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「上咽頭がん」の”EBウイルス検査”で何が分かる?症状やなりやすい原因も医師が解説!

 公開日:2026/04/13
「上咽頭がん」の”EBウイルス検査”で何が分かる?症状やなりやすい原因も医師が解説!

上咽頭がんの検査法とは?メディカルドック監修医が上咽頭がんの検査法・EBウイルス検査法・症状・原因・治療法などを解説します。

小島 敬史

監修医師
小島 敬史(国立病院機構 栃木医療センター)

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【経歴】
経歴
2006年3月 慶應義塾大学医学部医学科卒
2008年3月 佐野厚生総合病院 初期臨床研修修了
2008年4月 慶應義塾大学耳鼻咽喉科学教室所属
2013年9月 慶應義塾大学病院 助教として勤務
2018年8月 米国 ノースウェスタン大学耳鼻咽喉科で遺伝性難聴の基礎研究に従事
2021年5月〜 国立病院機構 栃木医療センター 耳鼻咽喉科医長 (現職)
【資格等】
日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医、日本耳科学会認定医、補聴器相談医、補聴器適合判定医
所属学会:日本耳鼻咽喉科学会、日本耳科学会、日本聴覚医学会、耳鼻咽喉科臨床学会

「上咽頭がん」とは?

上咽頭がんは、鼻の奥、のどの上部にある上咽頭という場所に発生するがんです。この部位は、鼻腔の奥に位置し、空気の通り道や耳管とつながる場所です。上咽頭がんは、他の頭頸部がんとは異なる特徴を持つことが知られています。主に中高年層に発症しますが、若年者にも見られることがあります。EBウイルス(Epstein-Barr ウイルス)との関連が深いことも知られています。初期には自覚症状が少ないため、発見が遅れることもありますが、適切な検査と治療によって治癒を目指せます。

上咽頭がんの検査法

上咽頭癌を疑った場合、以下のような検査が行われます。

内視鏡検査

上咽頭がんの診断に最も基本となるのが鼻咽腔内視鏡検査です。細い内視鏡を鼻から挿入して上咽頭を直接観察することで、腫瘍の有無や大きさ、広がりを確認します。この検査は耳鼻咽喉科で実施され、外来で15〜20分程度で終わります。検査前に鼻の中に局所麻酔薬をするため痛みはほとんどありませんが、違和感を感じることがあります。通常、入院の必要はなく外来で完結します。

画像検査(CT・MRI・PET-CT)

腫瘍の大きさや広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無を確認するために、CT検査やMRI検査がおこなわれます。がんと診断された場合、PET-CT検査を行うことがあります。これらの検査は耳鼻咽喉科からの依頼で放射線科などで実施され、検査時間は約30〜60分です。基本的には外来検査ですが、放射線科医の読影を受ける場合は結果説明までに1週間程度かかります。

病理検査(細胞診・組織診)

病理検査は、内視鏡検査や手術などで採取した、疑わしい部分の組織や細胞を顕微鏡で詳しく調べる検査です。細胞診は、粘膜の表面をこすり取ったり、針で刺したりして細胞を採取して調べます。組織診では、腫瘍の一部をある程度の組織として採取します。検査は耳鼻咽喉科外来で行われます。結果が出るまでにかかる期間は1週間程度です。組織採取の範囲によっては、止血管理のために短期間の入院が必要になる場合もあります。

上咽頭がんのEBウイルス検査とは?

上咽頭がん、特に未分化型と呼ばれる組織型は、EBウイルスとの関連が深いことが知られています。EBウイルスは伝染性単核球症というウイルス性の扁桃炎を起こすことが知られ、多くの人が感染する一般的な風邪ウイルスです。一部の人において、上咽頭がんの発症に関与することが示唆されています。
上咽頭がんのEBウイルス検査は、がん組織中にEBウイルスの遺伝子やタンパク質が存在するかどうかを調べる検査です。具体的には、病理検査で採取されたがん組織を用いて、EBウイルスのDNAやRNAを検出するPCR法があります。また、EBウイルス特有のタンパク質を検出する免疫染色などの方法も行われます。
この検査の目的は、特に未分化型であるかどうかを判断する手がかりとすること、そして治療法の選択や予後予測に役立てることです。EBウイルス陽性の上咽頭がんは、放射線治療や化学療法の効果が高い傾向があるという報告もあります。

上咽頭がんの主な症状

上咽頭がんは、初期には症状が少ないことが多いですが、進行すると様々な症状が現れます。

鼻の症状(鼻出血、鼻詰まり)

上咽頭は鼻腔の奥に位置するため、がんの増大により鼻の症状が現れることがあります。鼻出血は、初期には鼻水や痰に血が混じる程度ですが、進行すると出血量が増えることがあります。また、がんが鼻の奥を塞ぐことで、鼻詰まりを感じることがあります。特に、片側の鼻詰まりが続く場合は注意が必要です。これらの症状が見られた場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳の症状(耳閉感・滲出性中耳炎)

上咽頭は耳管という、中耳と鼻の奥をつなぐ管の開口部に近い場所にあります。上咽頭がんがこの耳管の機能を妨げることで、耳の詰まったような感じが現れます。さらに、進行すると滲出性中耳炎を発症することがあります。特に、中耳炎を発症したことがない人が急に片側の滲出性中耳炎を起こした場合、上咽頭がんがないか内視鏡検査をすることが望ましいと言われています。耳の違和感が続く場合は、速やかに耳鼻咽喉科での精査が必要です。

くびのしこり(リンパ節腫脹)

上咽頭がんは、比較的早期から首のリンパ節に転移しやすいという特徴があります。そのため、鼻や耳の症状がなく、首のしこりとして初めて気づくことも少なくありません。痛みが出ることはまれで、徐々に大きくなる硬いしこりとして感じることがあります。首のリンパ節の腫れに気づいた場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。受診時には、いつから腫れているか・大きさの変化・痛みの有無などを医師に伝えることが重要です。

上咽頭がんを発症する原因

上咽頭がんの明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、EBウイルス感染に加え、いくつかのリスク因子が指摘されています。

喫煙・飲酒

喫煙や過度の飲酒といった習慣がある場合、上咽頭がんの発症リスクになります。たばこの発がん性物質が口やのど、上咽頭の粘膜に刺激を与え、細胞のがん化を促進します。また、アルコールの過剰摂取も粘膜を傷害し、発がんのリスクを高めることが知られています。特に、喫煙とアルコールを併用すると相乗効果でがん発症のリスクがさらに高くなるため、注意が必要です。

食事習慣(塩蔵品など)

幼少期からの塩漬けにした魚や保存食の摂取により、上咽頭がんのリスクを高まる可能性が指摘されています。これらの食品に含まれる可能性のある発がん性物質が、上咽頭の粘膜に慢性的な刺激を与えることが関与していると考えられています。ただし、これはあくまで可能性の一つであり、全ての人が塩蔵食品の摂取によって上咽頭がんを発症するわけではありません。バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。

遺伝的要因

上咽頭がんは東アジアや東南アジアの一部地域で発症率が高く、遺伝的な要因も関与していると考えられています。原因として、遺伝的な感受性や、地域特有の生活習慣、環境要因などが複合的に影響している可能性が考えられます。家族歴に上咽頭がんの方がいる場合は、一般の方よりもリスクが高まる可能性がありますが、過度に心配する必要はありません。気になる症状があれば、早めに耳鼻咽喉科等の医療機関を受診することが大切です。

上咽頭がんの治療法

上咽頭がんの治療法は、がんの進行度(病期)、組織型、患者さんの全身状態などによって総合的に判断されます。

放射線治療

上咽頭がんは放射線感受性が比較的高いがんであり、早期の段階であれば放射線治療単独で根治を目指せる場合があります。進行した場合でも、化学療法と併用することで治療効果を高めることができます。放射線科医が担当し、通常は外来で毎日、数週間かけて行われます。入院の必要はありませんが、化学療法を併用する場合は副作用管理のために数週間の入院を要することもあります。

化学療法(抗がん剤治療)

上咽頭がんの場合、進行がんや再発がんに対して、放射線治療と併用したり、単独で行われたりします。また、遠隔転移がある場合には、全身療法として化学療法が中心となります。治療は、耳鼻咽喉科医や腫瘍内科医が担当し、点滴や内服薬で行われます。副作用管理のために入院が必要となる場合もありますが、状態によっては外来通院での治療も可能です。

手術療法

他の頭頸部がんと比較して、上咽頭は解剖学的に複雑な部位であり、手術による完全な切除が難しいことが多いです。そのため、放射線治療が主な治療法として選択されることが一般的です。しかし、頸部リンパ節転移に対しては、郭清術(リンパ節を切除する手術)が行われることがあります。手術は耳鼻咽喉科医や頭頸部外科医が担当し、全身麻酔下で行われます。入院期間は手術の範囲によって異なりますが、通常は1週間から2週間程度です。

「上咽頭がんの検査」についてよくある質問

ここまで上咽頭がんの検査について紹介しました。ここでは「上咽頭がんの検査」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

上咽頭がんは胃カメラでわかりますか?

医師メディカルドック監修医

胃カメラは一般的に口から内視鏡を通すことで検査を行います。上咽頭という部位は鼻の一番突き当たりですから、口から内視鏡を行った場合は上咽頭がんを診断することは難しいです。最近増えている鼻からの胃カメラであれば上咽頭がんが見つかる可能性もあります。しかし、鼻からの胃カメラは内視鏡が細いため、胃や食道の検査・治療に使用する一部の処置具が入らないといった制限があります。上咽頭がんを疑った場合は胃カメラではなく、耳鼻咽喉科での内視鏡検査を受けることをおすすめします。

上咽頭がんの好発年齢を教えてください。

医師メディカルドック監修医

上咽頭がんは主に40歳から70歳代に多く見られますが、10歳代から30歳代の若い年齢層でも発症することがあります。若い方でも発症する可能性のある病気なので、疑った場合は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

まとめ

上咽頭がんは、鼻の奥に発生し、ウイルスと関連するがんです。早期発見のためには、鼻や耳、首のリンパ節の変化に注意し、気になる症状があれば早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。診断には、鼻咽腔内視鏡検査や画像検査、病理検査などが行われ、治療は放射線治療を中心に、化学療法や手術が選択されることがあります。それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあるため、医師と十分に相談し、ご自身に合った治療法を選択することが重要です。上咽頭がんは、適切な治療を行うことで治癒が期待できる病気です。

「上咽頭がん」に関連する病気

「上咽頭がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

耳鼻咽喉科系

上咽頭がんは鼻の奥に起き、耳管に影響を与えることもある病気のため、鼻や耳の症状と関連する病気が多いです。

「上咽頭がん」に関連する症状

「上咽頭がん」に関連する症状は4個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

上咽頭がんのサイン

  • 難聴
  • 耳閉感
  • 鼻出血
  • 頚部腫瘤

上咽頭がんは初期は症状が軽く、耳のつまり感やくびのしこりなど、間接的な症状から気づくことも多いです。

この記事の監修医師