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「10代の白血病患者の生存率」はご存知ですか?症状や早期発見のポイントも解説!

 公開日:2024/03/19
「10代の白血病患者の生存率」はご存知ですか?症状や早期発見のポイントも解説!

白血病は10代が発症するがんで最も多いがんです。小児の白血病はほとんどが急性で進行が早く、あっという間に命を脅かす状態になってしまいます。

わが子が白血病と診断されると、生存率を最も心配する親御さんは多いでしょう。症状・治療・治療後の生活なども気になるところです。

この記事では、10代が白血病を発症した場合の生存率や症状について解説します。10代の前半・後半の患者数とそれぞれの特徴も解説するので、ぜひ参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

白血病とは?

白血病は血液のがんです。病型は急性骨髄性白血病・慢性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病・慢性リンパ性白血病の4種類あります。
15歳未満で発症する悪性腫瘍を小児がんと呼びますが、白血病は小児がんで最も患者数が多いです。小児白血病の内訳は約70%が急性リンパ性白血病(ALL)、25%程度が急性骨髄性白血病(AML)でほぼ全例が進行の早い「急性」となっています。
白血病の初期症状は発熱・貧血・骨の痛みなど多岐にわたります。いつもと様子が違うと感じたら、早く専門の医療機関に連れて行ってください。
急性リンパ性白血病・急性骨髄性白血病いずれの場合も、治療は多剤併用化学療法が中心です。急性リンパ性白血病は10ヶ月前後入院治療した後、外来で1年半程度治療を続けます。急性骨髄性白血病は半年程度入院治療するのが基本です。
標準的な治療が効きにくかったり、中枢神経に再発したりした場合は放射線治療・造血幹細胞移植・免疫学的治療・分子標的治療薬による治療を行います。

10代の白血病患者の生存率は?

10代を含め、小児白血病の生存率は年々向上しています。
長期生存率(10年)は1980年代は46.4%だったのに対し、2000年代は87.3%です。病型別に長期生存率をみると、急性リンパ性白血病は2000年代で87.0%、急性骨髄性白血病は1995~2009年のデータで87.5%となっています。
また、AYA世代に当たる15~19歳で急性リンパ性白血病の患者さんに小児型治療を適用した場合の寛解率は、90%以上の方が寛解するようになってきました。AYA世代とは、思春期(15歳~)から30歳代までの世代で、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとって生まれた呼び方です。

白血病の患者数

日本では、毎年600人程度の子どもが白血病と診断されています。
しかし、白血病ががん全体の中で占める割合や発症する白血病の病型は、14歳未満の小児とAYA世代に含まれる15~19歳では異なるのが事実です。

白血病が全がんに占める割合:0~14歳の場合

0~14歳のがんで最も多いのは白血病で、全がんの40%程度を占めています。また、発症する白血病の種類は、ほとんどが急性リンパ性白血病です。
しかし、小児白血病は治療実績が非常に高いうえ予後も良好なケースが多く、ほとんどの患者さんは学校生活や社会生活に復帰できます。

白血病が全がんに占める割合:15~19歳の場合

AYA世代の中、15~19歳が診断されたがんで白血病が占める割合は24%となり、患者数が15歳未満より少なくなります。
病型も14歳未満とは異なり、慢性骨髄性白血病の方が多くなるのが特徴です。
また、AYA世代に入ると予後不良な白血病や、乳がんなど成人にみられるがんを発症する可能性も出てきます。

白血病の症状について

白血病を発症すると、貧血や発熱などさまざまな身体症状が現れます。
10代の子どもを観察するうえで気を付けたいポイントも一緒に紹介するので、ご家族の方もぜひ参考にしてください。

貧血

白血病になると正常な赤血球の数が減少したり出血しやすくなったりするため、多くの患者さんが貧血になります。疲れやすい・めまいや立ちくらみがある・頭痛がする・寝覚めが悪い・集中できない・顔色が悪いなどの症状があったら貧血を疑いましょう。
また、貧血は月経を迎えた10代の女子によくあります。しかし、月経によるものを含め、普通の貧血は短期間で自然に治るものです。
逆に、長引くようなら白血病を含め何らかの疾患が隠れている可能性があるので、早く医療機関を受診し原因を突き止めてもらいましょう。

出血

白血病を発症すると血小板が減るため、大量に出血したり出血が止まりにくくなったりします。10代の小児白血病でよくみられるのは、皮膚の点状出血や青あざ・鼻血・歯茎からの出血・月経過多などです。
青あざは、スポーツなどをしている子どもにはよくあります。しかし、白血病による青あざは、少しぶつけただけで簡単にできるうえ数が異常に多いのが特徴です。
また、白血病による鼻血は長時間止まらず、多くはあざや関節内の出血が伴います。

感染

白血病になると、ウイルスや細菌と戦う白血球を正常に作れなくなります。感染症にかかりやすくなるのは、血液中に正常に機能しない白血球が占める割合が高くなるからです。
発病初期の段階では、肺炎・熱や倦怠感などの風邪症状が続くケースがよくみられます。しかし、普通の風邪なら2週間以上続かないので、症状が出てから2週間過ぎた頃を目安に医療機関を受診させてください。
また、小児白血病は病気が進行すると、真菌感染症や敗血症など重篤な感染症にもかかりやすくなります。

肝臓・脾臓の腫れ

急性リンパ性白血病・急性骨髄性白血病のいずれの場合も、病気が進行すると肝臓や脾臓の腫れがみられるようになります。肝臓や脾臓が腫れるのは、増殖した白血病細胞が内臓に浸潤し、浸潤した臓器の中でさらに増殖を続けるからです。
また、肝臓や脾臓が腫れると、患者さん本人は腹部の張りや痛みを自覚するようになります。特に、子どもの急性骨髄性白血病は腹痛をきっかけに発見されるケースが多いのが特徴です。

発熱

発熱は、小児白血病の初期症状でよくみられます。
小児白血病による発熱では、39°C〜40℃の高熱や微熱が続くケースだけでなく、発熱と解熱を繰り返すケースもあるのも事実です。
病気の種類にもよりますが、発熱してもほとんどは1~2日で下がります。3日以上続く場合は何かの異常があると考えて、早く医療機関を受診してください。

骨痛

骨痛や関節痛は、成長期にある10代に多い症状です。特に、スポーツをしていると膝や踵の痛みをよく訴えます。
しかし、骨痛・関節痛は白血病の初期症状でもみられる症状です。子どもが痛みを訴えるので整形外科を受診させたら、白血病が見つかったケースも実際にあります。
また、白血病による骨や関節の痛みは睡眠を妨げるほどに強く、時間が経つと歩行困難になるケースがあるのも事実です。
痛みについて思い当たる原因がない、整形外科で異常がないといわれた場合は、白血病を疑って小児科や内科を受診するようにしましょう。

頭痛

頭痛は、急性リンパ性白血病でよくみられます。急性リンパ性白血病は、白血病細胞が脳や中枢神経に浸潤しやすいのが特徴です。
頭痛自体は10代にも多い体の不調ですが、白血病が原因の場合は、頭痛に吐き気・嘔吐・手足の痺れなどを伴うケースが多くなります。
また、どのような頭痛でも痛みが強い・1ヶ月に10日以上症状がある場合は頭痛専門の病院を受診するようにしてください。

吐き気

白血病で吐き気が起きるのは頭痛と同じで、脳や中枢神経に白血病細胞が浸潤し、増殖して脳圧が上がるのが原因です。
しかし、白血病の治療が始まったら、抗がん剤の副作用による吐き気にも気を付ける必要があります。副作用による吐き気には、主治医から有効な薬を処方してもらいましょう。
吐き気や口内炎で食欲がない場合は、喉越しがよい・匂いや刺激が少ない・柔らかい食事を用意して、お皿に少量ずつ盛り付けるなどの工夫をしてみてください。

10代の白血病患者の生存率についてよくある質問

ここまで、10代の白血病における生存率と症状を中心に解説してきました。ここからは、Medical DOC監修医が10代の白血病で生存率以外によくある質問にお答えします。

10代の白血病を早期発見するポイントを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

白血病は風邪と変わらない初期症状を呈するケースが多いので、年齢に関係なく早期発見するのは難しい病気です。わが子の白血病を早期発見するなら、毎年健康診断で血液検査を受けさせるのがベストでしょう。もし、診断された時にある程度病気が進行していても、「手遅れ」と思わないでください。現在はAYA世代も含め、小児白血病は発見が少々遅れても治癒を望める病気になってきています。

白血病の種類によって生存率に違いはありますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

成人白血病の場合は、病型によって生存率が異なるのが事実です。しかし、10代の白血病は病型に関係なく、10年生存率が80%を超えています。しかし、小児白血病は治癒しても晩期後遺症や再発などの問題があるので、定期的に通院を続けましょう。近年は、医師・看護師・臨床心理士などが小児がん患者さんを長期にわたってサポートする長期フォローアップの体制も整ってきています。

編集部まとめ

10代の白血病は近年、生存率が非常に高くなりました。治療には時間がかかりますが、今や、不治の病ではなくなっています

しかし、10代の白血病は治癒しても晩期合併症に悩まされるだけでなく、就職や就学など社会的問題にぶつかるケースが多いのが事実です。

治癒後も通院して長期フォローアップを受け、長い人生を健康で豊かに歩んでください。

白血病と関連する病気

小児白血病と関連する病気は4つほどあります。各病気の症状・原因・治療方法についての詳細は、リンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

  • 急性リンパ性白血病
  • 急性骨髄性白血病
  • 慢性骨髄性白血病
  • その他の白血病

その他の白血病は、骨髄腫瘍が白血病に移行したもの・過去に使った抗がん剤によるもの・HTLV-1感染によるものなど、さまざまな原因があります。

関連する病気

白血病と関連する症状

小児白血病と関連する症状は関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

  • 貧血
  • 出血
  • 感染
  • 肝臓・脾臓の腫れ
  • 発熱
  • 骨痛
  • 頭痛
  • 吐き気

上記症状の詳細な内容については、本記事を参考にしてください。

関連する症状

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