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「前立腺がんに検診」はある?”PSA検査”の詳細や費用を医師が解説!

 公開日:2025/12/16
「前立腺がんに検診」はある?”PSA検査”の詳細や費用を医師が解説!

前立腺がんは男性特有のがんであり、骨転移しやすいがんです。

がんが肥大化すると、排尿困難や排尿時痛など泌尿器系の症状が出現してくるでしょう。

このような症状が出現した場合、どのような診療科でどのような検査を受けることになるのでしょうか?

今回は、そのような前立腺がんの検診について、検査の内容や費用面について触れながら解説していきます。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

前立腺がんとは?

前立腺は男性にのみ存在する臓器で、尿が膀胱から体外へ排出される際の通り道です。前立腺がんはこの前立腺のどこかにがん細胞が発生し、肥大化した腫瘍が尿道などを圧迫してしまい、排尿困難感や排尿時痛を引き起こします。
前立腺がんの発生や成長には男性ホルモンが大きく関わっており、治療ではこの男性ホルモンの働きを抑える薬剤を使用することがあるでしょう。
前立腺がんは骨やリンパ節に転移しやすいため、全身の臓器に転移する前に治療が必要であり、早期発見・早期治療が重要です。排尿時痛や排尿困難感があるようなら、早めに受診することをおすすめします。

前立腺がんの検査・検診の詳細

前立腺がんに当てはまる症状がある場合、まずは泌尿器科で前立腺がんかどうか検査してもらうことが大切です。また、医療機関だけではなく地方自治体でも検査を行っている場合があります。
ここでは、前立腺がんを疑ったときに受診する機関について解説します。

気になる症状がある場合は医療機関で検査を受けるのが基本

前立腺がんと診断されるまでには、血液検査や直腸診などさまざまな検査を受ける必要があります。地方自治体では血液検査など一部の検査しかできない場合があり、最初から医療機関で受診するよりも治療を開始するまでの時間が長くなりがちです。
がん治療では早期発見・早期治療が重要になってくるので、明らかな血液検査などで異常所見がある場合は、早めに医療機関で受診し検査を受けるようにしましょう。

現時点では厚生労働省の指針で定められた検診はなし

厚生労働省ではがんの早期発見・早期治療を目標に、がん検診を推進するための指針を設定していますが、前立腺がんはその指針には含まれていません。
そのため、自治体によっては前立腺がんの検診を受けられない場合があります。検診を受けたい場合は、地方自治体でも受けられるかどうか事前に確認しておくとよいでしょう。

地方自治体によっては検診が行われているケースもある

地方自治体によっては、前立腺がんに関する検査を行っている場合があります。近くの医療機関で受診するよりも、安価な料金で検査を受けることもできるでしょう。
しかし、自治体によっては血液検査のみしか行えない場合があり、医療機関のような精密な検査は行えない場合があります。血尿や排尿障害など明らかな異常がある場合は、最初から医療機関での受診をおすすめします。

前立腺がんの検査内容

前立腺がんの検査は、血液検査や前立腺生検などさまざまです。ここでは、どのような手順で検査を進めていくのかを解説します。

PSA検査

PSAとは前立腺から検出されるタンパク質であり、前立腺がんではこのPSA値が高値になります。このPSAがどの程度血液中に存在しているかを調べるのがPSA検査です。
年齢によって基準値に差がありますが、それぞれの基準値に比べて高値であった場合は前立腺がんを疑うことになるでしょう。基準値以上の場合は、前立腺がんかどうかをより詳細に調べるために、精密検査を行う必要があります。

直腸診・経直腸エコー

直腸診では、肛門から直腸の中に指をいれて直接前立腺の状態を調べます。前立腺がんが潜んでいる場合は、前立腺が硬くなっており表面が不整であるなどの症状があるでしょう。
一般的に痛みは感じにくく簡便な検査として扱われており、ほかの検査と併用しながら前立腺がんかどうかを調べます。経直腸エコーは、超音波を通して前立腺を調べる検査です。この検査では前立腺の大きさや形を調べることで前立腺がんかどうかを判断します。

前立腺生検

前立腺生検は、PSA検査でPSA値が基準値以上になった場合に行われる精密検査の一つです。前立腺生検では、前立腺の組織を採取します。採取した組織を顕微鏡で観察し、がん化している所見があるかどうかを確認します。
前立腺生検では組織を採取する際に出血を伴う場合があるので、止血しにくくなるような薬剤を服用している場合は処置前から服用を中止しておく必要があるでしょう。なお、前立腺生検は前立腺がんを診断するうえで、必須の検査になります。

画像診断

画像診断は、前立腺生検でがんと特定された場合、周辺の組織やリンパ節に転移の有無を調べるために行われる検査です。画像診断ではMRIやCT検査が行われます。

前立腺がんの検査・検診の費用

前立腺がんを判断する際に検査は必須ですが、検診にいくら費用がかかるのかも知っておくべき情報です。そしてこの費用は、医療機関で検査を行う場合と地方自治体の機関で検査を行う場合とで異なります。
今回は、そのような前立腺がんの検診の費用の違いについて解説します。

症状がある場合に医療機関で受ける検査の費用

頻尿や検診でPSA値が高かったなど、なにかしらの症状がある場合は医療機関で保険診療で検査を受けることができます。PSA検査のみを保険診療で行う場合、検査代金は900円前後です。
検診でPSA値を指摘されたなどの前立腺がんを疑う所見があるようなら、医療機関での早めの受診をおすすめします。

症状がない場合に任意で受ける検診の費用

泌尿器系の症状がなく、予防的に検診を希望される場合は保険診療の対象外になり、自由診療となります。検査の種類や医療機関によって費用も異なるので、症状がない方で検診を希望する場合は一度受診する予定の医療機関で費用について相談することをおすすめします。
保険適用がない場合、PSA検査であれば3,000円(税込)程度になるでしょう。

地方自治体で実施している検診の費用

地方自治体では、泌尿器系の症状がなくても、一般的に医療機関より費用を抑えて検診を受けられます。
費用としては500円程度で、PSA値の測定のみを行う地方自治体がほとんどです。医療機関と同程度の精密な検査はできないため、あくまで前立腺がんを見つける指標と捉えましょう。

前立腺がんの検診についてよくある質問

ここまで前立腺がんの検診について紹介しました。ここでは「前立腺がんの検診」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

前立腺がんが疑われる場合は何科で検査を受ければよいですか?

前立腺がんが疑われるときは、まずは泌尿器科で受診するようにしましょう。前立腺がんを診断するうえでは、PSA値の測定だけでなく、複数の検査を組み合わせる必要があります。そのため、前立腺がんを専門に診ることができる医療機関で最初に受診した方が、早期発見・早期治療につながりやすいでしょう。

家族歴がある場合は症状がなくても任意で検診を受けた方がよいですか?

前立腺がんと遺伝には関係性があることが報告されているため、前立腺がんの家族歴がある方は早期発見・早期治療につなげるために任意で検診を受けておいた方がよいでしょう。地方自治体であれば、費用を抑えて血液検査によるPSA値の測定を受けられるので、予防として定期的に受けやすいでしょう。しかし、軽度でも頻尿などの泌尿器系の症状がある場合は、早めに医療機関で受診することをおすすめします。

編集部まとめ

今回は、前立腺がんの検診の内容と費用について解説しました。

泌尿器系の症状がある場合は、医療機関でも保険診療内で検診を受けられるため、なにかしらの症状がある場合は早めに受診しましょう。

前立腺がんの家族歴があるが、費用面的に医療機関で検診を受けることが厳しいという方は、地方自治体で行っている検診を受けることも一つです。

前立腺がんだけでなく、がん治療では早期発見・早期治療が重要です。

予防的に検診を受ける場合は地方自治体、症状がすでにある場合は医療機関にそれぞれ検診を受けるなど、対策をしておきましょう。

前立腺がんと関連する病気

「前立腺がん」と関連する病気は1個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

前立腺肥大症では尿が出づらくなる症状があります。前立腺肥大は動物性脂肪の多い食生活などによって発症し、前立腺がんと合併することもあるでしょう。しかしここで一つ注意していただきたいのが、前立腺肥大から前立腺がんになることはないということです。前立腺肥大か前立腺がんかは検査しないと判別できないので、泌尿器系の症状があるようならまずは医療機関で受診してみましょう。

前立腺がんと関連する症状

前立腺がんと関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

腫瘍によって尿道が圧迫されると、排尿困難感や頻尿などの症状が現れます。そして、がんが前立腺だけでなく尿道や膀胱内に進展した場合は、血尿を伴うこともあるでしょう。頻尿や排尿困難感は前立腺肥大でも同様にありますが、上記のような症状がある場合は早めに医療機関で受診することが大切です。

この記事の監修医師