骨のがん「軟骨肉腫の好発年齢」は中年から?初期症状やなりやすい箇所も医師が解説!

軟骨肉腫の好発年齢をご存知ですか?
骨のがんである骨肉腫は若年者に多いことが知られていますが、軟骨肉腫は異なります。
骨のがんが進行すると、手術しても人工関節となったり、四肢の切断が必要になったりしてしまうことも少なくありません。
重大な症状に進行する前に早期発見するためにも、軟骨肉腫の初期症状や好発年齢を知っておきましょう。

監修医師:
松繁 治(医師)
岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科
主な研究内容・論文
ガイドワイヤーを用いない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)刺入法とその長期成績
著書
保有免許・資格
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定 脊椎内視鏡下手術・技術認定医
目次 -INDEX-
軟骨肉腫とは?
骨に発生するがんで、腫瘍性の軟骨を形成するのが特徴です。
人間の身体のうち、筋肉・骨・血管・神経などに生じる腫瘍を総称して肉腫といい、肉腫のなかでは骨肉腫の次に多いのが軟骨肉腫です。
国立がん研究センターによると、骨に生じる肉腫は年間で500〜800例であり、軟骨肉腫はそのうちの14%となっています。
数でいえば極めて珍しいがんであり、軟骨肉腫のなかにも複数の分類があるため、治療経験が豊富な病院は多くありません。
かつては骨肉腫の治療は極めて難しく、予後不良といわれてきましたが、近年では技術の進歩もあり治療成績は向上しています。
がんは手術・抗がん剤・放射線が3大療法と呼ばれていますが、軟骨肉腫は抗がん剤や放射線に抵抗性があり、治療効果は期待できません。
治療は手術による切除が基本です。取り残しを防ぐために、がんの周りの正常な細胞も含めて切除します。
5年生存率は70~80%で、手術でもできる限り四肢を温存する方法が開発されています。
軟骨肉腫の症状
軟骨肉腫は、骨肉腫に比べると症状の進行がゆっくりであり、患者さんが気付かないうちに進行するケースが少なくありません。
骨肉腫は血管やリンパ管を通じて転移しやすいため、早期治療が重要です。疑わしい症状がある場合には、早めに医療機関で受診しましょう。
自覚症状がほとんどないケースもある
軟骨肉腫は体のなかの骨で進行していくがんであり、初期には症状がほとんどみられないケースも少なくありません。
がんが小さいうちはレントゲンでも発見できない場合があり、早期発見が難しいのが特徴です。
良性軟骨性病変がある場合には、がん化する可能性があるため、定期的に診察を受けましょう。
患部の痛み
軟骨肉腫でよくみられる症状は、患部の痛みです。
骨の痛みは打撲や捻挫などでも起こりますが、そのような心あたりがないのに痛みが続く場合には、重大な病気の可能性もあります。
軟骨肉腫は症状の進行が遅いため、疼痛に慣れてしまって受診が遅れるケースがあります。
患部の腫れ
患部の腫れも骨肉腫の症状としてよくみられます。
ぶつけたり捻ったりした心あたりがないのに、腫れができて数週間以上治らない場合は早めに受診しましょう。
腫れた部分を押すと痛みがあり、次第に大きくなっていく場合には注意してください。
骨折
軟骨肉腫が進行すると、腫瘍が正常な骨を破壊してもろくなっていくため、骨折しやすくなります。
骨折で受診した際の検査で発見される場合もあり、スポーツや肉体労働をされている方は特に注意が必要です。
骨折すると軟骨肉腫の治療も難しくなるため、予防的に松葉杖を使用するケースも少なくありません。
軟骨肉腫の好発年齢は?
軟骨肉腫は肉腫の一種ですが、肉腫は種類に応じて発症しやすい年齢が異なるのが特徴です。
骨の痛みや腫れなど心あたりのある方で、発症しやすい年齢に当てはまる場合には重大な病気を疑って早めに受診しましょう。
軟骨肉腫の好発年齢を解説します。
30~50歳代で好発
軟骨肉腫の好発年齢は、30~50歳代で男女差はありません。
肉腫のなかでも1番患者さんの数が多い骨肉腫は、10~20歳代の若年者に多いのが特徴です。
軟骨肉腫は骨肉腫よりも好発年齢が上であり、中年~高齢者の方は特に注意してください。
二次性軟骨肉腫にも注意が必要
軟骨肉腫は、はじめから骨に軟骨肉腫が発生する場合と、良性の軟骨性病変が肉腫に進行する場合の2種類があります。
良性軟骨性病変が肉腫に進行したものを、二次性軟骨肉腫といいます。
前者のはじめから軟骨肉腫が発生する場合が全体の80%で大半を占めており、二次性軟骨肉腫の割合は全体の約20%です。
良性軟骨性病変は治療の必要がないものですが、30代以降に軟骨肉腫へ進行する可能性があるため、定期的に診察を受けましょう。
軟骨肉腫の好発部位
軟骨肉腫は全身の骨のどこにでも生じる可能性があり、特に発生しやすい部位もわかっています。
好発部位とされる部位で骨の違和感がある場合には、軟骨肉腫を疑って早めに受診しましょう。
軟骨肉腫の好発部位は、主に以下の4つです。
- 大腿骨
- 骨盤
- 肋骨
- 上腕骨
それぞれについて解説します。
大腿骨
大腿骨は、太ももの骨であり、全身のなかでも特に大きな骨です。大腿骨に肉腫ができた場合、治療は手術による広範切除で、腫瘍の周りの正常な組織も切り取る必要があります。
切除後には人工関節を用いたり、自分の骨を移植する再建手術を行ったりすることも少なくありません。
できる限り脚を温存する治療を目指しますが、肉腫が重要な血管や神経を巻き込んでいる場合は、切断せざるを得ない場合もあります。
骨盤
骨盤は、上半身と下半身をつなぐ大きな骨で、腰骨の1つです。骨盤の上部には背骨、下部には大腿骨が接続しているため、身体のなかでも特に重要な骨です。
骨盤に肉腫が生じて腫れても、皮下脂肪が分厚いために気付かないことがあり、進行してしまうケースが少なくありません。
腰痛や股関節痛と区別がつかない場合もあるため、慢性的な痛みが続く場合には早めに受診しましょう。
肋骨
肋骨は、胸郭を覆っている骨で、あばら骨とも呼ばれます。1本1本の肋骨は細く、強度が低いため、軟骨肉腫による骨折に注意が必要です。
後腹膜腫瘍との鑑別が困難な場合もあるため、診断には腫瘍細胞の生検を行います。
上腕骨
上腕骨は、いわゆる二の腕の骨で、肩関節で鎖骨と接続しています。上腕骨の上端である肩付近に軟骨肉腫ができやすく、患者さんは肩関節の炎症と区別が付きません。
肩関節の捻挫や酷使などの心あたりがないのに、痛みや腫れが続く場合は、軟骨肉腫の可能性があります。
軟骨肉腫の好発年齢についてよくある質問
ここまで軟骨肉腫の症状や好発部位などを紹介しました。ここでは「軟骨肉腫の好発年齢」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
若い方でも軟骨肉腫にかかることがありますか?
軟骨肉腫にかかりやすい年齢は30~50代ですが、若い方でもかかることはあります。がん細胞は細胞分裂が活発な部位に生じやすく、成長期の骨には骨肉腫や軟骨肉腫ができやすくなります。成長期の骨の先端にみられる骨端線は、特に肉腫ができやすい部位です。
骨肉腫との違いを教えてください。
どちらも骨にできるがんですが、腫瘍が骨を形成するかどうかが主な違いです。骨肉腫では腫瘍性の骨が形成されますが、軟骨肉腫では骨ではなく、やわらかい軟骨が形成されます。また、軟骨肉腫は抗がん剤や放射線治療の効果が期待できないことも特徴です。
編集部まとめ
軟骨肉腫の好発年齢や、好発部位と治療方法などを解説してきました。
骨肉腫が若年者に多いのに対し、軟骨肉腫は中高年に多いのが特徴です。
がん全体のなかでは極めて稀ですが、身体の機能を守るためにも早期発見が重要となります。
骨の痛みや腫れが長期間続く場合は、重大な病気の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。
軟骨肉腫と関連する病気
「軟骨肉腫」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
骨に生じる肉腫は、がん全体のなかでは数が少なく、発生は稀です。しかし、症状が進行すると生活に著しい支障が生じ、手術後にも長いリハビリが必要になることも少なくありません。骨肉腫は若年者、軟骨肉腫は中高年に多く見られますが、どの年代でも発症の可能性があります。
軟骨肉腫と関連する症状
「軟骨肉腫」と関連する症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 骨の痛み
- 骨の腫れ
- 骨折しやすい
軟骨肉腫は骨肉腫に比べて症状の進行が遅いため、受診が遅れるケースが少なくありません。腫れや痛みが捻挫や打撲のように自然治癒せず、数ヵ月以上も持続します。違和感がある場合には我慢せずに、早めに医療機関で受診しましょう。