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「メラノーマの見分け方」はご存知ですか?発症しないために気をつけることも解説!

 更新日:2023/12/08
「メラノーマの見分け方」はご存知ですか?発症しないために気をつけることも解説!

メラノーマとは?ほくろとの違いは何でしょうか?本記事ではメラノーマの見分け方について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・メラノーマとは
  • ・メラノーマの種類
  • ・メラノーマの治療方法

メラノーマの見分け方について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

そもそもメラノーマとは?

メラノーマは、皮膚がんの一種で、メラニン色素を産生する細胞であるメラノサイトががんに変化し、表面では、ほくろのように見えることがあり、「悪性黒色腫」とも呼ばれます。メラノーマは初期の段階ではほとんど自覚症状が現れないため、疾患の進行速度が特に早いという特性があります。手術後にも速やかに再発や広がるリスクが存在し、状態が急速に変化することがあるため、皮膚に異常を感じた場合は迅速に医師の診察を受けることが非常に重要です。

メラノーマの種類

メラノーマにはどのような種類があるのでしょうか?以下に紹介いたします。

末端黒子型

他のメラノーマといくつかの異なる特徴があります。具体的には足の裏、手のひら、手足の爪などに見られる黒色腫は、形がはっきりせず、褐色や黒褐色のシミとして現れます。これらのシミは初期には色調が単一ではないことがあり、進行するとしこりや潰瘍が形成されることがあります。爪に影響を及ぼす場合、縦に黒い筋が現れ、それが爪全体に広がることがあります。この病型は日本人に最も多く見られ、一般的には60歳代以降に発生することが多いです。

結節型

結節型黒色腫は、全身のさまざまな部位に発生することがあります。特徴的なのは、黒色または濃淡の混じった結節(硬いしこり)が形成されることです。初期段階では、しこりのまわりには、シミと似た変わりは確認できません。このタイプのがんに関しては、通常、40~50歳代に発生し、がんの成長が速い特徴があります。

特定の部位に限らず、結節型黒色腫は全身のどこにでも現れる可能性があり、硬く盛り上がった黒い塊が徐々に大きくなる特性を持っています。

表在拡大型

特に欧米人や色白のアジア人に発生しやすいタイプのがんで、発症部位としては胸、腹、背中など体幹に近い部分や、手足の付け根部分がよく見られます。このがんは様々な部位に発生し、明確な境界を持たず、わずかに隆起した斑点のように見え、色調は濃淡の混じったまだら模様を示します。特に白人に多く見られますが、日本人にも増加傾向が見られます。成長速度は緩やかで、BRAF遺伝子変異が頻繁に関与しているとされています。

粘膜型

粘膜型黒色腫は、口の中、鼻の中、膣、外陰部、直腸、肛門などの粘膜に発生するがんで、日本人において発症率は高いとされています。この種のがんは非常に稀な事例として知られていますが、口の中などにほくろのような斑点が現れ、その後徐々に広がっていく特徴があります。他のほくろのがんよりも、診断が遅くなるリスクがあるので、早めの対応が大切です。

メラノーマとほくろとの見分け方

初期のメラノーマは見分けにくい:
初期のメラノーマはしばしば他のほくろと見分けがつきにくいことがあります。したがって、少しでも気になるほくろができた場合、専門の皮膚科医に相談することが非常に重要です。

足の裏に発生することが多い:
メラノーマは足の裏に発生することが多いとされています。足の裏に新しくできたほくろには特に注意が必要です。

形や色の違い:
メラノーマとほくろの違いは、形や色にも現れます。ほくろは通常、円形で均等な形状を持っていますが、メラノーマは左右非対称で、色がにじみ出すように広がっていきます。つまり、ほくろが均一で規則的な形状を持つのに対し、メラノーマは不規則で不均一な形状を示すことがあります。さらに、ほくろは通常一色であるのに対し、メラノーマは色のバリエーションが多く、不規則です。

サイズの変化:
もう一つの特徴はサイズの変化です。ほくろは通常、大きさが一定ですが、メラノーマは短期間で急速に大きくなることがあります。一般的に、2〜3ヵ月で直径が7mm以上拡大する場合、皮膚科を受診することを検討するべきです。

口内のほくろに注意:
口の中にほくろのようなものができた場合、メラノーマの可能性が高いため、迅速な受診が不可欠です。

メラノーマは発見が早ければ治療できるながんです。したがって、ほくろや皮膚の変化に対して敏感になり、異常を感じた場合は専門家の診断を受けることが最善の対策です。

メラノーマの検査

メラノーマの検査方法について解説します。

ダーモスコピー検査

ダーモスコピーとは、皮膚病変を拡大して観察するための診断法です。以下に、ダーモスコピーについて詳しく説明します。

ダーモスコピーは、専用の機器であるダーモスコープを使用して皮膚病変を拡大観察する診断法です。この方法は、肉眼では見えない微細な特徴やパターンを観察することが可能で、特にほくろやシミといった色素沈着の状態を詳しく調べるのに役立ちます。

ダーモスコープは、光の乱反射を抑え、強い光線を照射して皮膚病変を10~30倍に拡大して見られる装置です。これにより、以下のような情報を得ることが可能です:

色の詳細な観察: 皮膚病変の色や色調の変化を非常に詳細に観察できます。メラノーマのような悪性腫瘍において、色の不均一性や異常な色合いが検出されることがあります。

血管パターンの調査: 皮膚病変における血管のパターンや分布も確認できます。これは、特定の病変が腫瘍であるかどうかの判断に役立ちます。

表面のテクスチャー: 皮膚病変の表面の凹凸やテクスチャーも観察対象となります。これにより、病変の特徴が明確になることがあります。

ダーモスコピーは、特にメラノーマなどの悪性腫瘍の早期発見に良い診断法とされています。皮膚の変化を詳細に観察し、異常を見つけた場合、医師の診察と適切な処置を行うための重要なツールとなっています。

皮膚生検

皮膚生検は、メラノーマなどの皮膚疾患の確定診断や病変の性質を調べるために行われる検査方法です。以下に、皮膚生検についての詳細をまとめます。

皮膚生検は、主に次の2つの方法で行われます:

全切除生検: この方法では、手術により病変部分を完全に除去します。その後、切り取られた組織を顕微鏡で詳細に検査し、病変の性質や種類を確定します。通常、全切除生検は小さな病変に適しており、診断の正確性を高めるために行われます。

部分生検: 部分生検では、病変の一部分が手術によって切り取られ、その組織が顕微鏡で検査されます。部分生検は、病変が大きい場合や周囲の組織への影響を最小限に抑えるために行われることがあります。ただし、全切除生検より診断の精度がやや低くなる場合もあるため、慎重に選択されます。

皮膚生検の結果は通常、約2週間で判明します。診断が確定した場合や病変の性質が明らかな場合には、生検を行わずに診断が進められることもあります。

BRAF遺伝子変異

進行期のメラノーマにおいて、BRAF遺伝子変異の有無を確認することが重要です。特に、BRAF阻害薬とMEK阻害薬を使用した治療や術後補助療法を検討する際には、BRAF遺伝子に変化が確認される場合が必要です。そのため、手術後にセンチネルリンパ節転移がわかった場合、BRAF遺伝子変異の有無について調査が必要です。

メラノーマの治療

メラノーマの治療方法について以下に4つ紹介します。

手術療法

悪性黒色腫(メラノーマ)の治療において、主要な方法は手術です。しかし、メラノーマは周囲に小さな転移病巣ができやすいため、手術時にはがんの周辺組織を広範囲に取り除くことが必要です。切除の範囲や深さは、腫瘍の特性や発生部位に応じて個別に決定されます。

手術にはセンチネルリンパ節生検とリンパ節郭清の2つのアプローチがあります。センチネルリンパ節生検は、がんが最初に転移する可能性が高いリンパ節を調べ、転移がなければ他のリンパ節への転移の可能性が低いことを示します。リンパ節郭清は、センチネルリンパ節に転移がある場合に、その領域のリンパ節を広範囲に取り除く手術です。

手術後は、通常は制限のない食事や運動が可能で、早期に通常の日常生活に戻れます。ただし、リンパ節の広範囲切除により「リンパ浮腫」と呼ばれるむくみが発生する可能性があるため、適切なケアが必要です。治療法の選択や手術の範囲は、病期(ステージ)に基づいて決定され、病気の進行度に応じて治療計画が立てられます。

術後補助療法

悪性黒色腫(メラノーマ)の治療において、ステージⅢおよびステージⅡB、ⅡCの病期に対しては術後補助療法が選択肢として考えられます。以下は、この治療アプローチに関する詳細です。

ステージⅢにおける術後補助療法:
ステージⅢの患者さんには、手術後にリンパ節や皮膚転移がある場合、術後補助療法が検討されます。
BRAF遺伝子変異が陰性な場合には、抗PD-1抗体薬(ニボルマブまたはペムブロリズマブ)が1年間使用されることがあります。
BRAF遺伝子変異が陽性な場合には、抗PD-1抗体薬やBRAF阻害薬+MEK阻害薬(ダブラフェニブ+トラメチニブ)が検討されます。

ステージⅡBおよびⅡCにおける術後補助療法:
近年、ステージⅡBおよびⅡCの患者さんに対しても、術後補助療法が適用されることがあります。この際、ペムブロリズマブが術後補助療法として1年間の投与が承認されました。
このアプローチにより、早期ステージの悪性黒色腫においても薬物療法が導入されることがあります。

術後補助療法は、手術後の転移や再発を防ぐために行われ、悪性黒色腫の早期ステージでも考慮されます。具体的な治療方法は患者さんの病状や遺伝子変異に応じて個別に決定され、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、インターフェロンなどの治療が選択されます。これにより、再発や転移のリスクを低減し、予後を改善することが期待されています。

薬物療法

メラノーマ(悪性黒色腫)は、進行が早く、再発リスクも高いがんの一つです。そのため、手術だけでは十分な治療効果が得られない場合や再発した場合には、薬物療法が選択されることが多いです。以下は、メラノーマの薬物療法の概要をまとめました。

1. 免疫チェックポイント阻害薬
特徴: 患者さんの自身の免疫力を活用し、がん細胞に対する攻撃を強化する。
方法: 免疫のブレーキ機能として働く「免疫チェックポイント」に作用する抗体薬を点滴で投与。
種類: 抗PD-1抗体など。
治療: 単独での使用や、異なる作用を持つ複数の薬剤との併用が考えられる。

2. 分子標的薬
特徴: がん細胞の成長や増殖に関与する特定のタンパク質や遺伝子を狙い撃ちにする。
種類: BRAF阻害薬やMEK阻害薬など。
使用条件: BRAF遺伝子変異が確認された患者さんに対して。
治療: 単独での使用や、BRAF阻害薬とMEK阻害薬の併用が行われることがある。

3. 化学療法(抗がん剤)
特徴: がん細胞の増殖を抑制し、死滅させる作用を持つ。
治療: 手術後の残存がん細胞の除去や、手術が困難な場合の全身療法として使用される。

4. インターフェロン
特徴: 細胞が自然に分泌する物質で、免疫を活性化し、がん細胞の増加を抑制する。
治療: 手術後、切除部位の周囲や皮下に注射されることがある。
これらの治療は、患者さんの状態やがんの進行度に応じて、適切な方法が選択されます。また、治療の選択や変更は、医師との十分な相談のもと行われるべきです。

放射線療法

メラノーマの放射線治療の概要は以下のとおりです。

伝統的な放射線療法: X線や電子線の照射は、メラノーマに対して十分な効果が得られないことが多いです。

先進医療による放射線治療:
速中性子線、陽子線、重粒子線: これらは特別な放射線で、一部の先進医療機関で提供されています。これらの線は、メラノーマの治療において効果が期待されるものです。

ガンマナイフ治療: 脳内のがん細胞をターゲットに、ガンマ線を多方向から集中的に照射する方法。開頭手術を必要としないのが特徴です。

サイバーナイフ治療: 高度なコンピュータ制御を使用して、X線をがん細胞に多方向から集中的に照射する治療。頭部だけでなく、体の他の部分にも適用可能です。
注意点: 先進医療は、国が認定した特定の医療技術を指し、一部の医療機関のみで提供されています。詳細や適用条件については、医師との相談が必要です。

メラノーマの放射線治療は、病状や患者さんの状態に応じて選択されるため、治療の選択や変更は、医師との十分な相談のもと行われるべきです。

メラノーマにならないために気を付けること

メラノーマにならないためにはどんな事に気をつけたら良いのでしょうか?

ほくろにダメージを与えない

ほくろの変化や隆起に気付いたとき、自分で触る、傷つける、または取り除くような行動は避けるべきです。このような行為は、見た目の問題だけでなく、感染のリスクや皮膚の健康を損なう可能性があります。

もし、ほくろの変化やその他の皮膚の問題に不安を感じた場合は、専門家の意見を求めることが最善です。皮膚の専門家は、適切な検査や治療を提案してくれます。

美容外科のようなクリニックでは、無料のカウンセリングや専門的な機器を使用したほくろの診断サービスを提供しています。ほくろの健康や除去方法に関する質問や懸念がある場合は、気軽に専門家に相談することをおすすめします。

紫外線ケアをする

紫外線は、ほくろががん化するリスクを増加させる主要な要因として知られています。メラノーマというほくろのがんは、メラニンを生成する色素細胞、メラノサイトが悪化することで発生します。

紫外線を長時間受けることで、体はメラニン色素の生成を増やす反応を示すことがあり、これが悪性腫瘍の発展を助長する可能性が考えられます。

夏だけでなく、年間を通じて、また屋外だけでなく屋内にいるときも、紫外線からの保護策として日焼け止めの使用を推奨します。紫外線の影響を最小限に抑えるための対策が重要です。

「メラノーマの見分け方」についてよくある質問

ここまでメラノーマの症状を紹介しました。ここでは「メラノーマの見分け方」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

メラノーマの見分け方に特徴はありますか?

竹内 想竹内 想 医師

メラノーマの識別には、ABCDEルールという方法があります。このルールは、ホクロの特徴を5つのポイントで確認するものです。
非対称性(Asymmetry): ホクロが左右や上下で対称的な形をしているかを確認します。完璧な円形は良性の可能性が高いのに対し、不規則な形は悪性のリスクが考えられます。
境界(Border): ホクロの周囲がはっきりしているか、あいまいになっているかを見ます。明確な境界は良性のサインで、不明瞭な境界は悪性の可能性を示唆することがあります。
色(Color): ホクロの色が均一か、異なる色が混ざっているかを確認します。均一な色合いは良性の兆候で、色のばらつきは悪性のリスクがあることを示す場合があります。
直径(Diameter): 一般的に、7mm以上のホクロは注意が必要とされています。しかし、7mm以上でも良性のホクロは多いです。大きさだけでなく、位置なども考慮する必要があります。
変化(Evolving): ホクロが時間とともに大きくなっているかを観察します。子どもの場合、成長に伴いホクロが大きくなることは自然です。しかし、大きくなるホクロが必ずしも悪性であるわけではありませんが、多くの悪性のホクロは成長する傾向があります。
これらのポイントを参考に、ホクロの特徴を確認することで、メラノーマのリスクを早期に把握できます。ただし、最終的な診断は専門家に任せることが重要です。

メラノーマの生存率はどれくらいですか?

竹内 想竹内 想 医師

メラノーマの初期段階では手術が主要な治療法で、5年生存率は95%以上と高いものの、進行して肺や肝臓、脳、骨への転移が見られる場合は手術のみの治療が難しく、2014年以降は「免疫チェックポイント阻害剤」のような新しい薬物治療、特にニボルマブやイピリムマブが導入され、がんの縮小や生存率の向上に効果を示しています。

編集部まとめ

ここまでメラノーマの見分け方についてお伝えしてきました。メラノーマの見分け方についての要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・メラノーマとは皮膚がんの一種で、メラニン色素を産生する細胞であるメラノサイトががん化した腫瘍で、このがんは一見、ほくろのように見えることがある
  • ・メラノーマの種類には悪性黒子型・末端黒子型・結節型・表在拡大型・粘膜型がある
  • ・メラノーマの治療方法には手術治療・放射線治療などがある

「メラノーマ」と関連する病気

「メラノーマ」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

メラノーマと同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。

「メラノーマの症状」と関連する症状

「メラノーマの症状」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

該当する診療科の病気

  • 色素斑の形が左右非対称
  • 色素斑の輪郭がギザギザ
  • 色素斑の色むらがある
  • 色素斑の大きさが6mm以上あ

これらの症状が当てはまる場合には、メラノーマなどの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師