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『男性が乳がん』になった場合「どんな痛み」を感じるのか?なりやすい箇所と年齢も解説!

 公開日:2025/12/08
『男性が乳がん』になった場合「どんな痛み」を感じるのか?なりやすい箇所と年齢も解説!

乳がんは女性のイメージが強いかもしれまんが、男性にも乳腺があるため男性も発症します。乳がん全体で考えると、男性の発症率は1%程ととても少ないのが特徴です。 乳がんの認識不足などから見つかった際には進行しているケースも少なくありません。 今回は、男性の乳がんは痛みがあるのかや検査方法、治療方法などを紹介します。男性の乳がんが気になる方の参考になれば幸いです。

上 昌広

監修医師
上 昌広(医師)

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東京大学医学部卒業。東京大学大学院修了。その後、虎の門病院や国立がん研究センターにて臨床・研究に従事。2010年より東京大学医科学研究所特任教授、2016年より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長を務める。著書は「復興は現場から動き出す(東洋経済新報社)」「日本の医療格差は9倍 医療不足の真実(光文社新書)」「病院は東京から破綻する(朝日新聞出版)」「ヤバい医学部(日本評論社)」「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか(毎日新聞出版)」。

男性乳がんとは?

乳がんは乳房にできるがんで、男性にも乳腺が存在するため発症します。男性の乳がんは全乳がんの1%程といわれており、希少がんの1つです。希少がんは、人口10万人に6例未満のがんを指します。

発生部位

多くが乳頭乳輪下やその周辺で発生するでしょう。男性の乳房は女性に比べて乳腺組織が少ないため、乳房内に大きな腫瘤を作ることは少ないと考えられています。しこりや乳頭からの分泌物、痛みなどの症状が現れますが、自覚症状がないケースもあります。

好発年齢

幅広い年代で発生しますが、60〜70代で発症する方が増えるでしょう。男性の乳がんは女性に比べて予後が不良と考えられていました。しかし、近年では同じステージの場合、発症する年齢なども考慮にいれると男女で予後にほとんど差がないとされています。

危険因子

BRCA1やBRCA2などの遺伝的因子と内分泌的因子が考えられるでしょう。遺伝性の乳がんは、乳がん全体の5〜10%程とされており、遺伝子の異常による乳がんは35%程との報告もあります。
男性の乳がんの場合、20%程に家族に乳がんが認められています。男性の乳がんに関与が高いと考えられている遺伝子もあるそうです。また、男性の乳がんでも女性の乳がんと同じようにエストロゲンとの関連性が報告されています。

男性乳がんの検査方法

乳がんでは、どのような検査が行われるのでしょうか。乳がんと診断が出るまでには、主に3つの検査が行われます。

超音波検査

人間では聞くことができない程の高い周波数の超音波を使って、乳房内の状態やしこりの大きさ、性質などを調べる検査です。乳房周囲のリンパ節や腋窩などへの転移も調べることができます。
乳房の表面に超音波を送受信する超音波プローブをあて、体内の組織や臓器からはね返る反射波が映像となって現れます。しこりがあっても触れない25歳未満の場合、超音波検査は最初に選択される検査です。

マンモグラフィ

乳房専用のX線での撮影で、患部の場所や状態を調べるための検査です。2枚の板で乳房を挟んで圧迫・固定して行われます。マンモグラフィは男性でも行われる検査です。
乳腺は白く映り、脂肪は黒、しこりは白く現れます。早期の場合は、小さく白い粒状に映るでしょう。視診や触診、超音波検査では見つけにくい乳がんを見つけてくれます。
ただし、乳房が高密度で白い箇所が多い場合は、病変との鑑別がつきにくいでしょう。男性では、25歳以上の場合や身体診察で乳がんの疑いがある場合には、最初に行うことが推奨されています。

生検

細胞診と組織診があります。細胞診は、注射器で採取した細胞を顕微鏡で調べる検査法です。多くの場合、局所麻酔は行わず、病変部を超音波検査などで確認しながら細い針で行います。
乳頭に分泌物が出ている際には、分泌物の細胞も調べます。組織診は、細胞診で使う針よりも太めのものを刺して、組織をくりぬくように取り出して顕微鏡で調べる検査です。局所麻酔で行われます。

男性乳がんの治療方法

男性の乳がんは女性に比べてまれですが、治療法は男女ともに同じです。乳がんでは局所治療と全身治療を組み合わせて治療法を決めていきます。

局所治療

手術療法と放射線療法です。手術療法には乳房切除術と乳房部分切除があります。男性では、乳頭直下に腫瘍ができやすい点と女性に比べて乳腺組織が少ない点から、乳房切除術が選択されるケースが大半です。
放射線療法は、乳房部分切除術後に温存した乳房に照射します。乳房を全切除した場合もリンパ節への転移があると、鎖骨の上あたりや腋窩への照射が行われるでしょう。放射線療法では、肺に放射線があたるため肺炎などの副作用が出る場合があります。
発熱などで医療機関を受診する際には放射線療法のことを伝えるようにしてください。

全身治療

乳がんの完全切除が難しい場合や転移や再発で全身に広がっている場合には、全身治療が行われます。全身治療は化学療法とホルモン療法です。化学療法は、抗がん剤治療のことで術前化学療法と術後化学療法があります。
術前化学療法は、術前にがんを小さくできたり薬物の効果を確認できたりします。術後化学療法では、症状の緩和や再発リスクの低減が望めるでしょう。化学療法では、脱毛や吐き気、白血球の減少などの副作用が出ます。
薬や個人で副作用の程度は異なります。ホルモン療法は、男女でホルモンが作られる仕組みが違うため、女性の乳がんと治療の選択肢が異なる可能性があるでしょう。

男性乳がんの注意点

男性乳がんでは、次のような初期症状が現れます。
  • 無痛性の腫瘤
  • 乳頭からの出血
  • 皮膚潰瘍
  • 腋窩リンパ節の腫脹
症状は、女性の乳がんとおおきく異なるわけではありません。しかし、女性の乳がんと異なる点もあります。以下で、女性の乳がんとの違いや発見時に進行しているケースが多い理由を紹介します。

女性乳がんとの違い

女性の乳がんとは、発生部位や発生率、発症年齢などが違うでしょう。男性では、乳腺が女性よりも少ないため、腫瘤の多くは乳頭の直下で蝕知されやすいです。
女性は乳房の上外側にできやすいため、男女で乳がんの発生部位は異なります。また、男性の乳がんは全乳がんの1%程といわれており、大半が女性です。発症年齢も違い、女性は40〜60歳代で発症しますが、男性では70歳代で発症します。

発見時にはすでに進行しているケースが多い

認知の低さからセルフチェックをしている方の少なさなどが原因で、発見時には進行しているケースも少なくありません。
また、乳腺組織が少ないため早期から周囲の脂肪組織や皮膚に広がり転移しやすい点も、発見時に進行しているケースが多いことと関係しています。発見時に進行しているケースが多いのは、男性の乳がんへの認識不足が招いた結果です。

男性乳がんのリハビリについてよくある質問

ここまで男性乳がんの痛みでわかること・症状・治療法などを紹介してきました。ここでは、男性乳がんの痛みについてのよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

男性なので乳腺科に行きにくいのですが安心して受診できる方法はありますか?

男性の乳腺の病気を診療している病院や外科での受診がおすすめです。また、男性の診療も行っている医療機関や男性の医師が行っている病院を選択すると安心して受診ができるでしょう。

男性のマンモグラフィ検査は痛いですか?

痛みは個人で異なるでしょう。マンモグラフィ検査は、専用の板で乳房を薄く広げ圧迫するため、痛みを感じる方もいます。痛みが強い場合は、撮影する技師に相談してみてください。

編集部まとめ

男性の乳がんは、全乳がんの1%程と女性の乳がんに比べて患者数が少ないのが特徴です。性別によって発症率に大きな差がうまれます。 それによって治療の受けやすさや病気への認識の違いもうまれるでしょう。認識の違いから症状を放置し、気付いた際には進行している場合もあります。 乳房のしこりや乳頭からの分泌物など気になる症状がある際には、早めに医療機関を受診して早期治療へとつなげましょう。

男性の乳がんと関連する病気

男性の乳がんと関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

BRCA1、BRCA2の遺伝子を保有している男性は、一般の方よりも男性乳がんや前立腺がん、膵がんを発症する確率が高くなるでしょう。この体質の方は300〜400人に1人と少なくありません。女性では、乳がんや卵巣がん、膵がんを発症しやすくなります。男性の乳がんの0〜4%がBRCA1の変異が関係しており、4〜16%はBRCA2の変異が関係するでしょう。

男性の乳がんと関連する症状

男性の乳がんと関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 乳輪直下のしこり
  • 乳頭からの出血
  • 皮膚潰瘍
  • 腋窩のしこり
男性の乳がんでは、身体的特徴や認識の違いから発見時に進行している場合が多いでしょう。同程度の進行度の場合、男女で治療成績に差はありません。早期発見し早期治療につなげましょう。

この記事の監修医師