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『爪に黒い線』が出たとき「メラノーマと別の疾患との見分け方」は?医師が解説!

 公開日:2025/12/05
『爪に黒い線』が出たとき「メラノーマと別の疾患との見分け方」は?医師が解説!

メラノーマは皮膚のあらゆる部分に出現する可能性がある皮膚のがんです。 メラノーマは爪に発生することもあり、初期症状として爪が黒く変色する症状もあります。しかし、健常者でも爪が黒くなることはありますので、判断するのは難しいでしょう。 メラノーマは転移して進行してしまうと予後が悪く、早期発見・早期治療が重要となります。 今回は、そのような爪のメラノーマの症状について、原因や対処方法を交えながら解説します。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

メラノーマとは

メラノーマは別名悪性黒色腫と呼ばれ、皮膚の色に関与するメラニン色素を作る色素細胞ががん化したものと考えられています。
悪性度の高いがん種に分類されますが、目に見える部位にできるがんなので内臓にできるがんよりも見つけやすいでしょう。
ほくろやシミとどこか違うなと感じたら、皮膚科で相談して早期発見につなげることが大切です。なお、メラノーマは以下の4種類に分類されます。
  • 悪性黒子型
  • 表在拡大型
  • 結節型
  • 末端黒子型
悪性黒子型は高齢者の顔面にできやすく、10年という長い年月をかけて徐々に拡大していくメラノーマです。
表在拡大型は幅広い年齢層に出現し、体幹や下腿に出現しやすいといわれています。
結節型は色素斑(シミが広がるような皮膚の変化)は起こらず、しこりや腫瘤といった症状が出現します。しかし腫瘤やしこりが出現した部位は黒く盛り上がり、徐々に大きくなっていくでしょう。また、腫瘤の厚さが予後に関係しているとされており、メラノーマのなかではあまり予後がよくない部類とされています。
最後に末端黒子型は10代~60代くらいにかけて出現するメラノーマです。症状としては、ほくろのようなきれいな円形ではない不整形な黒い斑点が出現し、数ヵ月~数年かけて結節や腫瘤が出現します。
このような4種類のメラノーマ以外に鼻腔や口腔などの粘膜に出現するものもあり、そのような部位では血管やリンパ管が豊富にあるため成長が速く一般的に予後はよくありません。

爪の黒い線とメラノーマの見分け方

爪のメラノーマの症状として、爪に縦方向の黒い線が出現することがあり、このような症状は爪のメラノーマの初期症状として考えられています。
しかし、爪に黒い線が出現するのは、メラノーマではなくても起こりうるでしょう。
ここでは、メラノーマによる爪の黒い線をどのようにして見分けることができるのかを解説していきます。

色・幅が不均一である

メラノーマによる爪の黒い線は、徐々に幅が広がったり色が濃くなったりするのが特徴です。
症状が進行すると爪の回りの皮膚にも黒いシミだしがみられるようになります。
このような症状は、一気に出現するのではなく徐々に拡大していくでしょう。

爪の根元より先端が細くなっている

メラノーマが爪に発生した場合、爪母(爪の根元部分を指す)部分に黒色変化が出現することがあります。爪母に出現したメラノーマは徐々に拡大し、爪先部分に進行していくでしょう。
メラノーマの発生部分である爪母では黒色変化が進んでいますが、爪先部分にかけては黒色変化の範囲が狭まります。このような状況では、黒色変化が爪の根元部分より先端の方が細くなることになるでしょう。

ハッチンソン兆候がある

ハッチンソン兆候とは、爪の黒いシミのようなものが爪の根元の皮膚などにはみ出しているような兆候を指します。
これは、メラノーマを疑うべき所見とされており、このような所見がある場合は早急に受診しましょう。

爪の破壊が見られる

メラノーマの種類によっては爪を破壊しながら腫瘍が大きくなっていく場合があります。
爪に発生したメラノーマは初期症状として爪に黒い線が出現しますが、増悪してくると爪が破壊され変形してくるでしょう。

メラノーマ以外で爪に黒い線ができる原因

爪が黒く変色したからといってすべてがメラノーマというわけではありません。
ここでは、メラノーマ以外で爪に黒い線ができる原因について紹介します。原因と考えられるものは、以下の5つです。
  • 内出血
  • 加齢
  • 小児期の爪甲色素斑
  • アジソン病
  • 爪水虫(爪白癬)
指を挟んで爪の内側を内出血してしまった場合、爪に黒い線ができてしまう場合があります。メラノーマと違い出血した部分が治癒してくると自然に消失するでしょう。
加齢や加齢に伴う乾燥によっても爪に黒い線が出現することがあります。このような症状は爪の保湿ケアによって予防することができるでしょう。
爪甲色素線条は15歳未満の小児に出現することがありますが、年長児になってくると消失することが多いです。成人で出現した場合は、悪性化することがあるので爪の変形などの所見がある場合は皮膚科を受診しましょう。
アジソン病は副腎皮質ホルモンの低下や欠乏によって、倦怠感や低血圧などの症状が出現する疾患です。この副腎皮質ホルモンが長期的に不足することで、爪に色素沈着が見られることがあります。
爪の水虫とされる爪水虫においても爪が黒くなることがありますが、水虫の治療とともに消失していくでしょう。

爪に黒い線を作らないための対処方法

爪の色素沈着の原因は紫外線や栄養不足など多岐にわたります。
ここでは、色素沈着によって爪に黒い線を作らないようにするための対処方法を紹介していきます。

栄養をしっかり取る

爪の色素異常はビタミンB12欠乏症によって引き起こされることがあります。
ビタミンB12は動物性の蛋白に含有されており、肉や魚介類を摂取することで吸収できます。逆に食生活が野菜中心の方は不足しがちなので注意が必要です。

ストレスを溜めない

ストレスはコルチゾールの分泌に深く関わっているとされています。そして、このコルチゾールは爪の色素異常にも関わってくるのです。
ストレスが長期間続くと副腎疲労を起こし、コルチゾールの分泌が減少してしまうことで、爪の色素異常が起こることが考えられます。

血行を良くする

血行が悪いことで、爪白癬などの感染症に罹患しやすくなるといわれています。
爪白癬になった場合でも、爪に黒い線が出現することがあります。血行をよくすることが、爪白癬の予防につながるでしょう。

爪に負担がかからない靴を履く

つま先に余裕がない靴やヒールを履いているときは、足に負担がかかり血行が悪くなるとされています。
先程紹介したように血行によって爪の色が変色するので、爪の変色を気にする方はつま先に余裕のある靴を履くようにしましょう。

紫外線対策をする

皮膚は紫外線を防御するために、メラノサイトの活発化によってメラニン色素が産生されます。このメラニン色素によって皮膚が黒くなり、紫外線から皮膚を守ることができるでしょう。
爪に紫外線が当たった場合にも、紫外線による皮膚の防御反応が起きるため、爪に黒い線が出現することが考えられます。
爪の変色が気になる方は、外出前に紫外線対策をすることが大切です。

爪の乾燥を防ぐ

紫外線は爪の乾燥原因の一つとされ、爪が乾燥することで防御機能が低下します。この爪の防御機能の低下によって、紫外線による爪のメラノサイトの活発化が発生しやすくなり、爪に黒い線が現れやすくなるでしょう。
爪の黒い線の発生を予防するために、しっかり保湿するなど対策を行い、爪を乾燥させないようにすることが大切です。

爪の黒い線とメラノーマの見分け方についてよくある質問

ここまで爪の黒い線とメラノーマの見分け方や爪の黒い線を作らないための対処方法などを紹介しました。ここでは「爪の黒い線とメラノーマの見分け方」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

メラノーマの診断方法について教えてください。

爪の黒い線とメラノーマを見分けるために、以下の項目を確認します。
  • 爪の根元部分の状態
  • 爪の変形や割れを伴う
爪の根元部分の黒色変化が皮膚部分にまで広がっている場合は、メラノーマが疑われます。爪内でメラノーマが進行している場合は、爪の変形や割れを伴うので、こちらの症状がある場合もメラノーマが疑われるでしょう。

メラノーマのタイプ・部位によって進行速度に違いはありますか?

メラノーマには以下の4種類があります。
  • 悪性黒子型
  • 表在拡大型
  • 結節型
  • 末端黒子型
これらは発症して数ヵ月で転移するものから数年単位で徐々に拡大するものまであります。また、上記の種類以外に口腔内や鼻腔などの粘膜に出現するものがあります。この粘膜にできたメラノーマは、進行スピードが速く予後も不良となるでしょう。

編集部まとめ

今回、メラノーマの症状の一つである爪の黒い線にスポットを当てて解説しました。 メラノーマはほかの臓器に転移をしてからでは治療が難しくなってしまう一方、皮膚にできるので早期発見しやすいという一面もあります。 爪の黒い変色は健常者でも出現するため、メラノーマと見分けるためには症状の特徴を知っておく必要があるでしょう。 自分の症状がメラノーマの症状と似ているようであれば、一度皮膚科に受診し医師に相談してみてください。

メラノーマと関連する病気

「メラノーマ」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

爪にメラノーマが発症した場合、爪に黒い線が出現しますが上記の疾患でも爪に黒い線が出現する可能性があります。
アジソン病により長期的に副腎皮質ホルモンが不足することで、爪の色素異常を伴うことがあるでしょう。
ビタミンB12欠乏症でも爪の色素異常が出現するので、バランスのよい食事をとるようにしましょう。

メラノーマと関連する症状

「メラノーマ」と関連している、似ている症状は2個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

メラノーマは爪の黒い線だけでなく、皮膚のあらゆる部分に上記のような症状が出現することがあります。腫瘤は固く盛り上がった塊で、徐々に大きくなっていくでしょう。
シミは不規則な形をしており徐々に拡大し、やがて中央部分が膨らんできます。初期のシミは小さい段階ではほくろと変わりないですが、病状が進行してくると明らかにほくろと違うとわかるでしょう。
発見した際はすぐに皮膚科で受診しましょう。

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