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「おなら」がよく出るのは「大腸がん」の初期症状?おなら以外の自覚症状も解説!

 公開日:2024/03/14
「おなら」がよく出るのは「大腸がん」の初期症状?おなら以外の自覚症状も解説!

大腸がんは、日本において罹患者数が多いがんといわれ、市町村が行うがん検診の対象疾患にもなっています。

では、検診以外で不調に気付いた患者さんは、どのような症状をきっかけに受診に至ったのでしょうか。

この記事では、大腸がんの概要・症状・検査方法を解説するほか「大腸がんになったらおならに変化がみられるのだろうか」という疑問についてもお答えします。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

大腸がんとは

消化管の内側は粘膜に覆われており、大腸の粘膜から発生するがんの総称を「大腸がん」といいます。まずは、大腸がんが発生する部位・罹患数・原因など基本的な情報について解説します。

大腸がんの発生部位

大腸は小腸と肛門をつなぐ臓器で、大きく分けると「結腸」と「直腸」に分かれます。右下腹部で小腸とつながっており、大腸に入ってすぐの部位が盲腸です。
そこから大腸は上に向かう上行結腸、ウエストのあたりを右から左に向かって横切る横行結腸、左腹部から下腹部に向かう下行結腸と続きます。さらに左下腹部のS状結腸で右に曲がります。ここまでが「結腸」であり、S状結腸と肛門をつないでいる部位が「直腸」です。
がんはどの部位にも発生しますが、日本人では直腸・S状結腸のがんが特に多いとされています。大腸がんの発生が多い部位は、これに上行結腸がん・横行結腸がん・盲腸がん・下行結腸がんが続く形となっています。

罹患数と死亡率

国内における統計では、1年間に約15万6,000人が大腸がんと診断されています。このうち、男性は約8万8,000人で、女性は約6万8,000人です。
また、厚生労働省の調査によると、大腸がんの推計患者数は48万人となっています。なお、大腸がんで亡くなる方は1年間に約5万人です。
この2つの数字から計算すると、大腸がんに罹患した方の大腸がんによる死亡率は約10.4%となります。

大腸がんの発生原因

大腸がんの発症率を高めるとされる生活習慣は下記のとおりです。

  • 高タンパク食
  • 高脂肪食
  • 低繊維食
  • 運動不足
  • 過度の飲酒
  • 喫煙

また、下記の遺伝的要因も大腸がんの発症と深く関わっています。

  • 家族性大腸腺腫症
  • リンチ症候群
  • 大腸がんの家族歴

おならがよく出るのは大腸がんの初期症状?

大腸がんの早期発見には、市町村が行っている検診が役立っているといわれています。しかし、検診を毎年受けていないという方もいるかもしれません。このような場合に、自分で大腸がんに気付くことは可能なのでしょうか。
ここからは、お腹からの身近なサインである「おなら」に注目して、大腸がんとの関係を解説します。

一概に大腸がんとは断定できない

おならは腸の中に溜まっていたガスが排出されたものです。おならの出る頻度は、ガスの溜まりやすさ・腸の蠕動運動の活発さなどに影響されます。腸内に溜まるガスの増減に関わるのは、下記の要因です。

  • 口から飲み込む空気の量
  • 腸内細菌が発生させるガスの量

口から飲み込む空気は呑気(どんき)と呼ばれ、ストレスにより増加する傾向があります。一方、腸内細菌の活動によるガスが増える原因は、食事内容の変化です。
食事内容としては、発酵性糖質・不溶性食物繊維が増えるとガスの発生量は増加します。このように、おならが多いことは必ずしも腸が不健康なサインとはいえません。
逆に、がんが大きくなり腸の通過障害が起きている場合は「おならが出なくなりお腹が張る」という場合もあるため注意が必要です。

臭いや頻度に変化があった場合は要注意

上記のとおり、おならが「多い」というだけでは大腸がんが原因とはいえません。しかし、臭い・頻度が急に変わった・変化から数日経っても元に戻らないなどの場合は腸内で何らかの異常が起きている可能性があります。
なぜなら、おならの臭いが変わる原因には、腸内細菌のバランスが関わっているからです。実際に「お腹を壊しているときのおならは硫黄臭がする」という経験をした方もいるのではないでしょうか。
もちろん、その不調が大腸がんとは限りません。しかし、異常が長く治らない・定期的な大腸がん検診を受けていないという方は、医療機関で検査を受けることをおすすめします。

おなら以外に現れる大腸がんの自覚症状

おならの異常のみをきっかけに医療機関を受診する方は少ないかもしれません。では、受診が推奨されるのはどのような症状が現れたときなのでしょうか。大腸がんにみられる主な症状を紹介します。

便の変化

大腸がんでみられる代表的な症状は、便秘と下痢を繰り返す・便が細くなる(便柱狭小化)・血便など、便通・性状の異常です。
がんの場所が直腸に近い場合には便柱狭小化・血便がよくみられます。しかし、直腸から遠い場所にできた大腸がんでは血便が肉眼的にはわからないこともあります。

お腹の張り・痛み

大腸がんが進行すると、腫瘍により大腸が狭くなることで通過障害が起こります。このような状態の患者さんに起こる症状が腹部の張り・痛みです。なお、便は大腸で水分を吸収されて泥状から固形へ変化していきます。
そのため、小腸に近い盲腸・上行結腸にがんができた場合は通過障害が起こりにくいのです。一方、横行結腸より肛門側にがんができると、通過障害が起こりやすく腹部の張り・痛みが現れやすいとされます。

貧血

大腸を通過する内容物により腫瘍の表面が傷つくと、出血が起こります。この出血が続くことで現れる症状が貧血です。貧血の症状としてはめまい・立ちくらみ・顔面蒼白・息切れ・倦怠感などがあります。

体重減少

大腸がんが進行すると、通過障害による腹痛・吐き気・便通の変化などにより食事が十分に摂取できないという患者さんもいます。このような状況で、栄養障害により現れる症状が体重減少です。

腹部以外の痛み

直腸にがんができた場合、腹痛でなく肛門痛を感じることがあります。また、大腸がんが進行すると、隣接する臓器まで浸潤し離れた臓器に転移することもあるため注意が必要です。
このような場合には、腹部以外にも痛みを感じるほか、臓器ごとに特有の症状が出る可能性もあります。

大腸がんの検査方法

大腸がんの検査には、いくつかの方法があります。まず、自覚症状がない場合に「大腸がん検診」として行うのが便潜血検査です。便潜血検査では、便に血液が混じっていないかを確認することで、腸管で腫瘍による出血が起きていないか調べます。
一方、便潜血検査で異常を指摘された場合や、前述の自覚症状をきっかけに受診をした場合には大腸内視鏡検査を行います。大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入して大腸の中を観察する検査です。
大腸内視鏡検査で腫瘍が発見された場合は、内視鏡的に腫瘍を切除して病理検査をすることもあります。また、必要に応じてCT・MRIなどの画像検査で病気の広がりを調べます。

大腸がんでおならがよく出るについてよくある質問

ここまで大腸がんの概要・原因などについて紹介しました。ここでは「大腸がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんを予防する方法はありますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

大腸がんには、ワクチンのような高い効果が期待できる予防方法はありません。しかし、大腸がんの発症率は生活習慣と関わりが深いとされています。そのため、今回の記事で紹介したようなリスク要因を避けることで発症率は下がるでしょう。

大腸がんではどのような治療が行われますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

大腸がんでは、がんの進行度により治療法が異なります。がんが腸管内の粘膜層にとどまっている場合は、内視鏡で治療できる可能性があります。しかし、内視鏡では切除しきれないと判断した場合は外科手術が必要です。また、手術前後の補助療法・手術が適さない場合の治療として薬物療法(抗がん剤治療など)を行うことがあります。

編集部まとめ

初期の大腸がんでは症状が現れにくく、自覚症状が現れたタイミングではすでに進行していることも多い病気です。

また、おならは腸内細菌の状況を知る手掛かりにはなりますが「大腸がんに特有の変化」といえるものはありません。

そのため、大腸がんの早期発見・治療を目指すなら、まずは定期的にがん検診を受けることをおすすめします。

大腸がんと関連する病気

「大腸がん」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細は、リンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

家族性大腸腫瘍症・リンチ症候群は、大腸がんの発症率を高める遺伝性疾患です。また、炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)の患者さんは腸の粘膜が繰り返し強い炎症を起こすことで大腸がんのリスクが高まるとされます。

大腸がんと関連する症状

「大腸がん」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状について考えられる病気・原因・治療方法などの詳細は、リンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 便通の異常
  • 貧血
  • 血便・下血

これらの症状は、大腸がんの患者さんにみられる症状です。ただし、大腸がん以外の病気でも現れることがあります。気になる症状があれば、まずは医療機関を受診し原因を調べることをおすすめします。

この記事の監修医師