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「花咲乳がん」を発症すると「どんな臭い」がする?原因や悪臭ケアも解説!

 公開日:2024/06/06
「花咲乳がん」を発症すると「どんな臭い」がする?原因や悪臭ケアも解説!

花咲乳がんは乳がんの種類ではなく、乳がんが進行して皮膚に潰瘍ができた状態です。

花咲乳がんになると、潰瘍から強烈な悪臭がするといわれています。

本記事では、花咲乳がんで不快な臭いがする原因や治療法・悪臭のケア方法を解説します。

乳がんによる臭いが気になる方やケア方法が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

上 昌広

監修医師
上 昌広(医師)

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東京大学医学部卒業。東京大学大学院修了。その後、虎の門病院や国立がん研究センターにて臨床・研究に従事。2010年より東京大学医科学研究所特任教授、2016年より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長を務める。著書は「復興は現場から動き出す(東洋経済新報社)」「日本の医療格差は9倍 医療不足の真実(光文社新書)」「病院は東京から破綻する(朝日新聞出版)」「ヤバい医学部(日本評論社)」「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか(毎日新聞出版)」。

花咲乳がんとは?

花咲乳がんは花咲乳がんという種類の乳がんではなく、乳がんが皮膚に広がり潰瘍ができた状態を指します。
乳がんは乳腺にできるがんで、近年は特に若い女性の罹患率が上がっており、女性が注意したいがんの一つです。
乳がんの進行度は病期(ステージ)で表し、花咲乳がんはステージ3B~3Cの局所進行乳がんです。

がん性皮膚潰瘍のこと

花咲乳がんは、がん性皮膚潰瘍のことを指します。がん性皮膚潰瘍とは、がんが皮膚に広がったり転移したりして生じる皮膚潰瘍です。
皮膚潰瘍は、皮膚や粘膜が傷ついて組織が欠損している状態です。
がん性皮膚潰瘍は肺がん・腎臓がんなどでもみられますが、特に乳がんでの発生率が高いといわれています。がん性皮膚潰瘍は、乳がんの患者さんの約5~10%でみられます。

浸出液や悪臭を伴う

花咲乳がんでは潰瘍による皮膚欠損・出血・痛みのほか、大量の浸出液や悪臭を伴うのが特徴です。皮膚にがんが広がって皮膚潰瘍ができると、皮膚の下の組織が露出して傷口から浸出液が多量に出てきます。
また、潰瘍部分からは特有の悪臭がします。

花咲乳がんを発症した場合、どんな臭いがする?

花咲乳がんを発症すると、腐敗臭のような強烈で不快な臭いがする場合があります。花咲乳がんを含めた局所進行がんによる臭いは、がん性皮膚潰瘍臭と呼ばれます。
がん性皮膚潰瘍に伴う悪臭は周囲に広がりやすく、部屋全体に臭いが広がることもあるでしょう。強烈な悪臭は患者さんにとって大きなストレスとなり、自尊心やQQL(生活の質)低下につながります。

花咲乳がんの臭いの原因

花咲乳がんになると、皮膚潰瘍によって強烈な臭いが生じます。では、なぜがん性皮膚潰瘍で悪臭がするのでしょうか。花咲乳がんの臭いの原因としては、組織の壊死と嫌気性菌が挙げられます。

壊死した組織

悪臭の原因の一つは、潰瘍により壊死した組織です。花咲乳がんの初期段階では皮膚の下でがんが生じて硬くなったり赤くなったりし、腫瘤(できもの)ができます。
腫瘤が大きくなると壊死・自壊し、皮膚を破って潰瘍になります。組織の壊死で悪臭がするのは、壊死の過程で脂肪酸類が腐敗するためです。

臭いのある物質を産生する嫌気性菌

潰瘍部分で嫌気性菌が増殖することも、花咲乳がんで悪臭がする原因です。嫌気性菌は、腫瘍組織が壊死・自壊してできた潰瘍部分で増殖し、臭いのある物質を産生します。
嫌気性菌が作る臭い物質はプレトシンやカダベリンという物質で、腐敗臭がするのが特徴です。

花咲乳がんの治療法

花咲乳がんは、皮膚までがんが広がった局所進行乳がんの状態です。花咲乳がんの状態だと手術でがんを切除することが難しく、手術しても再発や遠隔転移する可能性が高くなります。
花咲乳がんの治療では、手術できる状態にするためにまず化学療法を行います。

化学療法

化学療法は抗がん剤を使用した治療で、がん細胞を死滅させる効果があります。乳がんは化学療法が効きやすいとされており、化学療法でがんを小さくできれば手術が可能になるケースも少なくありません。
化学療法の効果があった場合は、乳房や脇の下のリンパ節を切除する外科手術を検討します。

放射線療法

放射線治療は、照射した部分のがん細胞を死滅させる治療です。乳がん治療では手術後に再発予防で行う場合と、転移したときの症状緩和のために行う場合があります。
手術後、胸壁・乳房・鎖骨上リンパ節に照射すると、局所再発率を下げられることがわかっています。

緩和ケア・支持療法

緩和ケア・支持療法は、がんやがん治療に伴う心身の苦痛・負担を和らげるための治療です。緩和ケアは、患者さんや家族の心身の苦痛・不安を緩和する目的で行います。
支持療法は、がんの症状やがん治療の副作用・合併症・後遺症に対する予防・治療・ケアを行います。緩和ケア・支持療法は治療中のQQL(生活の質)を改善し、がん治療の効果を上げるために重要です。

悪臭のケア方法は?

花咲乳がんによる悪臭は、患者さん本人にも周囲にも大きなストレスとなります。できる限り症状を緩和し臭いを和らげるためには、創部の洗浄・軟膏やゲルの塗布・換気などのケアが大切です。
以下では、花咲乳がんの悪臭のケア方法を解説します。

創部の洗浄

花咲乳がんになると、潰瘍から大量の浸出液が出て患部周囲が汚れるので、創部を洗浄して清潔に保つことが大切です。
清潔な状態にしておくことで、感染予防にもなります。1日1~2回、石鹸とぬるま湯で洗うとよいでしょう。頻回な洗浄は皮膚のバリア機能を低下させるので、洗いすぎに注意しましょう。

軟膏・ゲルの塗布

花咲乳がんの臭いケアには、軟膏やゲルの塗布も効果的です。がん性皮膚潰瘍臭には、抗菌薬のメトロニダゾールが有効です。メトロニダゾールを含む軟膏やゲルは、浸出液を吸湿して潰瘍部分の殺菌・臭い軽減に効果があるとされています。
軟膏やゲルはガーゼにまんべんなくつけて患部に貼り付け、症状の程度によって使用量や処置回数を調整します。

換気

花咲乳がんの臭いは強烈で、部屋全体や病棟など広範囲に広がることがあります。
臭いを和らげるには、こまめな換気も効果的です。窓を開けたり脱臭器を使用したりして、定期的に換気するとよいでしょう。

花咲乳がんの臭いについてよくある質問

ここまで花咲乳がんの臭いの原因・治療法・悪臭のケア方法などを紹介しました。ここでは「花咲乳がんの臭い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

消臭剤は花咲乳がんの臭いに効果がありますか?

上 昌広医師上 昌広(医師)

消臭剤が花咲乳がんの臭いにどの程度効果があるかはわかっていません。完全に臭いを消すことは難しいかもしれませんが、臭いを和らげるために消臭剤や脱臭剤などを置いてもよいでしょう。

花咲乳がんを予防する方法はありますか?

上 昌広医師上 昌広(医師)

花咲乳がんは、乳がんがステージ3まで進行した状態です。乳がんの予防には、飲酒を控えて適度な運動をすることや、体重管理で肥満を防ぐことが有効だといわれています。また、定期的に乳がん検診を受けることも大切です。定期健康診断では、一部自己負担で乳がん検診を受けられます。特に40歳以上の女性は2年に1回は乳がん検診を受けましょう。

編集部まとめ

本記事では、花咲乳がんの臭いの原因や治療法・悪臭のケア方法を解説しました。花咲乳がんは、乳がんが進行して皮膚に広がり潰瘍を形成した状態です。

悪臭は、潰瘍ができる過程で組織が壊死したり、潰瘍部分に嫌気性菌が増殖したりして発生します。

不快な臭いは患者さんの大きなストレスとなるので、洗浄や軟膏などによる丁寧なケアが大切です。

花咲乳がんと関連する病気

乳がんと関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

乳房に発症する病気には、乳がんのほかにも以上のような病気があります。乳腺症や線維腺腫は良性ですが、葉状腫瘍は悪性の場合もあります。良性か悪性かは診察・検査をしないとわからないので、乳房に気になる症状がある場合は医療機関を受診しましょう。

花咲乳がんと関連する症状

乳がんと関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 乳房のしこり
  • 乳房の痛み
  • 乳頭からの分泌液
  • 乳房にくぼみができる

上記の症状は、乳腺症や脂肪壊死など乳がん以外の要因で生じることもあります。乳がんとの区別が難しい場合もあるので、気になる症状があるときは早めに乳腺科・乳腺外科などで診察を受けましょう。

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