「白血病の治療費」はいくらかかるかご存知ですか?【医師監修】

白血病の治療費は、患者さんや家族にとって負担となります。治療方法や期間によって費用は異なりますが、新しい治療法や公的支援制度を活用することで、経済的な負担を軽減できることをご存知でしょうか。
本記事では、白血病の治療費について以下の点を中心にご紹介します!
- ・白血病の種類
- ・白血病の原因
- ・白血病の治療で活用できる制度
白血病の治療費を理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
目次 -INDEX-
白血病とは?
白血病とは、血液のがんの一種で、骨髄で血液細胞のがん化により発症します。白血病は、病状の進行速度により急性白血病と慢性白血病に分けられ、さらに白血病細胞の由来によって骨髄性白血病とリンパ性白血病に分類されます。急性白血病は急激に進行し、早期の治療が必要です。
一方、慢性白血病はゆっくりと進行し、初期には無症状であることが多いようです。白血病の原因は遺伝子の変異とされ、老化や環境要因が影響します。治療には化学療法、分子標的治療、造血幹細胞移植などが用いられます。
白血病の種類
白血病には急性と慢性があることをご存知でしょうか。
急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病
急性骨髄性白血病(AML)と急性リンパ性白血病(ALL)は、骨髄で異常な血液細胞が急速に増殖し、正常な血液を作る働きが損なわれる病気です。AMLは骨髄系の細胞ががん化し、ALLはリンパ系の細胞のがん化により発症します。急性白血病は進行が早いため、早期の診断と治療が重要です。
主な症状には、貧血による疲労感や息切れ、出血傾向、感染症に対する抵抗力の低下などがあります。治療には化学療法が主に用いられ、場合によっては造血幹細胞移植も行われます。
慢性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病
慢性骨髄性白血病(CML)と慢性リンパ性白血病(CLL)は、白血病のなかでもゆっくりと進行するタイプの疾患です。CMLは、骨髄で異常な白血球が増殖し、慢性期が数年続いた後に急性転化を迎えることがあります。
慢性期では自覚症状がほとんどなく、発症後も数年間は日常生活を続けられることが多いようです。治療には分子標的薬が用いられ、病状の進行を遅らせることが可能とされています。
一方、CLLはリンパ球が異常に増殖することで発症し、進行が緩やかな場合が多いようです。患者さんは長期間にわたり症状がほとんどなく、10年以上経過しても病状が悪化しないケースもあります。軽度の場合、経過観察だけで治療を必要としないこともありますが、進行した場合には化学療法や免疫療法が行われます。
両者ともに、適切な治療と管理が行われれば日常生活を維持できる場合が多いため、白血病と診断されても悲観せず、専門の医師の指導の下での治療継続が重要です。
白血病の原因と症状
白血病の原因と症状を解説します。
急性白血病の原因
急性白血病の原因はいまだはっきりと解明されていません。ただし、特定のケースでは原因が明らかになっています。例えば、急性前骨髄球性白血病は染色体異常や遺伝子異常が原因となり、発症する場合があります。また、過去に抗がん剤治療や放射線治療を受けたことが原因で発症する二次性白血病も存在します。
しかし、これらを除く大部分の急性白血病は、具体的な発症原因が不明のままです。研究が行われているものの、急性白血病の発症メカニズムの解明には更なる研究が必要です。
慢性白血病の原因
慢性白血病の原因は、主に染色体異常に起因します。慢性骨髄性白血病(CML)の原因は、9番染色体と22番染色体の一部が入れ替わることで形成されるフィラデルフィア染色体にあります。染色体異常により、bcr-abl融合遺伝子が生成され、異常なタンパク質が産生されて血液細胞の過剰増殖を引き起こします。
一方、慢性リンパ性白血病(CLL)や小リンパ球性リンパ腫の原因は未解明な部分が多いようですが、遺伝的素因の影響が大きいと考えられています。両者とも適切な治療と管理が重要です。
白血病の症状
白血病の症状は、多岐にわたります。初期段階では、貧血による疲れやすさ、顔色の悪さ、めまい、息切れ、頭痛などが見られます。また、発熱や白血球減少による肺炎、敗血症も発生しやすくなります。血小板の減少により歯肉出血や鼻出血、皮下出血などの出血症状も現れます。
急性白血病では、白血病細胞の増殖が速いため、病状が週単位で進行し、早期の診断と治療が遅れると症状が重篤化する恐れがあります。そのため、早期発見と適切な治療が重要です。
白血病の治療費について
白血病の治療で活用できる制度をご紹介します。
高額療養制度とは
白血病の治療費は長期間にわたるため、経済的な負担が大きくなりがちです。しかし、高額療養費制度の利用により、自己負担額の軽減が可能とされています。高額療養費制度は、医療機関や薬局で支払った医療費がひと月の上限額を超えた場合、上限額を超えた分が支給されるものです。
例えば、70歳未満であれば所得に応じて上限額が設定され、標準報酬月額が高い程上限額も高くなります。申請方法には、事前に”認定証”を取得して窓口で提示する方法と、いったん支払った後に申請して払い戻しを受ける方法があります。高額療養費制度を利用することで、治療費の負担を軽減できます。
自己負担限度額
白血病の治療費の自己負担限度額は年齢や所得水準に基づいて決定されます。69歳以下の場合、所得に応じて月々の自己負担限度額が設定されており、高額療養費制度により自己負担限度額を超えた分が支給されます。例えば、標準報酬月額が高い程自己負担の上限額も高くなります。
また、過去12ヵ月以内に3回以上上限額に達した場合、4回目からは上限額が引き下げられます。70歳以上では外来のみの上限額も設定されており、複数の医療機関での支払額の合算が可能とされています。
白血病についてよくある質問
ここまで白血病の原因や治療を紹介しました。ここでは白血病についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
白血病の治療法を教えてください
山本 佳奈(医師)
白血病の治療法は、主に化学療法、分子標的治療、造血幹細胞移植、支持療法の4つに分かれます。化学療法は、抗がん剤を使用して白血病細胞を破壊する方法であり、寛解導入療法と寛解後療法に分かれます。
分子標的治療は、遺伝子異常を持つ白血病細胞をターゲットにする治療法で、慢性骨髄性白血病に有効とされています。造血幹細胞移植は、ドナーから提供された造血幹細胞を移植する方法で、再発リスクが高い場合や重症例に適用されます。支持療法は、感染症予防や症状緩和を目的とした治療であり、抗がん剤治療中の副作用軽減にも重要です。
白血病の予防や検診について教えてください
山本 佳奈(医師)
白血病の予防や検診は、主に以下の点が重要です。まず、白血病は日常生活におけるリスク要因が明確ではないため、予防策は存在しません。ただし、成人T細胞白血病はHTLV-1ウイルス感染が原因であるため、妊婦検診での検査や母子感染予防対策(授乳制限など)が行われています。
健康診断での定期的な血液検査も重要です。貧血や白血球減少などの異常が見つかることがあり、早期発見につながります。バランスのよい食事、適度な運動、規則正しい生活も病気予防に寄与します。治療後は感染症に注意し、手洗いやうがいを徹底し、体を冷やさないようにすることが推奨されます。
まとめ
ここまで白血病の治療費をお伝えしてきました。
白血病の治療費の要点をまとめると以下のとおりです。
⚫︎まとめ
- ・白血病の種類には、急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病がある
- ・白血病の原因は解明されていませんが、急性前骨髄球性白血病は染色体異常や遺伝子異常が原因となる場合がある
- ・白血病の治療では高額療養制度や自己負担限度額を活用できる
白血病と関連する病気
白血病と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
血液内科の病気
- 急性骨髄性白血病(AML)
- 慢性骨髄性白血病(CML)
- 急性リンパ性白血病(ALL)
- 慢性リンパ性白血病(CLL)
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
白血病と関連する症状
白血病と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。