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「急性前骨髄球性白血病」の”症状と再発率”は?再発後の治療も医師が解説!

 公開日:2026/02/03
「急性前骨髄球性白血病」の”症状と再発率”は?再発後の治療も医師が解説!

急性前骨髄球性白血病(APL)は、治療後の再発が懸念される問題の一つです。再発率は、初期治療の反応や遺伝的要因などの要素によって影響を受けます。
本記事では、APLの再発について以下の点を中心にご紹介します!

  • ・急性白血病の概要
  • ・急性前骨髄球性白血病(APL)の再発
  • ・急性前骨髄球性白血病(APL)治療

APLについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

プロフィールをもっと見る
滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

急性白血病とは

急性白血病にはいくつか種類があります。

急性骨髄性白血病

急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄内で未熟な白血球である骨髄芽球が異常増殖し、正常な血液細胞の生成を妨げる深刻な疾患です。
急速に進行するため、早期の診断と治療が重要となります。

主な症状には、貧血による息切れや動悸、出血傾向による鼻血や歯茎からの出血、そして正常な白血球の減少による感染症のリスク増加などがあります。
診断には血液検査や骨髄検査が不可欠で、遺伝子や染色体検査も行われます。

治療法は、強力な抗がん剤を用いる寛解導入療法で白血病細胞を減少させ、その後の地固め療法で、残存する白血病細胞を排除します。
再発リスクが高い場合や遺伝子異常・染色体異常がある場合、初回寛解導入療法に対する治療反応性が不良であった場合などには造血幹細胞移植が検討されます。

急性前骨髄球性白血病

急性前骨髄球性白血病(APL)は、急性骨髄性白血病(AML)の一種で、造血器の悪性腫瘍疾患です。
骨髄芽球と呼ばれる未熟な白血球が異常増殖し、正常な血液細胞が生成されなくなることで発症します。
APLの特徴は、主にt(15;17)転座の染色体異常によってPML-RARA融合遺伝子が形成され、白血病細胞が成熟できずに増殖を続ける点です。
AMLは小児の急性白血病の約25%を占め、なかでもAPLは特異的な病型として認識されています。

APL患者さんは、骨髄中での異常な細胞増殖によって、貧血や出血傾向、感染症にかかりやすくなるなどの症状を呈します。
また、DIC(播種性血管内凝固症候群)を合併しやすく、重篤な出血リスクが高まります。
診断は、血液検査や骨髄検査、遺伝子検査を通じて行われ、染色体異常や遺伝子変異の特定が重要です。

急性リンパ性白血病

急性リンパ性白血病(ALL)は、リンパ球ががん化して異常増殖する血液のがんです。
ALLは、骨髄のなかで白血球の一種であるリンパ球になる前の細胞(リンパ芽球)が異常増殖し、正常な血液細胞の生成が阻害されることで発症します。
白血病細胞が骨髄や血液中に存在し、時にはリンパ節や脳、脊髄などの中枢神経系への浸潤が特徴です。

ALLは進行が速いため、早急な診断と治療が必要です。
症状には、貧血による疲労感、息切れ、動悸、血小板減少による出血傾向(鼻血や歯茎からの出血)、感染症にかかりやすくなることがあります。
白血病細胞が臓器に浸潤すると、関節痛やリンパ節の腫れ、脳や脊髄の浸潤による頭痛や吐き気などが現れます。

診断には血液検査や骨髄検査が必要で、白血病細胞の存在とその性質を確認します。
フィラデルフィア染色体(BCR-ABL1融合遺伝子)の有無が重要であり、治療方針に影響を与えます。
治療は主に化学療法で行われ、場合によっては造血幹細胞移植が必要です。フィラデルフィア染色体がある場合には、分子標的薬と化学療法の併用が行われます。

急性リンパ性白血病は小児に多く発症し、近年の治療法の進歩により治療成績が向上していますが、成人にも発症し、高齢者では治療の効果が低下する傾向があります。
治療中は感染予防や副作用の管理が重要で、患者さんの生活の質を維持するための支援が必要です。

急性前骨髄球性白血病の症状

急性前骨髄球性白血病(APL)の症状は、多岐にわたります。
まず、全身の倦怠感やめまい、息切れなどの貧血症状が見られます。
また、鼻血や歯茎からの出血が止まりにくくなることや、皮膚に紫斑が現れることもあります。
さらに、風邪が長引くなど、感染症にかかりやすくなる症状も特徴的です。

APL患者さんは、血液凝固異常による症状も多く見られます。
播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併しやすく、進行すると、脳出血のリスクが高まります。
DICは、前骨髄球が破壊されることで血中にトロンボプラスチン類似物質が多量に流出し、血液凝固を引き起こすために生じます。

頭痛や関節痛、リンパ節の腫れが見られることがあります。
白血病細胞が脳や脊髄などの中枢神経に浸潤すると、頭痛や吐き気、嘔吐などの神経症状が現れます。

急性前骨髄球性白血病の再発率

急性前骨髄球性白血病(APL)の再発率はほかの急性骨髄性白血病(AML)と比較して低いですが、一定の再発リスクは存在します。
初回治療で完全寛解を達成した場合でも、再発する可能性があります。再発率に影響を与える要因として、初診時の白血病細胞の数や血小板数が少ないことが挙げられます。

急性前骨髄球性白血病の再発後の治療

急性前骨髄球性白血病(APL)の再発後の治療には、主に亜ヒ酸(ATO)や全トランス型レチノイン酸(ATRA)を用いた治療が行われます。
これらの薬剤は、再発時にも高い効果が期待でき、再び完全寛解を目指せます。
ATOはAPL細胞に対して強力な分化誘導作用を持ち、ATRAとの併用で治療効果がさらに高まるとされています。

再発後の治療では、まず寛解導入療法が再度行われ、完全寛解を目指します。
完全寛解が達成された場合、その後の地固め療法や維持療法が続きます。
地固め療法では、多剤併用化学療法が行われ、残存する白血病細胞の排除を目指します。
維持療法では、再発リスクを低減するために、長期間にわたって薬剤の投与が行われます。

さらに、再発APL患者さんでは造血幹細胞移植も選択肢の一つです。
造血幹細胞移植には自家移植と同種移植があり、患者さんの全身状態や年齢、再発の頻度に応じて適応が検討されます。
自家移植は患者さん自身の造血幹細胞を使用するため、副作用が少ない一方、同種移植は患者さん以外の造血幹細胞を使用するため、GVHD(移植片対宿主病)などの重篤な合併症が発生するリスクがあります。

急性前骨髄球性白血病についてよくある質問

ここまで急性前骨髄球性白血病を紹介しました。ここでは「急性前骨髄球性白血病」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

急性前骨髄球性白血病は治りますか?

急性前骨髄球性白血病(APL)は、以前は治療が難しい白血病とされていましたが、近年の治療法の進歩により、治癒が期待できる疾患となりました。全トランス型レチノイン酸(ATRA)を用いた分化誘導療法の導入により、APLの治療成績は向上しました。ATRAは、白血病細胞を成熟させることで、病状を寛解に導く効果が期待できます。
「成人白血病治療共同研究機構」によると、完全寛解率は約95%に達し、その後の治療によって80%以上の患者さんが長期生存を達成していると報告されています。
さらに、亜ヒ酸(ATO)やタミバロテンなどの薬剤も有効であり、再発APLの治療でも高い効果を期待できます。これらの薬剤は分子標的に作用し、白血病細胞の増殖を抑えます。再発した場合でも、適切な治療を行うことで再度の寛解を目指せます。
総じて、急性前骨髄球性白血病は、現代の治療法の進歩により、高い治癒率が期待できる疾患となっています。適切な治療戦略を立てることで、完全寛解を達成し、長期生存を実現している患者さんがいらっしゃいます。治療の成功には、早期診断と適切な治療の開始が重要であり、個々の患者さんの状態に応じた治療法の選択が求められます。

急性前骨髄球性白血病を患う原因はありますか?

急性前骨髄球性白血病(APL)の原因は造血幹細胞の悪性化です。骨髄内で白血病細胞が無秩序に増殖し、正常な血液細胞が生成されにくくなることで発症します。具体的には、染色体の異常が主な原因であり、15番染色体と17番染色体の間で特有の転座が見られます。PML-RARA融合遺伝子が形成され、白血病細胞の分化や増殖を制御できなくなる原因となります。

まとめ

急性前骨髄球性白血病(APL)の再発についてお伝えしてきました。
要点をまとめると以下のとおりです。

⚫︎まとめ

  • ・急性白血病には急性骨髄性白血病、APL、急性リンパ性白血病などの分類がある
  • ・白血病細胞の数や血小板数が少ない患者さんは、APL再発リスクが高くなる傾向がある
  • ・APL再発時は亜ヒ酸(ATO)や全トランス型レチノイン酸(ATRA)を用いた治療が行われる

急性前骨髄球性白血病と関連する病気

急性前骨髄球性白血病と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

血液内科の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

急性前骨髄球性白血病と関連する症状

「急性前骨髄球性白血病」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 貧血
  • 息切れ
  • 頭痛
  • 関節痛
  • 出血傾向
  • 易感染性
  • 播種性血管内凝固症候群(DIC)

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

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