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「コロコロ便は大腸がん」が原因?初期症状や末期症状も解説!【医師監修】

 公開日:2024/08/08
「コロコロ便は大腸がん」が原因?初期症状や末期症状も解説!【医師監修】

大腸がんは腹痛・嘔吐・便性の変化などの症状が出現する疾患で、普段快便であった方が便秘気味に変わる可能性もあります。

しかし、大腸がんを発症したからといってすべての方が便秘になるわけではありません。

実は、大腸がんが発生する部位によって、出現する症状はさまざまであることが報告されているのです。

今回はそのような大腸がんの初期症状や末期症状・改善方法を解説します。

山下 正勝

監修医師
山下 正勝(医師)

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国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

保有免許・資格
歯科医師
日本外科学会 外科専門医
緩和ケア研修修了
JATEC(外傷初期診療ガイドライン)コース修了
NST医師・歯科医師教育セミナー修了
嚥下機能評価研修修了

大腸がんとは

大腸がんは大腸表面の粘膜に発生する悪性の腫瘍です。発症初期の腫瘍が小さい段階では、あまり自覚できる症状は出現しませんが、腫瘍が大きくなり便の通行を妨げるようになると腹痛や嘔吐などの症状が出現します。
しかし、すべての大腸がんで腹痛や嘔吐を出現するわけではありません。大腸は口腔側に近い右側と肛門側に近い左側に分けることができ、発症したがんがどちらに分類されるかによって出現する症状も異なります。
左側に大腸がんが発症した場合、便の通りが悪くなり腹痛や嘔などの症状が出現しますが、右側に発症した場合は便がまだ固まりきっていないので腹痛や嘔吐は目立ちません。一方、右側は腫瘍からの出血による貧血腹部のしこりなどの症状があります。

コロコロ便は大腸がんが原因?

大腸がんによって便秘になることはありますが、便秘だからといって大腸がんを発症しているとは限りません。便秘の原因は加齢・食習慣、運動不足・がん以外の疾患など多岐にわたります。
また、便秘そのものが大腸がんのリスクにはならないという報告もあるため、便秘だからといって大腸がんと考えるのは早計かもしれません。

水分不足

便秘に対して水分補給を行ったとしても、便秘自体は改善しないという報告があります。しかし、脱水状態に陥りやすい場面では便秘になりやすいとされ、夏場などは脱水予防のために意識的に水分補給することが必要です。

ストレス・疲労

胃腸はストレスの影響を受けやすい臓器とされます。これはストレス自体が自律神経を乱し、胃腸の機能にも影響を与えてしまうためです。この胃腸機能の異常により、下痢や便秘を引き起こしてしまうこともあります。

食生活・排便リズムの乱れ

大腸がんの発症に対して食生活は関係性が深いです。ある研究では、魚・乳製品・大豆・果物・野菜を多く摂取すると、食物繊維や葉酸などを取り入れることができ発がん抑制効果が期待できるという報告があります。
逆に肉類が中心の欧米型の食事では、大腸がんのリスクが上昇してしまうでしょう。また、食物繊維など便通をよくする成分を取り入れることで、便通もよくし排便リズムを整えることができます。

大腸がん・過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は大腸がんとは違い、大腸に器質的異常がないにも関わらず、下痢や便秘などの症状を呈する疾患のことをいいます。
特に20歳代から40歳代までの方に発症し、症状によって下痢型・便秘型・混合型に分類されます。症状としては大腸がんと酷似する部分があるので、気になる方は医師に相談し内視鏡検査などで器質的疾患がないかを精査してみましょう。

コロコロ便以外の大腸がんの初期症状・末期症状

大腸がんの初期症状は無症状なものが多く、なかなか自覚症状としては出現しません。しかし、進行してくると血便・残便感・腹痛といった症状が出現します。特に、血便や急に便が細くなるなどの症状がある場合は要注意です。早急に受診し医師の診断を受けましょう。

初期症状

大腸がんは初期症状に乏しく、発症してすぐに受診し早期発見ということにはなかなかなりません。元々快便だった方が便秘気味になるなど、便性の変化があったとしても便秘薬を処方されるのみになるでしょう。
早期発見につなげるためにも血便など特異な症状が出た際は、すぐに受診した方がよいです。

末期症状

末期症状になってくると大腸がんが大腸を穿孔してしまい、緊急手術になることもあるでしょう。がん自体が腸管から腹腔内に転移する腹膜播種という状態になることもあります。
腹膜播種を起こすと腹水の貯留や激しい腹痛を引き起こします。なにか些細なことでも、体調に異常を感じるようであれば受診し医師に相談してみるのも一つです。

コロコロ便の改善方法

便秘の治療では、薬物治療を行う前に生活習慣の改善を図ることが重要です。運動に関しても便秘予防に有効とされるものもあるので、順番に解説していきます。

水分の摂取量を増やす

水分摂取自体は便秘を改善しませんが、脱水が便秘の原因になってしまいます。特に高齢の方では水分摂取量が減り脱水傾向になりやすいので、高齢の方は脱水予防目的に水分摂取を増やすと便秘に対して効果的かもしれません。

食物繊維・乳酸菌を摂取する

食物繊維は2種類に大別され、それが水溶性食物繊維不溶性食物繊維です。水溶性食物繊維は便をやわらかくする作用があり、不溶性食物繊維は便の量を増やし腸の運動を活発にする作用があります。
食べ物によって便秘を改善させるものとして、食物繊維以外に乳酸菌も便秘に対して効果的です。乳酸菌といっても種類が複数あり、菌の種類によって効果もさまざまとされています。
そのなかから、自分に合った乳酸菌を取り入れ便秘改善を図りましょう。ただし、この乳酸菌による効果を期待するうえで一つ注意しておきたいのが、効果が発揮されるまでに2週間程度はかかることです。

食事・睡眠など生活のリズムを整える

食事に関しては食物繊維の不足など便通に深く関係していることは、これまでにも紹介させていただきました。しかし、睡眠はどうなのでしょうか?実は、睡眠も排便状況に影響を与えるといわれています。
睡眠は自律神経を整えるうえで、重要な行為の一つです。そして、大腸は自律神経によって支配されているので、睡眠を十分とっていないと自律神経が乱れ排便リズムも乱れることになるでしょう。

適度な運動をする

大腸は筋肉で動いているので、運動不足などで腹筋力が弱ってくると、大腸の運動機能が低下し便秘になります。
特に便秘に対して有効な運動方法として、定期的なウォーキング・ランニング・筋肉トレーニングです。運動によってストレスも発散され、自律神経が整うという点においても適度な運動は便秘に対して有効でしょう。

便秘薬を使用する

生活習慣の改善を図っても便秘がよくならないという方は、医師に相談し便秘薬に頼るのも一つです。便秘薬には、大腸を刺激して蠕動運動を引き起こす大腸刺激下剤と便をやわらかくする緩下剤があります。
ほかにも漢方薬や整腸剤など便秘薬は種類が豊富なので、医師と相談しながら自分に合った便秘薬を見つけていきましょう。

大腸がんのコロコロ便についてよくある質問

ここまで大腸がんの原因・初期症状・末期症状・改善方法などを紹介しました。ここでは「大腸がんの原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんの原因を教えてください。

山下 正勝山下 正勝 医師

大腸がんの原因は以下のとおりです。
・運動不足
・野菜や果物の摂取不足
・肥満
・飲酒
・大腸がんの家族歴
生活習慣に関わるものが多くありますが、これは高脂肪・低繊維食による生活習慣の欧米化が一つの原因と考えられます。便秘自体が大腸がんのリスクにはなりませんが、生活習慣の欧米化によって便秘が引き起こされ大腸がんに発展することはあるでしょう。

大腸がんの検査にはどのようなものがありますか?

山下 正勝山下 正勝 医師

大腸がんの診断を行ううえで行う検査は以下のとおりです。
・便潜血検査
・大腸内視鏡検査
・注腸X線検査
大腸がんと過敏性腸症候群の症状で異なる点の一つは血便を伴うかどうかです。目には見えない血が混じっている場合もあるので、まずは便潜血検査を行います。便潜血検査で異常が認められない場合は、精密検査として内視鏡検査や注腸X線検査は行いません。精密検査で器質的異常が発見されても、その病変部位が良性の可能性もあります。

編集部まとめ

コロコロ便になる便秘を交えながら、大腸がんの原因やリスクについて解説しました。

コロコロ便自体が大腸がんのリスクにはなりませんが、コロコロ便を引き起こす生活習慣の欧米化は大腸がんのリスク因子になります。

便秘や下痢などを自覚した際、まずは生活習慣の改善から図りましょう。それでも改善しない場合は、医師に便秘薬を処方してもらうのも一つの手段です。

便秘薬でも改善しない場合は大腸に何らかの異常があるかもしれません。その場合は、医師に相談し必要な検査を受け、大腸がんの早期発見につなげていきましょう。

大腸がんと関連する病気

「大腸がん」と関連する病気は1個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

大腸がんと同様に腹痛・下痢・血便などを伴う疾患として、潰瘍性大腸炎があります。潰瘍性大腸炎は慢性的に大腸に炎症をもたらすため、がんの発生率を高めるでしょう。

大腸がんと関連する症状

「大腸がん」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

大腸がんでは血便・便の狭小化・残便感など症状はさまざまです。また、がんが発生する大腸の部分によっても症状は異なります。異常を感じたら受診し、医師に症状について相談してみましょう。

この記事の監修医師