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「肺がんの再発率」はご存知ですか?転移しやすい部位も解説!【医師監修】

 公開日:2025/01/06
「肺がんの再発率」はご存知ですか?転移しやすい部位も解説!【医師監修】

肺がんと聞くと再発や転移などマイナスのイメージを抱く方も少なくないと思います。

肺がんによる死亡者は多く、特に男性では肺がんの罹患率が高いのが現状です。

しかし、肺がんの再発率や転移しやすい部位について知らない方も多いでしょう。また、もし肺がんになってしまってもその予防方法があることをご存じの方も少なくないと思います。

この記事では肺がんの再発率や転移しやすい部位について、予防方法も併せて解説します。

永井 恒志

監修永井 恒志

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医師、医学博士(東京大学)、東海大学大学院客員准教授。
平成15年金沢医科大学医学部卒。東京大学医学部附属病院内科研修医を経て東京大学大学
院医学系研究科教官時代に大型放射光施設SPring8を利用した多施設共同研究(国立循環器
病研究センター、東海大学ほか8研究機関)をリードし、多数の国際医学雑誌に論文を発表した。
特に免疫細胞であるM1マクロファージの画期的な機能の一端を解明した。現在は腫瘍免疫学の
理論に基づきがんの根絶を目指してがん免疫療法の開発と臨床応用を手掛けている。

肺がんとは?

みなさんはよく肺がんという病名自体はよく耳にすると思います。では、どのような症状があるかご存じでしょうか?肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。
進行すると、がん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパの流れにのって転移することがあります。肺がんには主に4つの組織型(がんの種類)があります。

  • 腺がん(肺腺がん)
  • 扁平上皮がん
  • 大細胞がん
  • 小細胞がん

腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんを非小細胞肺がんと呼びます。いずれの組織型のがんでも発生要因の1つに喫煙がありますが、喫煙をしていない方でも肺がんになることもあります。
早期には症状がみられないことも多く、進行して初めて症状がでることがあるので注意が必要です。肺がんの主な症状を4つ紹介します。

  • 咳や痰、血痰
  • 胸の痛み
  • 動いたときの息苦しさや動悸
  • 発熱

しかし、いずれも肺炎や気管支炎などの呼吸器疾患にも共通する症状のため、この症状があれば必ず肺がんというわけではありません。主な症状は、咳と痰です。原因がわからない咳や痰が2週間以上続く場合や血痰が出る場合、発熱が5日以上続く場合には早めに医療機関を受診しましょう。

肺がんの再発率

肺がんはよく再発をするということをよく耳にすることがあると思います。実際に肺がんの再発率はどのくらいなのか紹介します。

肺がんの再発率は高め

肺がんの治療は大きく分けて4つに区分されています。ステージが進むにつれてより進行した肺がんであることを示しています。

  • ステージⅠ(がんが少し広がっているものの、筋肉層にとどまっている。リンパ節への転移はない)
  • ステージⅡ(リンパ節への転移はないが、筋肉層を超えて浸潤している。また、腫瘍は広がっていないが、少しリンパ節への転移がみられる)
  • ステージⅢ(がんが浸潤しており、リンパ節への転移もある)
  • ステージⅣ(がんが、はじめにできた原発巣を超えてほかの臓器に転移している)

肺がんの再発率は、ステージ1の場合であっても30%から40%です。再発率はステージが上がる程、高くなる傾向にあります。特に肺がんの場合、手術でがんを取り除いた後、5年間再発せずに経過すれば治癒と判断される傾向があります。そのため、5年生存率が予後の指標になるでしょう。

肺がんの5年生存率は高くない

肺がんの5年生存率は2011年から2013年の診断症例において47.5%でした。5年生存率もステージが高くなる程、低下する傾向にあり、特にステージ4での5年生存率は7.3%と低い結果になっています。また、乳がんや大腸がんなどと比較して低い結果がみられました。

肺がんの再発は5年以内に起きる

一般的には、治療後5年以内に起きるケースが多いとされていますが、個々の患者さんで再発時期は異なります。多くは2年以内に再発するといわれています。

ステージが進んでいなくても要注意

肺がんは、早期のステージ1の肺がんでも術後に再発することがあります。
ステージ2やステージ3となると再発のリスクは高くなります。

がんの種類によって再発率は異なる

肺がんは約80%を占める非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けられます。小細胞肺がんは悪性度が高く、成長が早いのが特徴です。さらに再発率も高い傾向にあります。

肺がんの再発

肺がんについては、再発以外にも転移という言葉をよく聞くことがあると思います。次に肺がんの再発と転移の違いについて説明し、転移しやすい部位などについて解説していきます。

転移性再発が目立つ

再発とは、治療がうまくいったようにみえても、手術で取り切れてなかった目に見えない小さながんが残っていて再び現れたり、いったん縮小したがんが大きくなったりする現象のことです。転移とは、がん細胞が最初に発生した場所から血管やリンパ管に入り込み血液やリンパ液の流れにのって別の臓器や器官へ移動して、そこで増殖することを指します。
また、転移性再発とは治療した場所の近くで再発を指摘されるだけでなく、別の場所で転移してがんが見つかることをいいます。

肺がんが転移しやすい部位

肺がんの転移には大きく2つに分けられます。血液を介した転移である血行性転移とリンパ液の流れを介したリンパ行性転移です。血行性転移では、反対側の肺・骨・脳・肝臓・副腎への転移の頻度が高いという特徴を持ちます。
一方で、リンパ行性転移では最初に近くのリンパ管に侵入しリンパ液の流れにのって、次のリンパ節に移動します。つまり病変は一番近いリンパ節から始まり、肺門リンパ節・縦隔リンパ節・反対側のリンパ節に広がっていくということになるでしょう。

再発後は化学療法が基本

がんの化学療法とは、いわゆる抗がん剤などである化学療法剤を使ってがん細胞の増殖を抑えたり、破壊したりする治療法で、薬物療法と呼ばれます。
再発した場合の標準治療は定まっていませんが、抗がん剤での化学療法が生存期間の延長効果を得られる可能性が高く、化学療法を行うことが勧められます。
近頃、新しい治療法として免疫療法が注目され、免疫チェックポイント阻害薬の有効性も高いことが科学的に証明されました。しかしながら、抗がん剤などと同様にすべての患者さんに有効な治療ではなく、がんが進行する場合もあります。免疫に関連した副作用を起こす可能性もあり注意が必要です。

転移部位によっては対症療法も必要

対症療法とは病気そのものではなく、自覚的な症状を軽くするために処置や投薬などを中心とした医療・ケアのことを指します。身体の辛さの軽減・家族相談・経済的なアドバイスなども含まれ、緩和ケアと呼ばれ、この言葉は終末期医療でよく使用されます。
しかし、肺がんにおいて緩和ケアは終末期に受けるものと誤解される方も少なくないです。緩和ケアは苦痛を和らげる医療・ケアですので診断早期から治療と並行して行う方がよいといわれています。

肺がんの再発防止

肺がんに罹患してしまった場合、再発は避けたいと多くの方は考えると思います。再発を予防する方法について解説します。

手術後も定期的に医療機関を受診

手術後も定期的に通院して検査を受けましょう。手術後の経過観察は5年間が目安になり、始めは1ヶ月から3ヶ月ごと、病状が安定してきたら6ヶ月から1年ごとに定期的に行います。
受診は再発予防のほか、合併症・後遺症の早期発見・早期治療のため体調についての診察・血液検査・胸部X線検査などを行い、必要に応じてCT検査やMRI検査などの画像検査があります。

再発しにくい生活習慣に改める

肺がんは国内での死亡原因の第1位で特に男性の死亡者数が高いのが現状です。また、再発率も高く、転移しやすいがんの一つとして知られていると思います。進行が進んでしまうと、予後も悪化する傾向にあります。
そのため、規則正しい生活やバランスのとれた食事や禁煙など生活習慣を見直すことで再発を予防しましょう。再発・転移をした場合、肺がんの治療と並行して痛みなどを和らげる緩和ケアも大切になります。

肺がんについてよくある質問

ここまで肺がんの再発率などを紹介しました。ここでは「肺がん」についてよくある質問に、MedicalDOC監修医がお答えします。

肺がんが再発しても完治する可能性はありますか?

永井 恒志永井 恒志 医師

肺がんの手術では実際、残っている目に見えないがん細胞が再発することがあります。再発・転移は5年以上経過するとかなり少なくなることがわかっています。しかし、再発してしまった場合の治療法は完治を目指すのではなく、がんの進行を抑える・がんによる症状を和らげるといった治療方針になっていくでしょう。

肺がんを初期発見する方法はありますか?

永井 恒志永井 恒志 医師

肺がんを初期発見するためには、がん検診を受けましょう。早期のがんには自覚症状がないため、がん検診は自覚症状のないうちに受けることが大事です。血痰・長引く咳・胸痛・声のかれ・息切れなどの症状がある場合には検診ではなく、すぐに医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ

肺がんは国内での死亡原因の第1位で特に男性の死亡が多いのが現状です。また、再発率も高く、転移しやすいがんの一つとして知られています。

進行が進んでしまうと、予後も悪化してしまいます。そのため、規則正しい生活やバランスのとれた食事など生活習慣を見直すことで、再発を予防することが可能です。

再発・転移をした場合、肺がんの治療と並行して痛みなどを和らげる緩和ケアも大切になります。

肺がんは早期発見により、効率的に治療効果をあげることができるため、がん検診などを症状がでる前から受けることが大切です。

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「肺がん」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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もし、これらの病気についてご心配な場合は医師にぜひ相談しましょう。

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肺がんは早期発見できれば、治療効果の高い病気です。
少しでも気になる症状があれば、自己判断せず医療機関を受診しましょう。