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「卵巣がんの検査」はどんなことをするの?症状や検査費用についても解説!

 公開日:2024/05/24
「卵巣がんの検査」はどんなことをするの?症状や検査費用についても解説!

生涯のうち、日本人の2人に1人は罹るとされるがんですが、がんはすべての人にとって身近な病気です。

特に卵巣がんは乳がん・子宮がんと同様に女性特有のがんであり、原因が十分に解明されていない病気です。

また、サイレントキラーと呼ばれる程自覚症状に乏しく、早期発見が難しい病気でもあります。

本記事では、罹ると怖い卵巣がんについて、その検査方法や症状・検診をまとめました。

卵巣がんに関して詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

卵巣がんとは?

卵巣がんとは、卵巣にできるがんのことです。女性の40~60代に多く、初期には自覚症状がないため早期発見が難しい病気といわれています。
そもそもがんとは、細胞の遺伝子の突然変異によって起こる病気です。
体の組織を構成している細胞は常に細胞分裂を繰り返していますが、何らかの原因によって細胞分裂の際、遺伝子に傷がつきます。この傷のことを遺伝子の変異と呼び、遺伝子の変異によって細胞が増え続けると、塊を形成します(腫瘍)。
腫瘍には悪性腫瘍と良性腫瘍がありますが、このうち悪性腫瘍のことをがんと呼ぶことは多くの人が知っているでしょう。
悪性腫瘍は細胞が無秩序に増えながら周囲の組織に入り込んでいったり(浸潤)、血管やリンパ管を通って体内のあらゆる臓器にくっついて増殖を繰り返したり(転移)します。
ほかにもがんは、食事などによって体が取り込んだ栄養分を吸収する特徴があります。がんによって低栄養や体重減少・筋肉量の低下が起こるのはそのためです。

卵巣がんの検査方法

卵巣がんの検査方法は、腹部の触診や内診のほか、超音波(エコー)検査・CT・MRIによる画像検査が重要です。
通常、がんであることを確認するために病理診断が行われるのですが、卵巣がんの場合は卵巣が骨盤内の深い箇所にあるため病理の一部組織や細胞を採取して診断を行うことができません。
そのため、卵巣がんの疑いがある場合は卵巣の組織を手術によって切除し診断を行うことで、初めてがんであることを確定させます。
その前の卵巣がん罹患の疑いを調べるため、以下に挙げるいくつかの検査を行い医師が総合的に判断します。

触診・内診・直腸診

お腹に触れる触診や、指で直接腟から子宮や卵巣に触れる内診によって卵巣の大きさ・形状・癒着の有無を確認します。
直腸診では、指でお尻の穴から直腸周辺に触れ、異常を確認します。ただしこれらは腫瘍がある程度の大きさになっていないとわからないことが多く、卵巣の大きさに大きな変化がない場合や、良性か悪性かを判断するためには超音波検査が有効な場合もあるようです。

超音波検査

腟に超音波機器を挿入して、卵巣の大きさや子宮内部の状態を確認します。
超音波検査では体の表面から超音波を当て、反射してくる音波を画像化して臓器の状態を調べます。体の奥にある卵巣を調べるのに有効な検査方法とされているようです。

CT検査

CT検査は放射線を利用する断層写真による検査であり、腹部に腫瘍が確認された場合に必要に応じて行われます。子宮・膀胱・直腸など多臓器への影響や、リンパ節への転移を確認し良性か悪性かを推測します。
検査時間が10分程度と短時間で確認できますが、放射線による被爆の影響があることが特徴です。

MRI検査

CT検査同様、画像による診断によって腫瘍の広がりや大きさ・状況などを確認します。
MRIでは磁場と電波を利用して検査を行います。CTと比べて検査時間が長く、20~60分程度かかりますが、CTと違って放射線による被曝がないことが特徴です。

腹水細胞診検査・胸水細胞診検査

病状が進行し腹水や胸水が溜まっている場合は、針を刺し腹水や胸水を採取することでがん細胞の有無を確認します。

腫瘍マーカー検査

卵巣がんの場合は手術前にがんの確定診断が行われていないことが多く、CTやMRIによる画像診断に加えて腫瘍マーカーによる血液検査が重要となります。
卵巣以外の他臓器からの転移が疑われる際は、他臓器の検査も併せて行われることが少なくないようです。

卵巣がんの検診を受ける間隔は?

基本的に、超音波による画像診断や腫瘍マーカー検査での卵巣がんの検診は有効性が認められていません。
しかし、卵巣がんは月単位で病状が変化する場合があります。そのため、遺伝的な要因にて卵巣がんになりやすい方や家族に卵巣がんを発症した方をはじめ、卵巣がんなどほかの子宮系の疾患にも気を付けたい方は半年に1回の検診を受けることをおすすめします。
定期的に受けることで早期発見・早期治療につながるでしょう。

卵巣がんの症状

卵巣がんは女性特有のがんであり、国立がん研究センターによると2019年の女性特有部位別では、乳房・子宮(子宮体部)に次いで3番目に多い病気です。
子宮頸がんはワクチンが開発・承認されていますが、卵巣がんは今でも有効性が認められた検診方法がありません。ほかの臓器からの転移も起こる可能性があり、特に胃がんや大腸がんなど消化器官からの転移による罹患が顕著です。
腟を通して外界と接している子宮と異なり、骨盤内にあり周囲に遮るものが少ないために症状が出るのが遅い特徴があります。別名サイレントキラーと呼ばれる卵巣がんですが、症状としてどのようなものがあるのかみていきましょう。

初期段階は自覚症状なし

卵巣がんはサイレントキラー(無言の殺人者)とも呼ばれており、初期には自覚症状が乏しいのが特徴です。
そのため早期発見がしづらく、気付いたときには症状が進行していることが少なくありません。

腹痛

服のウエストがきつくなる・腹痛が起きるなどの症状が現れます。
ただし個人差があるため、人によっては痛みを感じにくいこともあります。

下腹部のしこり

下腹部のしこりも特徴の一つです。腫瘍が大きくなると、自身の手で触った際にしこりを感じることがあります。

腹部膨満感・食欲不振

お腹の張りや食欲不振による体重減少もみられます。また、腹部のハリを太ったと考えて見逃してしまうことも、早期発見を遅らせてしまう要因となります。そのため、食後でなくてもお腹が出ている・張って圧迫感があるなどの場合には注意が必要です。
腫瘍が大きくなったり腹水が溜まったりしてくるとお腹の膨張感が増し、胸水も溜まってくると呼吸が苦しくなってくるので自覚症状が出現してきます。

頻尿・便秘

がんが大きくなり膀胱や直腸が圧迫されると、頻尿や便秘が起きることもあります。

卵巣がんの検査についてよくある質問

ここまで卵巣がんの検査方法や症状・検診などを紹介しました。ここでは「卵巣がんの検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

卵巣がんの検査の費用はいくらでしょうか?

馬場 敦志医師

一例として、日本赤十字社広島赤十字・原爆病院の場合、人間ドックのオプション費用として2,200円程度で卵巣腫瘍マーカーの血液検査が受診可能です。受診する医療機関によって異なるので、詳細は医療機関へお問い合わせください。

卵巣がんになりやすい人の特徴を教えてください。

馬場 敦志医師

卵巣がんは原因が十分に解明されていないものの、年齢が上がるにつれて罹患リスクが高まるといわれています。これには排卵回数が関係しており、その回数が少なくない人程罹患リスクが高くなると考えられます。その他、初経が早い・閉経が遅い・出産経験がない人も卵巣がんの罹患リスクが高まるといわれており、これは初経が早い人や閉経が遅い人は排卵回数が少なくないためです。出産経験がない人も、妊娠による排卵の中断がないために出産経験がある人よりも生涯の排卵回数が多くなりがちであり、同様に罹患リスクが高くなるといわれます。また遺伝による罹患の高さも認識されており、卵巣がん家系の人はそうでない人よりも罹患リスクが高くなりがちです。

編集部まとめ

卵巣がんについて解説しました。卵巣がんは初期症状に乏しく、罹患していることがわかりにくい病気です。そのうえ罹患すると大変怖い病気でもあります。

だからこそ、定期的に検診を受けることで早期発見・早期治療に努めることが大切です。

卵巣がんに限らず、自分自身や自分の大切な人のために、しっかりと検診を受けて大病の予防に備えましょう。

卵巣がんと関連する病気

「卵巣がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

卵巣がんは卵巣に発生するがんですが、似た病気として卵管がんがあります。卵管がんは卵管に発生するがんであり、卵巣がん同様に初期症状を感じにくいがんです。
その他、腹膜がんも卵巣がんに関連したがんであり、腹膜に発生するがんとして知られています。

卵巣がんと関連する症状

「卵巣がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 初期症状が乏しく早期発見が困難
  • 腹部の痛み
  • 消化不良や食欲不振
  • 尿の頻度低下

卵巣がんは、初期症状が乏しいがんであり、早期発見が困難です。進行すると腹部の痛み・消化不良や食欲不振・尿の頻度低下などさまざまな症状が現れます。なるべく検診を受けるようにし、早期発見に努めましょう。

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