「顔にできたメラノーマ」とほくろとの見分け方はご存知ですか?医師が解説!
公開日:2025/11/01

メラノーマは、全身の皮膚や粘膜に起こりうる皮膚がんの一つです。 ほかのがんと同様にリンパ節転移や他臓器転移のリスクがあるため、早期発見と早期治療が重要です。 見た目はシミやほくろによく似ていますが、形や大きさに特徴があります。 この記事ではほくろとの見分け方のポイントもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 また、メラノーマは足の裏や背中に発生することもあります。全身をくまなくチェックし、病気の早期発見に努めましょう。

監修医師:
高藤 円香(医師)
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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科
目次 -INDEX-
メラノーマとは
メラノーマ(悪性黒色腫)とは、メラノサイト(色素細胞)ががん化して生じた皮膚がんの一種です。メラノサイトは皮膚や眼、粘膜などに存在しており、メラニン色素を産生することで紫外線から身体を守っています。主な症状として、皮膚や粘膜に発生する黒色のシミ(色素斑)もしくは腫瘤が特徴です。メラニン色素の量によっては褐色の病変がみられることもあります。見た目の特徴などから末端黒子型・表在拡大型・悪性黒子型・結節型の4種類に大きく分けられます。
メラノーマとほくろの見分け方
皮膚表面に発生したメラノーマはシミやほくろとよく似ていますが、見分けるポイントはいくつかあります。鏡を使用するなどして、ご自身の身体に当てはまる症状がないかチェックしてみてください。以下の項目に2つ以上当てはまる場合は皮膚科で受診をおすすめします。
境界がギザギザしている
一般的にほくろの形や境界は整っています。しかし、メラノーマは境界がギザギザといびつな形をしている点が特徴です。さらに、ほくろの周囲がシミのように広がっていて境界が不明瞭な場合、メラノーマの可能性が高いため注意が必要です。
色の濃淡がある
鏡を使ってシミやほくろをよく観察してみましょう。ほくろの色調は均一ですが、メラノーマには濃淡差がみられます。また、もともと薄かったほくろの色が黒く濃くなってきた場合も要注意です。背中や首の後ろなど、ご自身で確認しづらい部位はご家族の方に協力してもらいましょう。
左右非対称
ほくろの多くは円形もしくは楕円形で、左右対称の規則的な形をしています。しかし、左右非対称なものはすべて悪性腫瘍というわけではありません。ご自身で良性か悪性かを見分けることは難しいため、心当たりがあれば皮膚科で診てもらいましょう。直径が6mm以上ある
良性のほくろは直径6mm以下のものが多く、時間の経過とともに大きくなることはありません。そのため、少しずつ大きくなっているほくろや直径6mm以上のものはメラノーマの可能性があります。良性のほくろとメラノーマを見分けるには、定期的なセルフチェックが重要です。
急に大きくなる
色素細胞ががん化してメラニンを産生するため、数ヵ月〜数年の間に急に大きくなります。急に大きなほくろができた、昔からあったほくろが大きくなってきた場合、良性のほくろではなくメラノーマかもしれません。確定診断には、拡大鏡を使ったダーモスコピー検査や生検などが必要です。
周囲との境界がはっきりしない
メラノーマと周囲の皮膚との境界は色素が滲み出ているように見え、輪郭がはっきりしません。しかし、良性のほくろでも境界がはっきりしないものもあるため、良性・悪性を見分けるには専門の医師による診察や検査が必要です。メラノーマの早期発見のポイント
初期のメラノーマは痛みや出血などの明らかな自覚症状がなく、ほくろと見分けることも難しいため発見が遅れてしまうことがあります。しかし、メラノーマもほかのがんと同様にリンパ節や他臓器への転移を引き起こすため、早期治療が重要です。早期発見のポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
全身をチェックする
ほくろの大きさや色調の変化、新しくできたほくろにいち早く気付くためには、定期的な全身の皮膚のチェックが大切です。鼻腔や口腔、眼瞼などの粘膜に発生する可能性もあるため、これらの部位も併せて確認してみましょう。なかでも、足の裏や背中などの部位は見過ごされやすいため、家族や友人にも協力してもらうのがおすすめです。
リンパ節にしこりがないか触ってみる
がん細胞が増殖してリンパの流れに乗ると、リンパ節転移を引き起こします。リンパ節とは、全身を走行するリンパ管のところどころにある免疫器官の一つです。がんが転移したリンパ節には腫れが生じるため、首やわきの下、足の付け根などでしこりに触れることができます。また、メラノーマは早い段階でリンパ節転移を起こすのが特徴です。気になる症状があれば早急に病院で受診しましょう。
メラノーマの治療法
主な治療法は手術・放射線療法・薬物療法の3つです。がんの進行度や転移の有無、患者さんの全身状態などを考慮して治療法を決定します。また、がん細胞の残存や治療後の再発を防ぐため、これらを組み合わせて行うのが一般的です。
手術
がんの初期段階であれば、原発部位(最初にがんが発生した部位)の切除のみで治癒が可能です。病変部位の周囲にも細かいがん細胞が散在している可能性があるため、周囲の正常な組織も一緒に切除します。また、リンパ節転移がみとめられる場合には、リンパ節郭清(リンパ節の摘出)も併せて行われる場合があります。
放射線療法
手術で病変部位を取り除いた後、がん細胞を根絶する目的で放射線療法を行うことがあります。がん細胞が少しでも体内に残っていると、再び増殖して病気が再発するためです。また、他臓器への転移がみとめられる場合や、病変部位が広範囲に及んでいる場合には、放射線療法と化学療法を組み合わせた化学放射線療法の適応となることもあります。
薬物療法
他臓器転移がみとめられる場合や、体力的な問題などで手術を受けられない場合には薬物療法をメインに行います。また、がんの再発予防を目的として、ほかの治療法と組み合わせて行うこともあります。メラノーマの治療で使用する薬剤の種類は、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などです。
分子標的薬は、がん細胞特有の遺伝子やタンパク質を狙い撃ちすることでがん細胞の増殖を抑えます。免疫チェックポイント阻害薬は免疫細胞に作用し、体内の免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする薬です。免疫チェックポイント阻害薬を使用した治療法は免疫療法とも呼ばれます。
顔にできるメラノーマについてよくある質問
ここまでメラノーマとほくろの見分け方や早期発見のポイント、治療法を紹介しました。ここでは「顔にできるメラノーマ」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
メラノーマの種類にはどのようなものがありますか?
メラノーマは、好発部位や見た目の特徴によって末端黒子型・表在拡大型・悪性黒子型・結節型の大きく4種類に分けられます。鼻腔や口腔、眼瞼などの粘膜に発生する可能性もあるため、全身をくまなくチェックすることが重要です。
メラノーマができやすい場所はどこですか?
日本人に多くみられる病型は末端黒子型で、手の平や足の裏、手足の爪に症状があらわれるのが特徴です。また、悪性黒子型は高齢者の顔面に発生しやすく、シミとの鑑別が重要です。
編集部まとめ
メラノーマの主な症状は、皮膚表面にあらわれる褐色〜黒色のシミや腫瘤です。見た目はほくろとよく似ていますが、メラノーマには以下のような特徴があります。- 境界がギザギザしている
- 色の濃淡がある
- 左右非対称
- 直径が6mm以上ある
- 急に大きくなる
- 周囲との境界がはっきりしない
メラノーマと関連する病気
「メラノーマ」と関連する病気は3個程あります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
基底細胞がんは皮膚がんのなかでも発生数が多く、黒色のシミや結節状の腫瘤などの症状がみられる病気です。進行すると潰瘍化し、容易に出血を引き起こすため早急に治療する必要があります。
メラノーマと関連する症状
「メラノーマ」と関連している、似ている症状は5個程あります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- いびつな形のほくろ
- 色にムラがあるほくろ
- 直径6mm以上のほくろ
- ほくろが急に大きくなった
- 中央が潰瘍化しているほくろ
参考文献