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「大腸がんと痔の血便の違い」はご存知ですか?血便の出る病気も解説!

 公開日:2024/11/18
「大腸がんと痔の血便の違い」はご存知ですか?血便の出る病気も解説!

大腸がんは、男女ともに罹患しやすいがんの一種として知られています。しかし、早期のものは無症状で進行するまで症状が出ないため、出血しても大腸がんと痔の見分けがつかないのが特徴です。

もし、痔だと思って放置しておくと重症化してしまう場合もあります。そのため大腸がん検診を受けたり、血便が出たら医療機関の受診をおすすめします。

山本 康博

監修医師
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)

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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医

大腸がんとは?

大腸がんとは大腸表面の粘膜から発生する悪性腫瘍の総称です。原因は良性のポリープが徐々にがん化してしまうものと、正常な大腸表面の粘膜から突然がんが発生するものの2つが考えられます。
大腸は小腸から続き、小腸を取り囲むようにお腹の中を大きく回って肛門まである臓器です。長さは1.5〜2m程あり、小腸からつながる結腸と肛門付近の直腸に分かれています。日本人の場合、大腸がんができやすい場所はS状結腸と直腸といわれています。S状結腸の場所はお腹の左下辺りで結腸の終わりの部分にあたり、直腸はS状結腸から肛門までです。

大腸がんと痔の血便の違い

大腸がんと痔の血便の違いを自己判断するのは難しいです。大腸がんは結腸がんと直腸がんというように、大腸の場所で大きく2つに分類されます。
痔の分類ではいぼ痔と切れ痔の血便に大きな違いがあるため、ここではそれぞれの血便の違いを解説します。

結腸がんの血便

結腸は大腸の小腸から直腸までで、右側の大腸と左側の大腸で血便の性状が異なります。右側の大腸の血便は便に水分が含まれているため泥状になっており、出血していても便に混ざるため気づきにくいです。
しかし、大量に出血している場合は暗赤色の血便が出ます。左側の大腸の血便は便の水分が大腸に吸収されているので、便に出血が混ざり赤褐色のような血便が出ますが、直腸に近いため直腸がんの血便と同様に真っ赤な色になることもあります。

直腸がんの血便

直腸にがんがある場合の血便の色は、鮮血といわれる真っ赤な出血のことが多いです。直腸は肛門付近なので血便といわれる便に血が混じった状態ではなく、便と一緒に血液が排泄されて便器が真っ赤になることがあります。

いぼ痔の血便

いぼ痔の血便は鮮血といわれる真っ赤な出血で、血が便に付着したものというより、排便時にまるで血液が直接肛門から吹き出したような血便になることが多いです。また、出血の量があな痔や切れ痔と違い、場合によっては便器が赤くなる程お尻から血液が垂れたり、出血した血液が逆流して直腸に溜まった場合は、赤黒い血便が出たりすることもあります。
 

切れ痔の血便

切れ痔の血便は、排便時にトイレットペーパーに赤い血液が付着します。いぼ痔と違い排便時に痛みも伴うので、出血の量でいぼ痔か切れ痔かある程度の予測はできるでしょう。しかし、いぼ痔と同様に出血した血液が逆流して直腸に溜まった場合は、赤よりも赤黒い血便が出ることもあります。

どのような点が異なっているか

大腸がんと痔の血便の異なる点は、出血した血液が便全体に混ざっているか、または便の表面に付着しているかになります。大腸がんの血便は、出血した血液と便が全体的に混ざるため赤い血便が特徴です。
その一方で痔の血便は、肛門付近からの出血になるので便に血液が混ざることはなく、便の表面に血液が付着していたりトイレットペーパーに血液が付着したりします。しかし、出血の量によっては排便時にお尻から血液が垂れてしまうこともあります。

大腸がんと痔の見分け方

大腸がんと痔の見分け方は、出血やそれに伴う症状で判断します。しかし、出血といっても色や出血量と排便との関係によって簡単には見分けがつきません。血便があった場合に、大腸がんと痔の見分け方について解説します。

血便だけでの判別は簡単ではない

血便の出る病気は、大腸がんと痔が代表的ですが、ほかにも血便の症状がある大腸の病気があり、血便だけで大腸がんと痔を判断するのは簡単とはいえません。

血便が出たら医療機関を受診するのが安全

血便が出た原因があな痔(痔瘻)の場合は、診断がつけば速やかに切開し排膿の処置が必要です。肛門の周囲で細菌感染して化膿し、膿が出てあなが開いたことによる症状なので、基本的な治療は手術になります。
あな痔のように緊急性のある病気もあるため、血便が出たら自己判断せず医療機関を受診しましょう。

血便の出る病気

血便の出る病気は、大腸がんや痔のほかに大腸炎や大腸ポリープがあります。ここでは、潰瘍性大腸炎と虚血性大腸炎、大腸ポリープについて解説します。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは、大腸の一番内側の層の粘膜に炎症や潰瘍ができる炎症性の腸疾患で、指定難病97として登録されています。原因は不明ですが、腸内細菌の関与や免疫反応の異常などが考えられます。症状は下痢や血便と持続的な腹痛です。
治療方法は通常内科的な治療として薬を内服したり、肛門に注入するなどしますが、完治が難しく効果が見られない場合や重症化する場合は外科的治療の手術で大腸全摘術が行われます。

虚血性大腸炎

虚血性大腸炎とは、血流障害などで大腸に炎症が起き血便や腹痛などの症状が出る腸炎の一つです。原因は大腸に血液を送る動脈で動脈硬化などが起こり、大腸の粘膜が血流不足になり大腸粘膜に障害が起きると考えられています。また、腸管にも原因があり便秘の際にいきみ過ぎて腹圧がかかることにより、血流の低下のため大腸粘膜の障害が起きます。
症状は、突然腹痛が起きて悪化した場合は下痢や血便が出ますが、ときには血便の量が通常の血便量と違い便器が真っ赤になってしまい、慌てる患者さんも少なくないです。治療としては腸管を休ませるため絶食や点滴治療を行い、1〜2週間程度で退院できます。

大腸ポリープ

 
大腸の内側には粘膜があり、その一部がイボ状に隆起したものを大腸ポリープと呼びます。大腸ポリープは組織の性質に応じて腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられ、腫瘍性ポリープはさらに良性の腺腫と悪性腫瘍(がん)に分類されます。
大腸ポリープが硬い便が通る場所にできると、便が擦れて出血し、血便が見られることがあるのが特徴です。少量の出血で自覚症状がない場合もあり、その場合は便潜血検査で見つかることがあります。

大腸がんについてよくある質問

ここまで大腸がんと痔の血便の違いなどを紹介しました。ここでは「大腸がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんに罹患すれば必ず血便が出ますか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

大腸がんの症状として必ず血便が出るとはいえません。なぜなら、がんの発生する場所によって症状が異なったり、早期のものは無症状のものが多く進行してから症状が現れたりすることがあるためです。大腸がんに罹患して血便が出る場合はS状結腸や直腸など大腸の左側に多く見られますが、大腸の右側にがんが発生した場合は血便より貧血や便秘などのほかの症状が現れることが多いです。

大腸がんを早期発見する方法はありますか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

早期であれば大腸がんは大半が無症状であるため、自覚症状がなければ早期発見は難しいでしょう。大腸がんの症状といえば血便が代表的な自覚症状ですが、痔と思い込んで放置してしまい大腸がんが進行してしまうこともあります。早期発見するには、市町村や職場で行っている健康診断や人間ドックなどで大腸がん検診を受診しましょう。40歳以上を対象にしており、便潜血検査を行います。

編集部まとめ

大腸がんと痔の血便の違いについて解説してきましたが、血便の出る病気はほかにもあるため判断が難しいことがあります。

血便と一言でいっても出血の色や量などの症状によっては、詳しい検査をしないと判断できない病気もあります。

血便が少ないからといって放置してしまうと、緊急性が必要な病気の場合もあるので医療機関を受診して原因を調べることが重要です。

また、大腸がんは毎年がん検診を受けることで早期発見できます。

大腸がんと関連する病気

「大腸がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

大腸がんと関連する病気は、遺伝性疾患の家族性大腸腺腫症やリンチ症候群があります。また、大腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍ができる原因不明の炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎とクローン病に分類されどちらも指定難病となっています。

大腸がんと関連する症状

「大腸がん」と関連している、似ている症状は11個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

大腸がんは進行してしまうと、慢性的な出血のため貧血やめまいを起こしたり、腸閉塞まで進行した場合は便秘になり腹痛や嘔吐の症状も現れたりします。血便が出ても痔だと思い込んで放置せずに、早期発見するため早めに医療機関で受診をおすすめします。

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