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「子宮頸がん発覚のきっかけ」とは?初期症状・早期発見のポイントを解説!

 公開日:2024/10/18
「子宮頸がん発覚のきっかけ」とは?初期症状・早期発見のポイントを解説!

年々、子宮頸がんが若い世代で発症するケースが増えてきています。20〜30代で発症する確率が高いとされているがんですが、40代で発症率がピークを迎えます。

子宮頸がんの進行スピードは年齢が若い程早いといわれているため、注意が必要です。では、子宮頸がんを早期発見するためにはどのようなことに気を付けるべきなのでしょうか。

本記事では、子宮頸がん発覚のきっかけ・初期症状・早期発見のポイントを解説します。

子宮頸がんについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

阿部 一也

監修医師
阿部 一也(医師)

プロフィールをもっと見る
医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。

子宮頸がんとは?

子宮頸がんとは、子宮頸部という子宮の入り口に近い部位にできるがんを指します。女性特有のがんはさまざまな種類がありますが、そのなかでも発症率が高いがんです。子宮がんに分類されるがんの約70%を子宮頸がんが占めています。
これまでは30代後半で発症するケースがほとんどでした。しかし、近年では20〜30歳代で発症する方が増えてきています
子宮頸がんは毎年約10,000人の方が発症しており、そのうちの約2,800人の方が命を落としている病気です。つまり、一生のうちにおよそ76人に1人が子宮頸がんと診断されていることになります。

子宮頸がん発覚のきっかけは?

前述しているとおり、子宮頸がんは初期症状がほとんど出ない病気です。そのため、一体どうすれば子宮頸がん発覚のきっかけとなるのか、気になる方も少なくないでしょう。
では、どのようなことがきっかけとなるのか詳しくみていきましょう。

妊婦健診

子宮頸がん発覚のきっかけとなりやすいのは、妊婦健診です。子宮の入り口に近い部分、つまり子宮に続く腟管の方にがんができた場合には、観察や検査がしやすくなります。
そのため、妊娠発覚と同時に発見されるケースも少なくありません。腟管よりも奥になる子宮体部側にできると、発見が難しいこともあります。
もし、妊娠と同時に子宮頸がんが発覚してしまうと、胎児を育てる働きをする臓器なので素直に喜べない状態に陥ってしまうでしょう。妊娠を希望する際には、前もって子宮頸がんの検査を受けることが大切です。

不正出血

女性特有の悩みとして少なくないのが不正出血です。不正出血で産婦人科を受診すると、子宮頸がんが確認されたというケースも報告されています。
そもそも不正出血とはどのような出血なのでしょうか。不正出血とは反対で、生理的出血に該当するものは以下のとおりです。

  • 月経
  • 分娩
  • 産褥期

上記以外の状態で出血した場合は、すべて不正出血になります。11〜13%の女性に発症するとされており、年齢とともに発症リスクが高まっていきます。
また、思春期の月経周期が確立するまでや閉経前の期間には不正出血が起こりやすいのも特徴です。

子宮頸がんの初期症状

子宮頸がんの初期症状はまったく症状がない訳ではありません。症状が出ていても気付いていない、もしくは子宮頸がん以外の要因と勘違いしている可能性があります。では、どのような初期症状があるのかみていきましょう。

初期には症状が出ないことも多い

先述しているとおり、初期症状はまったくない訳ではありません。ですが、症状が出ないこともあるため、発見が遅れる傾向にあります。
これから紹介する症状がない場合でも、子宮頸がんの検診は受けた方がよいことを念頭に置いておきましょう。

性交時の出血・月経時以外の出血

性交時の出血・月経時以外の出血は不正出血に該当します。生理的出血ではないため、腟管に何らかのトラブルが発生したと考えるのが妥当です。子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因となることがわかっています。HPVは性行為によって、子宮頸部に感染する病気です。
ウイルスに感染すると、数年〜数十年かけて子宮頸がんに進行していきます。性行為の経験がある女性の約50%が一生に一度は感染するウイルスでもあり、HPVにはハイリスク型とローリスク型の2つに分類されます。子宮頸がんの原因となるハイリスク型HPVは、子宮頸がん以外にも肛門周囲のがんや尖圭コンジローマ(良性)といった病気の発生に関わる厄介なウイルスです。
ほとんどの子宮頸がんにはハイリスクHPVが関係しているともされているため、性交時の出血は安易にとらえないよう注意しましょう。

水っぽいおりもの・においを伴うおりもの

おりものは子宮の状態を反映しやすいとされています。そのため、子宮頸がんでもおりものの変化はありますが、特に見過ごされやすい初期症状のサインです。
正常なおりものは無色から薄い白色で、特有のおりもののにおいが、ほとんどありません。しかし、子宮頸がんが発生すると水っぽいおりもの・においを伴うおりものになることがあります。

進行時の症状:下腹部痛

初期症状とは異なりますが、ここからは子宮頸がんが進行した時の症状をいくつか紹介しましょう。まずは下腹部痛です。
子宮頸がんの症状は、稀な症状となります。ですが、下腹部痛を感じた場合には、周囲の組織や神経にまでがんが影響を及ぼしている可能性があります。痛みの特徴は、以下のとおりです。

  • 鈍痛
  • 刺すような痛み
  • 持続的な重だるさ

上記のような生理痛とは異なる痛みや、従来の痛みのパターンよりも変化している場合は特に注意が必要です。

進行時の症状:腰痛

腰痛も下腹部痛と同様に稀な症状の1つとなります。子宮頸がんが進行すると、子宮の横を走行している尿管に浸潤し、尿の通り道を閉塞させる恐れがあります。
すると、膀胱に移動できない尿が腎臓に逆流し溜まってしまうのです。これが腰痛の原因となり、またこの状態を『水腎症』と呼びます。水腎症は子宮頸がんが進行したサインです。尿管浸潤・水腎症の状態が考えられるステージ3B期の進行がんに分類される可能性は否定できません。

進行時の症状:血便・血尿

がんが子宮の外に広がると、尿や便に血が混じるケースがあります。ほかにも排尿時の異常を感じた場合は、尿路感染症の原因も懸念されるでしょう。
痛みや不正出血などの初期症状がない状態で、急に血便・血尿がみられた場合には産婦人科に相談をおすすめします。

進行時の症状:脚のむくみ

がんにはむくみの症状がありますが、子宮頸がんも例外ではありません。リンパ管に回収されなかったリンパ液がたまってむくんだ状態のことを、リンパ浮腫といいます。リンパ液はタンパク質を高濃度に含んだ液体です。子宮頸がんの場合には、股付近にある鼠径リンパ節にリンパ浮腫がたまって脚のむくみが出る可能性があります。
この症状は発症すると治りにくく進行しやすいため、むくんだところが重くなる・関節が曲げづらくなるなど生活にも影響します。そのため、リンパ浮腫は予防することや早く治療を受けることが大切です。

進行時の症状:量の多い出血

出血の量が多くなる症状は、おりものの変化と同様に見過ごされやすいサインの1つです。
月経期以外の時期に少量または多量の不正出血がみられたり、月経が通常より重くなる場合があったりします。がんが大きくなると出血を起こしやすくなるため注意が必要です。また、出血に混じって血の塊が多くなる場合も産婦人科に相談しましょう。

子宮頸がんを早期発見するためのポイント

子宮頸がんは、20歳代後半〜30歳代後半の若い世代の方でもかかりやすいがんでありながら、見過ごされやすい病気です。
初期症状がほとんどなく、自覚が難しいことから20歳からの検診が推奨されています。早期発見・早期治療につなげるためは、子宮頸がん検診を受けましょう。おりものや出血量など、些細なサインも見逃さないように普段から状態を把握しておくことも大切です。

子宮頸がんの発覚のきっかけについてよくある質問

ここまで子宮頸がん発覚のきっかけ・初期症状・早期発見のポイントを解説しました。ここからは、子宮頸がん発覚のきっかけに関するよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

子宮頸がんの罹患率はどのくらいですか?

阿部 一也阿部 一也 医師

「子宮頸がんとは」でも先述しているとおり、罹患率は一生のうちおよそ76人に1人です。また、子宮がんに分類されるがんの約70%を子宮頸がんが占めています。毎年約10,000人の方が発症しており、そのうちの約2,800人の方が命を落としている病気です。発症のリスクが高いがんであることは間違いないため、予防や検診を定期的に受けるよう心がけましょう。

子宮頸がんの検査の流れについて教えてください。

阿部 一也阿部 一也 医師

まずは問診からスタートします。問診される内容は以下のとおりです。

  • 月経周期や直近の月経の様子
  • 生理痛の有無
  • 月経血の量
  • 妊娠歴
  • 閉経した年齢

主に上記の内容に関して、医師からの質問に答えます。問診の次は視診です。診察台に座って腟鏡を腟内に挿入し、子宮頸部を観察する検査です。おりものの状態や炎症の有無を目で確認します。最後は細胞診といって、ブラシやヘラなどで子宮頸部を優しく擦って細胞を採取します。細胞診は痛みがほとんどなく、短時間で終わる検査です。診察台が恥ずかしくて勇気が出ない方もいるでしょう。しかし、子宮頸がんが進行すると生死に関わる場合もあります。どうしても抵抗がある方は、女性の医師が勤務する産婦人科への受診がおすすめです。多少は抵抗感を少なくできるでしょう。

編集部まとめ

子宮頸がん発覚のきっかけ・初期症状・早期発見のポイントを解説しました。

若い世代から発症リスクがあり、進行すると生死に関わりやすい病気が子宮頸がんです。

相談しやすい産婦人科を見つけて、違和感を覚えたらすぐに検査を受けられるよう、あらかじめ環境を整えておきましょう。

子宮頸がんと関連する病気

子宮頸がんと関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

上記2つの病気は子宮頸がんとみられる症状が似ています。いずれの病気も自己判断が難しいため、少しでも違和感がある場合は産婦人科で検査を受けるよう心がけましょう。

子宮頸がんと関連する症状

子宮頸がんと関連する症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • おりものの増加
  • 排尿障害
  • 腸閉塞

腸閉塞は子宮頸がんと関連することに意外性を感じる方もいらっしゃるでしょう。子宮の周りには大腸・小腸・膀胱などさまざまな臓器があります。転移や侵食する可能性も考えられますので、上記の症状がみられた場合には病院へ受診してください。

この記事の監修医師