「胃がんを疑うげっぷの特徴と初期症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!
胃がんを疑うげっぷの特徴や胃がんの初期症状とは?Medical DOC監修医が胃がんを疑うげっぷの特徴・初期症状・胃がんの原因や何科へ受診すべきかなどを解説します。
監修医師:
関口 雅則(医師)
目次 -INDEX-
「胃がん」とは?
胃がんとは、胃がんは、胃の内壁を覆う粘膜細胞から発生する悪性腫瘍のことです。
胃がんは進行すると以下のような症状が現れることがあります。
- ・消化不良
- ・食欲不振と体重減少
- ・胃痛
- ・吐き気や嘔吐
- ・黒色便(こくしょくべん:消化管出血の兆候となります)
一方で、初期の胃がんは症状がほとんどないか、非常に軽いことが多いと言われていますが、げっぷが胃がんを疑うきっかけになることもあります。今回の記事ではげっぷの症状も含めて、胃がんの初期症状について解説いたします。
胃がんの前兆となる初期症状
胃がんは初期症状に乏しいことが多いのですが、以下のような症状が現れることがあります。また、胃がんの初期症状は胃潰瘍などの他の病気に似ている場合もあります。
食欲不振
食事量が減ったり、食事に対する興味がわかなくなったりします。
対応としては、まずは食事を小分けにして、消化に良い柔らかい食品を選ぶことなどがあります。
しかし、食欲がない状態が長く続く場合は、速やかに消化器科や内科で相談し、診察を受けるべきでしょう。
腹痛
胃がんの初期症状として、お腹の上の方が痛くなるという症状が現れることがあります。
一時的な痛みに対しては、お腹を冷やさないようにしたり、市販の胃腸薬を使用したりするといったことが対策となります。しかし腹痛が続く場合には、消化器内科などで腹部の検査を受けることをおすすめします。
消化不良
胃がんの初期症状として、消化不良が治らず、げっぷが出るといったこともあります。
消化不良は胃がん以外の病気でも、胃食道逆流症や胃潰瘍などの病気でも起こることがありますが、症状が治らない、あるいは悪くなっていくというような場合には、消化器内科や内科など、医療機関を受診するようにしましょう。
嚥下障害
嚥下障害(えんげしょうがい)とは、ものが飲み込みづらくなることを言います。
特に、固形物を飲み込む際に苦労するようになってしまいます。
嚥下障害をきたすがんとしては食道がんや咽頭がんが多いですが、胃がんでも胃の入口にできたがんの場合には嚥下障害をきたすことがあります。
すぐできる処置としては、まずは柔らかくて流動的な食品を選ぶようにします。
しかし、症状が続く場合には耳鼻咽喉科や消化器科を受診しましょう。食道や胃の異常が疑われる場合には内視鏡検査が勧められます。
吐き気と嘔吐
胃がんの初期症状・胃がんの兆候として、特に食後に吐き気や嘔吐が生じることがあります。
まずは水分をこまめに摂取し、脱水状態にならないよう注意しましょう。
症状が頻繁に起こる際には、内科または消化器科の診察が必要と考えられます。
胃がんを疑うげっぷの特徴
胃がんの初期症状について解説しました。それでは、胃がんを疑うげっぷにはどのような特徴があるのでしょうか。
そもそも、げっぷとは胃に溜まったガスが音を伴って、食道や口を経て体外に排出される現象のことを指します。
げっぷは食べ過ぎや炭酸飲料を飲んだ後に出るような、問題のないものもあります。しかし、以下のようなげっぷでは胃がんの症状である可能性もあります。
頻繁に発生するげっぷ
胃がんが進行すると、腫瘍によって食道や胃の出口が塞がれ、食物や空気の通過が困難になります。この障害が頻繁なげっぷを引き起こすことがあります。特にげっぷが痛みを伴う場合や、他の消化器症状と一緒に起こる場合は、胃がんのみならず、胃食道逆流症などの病気がある可能性も考えられます。
吐き気を伴うげっぷ
胃がんによって消化管の通過障害が起こることがあります。すると、停滞した胃の内容物が胃を引き伸ばし、嘔吐中枢が刺激され、吐き気や嘔吐を伴うげっぷを引き起こすことがあります。
胸の不快感を伴うげっぷ
げっぷに伴い、胸の不快感や腹痛がある場合には、胃の炎症や、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している場合もありえます。なお、ヘリコバクター・ピロリ菌感染は胃がんのリスク因子です。
症状が続く場合には、消化器内科を受診するようにしましょう。
げっぷがよく出る時に疑うべき病気・疾患
げっぷは生理的、つまり病気ではない場合でも出ますが、以下のような病気でもげっぷが出ることがあります。
食道裂孔ヘルニア
食道裂孔ヘルニアは、横隔膜の食道裂孔(開口部)を通じて、胃の一部が胸腔内に突出する状態です。通常、この症状は横隔膜の弱化や腹圧の上昇によって引き起こされます。加齢、肥満などが原因であることが多いです。
食道裂孔ヘルニアでは、胃の一部が横隔膜を突破して胸腔内に移動するため、胃酸と空気が食道に逆流しやすくなります。これによって、通常以上にげっぷが発生する原因となります。
予防や治療のためには、食事を小分けにし、就寝前の食事を避ける、体重を管理することが推奨されます。症状が重い場合は、制酸剤、プロトンポンプ阻害剤の投与や、最終手段として外科手術が行われることがあります。
胸焼けや胸痛、呑酸感(胃酸の逆流による不快感)、嘔吐などの症状が持続または悪化する場合は消化器科や外科を受診しましょう。
胃・十二指腸潰瘍
胃酸による胃または十二指腸の粘膜の損傷が原因で発生します。主要な原因にはヘリコバクター・ピロリ菌の感染、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や抗血栓薬(血液が止まりにくくなる薬)の長期使用があります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍が原因で胃の中の内容物の逆流が起きやすくなり、特に消化の過程が正常に進まない場合、ガスが発生しやすくなるため、げっぷが頻繁に起こるようになります。
治療法としては、食生活の見直しやストレスの管理も助けになります。その他、
激しい胃痛、食後の痛み、吐血や下血(黒色便)などの症状が現れた場合には、消化器科を受診しましょう。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシア(FD)は、胃や他の消化管に明らかな異常が疾患が見つからないにも関わらず、胃の不快感や痛み、げっぷ、吐き気などの症状が継続的に現れる病気です。
機能性ディスペプシアの治療には、ストレスや睡眠不足を避けることが重要です。また、食事の量を控えめにし、脂っこい食事の摂取を避けることが有効と考えられています。
また、薬物療法としては、プロトンポンプ阻害剤(PPI)やH2ブロッカーなどの酸を抑える薬、消化を助ける薬、消化管運動の機能を改善する薬、場合によっては抗うつ薬が使用されることもあります。
食後の違和感や痛みが数週間続いている、症状が日常生活に影響を及ぼしているような場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
胃がんの原因
胃がんは、多様な要因によって引き起こされる可能性があります。以下はその原因となりうる要因のうちの3つについて解説します。
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染
ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃の粘膜に慢性的な感染を引き起こし、これが長期にわたると胃がんのリスクが顕著に高まります。
初期では無症状のことも多いですが、進行すると胃痛、食欲不振、体重減少、嘔吐などが見られる場合があります。
消化器科または内科を受診しましょう。胃痛や食欲不振が長期間続く場合、早めに診察を受けるべきです。
食塩・高塩分食品の過剰摂取
塩分の高い食事、加工肉や保存食品の過剰な摂取は胃がんのリスクを高めます。胃部不快感、持続的な胃痛、消化不良、食後の早期満腹感などが現れることがあります。
消化器科での診察が推奨されます。症状が顕著になる前に、定期的な健康診断や胃カメラによる検査を受けることが重要です。
喫煙
喫煙は、胃がんのみならず全てのがんのリスクを高めることが知られています。
また、閉塞性肺疾患(肺気腫)などの呼吸器の病気の原因にもなりえます。
禁煙するようにしましょう。
げっぷがよく出る原因
げっぷは多くの場合、生理的な反応であり病気ではありませんが、特定の状況下で頻発することがあります。以下、げっぷの一般的な原因と対処法について詳しく解説します。
過剰な飲食
大量または速いペースでの飲食は、胃内の圧力を増大させ、空気を多く飲み込むことでげっぷが頻発する原因となります。
膨満感、不快感、場合によっては胃痛や胸焼けを伴うことがあります。
症状が強い場合には、消化器科での診察を受けるようにしましょう。ただし、生活習慣の見直しや食事のペースを調整することで改善されることが多いです。
炭酸飲料の過剰摂取
炭酸飲料に含まれる二酸化炭素ガスが胃内で放出されることで、げっぷが頻繁に起こります。飲料の摂取後すぐにげっぷが出るほか、胃の膨満感が生じることがあります。
特に病院での治療は不要で、飲料の摂取を控えることで改善される場合が多いです。
呑気症(どんきしょう)
呑気症といって、不安や緊張、速食いなどで無意識に空気を多く飲み込むことによりげっぷが何回もでることがあります。頻繁なげっぷ以外にも、胃の不快感や膨満感が起こることがあります。通常、この症状だけでの受診は必要ありませんが、不安やストレスが背景にある場合は心療内科や消化器科の相談が助けになることがあります。
「胃がんの初期症状・げっぷ」についてよくある質問
ここまで胃がんの初期症状や胃がんを疑うげっぷの特徴を紹介しました。ここでは「胃がんの初期症状・げっぷ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
胃がんを疑う症状が現れた場合、どのように対処すればいいでしょうか?
関口 雅則 医師
胃がんを疑う症状には、胃の不快感や嘔気・嘔吐、食欲不振、体重減少、疲労感、黒色便(うんちが黒くなる)、あるいは今回の記事でご紹介したような特徴のあるげっぷなどがあります。こうした症状が現れた場合には、早急に消化器内科を受診し、内視鏡検査などの必要な検査を受け、正確な診断を受けることが重要です。
編集部まとめ
今回の記事では、胃がんの初期症状としてのげっぷにはどのような特徴が考えられるのかについて解説しました。
げっぷは、ほとんどが生理的、つまり病気ではない理由によるものです。しかし、中には胃がんを含めたなんらかの病気が隠れていることもあるので、「何かおかしいな」と思う場合には、消化器内科などの医療機関を受診するようにしましょう。
また、胃がんは、早期の段階では症状がないことも多いため、がん検診を受けるなどして早期発見・早期治療できるようにしたいものですね。
「胃がんの初期症状・げっぷ」と関連する病気
「胃がんの初期症状・げっぷ」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器科の病気
- 胃食道逆流症(GERD)
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃炎
- 食道裂孔ヘルニア
- 胃がん
- 機能性ディスペプシア
げっぷは胃や食道が正常に機能しない際に生じることがあります。そのため、胸焼けなどの他の消化器症状と一緒にげっぷが生じる場合は、医療機関での適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
「胃がんの初期症状・げっぷ」と関連する症状
「胃がんの初期症状・げっぷ」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 食後の満腹感や早期満腹感
- 慢性的な消化不良
- 食欲不振
- 体重の減少
- 腹部の不快感や痛み
- 吐き気や嘔吐
- 黒色便・便に血が混じる
これらの症状は、単に胃がんに限らず他の消化器系の疾患でも見られることがあります。専門医の診察を受け、きちんと診断してもらうようにしましょう。