「高齢者に多い多発性骨髄腫」における”4つの治療法”とは? 6つの症状も医師が解説!

高齢者がかかりやすい多発性骨髄腫とはどのような病気なのでしょうか。
多発性骨髄腫は難治性血液がんの1つで、さまざまな症状が現れます。
この記事では、多発性骨髄腫の治療方法を紹介します。原因や症状も解説しているので、症状への対策や治療に役立てれば幸いです。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
目次 -INDEX-
多発性骨髄腫とは?
多発性骨髄腫とは、難治性血液がんの1つです。本来であれば、体内に異物が侵入した際にリンパ球であるB細胞が分化し、形質細胞ができます。
形質細胞は抗体を作り異物を除去しますが、多発性骨髄腫の場合、がん化した形質細胞が抗体の役割を果たさないMたんぱくを作り続けるのが特徴です。
がん化した骨髄腫細胞やMタンパクが血液内や臓器に蓄積していくことで、身体にさまざまな症状が起こります。
多発性骨髄腫の原因
多発性骨髄腫は形質細胞ががん化して異常に増えてしまう病気ですが、原因は明らかになっていません。
しかし高齢者に多くみられることはわかっており、血液のがんのなかでは進行が遅いのが特徴です。そのため症状がない場合は、経過を診るだけのケースもあります。
多発性骨髄腫の症状
多発性骨髄腫では、大きく分けて造血機能の抑制による症状、Mタンパクの増加による症状、骨破壊による症状が起こります。症状が多い分注意点も増えるので、1つずつ確認していきましょう。
貧血
赤血球が減少し、貧血を起こします。貧血になると動悸や息切れがすることもあります。場合によっては転倒にもつながり危険なので、見逃せない症状です。
歯茎からの出血・鼻血
血小板が減少することで、出血傾向が認められます。具体的には歯茎からの出血や鼻血が出やすくなり、止血しにくいことがあります。歯磨きをしたり、鼻をかんだりするときには注意が必要です。
倦怠感・発熱
白血球が減少すると、感染症のリスクが増えます。感染すると倦怠感を自覚したり、発熱しやすくなったります。
骨病変
多発性骨髄腫は、新しい骨を作り古い骨を溶かすサイクルのバランスが崩れてしまうことで、骨がもろくなるのが特徴です。
骨折がきっかけで多発性骨髄腫を発症していることに気付くケースもあります。骨病変は脊髄圧迫まで進行する可能性もあります。
高カルシウム血症
高カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が高くなることで、めまい・便秘・頭痛・口渇・食欲不振が症状として現れます。破骨細胞という古い骨を溶かす細胞が活性化し、高カルシウム血症が起こりやすくなります。
過粘稠度症候群
過粘稠度症候群とは、血液中のMタンパクが増加することで血液の粘り気が強くなり、血液の流れが悪くなる病気です。過粘稠度症候群を発症すると、めまいや頭痛が起こる場合があります。
多発性骨髄腫の治療方法
多発性骨髄腫は薬物療法、放射線治療、維持療法などさまざまな治療法があります。予備知識として役立ててください。
薬物療法
薬物療法は、症状の緩和やがんの進行を抑制することが目的です。細胞障害性抗がん剤や分子標的薬、ステロイド薬を組み合わせて実施します。
細胞障害性抗がん剤は、主にがん細胞の成長や増殖を阻害する薬で、メルファランが該当します。
分子標的薬はがん細胞だけをピンポイントに攻撃するのが特徴です。抗がん剤治療といえば点滴のイメージがありますが、分子標的薬の1つであるボルテゾミブは投与方法に皮下注射もあるため、短時間で投与を終えられるのがメリットです。
抗がん剤と併用することもあるステロイド薬は、炎症や免疫を抑制する効果があります。免疫を抑制することで感染しやすくなるため、マスクの着用や手洗いうがいなど感染予防に努めることが大切です。
ほかにも殺腫瘍作用のある免疫調整薬のレナリミドや、抗体薬であるダラツムママブなど数多くの治療薬が存在します。
自家造血幹細胞移植
自家造血幹細胞移植とは、患者さんの造血幹細胞を採取して冷凍保存したものを高用量の抗がん剤を投与した後に解凍し、再び患者さんに投与する治療法です。
自分の造血幹細胞を移植するため、早期に免疫力の回復が期待できます。しかし造血幹細胞を採取する際にがん細胞が混入し、再発に影響する可能性があるとされています。
自家造血幹細胞移植を行うには移植率を上げるために65歳未満であること、重篤な感染症や肝機障害・腎機能障害がないこと、心肺機能が正常であるかの確認が必要です。
放射線治療
骨病変による痛みの緩和や腫瘍を縮小することを目的に、放射線治療を行うことがあります。Mタンパクを作り続ける原因である骨髄腫細胞は、放射線の感受性が高いことが特徴です。
骨病変が一部にしかみられない場合は、少ない放射線量でも高い治療効果が得られます。病変が脊髄圧迫まで進行している場合は、ステロイド薬を併用することもあります。
維持療法
造血管細胞移植の治療効果を維持し、更なる効果を得るために維持療法を行うことがあります。維持療法により再発を遅らせたり、生活の質を維持したりすることが可能です。
治療は、寛解導入療法や初回化学療法よりも強度を下げた薬剤内容で行います。寛解になったとしても再発するケースがあるため、その際は再び治療を行います。
高齢者がかかりやすい多発性骨髄腫の治療についてよくある質問
ここまで高齢者がかかりやすい多発性骨髄腫の原因・症状・治療法などを紹介しました。ここでは「高齢者の多発性骨髄腫の治療」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
無治療経過観察となるのはどのようなケースですか?
多発性骨髄腫は腰痛・骨折・貧血・高カルシウム血症・腎不全など、症状が出ていなければ治療せず、定期的に受診して経過観察します。症状がない患者さんに早期に化学療法を行っても生存期間の延長は認められないという研究結果があります。多発性骨髄腫の前段階であるがんのくすぶり型(無症候性)多発性骨髄腫は、早期の治療は行いませんが、定期的に検査を行い経過観察が必要です。
治療の前にどのような検査を行いますか?
確定診断を行い、治療方針を決めるために骨髄検査・血液検査・尿検査・画像診断を行います。骨髄検査の方法は、骨髄穿刺や骨髄生検です。骨髄検査は、造血機能や血液疾患の原因、腫瘍細胞の状態がわかる検査です。血液検査では造血機能・腎機能・骨髄腫の進行度の状態を確認します。尿検査では、抗体の役割を果たさないタンパクであるベンスジョーンズタンパクの有無や腎機能を調べます。画像診断はX線・CT・MRI・PETを行い、病気の広がりや骨の状態を調べる検査です。
編集部まとめ
多発性骨髄腫の原因は不明ですが、遺伝子や染色体異常が関与しているとされています。
症状は数多く、貧血・出血傾向・倦怠感・発熱・骨が脆くなる・高カルシウム血症・過粘稠度症候群などさまざまです。
治療が必要な場合は化学療法が中心で、ステロイド薬と組み合わせることがあります。場合によっては自家造血幹細胞移植や放射線治療などを行うことがあります。
多発性骨髄腫は再発リスクがあるため、慎重な経過観察と、症状や進行度に応じた治療を行うことが重要です。
多発性骨髄腫と関連する病気
「多発性骨髄腫」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
白血病は造血幹細胞が血液細胞になる途中で白血球ががん化してしまう病気です。多発性骨髄腫と同様に、貧血や出血傾向が症状として現れます。
悪性リンパ腫は白血球のなかでもリンパ球ががん化してしまう病気です。リンパ腫細胞によって首や腋の下、足の付け根などが腫れたり、リンパ腫細胞から放出される物質により体重減少や激しい寝汗が起こったりします。
白血病も悪性リンパ腫も多発性骨髄腫と共通して長期間の治療を要します。気になる症状があらわれた際は、早めに医療機関を受診してください。
多発性骨髄腫と関連する症状
「多発性骨髄腫」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
これらは多発性骨髄腫が進行した際に起こる症状です。無症状で経過する場合もあり、気付けないこともあるので、定期的に検診を受けて早期発見することが大切です。


