「胃がんで見落としやすい7つの自覚症状」はご存じですか?早期発見のコツも医師が解説!

胃がんには特別な自覚症状は見られません。また特に早期の胃がんでは自覚症状がまったく出ない場合も少なくありません。 だからこそ胃がんの早期発見につながる定期検診が大切です。 この記事では、胃がんの自覚症状や胃がんになる主な原因のほか、早期発見のポイントについて解説します。 胃の不調や不快感などが気になる方は、ぜひご覧ください。

監修医師:
五藤 良将(医師)
目次 -INDEX-
胃がんとは?
胃の構造は内側から外側にむけて粘膜層・粘膜下層・固有筋層・漿膜となっています。胃がんは、胃の内壁を覆っている粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、増殖していくものです。胃の粘膜に発生したがん細胞は、時間をかけて少しずつ増えていきます。
がんが進行すると胃の外側へ広がって漿膜を突き抜け、すぐ近くにある大腸やすい臓などの臓器へ広がる場合も少なくありません。この状態が浸潤です。
がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って全身へ広がると、胃から離れた臓器でがん細胞が定着・増殖する転移という状態になります。
少し特殊な胃がんとしては、スキルス胃がんというものがあります。スキルス胃がんとは、胃の壁を硬く厚くさせながら広がっていくタイプのがんです。
スキルス胃がんは早期発見がしにくいうえ進行の早いがんのため、発見されたときにはかなり進行している場合があります。
胃がんの5年生存率はほかのがんと同じように発見されたときの状況によって大きく変わります。例えば早期がんにあたるステージ1期の場合は約90%、ステージ3A期で約50%、進行した胃がん(ステージ4期)では約10%です。
このように早期に発見されればされる程、生存率が高くなります。しかし胃がんは自覚症状があまり出ないといわれているため、定期的な検診を受けることが大変重要です。
胃がんの自覚症状は?
胃がんは自覚症状があまり感じられない病気です。進行してからも症状が出ない場合があります。また何らかの症状があっても胃がん特有のものはなく胃潰瘍や胃炎などと似たような症状が少なくありません。
初期にはほとんど自覚症状がない
胃がんの初期には、特徴的な自覚症状がほとんど出ません。仮に何らかの症状があったとしても大変軽いものです。初期の段階で胃がんを発見するためには、異常を感じてからではなく定期的に検診を受けることが重要です。
ある程度胃がんが進行すると以下のような自覚症状が出る場合があります。
みぞおちの痛み
胃やみぞおち・へその上などに痛みを感じたり、腹部の鈍痛などの症状を感じる患者さんは少なくありません。ただ胃がん特有の症状ではないため見逃されがちです。ただの胃痛だと思わずに、早めに医療機関へ相談してください。
胃の不快感・違和感
何となく胃のあたりが気持ち悪い・ムカムカする・いつもと違うなどのあいまいな症状も、胃がんの自覚症状として考えられるものです。胸やけ
みぞおちから食道にかけてチリチリと焼けつくような違和感は一般的には逆流性食道炎で起こる症状ですが、胃がんの自覚症状の1つでもあります。吐き気
吐き気は、胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などでも見られる症状ですが、胃がんの自覚症状でもあります。何日も吐き気が続くときには、放置せずに医療機関を受診してください。食欲不振
胃がんが進行すると、食欲不振・食事がつかえる・胃が重いなどの症状が出る場合もあります。これは、胃がんにより消化管の内腔が狭くなったために食事がスムーズに消化管を通過しないために起こると考えられます。貧血
がん細胞から出血があった場合、少量でも長期間になれば貧血になる可能性が少なくありません。もともと貧血ではない方で、貧血の症状が出た場合は医療機関で相談することをおすすめします。血便
がん細胞からの出血があると、のりのように黒くなった便が見られたり、吐血や下血といった症状が見られたりすることは少なくありません。この症状はある程度胃がんが進行したときに見られる場合があります。ただ貧血や血便などの症状は、胃がん以外に胃潰瘍などでも見られる症状です。
胃がんの原因
胃がんの主な原因として考えられるものは、次のとおりです。- ヘリコバクター・ピロリ感染
- 塩分過剰な食事
- 喫煙習慣
- 肥満体型
- 過剰なストレス
- EBウイルス
塩分の摂り過ぎは、以前より知られている胃がんのリスク因子です。
喫煙は胃粘膜の血流減少や胃酸過多などを起こすことがあり、それらが胃がんの原因の1つと考えられています。喫煙は胃がんだけでなく、ほかのがん発生にも深く関わっているほか、受動喫煙者にも同様のリスクが懸念されています。
また、BMIが27以上の方の胃がんリスクも低くありません。
ストレスは自律神経のバランスを崩し、胃酸の過剰分泌や胃腸の蠕動運動の低下などに影響を与えます。そのため胃がんになりやすい可能性があると考えられています。
EBウイルスとは、エプスタイン・バールウイルスというヘルペスウイルスの一種です。日本の胃がんのうち約1割がEBウイルスの関わったものだと考えられており、特に若い男性患者さんに多く見られるといわれています。
胃がんを早期発見するポイントは?
胃がんの初期では自覚症状がほとんど見られないため、早期発見するためには何よりも定期的な検診が大切です。また、胃の不調を感じたときには、できるだけ早く医療機関を受診することも重要なポイントです。
定期的に検診を受ける
胃がんの検診内容には、問診と上部消化管内視鏡検査・上部消化管造影検査があります。上部内視鏡検査とはいわゆる胃カメラのことです。口または鼻から内視鏡を挿入して食道・胃・十二指腸の粘膜を観察、異常を調べます。胃がんの早期発見においては大変信頼性の高い検査です。
上部消化管造影検査とは、口から造影剤を飲み込み、X線撮影をすることで胃の凹凸などを検査するものです。上部消化管造影検査で異常が見つかった場合は、精密検査として上部消化管内視鏡検査を受けます。
少しでも気になる症状があれば早めに医療機関を受診する
胃がんの定期検診を受けている方、また受けていない方も、胃の不調を感じたときには速やかに医療機関を受診してください。胃がんには特有の症状がなく、胃炎・胃潰瘍などとよく似た症状が見られるため、しばらく様子を見ようと考える方が少なくありません。
しかし、胃がんは早期に発見されればされる程、生存率が高くなります。少しでも気になる症状を感じたのであれば、できるだけ早い医療機関への受診をおすすめします。
胃がんの自覚症状についてよくある質問
ここまで胃がんの自覚症状などを紹介しました。ここでは「胃がんの自覚症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
げっぷがよく出るのですが胃がんの可能性はありますか?
げっぷは、空気・食べ物・液体が食道を通って口へ逆流することです。誰でもげっぷをすることはあります。ただあまりにもひんぱんにげっぷが出たり、通常よりもゲップをする回数が増えた場合は注意してください。
げっぷが増えた原因は、食道や胃が正常に機能していないことにあります。しかしこれが胃がんを原因とするものとは限りません。なぜならげっぷは、食べ過ぎ・早食い・飲み過ぎ・肥満・姿勢の悪さなどによる場合も少なくないからです。
もしも何らかの病気が原因であるとしても、胃がん以外の場合も考えられます。げっぷが増えてもむやみに心配せず、まずは医療機関を受診してください。
かなり進行していても自覚症状が出ないケースもありますか?
患者さんの状態にもよりますが、胃がんがかなり進行していても症状がない場合もあります。また胃潰瘍や胃炎とよく似た症状も少なくないため、胃がんの自覚症状として認知できない可能性も少なくありません。
ただ食べ物がつかえる・体重が減るなどの症状があるときは、進行した胃がんである可能性も大きいのでできるだけ早く医療機関を受診してください。
編集部まとめ
胃がんは、自覚症状が出にくい病気の1つです。また胃がん以外でもよく似た症状が見られるため、胃潰瘍の検査を受けたときに偶然発見される例も少なくありません。 約90%の生存率という早期胃がんの状態で発見するためには、何らかの症状があればもちろん、症状がないうちから定期的な検診を受けることが大変重要です。 胃の痛み・不快感・胸やけなど胃の不調を感じたときには、できる限り早く医療機関を受診し、日頃から定期的な検診を受けるように心がけてください。胃がんと関連する病気
「胃がん」と関連する病気には、5個程あります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
胃ポリープは胃の粘膜にできるポリープのことです。ほとんどが治療を要するものではありませんが、なかにはがん化するものもあります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は胃酸により胃の粘膜が傷ついた状態で、胃痛・腹痛・吐き気・嘔吐などの胃がんとよく似た症状が出る病気です。
逆流性食道炎は、胃酸が食堂へ逆流したりして起こる病気で、胸のつかえやのどの違和感・ゲップなどの症状を伴います。
胃がんと関連する症状
「胃がん」と関連している、似ている症状は7個程あります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状が見られても胃がんだとは限りません。また胃がんの場合は自覚症状が見られないことも少なくありません。
胃の不調などの症状がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。




