「悪性リンパ腫の完治期間」は?なりやすい人の特徴や症状・再発のサインも医師が解説!

悪性リンパ腫は、リンパ球と呼ばれる白血球の一部ががん化する病気です。治療には外来通院や入院での治療法があります。
本記事では悪性リンパ腫が完治するまでの期間について以下の点を中心にご紹介します。
- ・悪性リンパ腫について
- ・悪性リンパ腫の治療について
- ・悪性リンパ腫が完治するまでの期間について
悪性リンパ腫が完治するまでの期間を理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
悪性リンパ腫とは
悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化する病気です。これは、免疫システムを構成するリンパ系組織に異常が生じ、リンパ球が過剰に増殖することによって発症します。悪性リンパ腫は大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分けられ、後者はさらにB細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫・NK細胞リンパ腫に分類されます。悪性リンパ腫は100種類以上の病型があり、進行の速さによっても分類されます。
毎年10万人に約20人が罹患するとされ、血液がんのなかでも頻度の高い病気です。原因の多くは不明ですが、自己免疫疾患や自己免疫疾患の治療薬、ヘリコバクター・ピロリ菌などの感染症が発症に関与する場合があります。ウイルスや化学物質への暴露も一因となる場合があります。
悪性リンパ腫の症状
悪性リンパ腫はリンパ節内外に発生するため、症状の現れ方は患者さんごとに異なります。リンパ節の腫れ(節性病変)は2/3以上に見られますが、一部ではリンパ節外での病変(節外性病変)のみが見られます。腫れたリンパ節は硬くゴムボールのような感触で、2cm以上の大きさで、持続性があり、痛みをほとんど伴わないのが特徴とされています。特に首、脇、股などの触れやすい部位で気付くことが多いようです。
病気が進行すると、38度以上の発熱、ひどい寝汗、急激な体重減少(半年間で体重の10%超)が見られることがあり、これらの症状はB症状と呼ばれ、早期の治療が推奨されます。
腫瘍が胸腔内や腹腔内にある場合、気管の圧迫や腹部の膨満感を引き起こすこともあります。また、胸水や腹水が溜まることもあります。リンパ腫の細胞が肝臓、脾臓、腎臓、骨髄、脳髄液などに浸潤すると、それぞれの臓器機能に影響を与え、頭痛や吐き気、血液の異常などが生じることがあります。
症状の程度は個人差がありますが、悪性リンパ腫は治療しない限り自然消失はせず、症状が進行すると生命に関わる可能性があります。早期の診断と治療が不可欠です。
悪性リンパ腫の治療
悪性リンパ腫の治療には複数の治療法があり、患者さんの状態、希望やライフスタイルなどに合わせた治療法が選択されます。
各治療法を以下に解説します。
化学療法
化学療法は、がんの進行を抑え、がんによる身体症状の緩和を目的としています。使用される薬剤には、抗がん剤や分子標的薬があり、それぞれの組み合わせはリンパ腫の種類や患者さんの状態に応じて異なります。
ホジキンリンパ腫の初回治療には、4種類の抗がん剤を組み合わせるABVD療法や抗体薬物複合体を併用するA-AVD療法が用いられます。
非ホジキンリンパ腫の初回治療には、3種類の抗がん剤とステロイドを併用するCHOP療法、さらに抗CD20モノクローナル抗体を加えたR-CHOP療法があります。加えて、抗CD79b抗体薬物複合体を併用するPola-R-CHP療法やBR療法も使用されます。
再発時は、初回治療とは異なる抗がん剤の組み合わせを用いることが多いようです。
治療により発現する副作用は薬剤によって異なるため、治療計画の策定には専門の医療スタッフによる評価が欠かせません。
放射線療法
放射線療法は、細胞のDNAにダメージを与えることでがん細胞を攻撃し、病巣を縮小または消滅させます。リンパ腫が限られた範囲に存在する場合、放射線療法単独で治療が可能なこともあります。
また、放射線療法はがんの根治を目指すだけでなく、一時的に症状を緩和し苦痛を和らげる目的でも使用されます。さらに、造血幹細胞移植の前処置として放射線を用いることもあり、移植後の治療効果を高めることが期待されます。
造幹細胞移植
造幹細胞移植は、骨髄などから造血幹細胞を取り出し移植する方法です。主に自家移植と同種移植の2種類があります。
自家移植では、患者さんに白血球を増やす薬を投与した後、自身の造血幹細胞を事前に採取し冷凍保存します。大量化学療法や全身放射線治療後に、保存した幹細胞を移植し、骨髄機能を回復させます。
同種移植は、ドナーから造血幹細胞を提供してもらう方法です。
造幹細胞移植は、標準的な治療で再発するリスクが高い患者さんに対して有効とされています。
経過観察
悪性リンパ腫のなかでも、進行がゆっくりしている低悪性度のリンパ腫の場合、治療を行わずに経過観察が選択されることがあります。リンパ腫細胞の量が少なく、症状がない場合に経過観察が選択されます。
定期的な診察を継続し、病期の進行や新たな症状の出現を確認します。治療のタイミングは、病気の進行や症状の発現に応じて決定されます。
悪性リンパ腫が完治するまでの期間
悪性リンパ腫の治療期間は、治療内容や個々の病状により異なりますが、6〜12ヵ月程度です。半数以上の患者さんが、抗がん剤治療のみで治癒が期待されます。治療は外来通院のみで完遂できるケースも少なくありません。
入院が必要な治療では、ずっと入院しているわけではなく、治療と治療の間に外泊や一時退院が可能とされています。入院治療が終了した後、さらに約1〜1年半の間、内服薬による治療が続くこともあり、この期間は外来通院で対応します。内服薬での治療中は、自宅で日常生活を続けられます。
悪性リンパ腫の再発
悪性リンパ腫の治療後は、定期的にフォローアップが実施されます。治療終了後の約2年間は2〜3ヵ月毎、その後は3〜6ヵ月毎に血液検査や画像検査を行います。
再発の約8割は臨床症状の出現によって発見されます。再発時の症状には、リンパ節の腫れ、睾丸の腫れ、頭痛、吐き気、視覚異常などがあります。髄液中の再発も見られることがあります。
また、再発時には救援化学療法を行い、効果が得られた場合には、自家造血幹細胞移植併用の大量化学療法が行われることもあります。
悪性リンパ腫についてよくある質問
ここまで悪性リンパ腫が完治するまでの期間などを紹介しました。ここでは悪性リンパ腫についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
悪性リンパ腫はどのような方がなりやすいですか?
悪性リンパ腫は70歳代が発症のピークで、年々高齢化に伴い発症率が増加する傾向にあります。男女比は3:2で、男性の方が多い傾向にあります。
年齢別に見ると、ホジキンリンパ腫は20〜30歳代の若い方に多く、非ホジキンリンパ腫は小児では10歳前後、成人では50歳前後で多く見られます。身体的特徴としては、男性の身長が高いグループが低いグループに比べてリンパ腫の発生リスクが高く、成長期のホルモンの影響が関与していると考えられています。
女性の場合、出産経験があること、初潮年齢が高いこと、月経周期が27日より短いことがリンパ腫発症のリスク要因とされています。これらはエストロゲンの増加による免疫機能の変化が関係していると考えられています。
悪性リンパ腫の予後について教えてください
悪性リンパ腫の予後は、病型、病勢、病期によって異なります。病期で分類すると、限局期(Ⅰ〜Ⅱ期)の5年生存率は約70〜90%と高いですが、進行期(Ⅲ〜Ⅳ期)になると約40〜60%に低下します。
病勢による分類では、治療を行わない場合、低悪性度では年単位での予後が見込まれますが、中悪性度では月単位、高悪性度では週単位での進行が予測されます。つまり、病気の進行速度が速い程予後が悪くなる傾向があります。
治療の有無や適切な治療法の選択によっても予後は変わるため、早期診断と適切な治療が重要です。治療による予後改善が期待されるため、医療機関での継続的なフォローアップが不可欠です。
まとめ
ここまで悪性リンパ腫が完治するまでの期間などをお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。
- ・悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化する病気で、大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分けられる
- ・悪性リンパ腫の治療法には、化学療法、放射線療法、造幹細胞移植、経過観察などがある
- ・悪性リンパ腫の治療期間は治療内容や個々の病状により異なるが、6〜12ヵ月程度
悪性リンパ腫と関連する病気
悪性リンパ腫と関連する病気は18個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
血液内科の病気
- B細胞リンパ腫
- T細胞リンパ腫
- NK細胞リンパ腫
- ホジキンリンパ腫
- 濾胞性リンパ腫
- MALTリンパ腫
- リンパ形質細胞性リンパ腫
- マントル細胞リンパ腫
- びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
- バーキットリンパ腫
- 慢性リンパ性白血病
- 小リンパ球性リンパ腫
- 末梢性T細胞リンパ腫
- 血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
- 未分化大細胞型リンパ腫
- 成人T細胞白血病リンパ腫
- 節外性NK/T細胞リンパ腫
- 皮膚のリンパ腫
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
悪性リンパ腫と関連する症状
悪性リンパ腫と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- リンパ節腫脹
- 発熱
- 体重減少
- 盗汗(大量の寝汗)
- かゆみ
- 皮膚の発疹
- しこり
- 痛み
- 気道閉塞
- 血流障害
- 麻痺
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

