし、初回の検査で見つからなかったとしても適切な間隔で検診を受け続ければ発見率は上がり、がんの死亡リスクの回避につながります。過剰診断とは生命を脅かさないがんを見つけることです。がんのなかには自然と消滅するものや進行せず身体への影響が出ないものもあります。
ただ、現在の医療では見つけたがんが今後進行がんになるのか、生命予後に影響を及ぼすのかはわかりません。そのため通常の検査や治療を行うことになります。また、ごく稀ですが検査中の偶発症の可能性もゼロではありません。

胃がん検診の検査方法と費用

胃がん検診では具体的にどのような検査をするのでしょうか。検査方法と費用について解説します。

問診

胃がん検診では最初に問診をします。問診では、現在の病状・既往歴・家族歴・過去の検診受診状況などをききとります。患者さんの現状を把握するためです。あわせて、アレルギーの有無も確認します。

胃部X線検査

胃部X線検査とは胃のレントゲン検査のことです。発泡剤と造影剤を飲み、胃の中の粘膜を観察します。発泡剤と造影剤を効果的に使うため、何度も身体の向きを変えながら撮影を行います。検査は数分で終了するので、落ち着いて医師の指示にしたがって検査を受けましょう。
造影剤を飲むことで便秘の症状が出たり、腸で詰まってしまって腸閉塞を起こしたりすることがあります。便秘気味の方には、検査後、造影剤の排泄を促すため下剤が処方されます。検査後に水分を多めにとるなどご自分でできる対策もするとよいでしょう。
また、検査終了まで飲食はできないので、飲食可能な時間については検査機関の指示に従いましょう。

胃内視鏡(胃カメラ)検査

胃内視鏡検査は口または鼻から胃まで内視鏡(カメラ)を入れて胃の内部を観察する検査です。胃の粘膜を直接観察でき、検査の精度が高くなります。異常が見つかればその場で組織を採取して生検をし、組織検査に出すことが可能です。
苦痛を伴う検査のイメージがありますが、必要に応じて喉の局所麻酔や鎮静剤を使用し、患者さんのストレスを軽減を図ります。

胃がんリスク検診(ABC検診)

胃がんリスク検診とは、粘膜異常の有無とピロリ菌の有無を血液検査により同時に評価できる検査方法です。評価する2つの項目を組みあわせてA群・B群・C群・D群の4つに分類して評価されます。Aは胃がんのリスクはほとんどなく、B群・C群・D群の順に胃の粘膜老化の進行が見られる可能性があります。
この検査はあくまで、胃がんのなりやすさを評価するもので、胃がんを直接調べるわけではありません。B群以上の判定が出た方は必ず精密検査を受けましょう。

胃がん検診の費用目安

がん検診の費用は市区町村からの補助があり、胃がん検診も補助の対象となっています。各自治体で負担金額が異なるため、お住まいの地域の窓口で確認するとよいでしょう。無料の地域もありますが、1,000円台~3,000円台の自己負担額になることが多いようです。
検診費用には一般的に、問診・胃部X線検査または胃内視鏡検査費用が含まれています。検診で精密検査が必要になった場合の検査費用は自己負担になります。

胃がん検診の年齢についてよくある質問

ここまで胃がん検診の年齢などを紹介しました。ここでは「胃がん検診の年齢」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃がん検診は何歳から受けられますか?

永井 恒志永井 恒志 医師

何か症状がある場合は、年齢に関係なく子どもでも胃内視鏡検査を受けることがあります。しかし、症状がない方の場合、胃がん検診を推奨されている年齢は50歳からです。40歳の方も胃部X線検査は受けられますが、20代ぐらいまでは胃がんのリスクは低く、検診の効果が見込めません。ただし、スキルス胃がんは若年から発症するため20代から検診を受けると早期発見の確率はあがります。特に心配な点がなく、何歳から受ければよいかわからない場合は厚生労働省が推奨する50歳から2年に1度を目安にしてはいかがでしょうか。

胃がんは若くてもなりますか?

永井 恒志永井 恒志 医師

胃がんは45歳を過ぎた頃から増加し始め、60代が発症のピークです。30代頃まではさほどリスクは高くないでしょう。若い年齢でのリスクは低いものの、注意を怠らないことが重要です。しかし、スキルス胃がんは胃がんの全体の約10%を占め、20代からの発症例が報告されています。若年層でも注意が必要です。

編集部まとめ

胃がん検診は、50歳になったら2年に1度の頻度で受けることが推奨されています。検診では問診と胃部X線検査または胃内視鏡検査を受けます。内容により費用は違ってきますが、胃内視鏡検査の精度は高く、検診を受ける効果は高いでしょう。

胃がんは1年に100,000人以上が罹患する病気ですが、早期発見早期治療で高い確率で治癒が見込めます。対象の年齢の方は適切な頻度で検査を受けるようにしましょう。

胃がんと関連する病気

「胃がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

胃の病気はいくつもありますが、上記はいずれも胃の粘膜に異常が現れる病気です。精密検査を受けることにより診断がつくでしょう。同じ胃の粘膜の病気でもそれぞれ対処・治療は異なります。自己判断せず、病院を受診して適切な検査と治療を受けましょう。

胃がんと関連する症状

「胃がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胃の痛み
  • 胃の不快感
  • 胸やけ
  • 黒色便

胃がんには特有の症状がなく、自覚症状のみでは診断が難しい病気です。同じような症状がある病気と区別して適切な治療を始めることが重要です。上記のような症状が続く場合は早めに受診しましょう。

この記事の監修医師