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「骨髄異形成症候群」を発症した場合の「余命」はどのくらい?治療法も医師が解説!

 公開日:2025/10/09
「骨髄異形成症候群」を発症した場合の「余命」はどのくらい?治療法も医師が解説!

骨髄異形成症候群を患ってしまったときの余命をご存知ですか。 骨髄異形成症候群は病気を発症すると造血細胞に異常が生じるので、赤血球・白血球・血小板を正常に作ることができなくなる病気です。 どの血球が作られにくくなったかで症状が変わります。発見が遅くなることがほとんどで、治療開始が遅いと余命にも影響します。 この記事では、骨髄異形成症候群の余命だけでなく、病気の症状や治療法についても解説します。骨髄異形成症候群の早期発見にもお役に立てれば幸いです。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

骨髄異形成症候群とは?

骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)は骨髄系造血器腫瘍の一つです。未熟な造血細胞に異常が生じたことが原因と考えられていますが、なぜその異常が出現するかは明確になっていません。未熟な造血細胞に異常が生じるため、赤血球・白血球・血小板を正常に作ることができなくなります。
赤血球を正常に作ることができなくなると貧血症状が出現します。症状は倦怠感・動機・息切れ・めまいなどです。白血球が減少すると免疫力が低下するため感染しやすい状態になります。血小板が減少すると、出血を止めることが難しくなり鼻や脳など出血傾向がみられます。
骨髄異形成症候群は、血球減少で診断されることがほとんどです。ただ、血球減少がみられる病気は骨髄異形成症候群だけではないので、染色体異常や好中球アルカリフォスファターゼ活性などの補助診断も行われます。具体的に行われる検査は以下のとおりです。
  • 血液生化学検査
  • 細胞遺伝学的分析
  • 末梢血塗布抹
  • 骨髄穿刺による骨髄生検
  • 細胞の特徴を検査するフローサイトメトリー
  • 遺伝子や染色体を測定するFISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)
上記の検査を行い、統合的に診断していきます。

骨髄異形成症候群の余命

骨髄異形成症候群と診断されてからの余命について解説します。病気の進行状況によって平均生存期間が変わります。

高リスクと低リスクで分かれる

骨髄異形成症候群はInternational prognostic scoring system(IPSS)という指標を使用し、高リスクと低リスクに分類します。この分類は1994年に発表されたものです。これは骨髄芽球・核型・血球減少をスコア化し、合計点数で結果を出します。
2012年にはRevised IPSS(IPSS-R)というIPSSの改訂版が発表され、このIPSS-Rの方がよく使用されるようになりました。骨髄異形成症候群の進行は、低リスク群・中間(int-1)・中間(int-2)・高リスク群の4段階にわけられます。

平均で3~5年程度

リスク分類は4段階にわけることができ、平均生存期間は下記のとおりです。
  • 低リスク群は5.7年
  • 中間(int-1)群は3.5年
  • 中間(int-2)群は1.3年
  • 高リスク群は0.4年
平均すると3〜5年程度です。

骨髄異形成症候群の種類

血液中と骨髄中の芽球がどの程度あるかによって分類されます。芽球の割合が20%になったときは、急性骨髄性白血病に移行したと診断されます。

不応性貧血

血液中の芽球は1%未満、骨髄中の芽球は5%未満です。下記含め4つの種類のなかで芽球の割合は軽度です。

鉄芽球性不応性貧血

血液中の芽球は1%未満、骨髄中の芽球は5%未満です。鉄芽球性不応性貧血は、環状鉄芽球が増えている状態です。なかでも鉄の代謝障害による全身症状が現れます。鉄が体内で使用されないので、鉄過剰状態になることがあります。そのときに現れる症状は以下の通りです。
  • 肝臓に鉄が蓄積したことで起こる右上腹部の痛み
  • 関節の痛み
  • 皮膚が濃い灰色や青銅色に変色する
  • 心臓が影響を及ぼし不整脈が発生する
  • 食欲不振
  • 舌炎
  • 嚥下困難
どこに鉄が蓄積し、影響を与えるかによって症状が変化します。

不応性血球減少症

血液中の芽球は1%未満、骨髄中の芽球は5%未満です。異形成が複数の血球で10%以上ある状態です。欧米では骨髄異形成症候群の約1/4を占めます。

芽球増加型不応性貧血

血液中の芽球は5〜19%、骨髄中の芽球は5〜19%です。

骨髄異形成症候群の治療法

骨髄異形成症候群の治療法は下記のものがあります。病気の進行状況や患者さんがどの程度の治療まで耐えることができるかなど、全身状態を把握し治療法が決定されます。

支持療法

支持療法とは、輸血や抗生投与などの医療行為のほかに、治療をせず経過観察を行い精神的なサポートをする、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の評価をすることも含まれます。赤血球が不足している患者さんには赤血球輸血を行い、血小板が不足していれば血小板輸血を行います。
血小板輸血については、採血データが基準値より低下していても出血症状ない場合には輸血を行わないのが一般的です。感染対策のため、抗生物質の投与を行うこともあります。

免疫抑制療法

初期の骨髄異形成症候群に対して免疫抑制剤を使用することがあります。例としてシクロスポリン、抗胸腺細胞グロブリンという薬剤です。これらの免疫抑制剤を使用することで、造血の回復が認められています。

化学療法

がん細胞を破壊するために実施されます。化学療法を行うことで、正常な造血細胞をもつ細胞も破壊されてしまうので、治療時には注意が必要です。アザシチジンという薬剤が承認されており、治療で使用されます。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は、患者さんかドナーから採取した血液や骨髄から成熟前の血液細胞である幹細胞を取り出し、患者さんの体内に戻す治療法です。患者さんの体内に注入された正常な幹細胞が成熟し、血液細胞になることで血液機能が回復することを期待して行われます。
異常な幹細胞が血液中に豊富に残っていると、注入した正常な幹細胞が死滅してしまうので上記で解説した化学療法とともに行われることがほとんどです。

骨髄異形成症候群の余命についてよくある質問

ここまで骨髄異形成症候群の余命や症状について紹介しました。ここでは「骨髄異形成症候群の余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

治療法によって余命は変わりますか?

どの治療方法でも、急激に状態が悪化する可能性があります。それは、白血球が減少し感染リスクの高い状態である可能性が高いからです。治療の有無に関わらず、感染対策をきちんと行うことが大切です。病気の進行状況と全身の健康状態を確認し、納得した治療を行うようにしましょう。

急性白血病に移行しやすいですか?

その程度病気が進行しているかによって、急性白血病に移行しやすいかが変わります。急性白血病へ移行する割合は以下のとおりです。
  • 低リスク19%
  • 中間(int-1)群30%
  • 中間(int-2)群33%
  • 高リスク45%
全低リスク患者の25%が急性白血病になるまでに10.8年、高リスク患者の25%が急性白血病になるまでに0.73年かかるとの統計結果もあります。

編集部まとめ

骨髄異形成症候群の余命だけでなく、症状と治療法も解説しました。 症状がはっきりわかりにくく、発見が遅くなりやすい病気なので、少しでも身体の不調を自覚したら病院を受診するようにしましょう。 病気の進行状況、全身状態によって治療方法が異なりますし、余命にも関わってきます。医師と十分に話し合い、治療を決定することをおすすめします。

骨髄異形成症候群と関連する病気

「骨髄異形成症候群」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

骨髄異形成症候群による病気と、進行してしまったときの病気です。どちらも貧血症状が出現することがあるので、検査なくして診断がつきにくいです。違和感を感じたら病院を受診するようにしましょう。

骨髄異形成症候群と関連する症状

「骨髄異形成症候群」と関連している、似ている症状は7個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

がんにより排尿に関連した症状が出現します。症状が一過性のこともあり、放置しがちになります。
一過性の症状でも違和感がある際は、早めに泌尿器科で受診してください。

この記事の監修医師