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「皮膚がん」を発症すると「どんな痛み」を感じる?初期症状も医師が徹底解説!

 公開日:2025/10/14
皮膚がんを発症するとどんな痛みを感じる?Medical DOC監修医がどこに痛みを感じるか・初期症状・検査法・治療法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「皮膚がん」とは?

皮膚がんは、皮膚に発生する悪性腫瘍で、一般的には皮膚の表面にできるがんの総称です。 皮膚がんには、基底細胞がん、有棘(ゆうきょく)細胞がん、扁平上皮がん、悪性黒色腫などの種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。 多くの場合、皮膚がんは紫外線にさらされやすい場所に発生しやすいので、日光を避けることがリスク軽減に役立ちます。また、皮膚に変化がないかをチェックすることで、皮膚がんを早期に発見することも可能です。特に、皮膚がんは初期段階では自覚症状が乏しいため、皮膚を日頃から観察することが大切です。 今回の記事では、皮膚がんを発症するとどのような症状があるのか、痛みやかゆみなどにも注目して解説します。

皮膚がんを発症するとどんな痛みを感じる?

皮膚がんによって起こりうる痛みの特徴について解説します。

4週間以上続く痛み

皮膚に現れる痛みや傷が4週間以上も治らず続く場合には、注意が必要です。このような長期間の痛みは、通常の傷やけがではなく、がんを含む他の病気が潜んでいる可能性があります。例えば、痛みを伴う赤みや腫れが徐々に広がっている場合や、痛みが強まる傾向が見られる場合は、皮膚がんの兆候であることも考えられます。自分でケアを続けるのではなく、専門医による診察と適切な検査を受けることが重要です。特に、痛みや炎症が続く際は皮膚科での評価を受け、早期発見と早期治療につなげましょう。

かゆみや灼熱感を伴う痛み

悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚の色素をつかさどる細胞「メラノサイト」が悪性化して発生する腫瘍です。メラノサイトはメラニン色素を生成し、肌の色合いを決定していますが、メラノーマにより皮膚に異常が現れます。このがんの特徴としては、皮膚の変化に加え、かゆみや灼熱感を伴う痛みが生じることがあります。また、形が非対称で輪郭が不規則、色むらがあり6ミリ以上の大きさを持つ場合もあり、これらの症状が見られる際は皮膚科で診察を受けることが重要です。

チクチクするような痛み

悪性黒色腫以外の皮膚がんは、初期段階では痛みが出ないことが多いものの、がんが神経の周りで成長すると、痛みやチクチク感、かゆみ、腫れ、さらにはしびれなどが生じる場合があります。また、皮膚の盛り上がりや色の変化といった目に見える異常に、こうした神経症状が加わった際には早めの受診が必要です。こういった症状を見逃さず、専門医の診察を受けることで早期発見と治療につながります。

皮膚がんを発症すると、どこにどんな痛みを感じる?

皮膚がんが発生した場合、痛みを感じる部位や症状はがんの種類や進行具合によって異なります。

皮膚病変がある部位

皮膚がんの多くは、初期段階では痛みを伴わず、種類ごとに特有の皮膚の変化のみが現れることが一般的です。しかし、悪性黒色腫ではかゆみや灼熱感が発生する場合があります。また、がんが神経に沿って成長すると、痛みやチクチク感、腫れ、かゆみ、しびれが生じることもあり、こうした異常が見られた際は早期に診察を受けることがすすめられます。

リンパ節

悪性黒色腫などの皮膚がんが進行すると、皮膚から離れたリンパ節に転移することがあります。転移が起こると、リンパ節が固く腫れ、周囲の組織や神経を圧迫して痛みを引き起こすことがあります。また、圧迫によってリンパの流れが滞り、さらに腫れや痛みが増すこともあるため、早期の診断と治療が重要です。

がんが遠隔転移した部位

皮膚がんが進行し、骨や肝臓などの離れた臓器に転移すると、転移先の部位に応じて痛みが発生することがあります。骨に転移した場合、病変部での痛みや骨折のリスクが生じることが多く、強い痛みを伴います。また、肝臓に転移すると、右腹部に不快感や痛みを感じることが一般的です。こうした遠隔転移は、症状が増す原因となるため早めの対応が重要です。

皮膚がんの前兆となる初期症状

皮膚がんには複数の種類があり、それぞれに異なる特徴がありますが、ここでは一般的な皮膚がんの初期兆候について紹介します。

皮膚にできた新しい斑点

新たに現れた斑点は、皮膚がんの初期サインである可能性があります。こうした斑点は通常の傷と異なり、数週間以上経っても改善しないことが特徴です。日々のセルフケアとして、患部を清潔に保ち、紫外線を避けることが予防に役立ちます。症状が続く場合は、早めに皮膚科で診断を受けましょう。

色や形が不規則なほくろ

以前からあるほくろが突然大きくなったり、色が変わったりする場合は要注意です。特に悪性黒色腫のリスクがあるため、形が左右非対称になり、色むらが出る場合は早急に医師の診察を受けることが大切です。紫外線を避けることや、ほくろを不用意に触らないように心がけることが予防に繋がります。

治りにくい傷

かさぶたや出血を伴い、治癒に時間がかかる傷も皮膚がんの兆候となることがあります。患部は清潔に保ち、傷を刺激しないように注意しましょう。数週間経っても治らない場合は、皮膚科での早期診断が重要です。

皮膚がんの検査法

皮膚がんの検査方法について解説します。

ダーモスコピー

ダーモスコピー検査では、ダーモスコープというライト付きの拡大鏡を使用して、皮膚の病変部を10〜20倍に拡大して詳細に観察します。皮膚がん特有の特徴や、良性のほくろやシミとの区別が可能で、皮膚科医によって行われます。この検査は外来で短時間で完了し、痛みもほとんどなく、事前準備も不要です。

皮膚生検

皮膚生検は、局所麻酔を施した上でがんが疑われる部分の小さな組織を切り取り、顕微鏡で詳細に検査する方法です。一般的には入院の必要がなく、外来で行われます。生検で採取する組織は3~4mm程度と小さいため、処置後に少し痛みを感じることはありますが、通常すぐに治まります。生検はがんの確定診断に有効で、病変の進行度や適切な治療法を判断するための重要なステップです。

画像検査

皮膚がんの診断後、転移の可能性を確認するために画像検査が行われます。例えば、超音波検査ではリンパ節の腫れを確認し、CTやMRIはがんの拡がりや他の臓器への転移を評価します。PET-CTは全身のがん細胞の広がりがわかるため、進行がんの患者に特に有用です。これらの画像検査も多くは外来で対応可能で、迅速かつ的確な治療の計画に役立ちます。

皮膚がんの治療法

それでは、皮膚がんの治療法について説明します。

手術療法

手術療法は、がんの患部を外科的に切除する方法で、皮膚がん治療の基本となる治療法です。基底細胞がんや扁平上皮がんに対して有効で、皮膚科またはがん専門の外科で実施されます。進行度が低ければ日帰りや短期間の入院で済むことが多いですが、がんの進行具合によっては入院期間が長引く場合もあります。

放射線治療

放射線療法は、手術が難しい部位や高齢の患者に使用されることが多く、がん細胞のみを狙って破壊し、周囲の正常組織への影響を最小限に抑える方法です。がん専門病院や大規模医療施設で行われることが多く、通常は通院治療ですが、患者の状態によっては入院が必要になることもあります。放射線療法は、特にがんが局所的に留まっている場合に有効です。

化学療法

化学療法は、主に悪性黒色腫などの進行がんに対して用いられる治療法で、抗がん剤を使用してがん細胞の増殖を抑えます。化学療法は、がんの広がりを防ぐために使用され、がん専門医がいる病院で実施されることが一般的です。副作用も伴うため、入院しながら行うことが多く、がんの進行度や治療の効果に応じて治療期間が変わります。

「皮膚がんの痛み」についてよくある質問

ここまで皮膚がんの痛みなどを紹介しました。ここでは「皮膚がんの痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

皮膚がんを疑う症状について教えてください。

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

皮膚がんが疑われる症状には、治りにくい新しい斑点や傷、既存のほくろが急に色や形を変えた場合が含まれます。また、かゆみや痛みを伴う部分や、サイズが急速に大きくなる斑点も要注意です。このような症状が見られた場合、早急に皮膚科を受診し、専門的な診断を受けることをお勧めします。

編集部まとめ

皮膚がんは、早期発見が重要ながんのひとつで、特に日光を浴びやすい部位に現れやすい傾向があります。 今回の記事では、皮膚がんの基本情報から、気になる症状や痛み、検査や治療法までを解説しました。もし、治りにくい傷や形が変わるほくろがあれば、一度皮膚科で確認することをおすすめします。

「皮膚がん」と関連する病気

「皮膚がん」と関連する病気は2個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。 これらの病気は、皮膚がんの一種である有棘細胞がんの前段階であり、皮膚がんとの関連があります。

「皮膚がん」と関連する症状

「皮膚がん」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 新しい皮膚の斑点
  • もともとあったほくろが変化する
  • かゆみや痛みを伴う皮膚のできもの
  • 出血や潰瘍
こうした症状は、皮膚がんの症状である可能性があります。気になる皮膚の症状がある場合には、一度皮膚科を受診しましょう。

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