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「大腸がんが再発した場合の症状」はご存知ですか?原因についても医師が解説!

 公開日:2024/07/04
「大腸がんが再発した場合の症状」はご存知ですか?原因についても医師が解説!

Medical DOC監修医が大腸がんが再発した場合の症状や余命・生存率・治療法・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

齋藤 雄佑

監修医師
齋藤 雄佑(医師)

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日本大学医学部を卒業。消化器外科を専門とし、現在は一般外科、消化管内視鏡検査、生活習慣病を中心に診療を行っている。現在は岩切病院、高砂内科・消化器科クリニックに勤務。
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。

「大腸がん」とは?

大腸がんは、大腸の内壁に発生する悪性腫瘍です。早期発見と治療により、高い確率で治癒が期待できますが、根治手術ができたとしても再発のリスクも存在します。再発の原因や症状、治療について理解し、適切な対応を行うことが重要です。

大腸がんが再発する主な原因

大腸がんの再発の原因には大きく分けて局所再発、腹膜播種(ふくまくはしゅ)、遠隔転移の3種類があります。それぞれの特徴を解説します。

局所再発

局所再発は切除した大腸がんの近く(局所)に再発することです。局所の大腸やリンパ節にがん細胞が残っていて再発が起こることもあります。もちろん、手術後の検査では局所再発がおこっていないかを大腸カメラなどで検査をしています。疑問点があれば、主治医に相談しましょう。

腹膜播種

腹膜播種とはお腹の中にがんが再発していることを指します。大腸やお腹全体を覆っている膜である腹膜に再発のがんができている状態です。手術後は画像検査や血液検査をして腹膜播種が起こっていないかを調べます。腹膜播種の症状については後述します。

遠隔転移

遠隔転移は肝臓や肺、脳、骨といった元々がんがあった大腸と離れた臓器の再発を意味します。大腸から転移しやすいのは肝臓や肺です。手術後は主にCTなどの画像検査をして、遠隔転移の有無について検査をします。気になることがあれば主治医に相談しましょう。

大腸がんが再発した場合の症状

大腸がんの再発の症状は一般的に症状が出にくいことが多いです。その中でも再発した時の典型的な症状とその対策方法を解説します。

血便

大腸がんの局所再発を起こした場合には、大腸がんの症状と同様に、血便がでることがあります。手術後から時間が経っている状況での血便には注意が必要です。痔などの頻度が高い病気でも血便の症状が出ることがあるので、気になる時は主治医に相談しましょう。

腹痛

大腸がんが局所再発や腹膜播種を起こした場合、腹痛の症状が出ることがあります。お腹が強い腹痛がある場合には再発以外の病気の可能性もあるので、受診しやすい消化器内科などの医療機関を受診しましょう。受診が待てるようなら、外来で主治医に相談しましょう。

お腹の張り

腹膜播種を起こした場合、再発したがんの影響でお腹に水が溜まること(がん性腹水)があります。がん性腹水の症状はお腹の張りです。がん性の腹水は内服治療では改善しないことが多く、張りが強い場合は腹水を抜く処置を行う場合もあります。お腹の張りが気になるときは主治医に相談しましょう。

体重減少

体重減少とは半年間のうちに体重の5%以上の減少が起こる場合をいいます。再発様式に関わらず、大腸がんが再発するとエネルギー消費が過剰となって、体重減少を起こす場合があります。食事摂取量が減っていないにもかかわらず、体重減少がある場合は主治医に相談しましょう。

遠隔転移による諸症状

遠隔転移は肝臓や肺、脳といった全身の臓器に再発する可能性があります。それぞれ無症状であることが多いですが、肝臓であれば黄疸、肺であれば呼吸苦や胸水など、脳であれば麻痺(まひ)などの神経の症状が出る可能性があります。気になる症状が出現した場合には、すぐに主治医に相談しましょう。

大腸がんが再発した場合の余命・生存率

再発大腸がんの余命や生存率は、がんの進行度や治療法によって異なります。再発大腸がんに対し、薬物療法を行った場合の生存期間中央値は30カ月程度と報告されており、余命を検討する上で参考になります。適切な治療により再発を予防し、適切な検査で再発を早期発見をすることが生存率を高める上で重要です。仮に再発してしまったとしても、その病変はその臓器や転移の数などによっては治癒する可能性が残っています。まずは主治医と相談しながら適切な治療と検査をしましょう。

大腸がんが再発した場合の治療法

大腸がんの再発の治療法とは、手術、薬物療法、放射線治療が中心です。ひとえに再発といってもそれぞれの人で状態は異なります。それぞれに心身の状況に応じて治療法やケアを選択します。

手術

再発した病変が切除可能であれば、手術が検討されます。局所再発の病変は再手術を行うことで治癒切除が期待できます。遠隔転移でも肝臓や肺など、再発病変のすべてが切除できれば根治が狙えます。一方で、症状の緩和を目的とした手術もあります。例えば、再発病変により腸閉塞を起こしてしまった人に人工肛門を作る手術を行うなどです。診療科は消化器外科で10日〜2週間程度の入院期間が必要です。手術後は日常生活の復帰に向けて歩行練習などのリハビリが必要です。

薬物療法

手術でがんが取り切れないと判断された場合、薬物治療が治療の選択肢の1つです。薬物治療の目的はがんを小さくして、手術が行える状態にしたり、がんの進行を抑え、延命および症状を軽減したりするのが目的です。がんの組織の遺伝子検査の結果から、そのがんにより効果的な薬剤が選択されます。消化器外科医か腫瘍内科医が治療に当たります。薬物療法の導入時は入院で行うケースがありますが、それ以降は外来治療で行うことが多いです。

放射線療法

再発病変に対し、症状の緩和目的に行う放射線療法があります。例えば再発直腸がんの痛みや出血、骨への転移による痛み、脳への転移による吐き気、嘔吐、めまいなどの症状の緩和に用いられます。放射線科医が治療にあたります。短期間の入院や外来照射を行うこともあります。

緩和ケア・支持療法

緩和ケアはがんに伴う心身の苦痛を緩和することを目的にしています。決して再発後や終末期だけのものではありません。支持療法とは、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くするための予防、治療およびケアのことを指します。つらい症状があるときは主治医や緩和ケアスタッフに相談をしましょう。

大腸がんを再発させないためにできる予防法

大腸がんの再発自体を予防する一次予防と早期発見のための二次予防をご紹介します。

補助化学療法

大腸がんの再発を予防する手段として、術後の抗がん剤治療(補助化学療法)があります。対象となるのは大腸がんのステージ2で高リスクと判定された方とステージ3の方です。補助化学療法を行うことで再発の予防や生存率の向上の効果が期待できます。治療期間中は診察や血液検査などで有害事象の検索を行いながら治療を進めますので、気になる症状があれば主治医やスタッフにお問い合わせください。

補助放射線療法

直腸がんの骨盤内の再発を抑える目的で行う放射線療法(補助放射線治療)があります。切除可能な直腸がんが対象で、手術の前に放射線を照射することで骨盤内のがんの再発を防ぎます。直腸に放射線があたることで直腸が炎症を起こしたり、ただれたりすることがあります。気になる症状があれば主治医や放射線科医に相談しましょう。

バランスの取れた食事や運動

大腸がんの一次予防として新たな罹患を防ぐためには禁煙、節酒とともにバランスのとれた食事摂取、適度な運動が推奨されます。普段から大腸がんになりにくい生活をすることを意識しましょう。

定期検診

大腸がん術後の定期検診では二次予防としての再発の早期発見として検診を行います。定期的な内視鏡検査や画像検査で再発の有無を確認します。診療は主治医だけでなく放射線科医が詳細な画像診断を行っているケースもあります。

「大腸がんの再発」についてよくある質問

ここまで大腸がんの再発などを紹介しました。ここでは「大腸がんの再発」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんが再発しやすい部位はありますか?

齋藤 雄佑齋藤 雄佑 医師

大腸がんの再発しやすい臓器は肝臓や肺、局所再発が多いとされています。また結腸がんと比較して直腸がんは局所再発がしやすいと言われています。

初めて大腸がんを発症してから、何年後に再発することが多いですか?

齋藤 雄佑齋藤 雄佑 医師

一般的に、大腸がんの再発の1年以内、2年以内の再発率に関しての統計は報告がありませんが、全体の約80%は手術後3年以内に、95%以上は5年以内に発生します。そのため、術後3年までの再発が最も多いと考えられます。

まとめ 大腸がんは再発予防と早期発見が重要!

大腸がんの再発について解説しました。大腸がんの再発には3つの様式があり、それぞれに応じた症状や治療法があります。また、がんの組織の結果や部位から補助化学療法や補助化学療法などを行って、再発のリスクを下げる選択もあります。また定期検診によって再発病変の早期発見が重要です。症状や治療方針について疑問があれば主治医だけでなく、医療スタッフにお声がけください。

「大腸がんの再発」と関連する病気

「大腸がんの再発」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

  • 腸閉塞
  • 消化管出血
  • 転移性肝腫瘍

呼吸器科の病気

  • 転移性肺腫瘍

脳神経科の病気

  • 転移性脳腫瘍

大腸がんの再発に関係する病気として上記のようなものがあります。しかし、気になる症状が再発の症状にあたるのかは、検査をしてみないとわかりません。気になる症状がある場合には、主治医に相談をしましょう。

「大腸がんの再発」と関連する症状

「大腸がんの再発」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

大腸がんの再発で認められる症状には上記のようなものがあります。しかし、症状だけでは他の病気と区別をすることは困難です。気になる症状がある場合には主治医に相談をしましょう。

この記事の監修医師